【倫理選挙特別委員会】町村議選への供託金導入可決/共産党反対「被選挙権を制約」

 町村議会議員選挙に供託金を導入する公職選挙法改定案が特別委員会で採決され、自民党、公明党などの賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。

 自民党などが提出した今回の法案は、現在は不要の町村議選立候補時の供託金を全国一律で15万円とするものです。

 私は質疑で、これまで供託金制度を「候補者の乱立防止」などを理由に正当化する一方で、町村議選では「供託金を不要」としてきた理由を確認。

 総務省の赤松俊彦選挙部長は「町村議選では候補者が乱立する状況ではなかったから」と答えました。

 私は、法案が供託金導入を、ポスターなど選挙運動費用の公費負担を可能とする「公営」の条件にしていることが問題だと指摘。『候補者乱立の懸念がない』との状況が変わったのか。公営と供託金をセットにする整合性はまったくない、と強調しました。

 さらに、「なり手不足が深刻」と言いながら、供託金導入は立候補に新たなハードルを設けることになる。総務省の研究会報告でも供託金引き下げに言及するなど、引き下げの議論が起こっている今、供託金導入は流れに逆行するものだ、と批判しました。

 私は、採決の反対討論で、供託金導入は、国民の被選挙権行使を制約し、憲法に保障された参政権を侵害するものであり、認められないと表明しました。


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反対討論の要旨は、以下の通りです

 本案は、町村議員の選挙に、現在ゼロである供託金を持ち込むものです。

 本案の提出理由を、なり手不足が深刻で、「立候補に係る環境の改善」のためとしながら、立候補に新たなハードルを設けることは、まったく矛盾しています。

 国政選挙・首長選挙で数百万、地方議員でも数十万円。こんなに高い供託金を取っている国はありません。供託金制度が、「カネを持っている人でなければ選挙に出られない」という立候補の阻害要因になっていることは、明らかです。

 総務省の研究会でも供託金の引下げに言及し、超党派の若者政策議連は各党に「供託金の大幅引き下げ」を要請しています。国際的に見ても、制度を廃止する国も出てきています。供託金の引下げの議論が起こっているいま、町村議選への供託金導入は、流れに逆行するものです。

 町村議選への供託金導入は、主権者国民の被選挙権行使を制約し、憲法に保障された参政権を侵害するものであり、認められません。

 また、本案は、供託金の導入を「公営」拡大の条件としていることも問題です。

 現行でも、町議選には葉書は「公営」されており、公費負担は行われています。供託金が公費負担の前提という理屈は成り立ちません。

 そもそも、我が国の供託金制度は、「悪質な立候補を抑止」「候補者の乱立を防止」するとの理由で正当化されてきたものであり、町村議選は「そのような懸念が少ないことから、供託金が設けられてこなかった」と説明がありました。これが変わったというのでしょうか。「公営」拡大と供託金導入をセットにする、整合性がまったくありません。

 さらに、本案の「公営」は条例により実施が決定しますが、供託金は全国一律15万円の導入となります。供託金は導入されて「公営」なしという町村も出てくる場合もあります。

 この矛盾を見過ごすことはできません。

 なり手不足が深刻となっている現状で、全国町村議長会は、毎年「選挙公営の拡大」と同時に「被選挙権の引下げ」、「戸別訪問の解禁」などを要望しています。

 候補者と有権者が戸口で質疑・討論ができるよう「戸別訪問の解禁」といった「選挙運動の自由」を広げることが、選挙を活性化することになり、なり手不足解消へとつながってきます。

 「戸別訪問の解禁」にとどまらず、文書図画の規制の自由化、立会演説会の復活、選挙運動期間の見直し、供託金の引き下げ、被選挙権の引下げ等、国民・有権者が主体的に選挙・政治にかかわりやすくするため、根本的には、複雑な現行法を抜本的に変える必要があります。


「議事録」(質疑)