【内閣委員会】黒川氏、カジノ解禁推進/法務事務次官時代

 賭けマージャンを認めて辞職した黒川弘務前東京高検検事長が、法務事務次官時代に安倍政権が強行したカジノ合法化を推進していた問題を追及しました。

 『時評』2017年9月号のインタビューで黒川氏が休日の過ごし方を聞かれ「海外に行った際には個人的な観点でIR(カジノを中核とする統合型リゾート)を視察する」「職業上の関心もかねて」と述べている。黒川氏がインタビュー直前の17年4~5月に、有名なカジノ施設があるシンガポールに海外出張している。IRを視察していたのか、とただしました。

 法務省の山内由光審議官が「訪問先にカジノ施設は含まれていない」と答えたのに対し、私は、3日間の日程の中で、1日目は先乗りで何の日程も入っていない。2日目も3日目も夕方で日程が終わっている。カジノを訪れていたのではないかが問われると主張。

 17年前後はカジノ解禁の議論が進んでいた時だ。賭博・カジノを合法化する解釈変更を法務省が追認したのも黒川事務次官の時であり、「邸肝いり」のカジノ合法化に汗をかいたのがギャンブル好きの黒川氏だったのではないか、と迫りました。

 法務省が、立案作業などに「必要な協力を行ってきた」としか答えなかったのに対し、私は、黒川氏がカジノ合法化に関わった経緯の資料を出すよう要求しました。


衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

<第201通常国会 2020年5月29日 内閣委員会 15号>

○塩川委員  残りの時間で、黒川弘務元東京高検検事長に関するカジノ賭博問題について質問をいたします。武田大臣にぜひよく聞いていただきたいんですが。
 週刊文春の記事では、黒川さんのカジノ好きは有名でした、韓国やマカオだけでなく、ヨーロッパのカジノにまで、出張の仕事が終われば遊びに行っていた、かなりの好き者ですと述べています。週刊文春でも取り上げている雑誌「時評」二〇一七年九月号に黒川事務次官のインタビューが掲載されています。質問者の、次官は休日などはどのように過ごされていますかという質問に対して、大型犬を飼っているので、車に乗せてあちこちにドライブや旅行に出かけていますね、また、海外に行った際には、個人的な観点でIRを視察するなどもしています、日本でもIR法の議論が本格化し、法務省の施策も依存症対策など複数の分野にかかわりますので、職業上の関心も兼ねて(笑)と述べているわけです。
 法務省にお尋ねしますが、当時法務事務次官だった黒川氏は、職業上の関心も兼ねてIRを視察していたんでしょうか。
○山内政府参考人 記録を確認させていただきましたが、黒川前東京高検検事長によります海外出張におきまして、カジノ施設を訪問先として含むものはございませんでした。
○塩川委員 このインタビュー記事にもあるように、週末の過ごし方の話で、犬の散歩はわかりますよ、だけれども、海外に行ったときにIRに行くというのが週末の過ごし方というところに驚きを覚えるわけです。
 今、海外出張の話がありましたけれども、このインタビュー記事が二〇一七年の八月ですけれども、その直前の二〇一七年四月三十日から五月五日にかけて、黒川事務次官は海外出張をしています。どこに行きましたか。
○山内政府参考人 黒川前東京高検検事長、平成二十九年四月三十日から五月三日までのことでございますが、法務事務次官であった当時でございますが、シンガポール共和国に出張に行っております。それは、国際仲裁に関してシンガポールの政府要人と意見交換などを行ったものでございます。ただ、そのとき、その海外出張における訪問先には、カジノ施設、これは含まれておりません。
○塩川委員 公式日程の話しかされませんから。この日程で三日間もシンガポールに泊まっているんですよ。日程の一日目は先乗りで、何の予定も入っていません。二日目の方には二つの日程だけで、もう夕方はあいています。三日目についても、夕方で行事は終わっているわけですよね。
 こういったように、シンガポールには有名なIR、カジノであるマリーナ・ベイ・サンズやリゾート・ワールド・セントーサがあります。黒川氏は、職業上の関心も兼ねてシンガポールのIR、カジノを視察していたのか、このことが問われるわけであります。
 そこでお聞きしたいのは、黒川氏がインタビューに答えた二〇一七年前後というのはまさにカジノ解禁の議論が進んでいたときであります。安倍政権肝いりで、二〇一六年十二月にカジノ解禁法案が強行採決をされました。二〇一七年八月、このインタビューが行われた時期でもありますが、IR推進会議取りまとめでカジノ実施の制度設計が決定されました。そして、二〇一八年七月にカジノ実施法案が強行採決をされた。
 この間、黒川氏は一六年七月から一九年まで事務次官を務めています。これまで違法とされていた賭博、カジノを合法化をする解釈変更を法務省が追認したのも黒川事務次官のときだったわけであります。官邸の肝いりのカジノ合法化に汗をかいていたのがギャンブル好きの黒川氏だったということになるんじゃないですか。
○保坂政府参考人 お答えします。
 ちょっと、御質問の趣旨があれでしたけれども、法務省がIRの関係で、これまで、政府としての立案作業においては、必要な協力を省としてあるいは刑事局としてもさせていただいております。
 我が法務省刑事局といたしましては、刑法を所管しています、賭博罪が規定されている刑法を所管しておりますので、IR整備法の立案過程においてその観点、つまりIR推進法の附帯決議で示されたいわゆる八要素というのがございますけれども、その観点から、その趣旨に沿った制度設計がなされているかどうかということから必要な協力を行ってきたものでございます。
○塩川委員 今まで、法務省は違法性の阻却の要件を挙げて、それは無理なんですとなっていたんですよ。それをひっくり返したというのがあのカジノ解禁法だったわけで、その審議に法務省として手をかしていたのが黒川事務次官だ、ギャンブル好きの黒川さんのもとでギャンブルが推進されたということを言わざるを得ません。
 黒川氏のカジノ合法化にかかわった経緯について資料の提出を求めると同時に、安倍政権の国政私物化に手をかすこういう官僚の特別扱いをやめて、検察庁法改正案は撤回をし、黒川氏の検事長勤務延長の閣議決定を撤回することを求めます。
 その上で、もう一つ。
 過去五年間において、一般職公務員が賭博で懲戒処分された事例は、人事院によると、平成二十七年に五人、平成二十九年に五人であります。平成二十七年の懲戒処分は法務省の事例と承知をしています。どういう事件だったのか、法務省として調査報告の作成とか全国的な横展開の再発防止策をとったのか、この点についてお答えください。
○西山政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、法務省職員につきましては、平成二十七年一月に、福岡刑務所の職員五名につきまして、免職、停職、減給又は戒告とした例がございます。
 具体的には、多数回にわたり、賭客として野球、サッカーの試合を対象に多額の現金をかける賭博を行ったほか、現金一千六百万円以上をかける賭博の胴元となるなどして利益を図った職員を免職、多数回にわたり、賭客として野球、サッカーの試合を対象に現金一千万円以上をかける賭博を行ったほか、現金百六十万円以上をかける賭博の胴元となるなどとして利益を図った職員を停職六月、多数回にわたり、野球、サッカーの試合を対象に現金六百万円以上をかける賭博を行った職員を停職三月、複数回にわたり、野球、サッカーの試合を対象に現金約百五十万円をかける賭博を行った職員を減給一月百分の二十、三回にわたり、野球の試合を対象に現金十三万円をかける賭博を行った職員を戒告とした例があるものと承知をいたしております。(塩川委員「法務省の調査報告、再発防止策はどうなっているの」と呼ぶ)
 この処分にかかわります調査は当然行っております。また、対策、防止策はとられたものと承知しております。(塩川委員「報告書を出したのか」と呼ぶ)
○松本委員長 ちょっと勝手にやらないで。一度席に帰ってください。
 塩川鉄也君、質問してください。
○塩川委員 いや、さっきの質問、調査報告、全国展開するような再発防止策、行ったのか。
○西山政府参考人 本件につきましては、福岡刑務所を監督する法務省矯正職員及び地方支分部局である福岡矯正管区職員による特別監査を実施し、再発防止に必要な措置をとったということでございます。
○塩川委員 調査報告書をつくっていないんですよ。かかわる福岡とかあの範囲の再発防止策しかしていなくて、全国展開していないんですよね。こういった重大な事件に対して、法務省として調査報告も行わなければ再発防止策についても示していない。
 このとき、職員の不祥事事件を取り扱う官房長は誰かといえば黒川氏であります。黒川氏そして法務省は賭博に甘い官庁だと言わざるを得ない、このことを指摘をして、質問を終わります。