【本会議】カジノ実施法案強行するな/内閣委員長解任決議案討論

 カジノ実施法案の衆院内閣委員会での採決強行を狙う与党に、日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党、社民党の野党5党1会派は結束して対抗しました。野党が提出した山際大志郎内閣委員長(自民)解任決議案は衆院本会議に上程され、与党と日本維新の会などの反対で否決されました。

 わたしは賛成討論で、山際氏が、公文書改ざん問題は「民主主義の根幹を揺るがす」と言いながら徹底究明に背を向け、政府与党の言いなりでTPP(環太平洋連携協定)11関連法案など悪法の成立に加担してきた。カジノ実施法案は、わずか18時間の審議の中で、カジノ事業者による客への資金貸し付けが依存症や多重債務者の拡大につながることや、カジノを規制する管理委員会の事務局にカジノ事業者が入ることなど重大な問題が明らかになった――と指摘。

 カジノ法案の背景にあるのは、日本国民をターゲットに狙う米国カジノ企業の要求だ。議会制民主主義を踏みにじる運営を続ける委員長の解任は当然だ。

 野党5党1会派はさらに、法案阻止のため、カジノ法案担当の石井啓一大臣の不信任決議案を提出。政府・与党は、15日の本会議で決議案を採決し、同日中に法案の委員会可決を狙っています。

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反対討論は、以下のとおり。


 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました山際大志郎内閣委員長解任決議案に賛成の討論を行います。

 賛成理由の第1は、カジノ法案の強行採決を図ろうとしているからであります。

 国民多数はカジノ解禁に反対です。それはギャンブル依存症や多重債務者が増加し、生活破たんや治安悪化が懸念されるからです。「賭博で経済成長はおかしい」「人を不幸にして金儲けするな」が国民の声です。

 わずか十八時間余りの審議でも、法案の重大な問題点が明らかになってきました。

 一つは、公営ギャンブルやパチンコでは認められていない、客への金の貸し付けをカジノ事業者には認めることです。過剰貸し付けへの歯止めもなく、依存症や多重債務者の拡大につながることは必至です。

 二つは、当初、導入予定だったカジノ施設面積の上限規制を取り払ったことです。世界最高水準の規制だ、依存症対策だと言いながら、与党協議の中でいつの間にか、外してしまいました。

 三つは、カジノを規制するカジノ管理委員会の問題です。カジノ管理委員会の経費は、カジノ事業者が払います。石井啓一カジノ担当大臣は「カジノ管理委員会の事務局にはカジノの実態を知る人を任用することもある」とカジノ事業者が事務局に入ることを認めました。金も人もカジノ事業者に依存するカジノ管理委員会は、カジノ推進機関になりかねません。

 このカジノ法案の背景にあるのは、日本国民をターゲットと狙う米国カジノ企業の要求です。

 昨年2月、安倍総理がトランプ大統領との初の首脳会談を行った日の朝食会には、米国カジノ企業のトップ3人が出席していました。そのうちの1人は、トランプ大統領の最大の支援者であります。安倍総理はその場で、カジノ推進の法律をつくったと紹介しました。まさにカジノ企業の要求に応えるものでした。

 このようなカジノ法案の採決強行を図ろうとする山際委員長の解任は当然であります。

 第2に、山際委員長の公文書改ざん問題への姿勢であります。

 森友学園との国有地取引に関する財務省の公文書改ざん事件は、「国会の国政調査権を冒涜し、国会と行政との信頼関係を損なっただけでなく、民主主義の根幹を揺るがし、国民の行政に対する信頼を著しく損なうものである。公文書管理を所管する委員長として、政府に対し、徹底した真相究明を行い、再発防止に向けた根本的な対策を講じることを強く要望する」と委員会において発言したのは誰だったか。山際委員長自身であります。

 しかし、実際に行ったことは何か。国会審議の前提を掘り崩す異常事態を放置し、自らの発言さえ覆して、真相究明に背を向け、悪法の成立を最優先してきたのであります。断じて認めることはできません。

 第3に、そもそも山際委員長の内閣委員会の運営は、与野党の合意にもとづく公正円満な運営をことごとく踏みにじり、政府・与党のいいなりで、数々の政府提出の重要法案の採決を強行する、異常極まるものであります。

 今国会、冒頭の大臣所信質疑から職権で委員会を強行したことにはじまり、子ども子育て法案では、野党5会派 に一度も質問させないまま、与党質疑3時間のみで採決を強行したのであります。このとき、野党の厳しい批判の前に、山際委員長は「全会派参加の下での充実した審議の機会が妨げられたことは誠に遺憾」と、その誤りを認めました。

 ところが、その後もPFI法案で野党ぬきの審議を強行し、さらに日本経済と国民生活に大打撃を与えるTPP関連法案では、わずか十七時間の質疑で強行採決したのであります。

 悪法の成立に加担し、議会制民主主義を踏みにじって恥じない山際委員長が、もはやその職責を果たし得ないことは明白であります。

 以上、山際委員長解任決議に賛成の討論をおわります。