【内閣委員会】病床確保/第2波へ偏在正せ/患者数推計をただす

 新型コロナウイルス第2波に備えて、最新の知見に基づくコロナ患者数の再推計についてただし、医療機関への財政措置を積み増すよう求めました。

 これまで政府は、ピーク時のコロナウイルス感染症患者数を約22万人(厚生労働省が3月に出した事務連絡に基づいて都道府県が試算したもの)と示してきました。これに対し、コロナウイルス感染症対策専門家会議の「提言」(5月29日)では、3月以降新たな経験を得たとして、今後の感染拡大を見据え、必要となる医療提供体制の確保のために「新たな患者数の再推計を行う」としています。

 私は、新たな患者の再推計とは何か、再推計に基づく第2波に備えた病床確保の目標を明らかにせよ、と質問。

 西村康稔経済再生担当相はどちらも、「厚労省において検討中」と答えました。

 私は、各都道府県が確保している病床数には大きなばらつきがある。このアンバランスをただすべきだ、と主張。

 西村氏は「2次補正予算で対応する」と答えました。

 私が、病床確保の目標は『検討中』なのに医療機関への財政措置は大丈夫だという保証はどこにあるのか、と迫ると。

 西村氏は、「予備費も10兆円積んでいる」と答弁。

 私は、予備費ではなく、必要な予算を積むべきだと求めました。


 
質問で配付した資料(↓クリックで拡大)
新型コロナウイルス感染症ピーク時入院患者数に対する受入確保病床数の割合
新型コロナウイルス感染症ピーク時入院患者数に対する受入確保病床数の割合

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「議事録」

<第201通常国会 2020年6月3日 内閣委員会 16号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、まず、新型コロナウイルス感染症対策で、医療提供体制の整備について西村大臣にお尋ねをいたします。
 五月二十九日に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の提言が出されています。その中で、今後の政策のあり方を指摘しております。次なる波に備えた医療提供体制のさらなる強化について、「今後、感染が大きく拡大する局面も見据え、必要となる医療提供体制を重症度別に確保しておくべきである。この際、三月下旬からの経験を踏まえて、流行の立ち上がり速度や緊急事態宣言を含む公衆衛生上の対策の効果を踏まえた新たな患者数の再推計を行う」とあります。
 ここで言う新たな患者数の再推計というのはどういうものでしょうか。
○西村国務大臣 専門家の御提言で、専門家の皆さんの中でいろいろ検討されるもの、そしてまたそれを受けて厚労省において対応を検討していくものというふうに理解をしております。
○塩川委員 これは、新たな患者の再推計と言っていますから、既に推計している数字があるわけです。その推計している数字が何かというのを確認したいんですが。
○西村国務大臣 既に各県に厚労省から一定の条件のもとで数式を提示して、各県ごとにこれだけの病床がピーク時には必要になってくるといったようなことをこれまで提示をし、それぞれの県においてそれが示されているところであります。
 その上で、今回の専門家の皆さんの御提言を受けて、更に新たに今検討を進めているという状況であります。
○塩川委員 三月六日の事務連絡で厚労省が示している数式に基づいて都道府県が算出している数字であります。
 これは配付資料をお配りさせていただきましたが、大きな枠、三つあるうちの真ん中のところに、厚労省事務連絡に基づく都道府県によるピーク時入院患者数の試算というのがこれまで行っている患者数の推計の数字で、合計を見ると二十二万人と出ているものであります。
 これはこれとして、三月の知見に基づいて、それぞれ厚労省から各都道府県にということで示されたものですけれども、この提言にあるように、新たな患者数の再推計、すなわち、次なる波である第二波に備えた病床確保の目標を明らかにする、このことを求められていると思うんですけれども、こういった新たな患者数の再推計について、ぜひ明らかにしていただきたいと思うんですが、この点はいかがですか。
○西村国務大臣 この間、さまざまな経験をいたしました。東京都においては、二千床を確保している中で千八百人を超えるような入院患者の方々が、非常に逼迫した状況もございましたので、そうした経験も踏まえながら、そして、改めて専門家の皆さんから御提言をいただいておりますので、厚労省において現在検討を進めているというふうに承知をしております。
○塩川委員 厚労省で検討を進めているということなんですが、今の知見を踏まえて都道府県の病床確保の目安を示すものであります。やはり、しっかりと速やかに明らかにする必要があると思うんですが、いつぐらいまでに示される、そんな考えでいるんでしょうか。
○西村国務大臣 小さな流行が、東京でもあるいは北九州でも、これをこれ以上大きな流行にしないということで、今、クラスター対策を始め努力をしてきているところでありますけれども、来るであろうという前提で第二波に備える、そうした準備も必要であります。
 今のうちにそうした体制を整えていくという観点からは、厚労省においてできるだけ速やかにこうした検討を進めていかれるものというふうに期待をしているところであります。
○塩川委員 厚労省にも来てもらっていますが、その検討はいつぐらいまでの予定ですか。
○吉永政府参考人 お答え申し上げます。
 前回の推計につきましては、海外の知見がない中で、武漢の例を含めて、念頭に置きながら推計を行ったものでございます。
 今般、日本での一定の経験がございますので、それに基づいた形での推計を進める必要があるということで、専門家委員からの御意見をいただいているところでございます。
 現時点において具体的なスケジュールについて明らかになっているわけではございませんが、可能な限り速やかに進めるべきものと考えてございます。
○塩川委員 今、落ちつき始め、しかし、部分的にはクラスターの発生ですとか懸念することもあるわけで、やはり大きな第二波に備えた対策として、医療提供体制の整備、その際の目安というのはしっかりと示すことが必要だということを重ねて求めておきます。
 それで、その上で、現状の三月の知見で出されている二十二万というピーク時の入院患者数の推計があるわけですけれども、これは、資料において、右側の枠にありますように、ピーク時入院患者数に対する受入れ確保病床数の割合を出している数値であります。パーセントで示していますけれども、一番左側にある入院患者を受け入れている確保病床数がピーク時の入院患者に占める割合ということです。
 これは、入院患者の割合を見ると、絶対数でもこれでいいのかと思うような数字でもありますが、都道府県間で大きなばらつきがあります。例えば鳥取県などは三〇%という数字でありますが、少ないところでは三%というのが茨城県や静岡県や岡山県にあります。
 このように、受入れ確保病床数の都道府県のアンバランス、これをこのままでいいのかと率直に思いますが、この点での対応はいかがでしょうか。
○吉永政府参考人 お答え申し上げます。
 この点につきましては、五月二十日の委員会におきましても委員より御質問いただいた件でございますけれども、三月六日の事務連絡に基づいて、一定の推計式をもとにピーク時の推計を行っていただくということで、この数値自体は厚生労働省として公表しているものではございませんが、この推計値に基づいて、地域の実情に応じた形で都道府県で病床数を確保していただくということでお願いしているものでございます。
 都道府県間の差異というものは、やはり大都市部と地方ということで、それぞれの環境あるいは医療資源の状況ということが、これはさまざまに異なっておりますので、一概にそれ自体をもって問題であるということは考えてございませんが、いずれにいたしましても、都道府県において必要な医療提供体制を確保していくということが重要だろうというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 都道府県で適切に判断、対応するというお話ですけれども、答弁にもありましたように、医療資源の状況に違いがあるわけなんです。ですから、そういう意味でも、重症者、中等症者で入院を要するような患者の方の、全体としてのキャパシティーをどうするのかということと同時に、あわせて、重症患者についての対応がどうなっているのかという点が、やはり医療機関の医療資源との関係でも重要になってくると思います。
 底上げを図る措置を入院患者全体として行うと同時に、資料の方でも一番右側に重症者数の割合を示しています。入院患者の受入れ確保病床数のうち、重症患者の受入れの枠がピーク時に対してどのぐらいを示すのかという数字ですけれども、ここでも都道府県間のアンバランスがあります。一〇〇%を超える県もありますけれども、一割前後の県もあります。
 そうしますと、当然各地域ごとでの大規模クラスターの発生とかもありますし、当然全国的な第二波の想定も必要ですし、地域ごとでもそういった対応というのも必要な際に、こういった都道府県間のアンバランスが、医療資源の違いということだけで、そのままでいいのかといった対応が求められるんじゃないでしょうか。
 医療資源が限られているような、そういう地域において、どう底上げを図るのかといったことが問われていると思うんですが、この点で、大丈夫なのか、率直に、大臣いかがですか。
○吉永政府参考人 お答え申し上げます。
 新型コロナ感染症の患者の方は、大多数が軽症で済むわけでございますが、やはり重症になった方に対する対応というものが極めて重要だろうというふうに思ってございます。
 そうした中で、大都市部については大都市部としての問題があるわけですが、地方について、医療機関が少ない中でどのように重症者向けの病床を確保していくのかというのは非常に難しい問題がございまして、新型コロナウイルス感染症患者の受入れのためには、通常の病床よりも、やはり人的な体制を含めて非常に多くかかるということで、既存の病床数をそのまま全て、例えば一つの病棟を新型コロナ感染症患者のための病棟とすると仮にしたとしても、例えば十あった病床をそのまま十、新型コロナウイルス感染症の患者のために使えるということではなくて、やはり病床数を少し調整する必要が出てくるという問題がございます。
 こうした中で、第一次補正予算の中でも、病床の確保について、ベッドをあけて空床にするという形で確保している場合について、一定の金額について補助をするというスキームがございましたが、ただ、それですと、既存の病床を休止してしまう部分について、なかなか手が回らないということ、また、単価についても、一つの病床で見れば、それなりの金額について、例えばICUであれば、空床にして確保することによって、今九万七千円をお支払いしてございますけれども、それではなかなか十分ではないということで、重症者を受け入れるための病床の調整というものはなかなか進んでいないという状況でございます。
 今般、第二次補正予算案を進めてございますけれども、その中で、新しい交付金の中では、今九万七千円と申しましたICUの空床の部分につきましても大幅に引き上げるという、三十万円を超えるような形で、一日当たり、引き上げるということとあわせまして、休床する病床部分についてもきちんと補填をしていくということで考えているところでございます。
 こうしたことを通じまして、なかなか重症者向けの病床を確保していくということは、物理的にも人的にも難しい部分がございますけれども、こういうことを通じまして必要な病床を、確保を進めていくということで、地域に応じた形で、重症者向けの病床も含めて病床を確保していただければというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 絶対数も少ないわけですけれども、都道府県間で医療資源に偏りがあることが重症患者の受入れ病床数のばらつきにも反映されている。曖昧にできないことで、この点でも、対応の求められる県への底上げを図る措置、人的、財政的な支援が必要です。
 その上で、今もお話にもありました緊急包括支援交付金の問題なんですけれども、地方の裁量を広く認め、自治体にとって使い勝手のいい制度にすべきであります。
 例えば、埼玉県は、コロナ対応の病床確保のため、入院患者の受入れに対する協力金、患者一人当たり二十五万円を医療機関に支給する計画を立てましたが、厚労省からだめだと言われたとお聞きしました。診療報酬で手当てしているので交付金の対象にならないということですが、埼玉県は医療資源が非常に少ない県でもあります。医療機関へのインセンティブとして、県によるこのような独自の支援策を認めるべきではありませんか。
○吉永政府参考人 お答え申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金につきましては、第一次補正予算で創設したものでございますが、これは、医療提供体制の整備などにつきまして、さまざまな事業をメニューとしてお示しした上で、都道府県が地域の実情に応じて柔軟かつ機動的に取組を進めていただくという趣旨で設けたものでございます。
 さらに、今般、第二次補正予算案についてお願いしてございますけれども、事態の長期化や次なる流行の波に対応するために交付金を抜本的に拡充を行うということと、新たに事業を追加するとともに、全額国費により補助するというスキームでございます。
 また、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた医療機関への支援といたしましては、診療報酬におきまして、重症の新型コロナウイルス感染症患者に対する一定の診療への評価を三倍に引き上げるとか、あるいは、緊急包括支援交付金の新たなメニューといたしまして、新型コロナウイルス感染症患者対応のために重点医療機関として病床を整備した医療機関に対しまして、患者の適切な受入れ体制確保の観点から、先ほど申しましたような空床確保を補助するというような支援をかなり強化したところでございます。
 ただ、一方、メニューでお示しするという形になってございまして、御指摘のような埼玉県の中のお取組というものについては、現状においては対象にはなっていないわけでございますけれども、御指摘のような地域の実情に応じた取組が各自治体において必要と判断される場合につきましては、地域創生臨時交付金の活用も考えられるのではないかというふうに考えてございますので、そうしたメニューも活用しながら御検討いただければというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 地方創生臨時交付金は、そういう意味では、広く使われるという点でいえば、例えば国民の皆さんあるいは事業者の皆さんに対しての支援にも回すということで、医療機関だけというふうになりません。
 ですから、もともと緊急包括支援交付金が、医療機関に対して医療提供体制の整備というのであれば、お話しになったように柔軟かつ機動的にという交付金であれば、こういうところを使い勝手をよくするべきだと。そういう点でも、もっと工夫のできるような、そういう制度にすべきだということを申し上げておきます。
 西村大臣にお尋ねしますが、第二波に備えた病床確保のために、医療機関への財政措置が必要だと思います。次なる波である第二波に備えた病床確保の目標は、今検討中ということですけれども、検討中だというのに医療機関への財政措置が現状で大丈夫だとどうして言えるんでしょうか。
○西村国務大臣 既に申し上げました、これまでも答弁させていただいていますけれども、各都道府県において、現在、三万一千床を確保して、このうち一万八千床について、医療機関と調整を行った上で既に確保しているということであります。
 ただ、今後、患者さんの数が大変減っていますから、他の疾病の方々もしっかり手当てしていかなきゃいけませんので、いつまでも空床のままずっと確保しているというわけにもいかない。しかしながら、いざふえてきたときにはそれをコロナの患者さんに転用できるような、そうした調整の枠組みを各都道府県で今とっていただいているところであります。
 また、ホテルなど軽症の方の療養施設についても、今は二万室確保しておりますけれども、これが今後、患者さんの数が減る中で、経済活動が活発化していけば、当然、ホテルの方も他の用途への利用というものも出てくるわけでありまして、こうしたところを調整しながら、しかし、いざというときにしっかり、御指摘のような、重症の患者さんの命を守る、こういったことを含めて医療の現場の体制を整えていく、このために二次補正予算で今の包括支援交付金を二・二兆円積み増しているところでありまして、ぜひそうした形で、第二波が来た場合にも命をしっかりお守りできる体制を整えていきたいというふうに考えているところであります。
○塩川委員 ですから、第二波に備えてというのであれば、第二波に備えた病床確保の目標としている、提言で述べている、新たな患者数の再推計、これを踏まえた財政措置を考える必要がある。ただ、この新たな患者数の再推計というのは今検討中ということですから、その場合に本当に今の予算措置で大丈夫なのかと、そこを聞いているんですけれども。整備の目標もないのに、予算、財政措置、大丈夫だとどうして言えるんですか。
○西村国務大臣 まず、第二波は、今回経験したような大きな波にならないように、大きな流行にならないように、私どもとして、小さな流行で抑えていく、そのクラスター対策、そしてまた、今月中旬にはアプリも導入する予定になっております。そういったことを通じてしっかりと対応していきたいというふうに考えておりますし、万が一大きな波になった場合、あるいは、更に必要な状況が生じた場合には、今回予備費も十兆円積み増しているところでありますので、そういったものも活用しながら、医療体制をしっかりと提供し、お一人お一人の命もお守りしていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 必要な金額は、予備費じゃなくて、実際に詰めばいいんですよ。そういった予算措置こそ行うべきだと。
 第二波に備えた病床確保の目標が明確になっていない段階で、じゃ、ふさわしい予算措置と言えるのかということが問われているわけで、病床確保の目標を明確にして医療機関への財政措置を積み増すべきであります。
 また、医療機関全体が受診抑制にあります。こういった減収の医療機関に対する減収補填の措置もしっかりと行う、そういった予算についても、日本医師会などが、コロナ対応で一兆六千億必要、通常の医療機関の医療を継続するために二兆五千億円は必要だとしている。こういった地域医療を崩壊させないための必要な予算の確保を求めておきます。