【内閣委員】財政民主主義反する/2次補正に予備費10兆円

 政府が第2次補正予算案に10兆円もの予備費を計上している問題を取り上げ、財政民主主義に反する、と追及しました。

 政府は新型コロナウイルス対策として、第1次補正予算に予備費1・5兆円を計上し、第2次補正予算案で10兆円を積み増そうとしています。

 リーマン・ショック時の予備費は1兆円、東日本大震災の際も8000億円で、これほど巨額だったことはない。憲法83条は「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」と定めており、過去に例のない10兆円もの予備費を政府に白紙委任することなど認められない、と迫りました。

 菅義偉官房長官は「臨機応変に対応する必要がある。万全の備えだ」と正当化しました。

 私は、戦前、国の予算は国会に決定権がなく、政府が戦費調達のために国債を乱発し、国家財政と国民生活を破綻させた反省から、日本国憲法は財政全般への国会による民主的統制を要請していると強調しました。

 その上で、予備費での執行は、不透明な支出があっても国会の事前チェックが働かない。国民・野党に追及される国会は開きたくないが、お金は好き勝手に使いたいという政権与党の都合だ。大規模な対策費が必要になれば、国会を召集し、補正予算を提出するべきだ。


衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

<第201通常国会 2020年6月3日 内閣委員会 16号>

○塩川委員 その上で、今のお話にも出ました予備費の問題であります。官房長官にお尋ねをいたします。
 第二次補正予算では、新型コロナウイルス感染症対策予備費を十兆円計上しています。
 憲法八十三条は、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と、財政処理についての国会の議決を規定しています。過去に例がないような十兆円もの予備費を政府に白紙委任するということは認められない。この点について大臣のお考えをお聞かせください。
○菅国務大臣 新型コロナウイルスについては、今後とも、感染状況などの変化に応じ臨機応変に対応する必要があるというふうに考えています。こうした新型コロナウイルスの状況を踏まえ、万全の備えとして十兆円を追加することといたしました。
 予備費については、予見しがたい予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて設けることができるものとされており、今後、予算委員会においてしっかり説明をさせていきたい、こういうふうに思います。
○塩川委員 そもそも予算の歴史をたどれば、戦前、国の予算については、国会の関与、協賛を定めるだけで、国会に決定権はなく、政府の判断で決めることができたわけです。その結果、戦費調達のために大量の国債を発行するなどして、国家財政と国民生活が破綻した。だからこそ、戦後の日本国憲法は、国民の代表機関たる国会が財政全般について民主的統制を行うことを要請するものとなったわけであります。十兆円もの予備費を政府に白紙委任することなどは認められません。
 官房長官にお尋ねしますが、この予備費十兆円の使い道について、コロナと名前がつけば何でもやれるということになりはしませんか。
○菅国務大臣 新型コロナウイルス感染症対策予備費については、予算総則において、新型コロナウイルス感染症に係る感染拡大防止策に要する経費など感染症に係る緊急を要する経費に限り使用することといたしております。
○塩川委員 これは、一次補正の一兆五千億円の予備費にも同じような予算総則がある、それをそのまま引き継ぐものだと思いますけれども、そういった予算措置の中に、今問題となっている、議論となっている持続化給付金の電通などへの委託問題などもあるわけです。不透明な税金の使い方が問われている事業が予備費で執行されても国会の事前チェックは働かないということもありますし、コロナ感染症の第二波に備えているときに、不急のゴー・トゥー・キャンペーンのような予算を予備費で積み上げることにもなりかねない。ゴー・トゥー・キャンペーンの事務費が三千億円もあるといった、不透明な支出が予備費で計上されても国会審議は省略をされてしまう、こういう扱いでいいのかということが問われているわけであります。
 結局、十兆円の予備費を計上するというのは、国民、野党に追及される場になる国会は開きたくない、一方で好き勝手にお金は使いたいという政権与党の都合を優先したものではありませんか。
○菅国務大臣 今、私申し上げましたように、この予備費については、予算総則において、新型コロナウイルス感染症に係る感染拡大防止策に要する経費など感染症に係る緊急を要する経費に限り使用しているものであり、この拡大防止、そこを徹底して措置をすることのできる、そして国民の皆さんに安心感を与えるものに当然これは使用させていただくことになると思いますけれども、これは、予算を正式に提出をさせていただいて、その委員会の中でしっかりと説明をさせていただきたいと思っております。
○塩川委員 いや、コロナ対応の予見しがたい予算の不足に充てる予備費というのは、既に一次補正で一兆五千億円も計上されているんですよ。
 過去、予備費、特定目的の予備費ですよね、経済危機対応ですとか震災、災害対応などを見ても、五千億円とか八千億円とか九千億円とか一兆円という規模なんですよ。そういう中で、この一次補正の一兆五千億円というのがそういう予備費の中では最も多い金額となっている。それに加えて、何で十兆円も積み上げなければいけないのか。全く理屈が通らない。
 改めて、国会を開きたくない、好き勝手にお金を使いたいという政府・与党の都合でしかない、こういった予算のあり方を見直す、このことを強く求め、十兆円の予備費はやめて、大規模な支出が必要となれば国会を召集し補正予算を提出すべきだということを申し上げて、質問を終わります。