【議院運営委員会】緊急事態全国で解除/医療機関へ補償必要/減収で経営深刻

 政府が新型コロナウイルス感染拡大に対する「緊急事態宣言」を全国で解除するにあたって西村康稔経済再生担当相による事前報告をうけ、質疑。

 受診抑制やコロナウイルス対応などによる減収によって医療機関は6・7月にも経営破綻しかねない深刻な経営状態にある。コロナ感染の再拡大に備え、そして医療崩壊を決して起こさせないために昨年比の減収分に対して補償することが絶対に必要だ。

 西村担当相が「診療報酬や包括支援交付金に加え必要な措置を取っていく」と従来の答弁にとどまった。

 私は、日本医師会による要請ではコロナ対応で1兆6千億円、通常の医療を継続するために2兆5千億円の支援を求めている。診療報酬の増額と包括支援交付金3千億円プラスアルファの予算では全く足りない、と重ねて抜本的な予算措置を求めました。

 西村担当相は「2次補正予算で対応していきたい」と繰り返し、正面から答えませんでした。

 また私は、文化芸術事業への支援について、自粛要請に協力し、感染防止に大きな貢献をしてきた関係者に対して、経費負担に対する補償もいまだに行われていない。演劇・音楽・映画3団体による「文化芸術復興基金」の創設の要請が出されている。売り上げ減少、経費増大に対する補てんをしっかりと行うことが国の責務だ、と主張しました。


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「議事録」

<第201通常国会 2020年5月25日 議院運営委員会 33号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 緊急事態宣言解除に際して、第二波、第三波に備えた医療提供体制の整備が極めて重要であります。
 ところが、受診抑制による医療機関の減収は一割から二割に及び、六、七月にも経営破綻しかねない深刻な事態にあります。
 コロナ感染再拡大に備え、そして医療崩壊を決して起こさせない、そのために、昨年比の減収分に対して補償することが絶対に必要ではないか。加えて、医療機関は、コロナ対応の病床確保に当たって、大量の空床の確保や、感染防護具、医療スタッフへの危険手当などが必要になります。コロナ対応については上乗せの措置を行う、こういうことが必要ではないのか。
 この点について、お答えをお願いします。
○西村国務大臣 御指摘のように、小さな波は必ず起こってきますので、それを大きな波にしないよう全力を挙げていきたいと思いますが、万が一のときにも、医療提供体制、命をお守りするということに全力を挙げていきたいと思います。
 そうした中で、空床を長期にわたって確保し続けることは、他の疾病に対する医療提供も必要となってきますので、限界もございます。
 各地域において、都道府県において、医療提供体制の全体の整備を進めるための対策の協議会を設置していただいたり、あるいは、患者搬送や病床の調整を行う患者受入れ調整本部、こうしたものを設置していただいております。
 こうした組織を通じて、コロナ患者がふえてきた場合に、都道府県における病床や宿泊療養施設の確保などを行っていくこととなりますが、国としても、こうした県の取組をしっかりサポート、調整していきたいというふうに思っております。
 その上で、さまざまな医療の体制を確保していく上で、これまでも診療報酬上の特例措置も講じてきておりますし、包括支援交付金で支援も行ってきておりますけれども、更に万全を期すために、二次補正においても、医療提供体制を守っていくということで、必要な予算を確保していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 医療機関がコロナ対応の病床を確保するとたくさんの空床を維持しなくちゃならない、そういった状況を、二波、三波に備えてしっかりと対応できるような支援策ということを考えたときに、一般的にも経営が非常に困難になっている、そういったときに、全日本病院協会の猪口会長は、二桁のマイナスが続くと、この先病院をどう経営できるのか想像もできない、第二波、第三波に適切に対応するためにも、国には制度的に病院を支えることを考えてもらいたいと訴えておられます。
 診療報酬の増額では減収分補填にはなりません。日本医師会が試算した医療機関への支援額について、コロナ対応で一兆六千億円が必要だとしています。通常の医療機関の医療を継続するためには、二兆五千億円は必要だとしています。診療報酬の特例措置ですとか、国の包括支援交付金三千億円プラスアルファの予算では全く足りないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○西村国務大臣 医療機関の経営が大変厳しくなっていること、切実な声を医師会からも伺っております。また、全国の大学病院などでも大変厳しい状況にあることを伺っております。こうした医療機関の経営を支援していくために必要な予算も含めて、二次補正予算でしっかりと対応していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 抜本的な財政措置を強く求めます。
 次に、文化芸術団体の要望ということですけれども、二月のイベント自粛要請以降、コンサートやライブ、スポーツ競技、展示会などを中止して感染防止に大きな貢献をしてきた関係者に対して、経費負担に対する補償もいまだ行われておりません。文化芸術関係者は、宣言解除後も、引き続き、活動規制、営業規制がかかっております。
 文化、芸能、スポーツ、イベントが持つ文化的、社会的機能の大きさに鑑み、特別の経済支援を早急に行うとともに、事業継続への多様な支援を当事者の要望も踏まえて行うことを強く求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○西村国務大臣 まさに私たちの社会の基盤をなすと言ってもいいと思うんですけれども、この文化芸術事業、そして、心にいろいろなゆとりを与えてくれ、生活を潤わせてくれるさまざまなイベント、こうしたものをしっかりと全力で守り抜いていかなきゃいけないというふうに考えております。
 このため、これまでも、こうした事業者に対して最大二百万円、そしてフリーランスの方も含めて個人事業主の方に百万円の持続化給付金をお届けしているわけでありますけれども、一日も早くお届けをしたいというふうに考えておりますし、こうした文化芸術、さまざまなイベント、今後、段階的に経済活動を引き上げていく中で、ゴー・トゥー・キャンペーンによってその費用の一定程度を補助していくわけであります。タイミングとして、そろそろ準備に入りたいというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 五月二十二日、演劇、音楽、映画、三団体による文化芸術復興基金創設の要請というのは、文化芸術団体の公演や上映やライブなどを行うことに伴う売上げ減少、経費増大に対して補填することを目的にしています。この売上げ減少、経費増大に対する補填をしっかりと行う、このことが国の責務だと強く求めて、質問を終わります。