【本会議】カジノ実施法案/衆院通過/自民、公明、維新が強行/「廃案しかない」と主張

 刑法が禁じる民間賭博場=カジノを解禁するカジノ実施法案が衆院本会議で、野党の反対を押し切って採決され、自民、公明、維新の賛成多数により可決し、参院に送付されました。日本共産党など5野党・1会派は反対しました。

 わたしは反対討論で、国民の圧倒的多数が法案に反対していると強調。内閣委員会で与党側が野党の審議継続の動議を無視し、定例日での質疑まで拒否して、わずか18時間の審議で採決した。法案内容を国民に知らせずに押し切ろうという政府・与党の姿勢は、議会制民主主義の蹂躙(じゅうりん)だ。

 カジノは民間企業が私的利益のために開設するもので、公益を目的に認められた公営競技とは全く違う。世界で最も深刻な日本のギャンブル依存症者をさらに増やすものだ。

 政府が「世界最高水準のカジノ規制」をいいながら、当初想定していたカジノ面積の上限規制を外したほか、公営ギャンブルやパチンコでは認められていない客への金の貸し付けをカジノ企業には認めている。さらに、カジノ規制のために新設される「カジノ管理委員会」が、経費負担も事務局もカジノ業者に依存するものだ。カジノ推進機関になりかねない。

 貸し付け解禁や面積拡大を要求してきたのが米国のカジノ企業だ。まさに米国カジノ企業による、カジノ企業のためのカジノ事業法案、廃案しかない。

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本会議での反対討論は以下の通り


 私は、日本共産党を代表してカジノ法案に対する反対討論を行います。

 討論に先立ち、昨日の大阪北部地震で亡くなられた方のご冥福を心からお祈りいたします。また被害に遭われた方々へのお見舞いを申し上げるものです。政府として、被災者救援と支援、災害復旧に全力を挙げることを要請するものです。

 第一に、カジノ法案に対して、国民の6、7割という圧倒的多数が反対しています。にもかかわらず、先週6月15日の内閣委員会で野党の審議継続を求める動議を一顧だにせず、自民、公明両党と維新の会で強行採決したことは断じて認められません。

 カジノ法案は、刑法で禁じられた賭博を合法化するものです。カジノは民間事業者が私的利益のために開設するものであり、公設、公営で公益を目的として認められた公営競技とはまったく違います。

 ギャンブル依存症や多重債務者が増加し、生活破たんや治安悪化も懸念されます。すでに公営競技やパチンコなど既存ギャンブルによる依存症の疑いのある人は320万人と、世界で最も深刻です。依存症者を新たに増やすカジノを国民が認めないのは当然であります。公明党の石井カジノ担当大臣も「カジノの弊害を心配する声が多い」と認めたのであります。

 しかも法案は、251条の条文で政省令事項は331項目にのぼっています。野党側が、国民の疑問にこたえるため、地方公聴会の実施など徹底審議を要求したのに対して、与党側は、委員会定例日にも質疑をおこなわず、審議拒否を繰り返したあげく、わずか18時間の審議で採決を強行したのであります。法案内容を国民に知らせずに押し切ろうという政府・与党の姿勢は議会制民主主義の蹂躙といわねばなりません。

 第二に、政府は、世界最高水準のカジノ規制だ、依存症対策だと言ってきました。

 ところが、当初想定していたカジノ面積の上限規制をも外し、世界最大規模のカジノ施設を作ろうとしています。きわめて重大です。

 カジノ企業やカジノ誘致を目指す自治体の試算を見ても、カジノのターゲットが日本国民であることは明らかです。IRの収益の8割は、カジノの儲けです。そもそも人のお金を巻き上げるだけの賭博に経済効果などありません。

 第三は、公営ギャンブルやパチンコでは認められていない、客への金の貸し付けをカジノ企業には認めることです。賭博の胴元が、客にどんどん金を貸すことができます。貸金業法では、貸付限度額は年収の三分の一と決まっているのに、カジノの貸し付けには適用されません。過剰貸し付けへの歯止めもなく、依存症や多重債務者の拡大につながることは必至です。

 第四に、カジノを規制するために新たに設置されるカジノ管理委員会の問題です。独立した規制機関だと言いながら、そのカジノ管理委員会の経費を負担するのは、規制されるはずのカジノ企業です。石井カジノ担当大臣は、カジノ管理委員会の事務局にはカジノの実態を知る人を採用することもある、とカジノ事業者がカジノ管理委員会に入ることを認めました。金も人もカジノ企業に依存するカジノ管理委員会は、カジノ推進機関になりかねません。

 最後に、このカジノ法案の背景にあるのは、アメリカのカジノ企業の要求です。昨年2月、安倍総理がトランプ大統領との初めての首脳会談を行った日の朝食会には、カジノ企業のトップ3人が出席していました。そのうち1人は、トランプ大統領の最大の支援者であります。安倍総理はその場で、日本におけるカジノ推進の取組を紹介しました。その後「カジノに貸付は不可欠だ」「カジノ面積をもっと広げろ」と要求してきたのは、米国カジノ企業でした。本法案は、まさに米国カジノ企業によるカジノ企業のためのカジノ事業法案であります。

 このようなカジノ法案は廃案にするしかありません。

 以上、反対討論を終わります。