【内閣委員会】学術会議法/こっそりと解釈変更/「違法な政治介入だ」と批判

 菅義偉首相が日本学術会議の会員候補6人を任命拒否した根拠としている2018年に学術会議事務局が作成したとされる「推薦の通り任命しなければならないわけではない」との文書について、学術会議法の重大な解釈変更をこっそり行ったことは許されないと追及しました。

 私は、この文書が当時の山極寿一会長に知らされなかった経緯を追及。

 学術会議の福井仁史事務局長は、文書は「これまでの解釈を確認しただけのもの」として、会長に見せる必要はないと判断したと述べました。

 私が、山極前会長は、政府が言う『これまでの解釈』を知っていたのか、と追及したのに対し、福井氏はまともに答えられませんでした。

 会員を選考し推薦するのは学術会議であり、会長や会員が知らなかったのは問題だ。事務局だけが知っていればよいと言う話ではない。

 さらに、この法解釈を示す文書は18年以前には一切なく、推薦のあり方を変える文書を会長に知らせずに事務局が作成することは考えられない。同文書の作成前に官邸とのやりとりがあったかを追及したのに対し、福井氏は「事実関係は承知していない。確認する」と述べ、官邸とのやりとりを否定しませんでした。

 また、菅首相が推薦前の調整が働かなかった結果、任命に至らなかった人が生じたと述べ、調整とは任命の考え方の「すり合わせ」だと答弁した問題で、私は、学術会議法にはすり合わせを行うとの規定はないと強調し、違法な政治介入そのものだと批判。

 任命拒否を撤回し、直ちに6人を任命せよと主張しました。

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「議事録」

<第203通常国会 2020年11月11日 内閣委員会 2号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、学術会議の会員候補任命拒否問題について質問をいたします。
 十一月五日の参議院予算委員会での菅総理の答弁について、まずお尋ねします。
 菅総理は、以前は、学術会議が正式の推薦名簿が提出される前に、さまざまな意見交換の中で内閣府の事務局などと学術会議の会長との間で一定の調整が行われていたと承知しています、一方、今回の任命に当たっては、そうした推薦前の調整が働かず、結果として学術会議から推薦された者の中に任命に至らなかった者が生じたということですと答弁をしました。
 この内閣府の事務局などと学術会議の会長との間で一定の調整が行われていたというんですけれども、この内閣府の事務局などというのは、誰を指しているんでしょうか。
○大塚政府参考人 お答えを申し上げます。
 日本学術会議から推薦名簿が提出される前にさまざまな意見交換が学術会議の会長との間で行われており、そうした意見交換が日本学術会議の事務局を介して行われることもあったことから、そのような趣旨で総理は答弁されたものと認識をしております。
○塩川委員 学術会議の事務局を介してということですから、それで、誰が行ったかという点でいえば、それは、総理大臣、官房長官、そういう人も含んでいるということですね。
○大塚政府参考人 総理も、これまた、これまで日本学術会議から推薦名簿が提出される前にさまざまな意見交換が日本学術会議の会長との間で行われ、そのような意見交換を通じて、任命に当たっての考えがすり合わされたと答弁されているところでございます。
○塩川委員 いや、その内閣府の事務局などの、などに、総理とか官房長官とか副長官とかは入っているんですね。
○大塚政府参考人 学術会議の事務局を介することもあれば、介さないこともあった趣旨だろうということで、などというふうな答弁がされたものというふうに認識をしております。
○塩川委員 いや、内閣府の事務局などというのは、内閣府の事務局がそもそもどこで、それ以外のところも含む言い方じゃないですか。
○大塚政府参考人 したがいまして、事務局を介することもあれば、介さずに会長が直接というふうなことで申し上げたものと理解をしております。
○塩川委員 それは、だから、副長官とかも入っているということですね。
○大塚政府参考人 副長官のお名前につきましても、既に総理が答弁の中で紹介をされたと記憶をしてございます。
○塩川委員 そうしますと、副長官を含む内閣府事務局等と、要するに官邸サイドと会長との間でという話になります。
 加藤官房長官にお尋ねします。
 この総理の答弁で、今回の任命に当たっては、そうした推薦前の調整が働かず、結果として学術会議から推薦された者の中に任命に至らなかった者が生じたと言いますけれども、推薦前の調整が働かないと任命に至らなかった者が生じるというのはどういう理屈なんでしょうか。
○加藤国務大臣 総理の参議院予算委員会の答弁で、これまで、日本学術会議から推薦名簿が提出される前にさまざまな意見交換が日本学術会議の会長との間で行われ、そのような意見交換を通じて任命に当たっての考え方がすり合わせられたことについて、これは一定の調整という言葉を使っておられたと思いますが、その上で、今回の改選に当たっては、これまでと同様に、推薦名簿が提出する前に意見交換が行われたものの、その中で任命の考え方のすり合わせまでには至らなかった、そのことを答弁されたものだというふうに思います。
○塩川委員 そうしますと、今回の任命に当たっては、そうした推薦前の調整、つまり、任命の考え方についてのすり合わせが働かなかった、結果として学術会議から推薦された者の中に任命に至らなかった者が生じたということは、この推薦前において任命に当たっての考え方についてのすり合わせを行えということが学術会議の推薦に当たっての条件として付したということになりますね。
○加藤国務大臣 いや、結果の話をされているのであって、すり合わせ云々というよりも、もともと日本学術会議は学術会議として推薦をするということが学術会議法上規定されていますから、それは日本学術会議が独自で実施されるもの、推薦そのものは学術会議が独自で実施されるものだということであります。
○塩川委員 ですから、そもそも、すり合わせ、一定の考え方についてのすり合わせを行うということを求めたことなのに、それが調わなかった結果として、学術会議、推薦できなかったということですから、学術会議の推薦に当たって、こういう一定のすり合わせということが条件となっているということがはっきりしているじゃありませんか。
○加藤国務大臣 いやいや、そうした一連のすり合わせを含めた意見交換を踏まえて、日本学術会議は具体的な推薦が最終的になされていくわけでありますから、別にこれが日本学術会議の推薦権そのものに対して関与していくということではなく、政府としては、あくまでも、日本学術会議が推薦されたそのリストに基づいて任命を行っていくということであります。
○塩川委員 意見交換だったらわかりますけれども、すり合わせというのは、そういう形でまとめる、取りまとめる、調うということが条件になっているということですから、意見交換とそもそも違うわけです。
 そういう意味では、選考基準でこの間いろいろ注文をつけるだけではなくて、選考過程にも口を挟んでいるというのが今回の事態だということがその答弁でも見えてきたということであります。
 加藤官房長官、お尋ねしますけれども、日本学術会議法には、会員は学術会議の推薦に基づいて総理大臣が任命すると規定をしております。
 一九八三年の法改正時では、政府が行うのは形式的な任命にすぎません、また、実質的に総理大臣の任命で会員の任命を左右することは考えておりません、また、学会の方から推薦をしていただいた者は拒否しないと答弁をしております。
 任命に当たっての考え方についてのすり合わせを行うことなど、政府による何らの条件もついておりません。これら法律や国会答弁に反する違法な学術会議への政治介入そのものではありませんか。
○加藤国務大臣 あくまでも一連の流れを円滑に進めていくという観点から、さまざまな課題について意見交換が、学術会議会長、あるいは先ほど委員のお話があった内閣府の事務局等を通じて、介して行われてきているわけでありますので、これはあくまでも全体がスムーズに、円滑に進むという観点であり、基本的において、それぞれが有している、日本学術会議において推薦をするというそうした規定、あるいは内閣総理大臣が任命を行うという規定、これは、それぞれに基づいて、法律にのっとって適用させていただいているということでありますし、その考え方については、平成三十年、もう御承知のように、法制局に確認をしたそうした内容、これに基づいて行っているわけであります。
○塩川委員 選考基準だけでなく選考過程にも口を出すということがまさに一番の問題となっております。
 では、この総理答弁では、二〇一七年改選時の会長である大西隆さんがこの点を批判されて、首相の言う調整が名簿の変更を意味するのであれば、調整したという事実はありません、選考に関する協議ではないことを双方が承知していたと述べているわけで、一定の調整という、この任命に当たっての考え方のすり合わせなど、そもそも行われていない。大西元会長は、選考過程の事前説明を行っただけであって、任命に当たっての考え方のすり合わせを行っていないということを述べておられるわけですから、大西元会長にぜひ当委員会への出席を求めたいと思います、委員長。
○木原委員長 ただいまの要求につきましては、理事会で協議をいたします。
○塩川委員 架空の任命に当たっての考え方のすり合わせなるもので任命拒否の口実にするということは認められないということを申し上げておきます。
 次に、この二〇一八年の夏の会員補充に続いて、日本学術会議事務局作成の二〇一八年の文書が作成をされております。日本学術会議法第十七条による推薦と内閣総理大臣による会員の任命との関係についての文書であります。十一月十三日付の文書ですけれども、内閣法制局との相談期間が九月五日から十一月十五日となっています。会員補充に至らなかった夏の補充人事の直後から作業が始まっております。
 そこで、学術会議の事務局長にお尋ねをいたします。
 この文書は、誰が起案をして、誰が最終決裁をした文書なのでしょうか。
○福井政府参考人 お答えさせていただきます。
 当時の日本学術会議の事務局長が担当者を使って作成したものと承知しております。
○塩川委員 事務局長は、なぜこのような文書の作成を指示したんでしょうか。
○福井政府参考人 執務上、事務局として、従来からの法的整理を確認しておく必要があったということだと認識しております。
○塩川委員 このタイミングでやるという理由は何なんですか。
○福井政府参考人 平成二十九年に、いわゆる半数改選を行っております。それから約一年たって、そろそろ次の半数改選についていろいろなことを勉強していかなきゃいけない、それから、おっしゃいますとおり、当時、補欠推薦の関係があって、この関係でも考え方の整理をしておかなきゃいけないという状況だったと認識しております。
○塩川委員 ですから、二〇一八年夏の補欠推薦があった、その直後にこの文書を作成をしていたということで、当時の山極会長は、NHKのインタビューで、定年によって会員の補充が必要となったときに、学術会議側が検討していた候補の名前を伝えたところ、官邸から難色が示されたということを言っている。山極前会長は、学術会議で議論をし直す場合は理由が必要なので、理由を教えてください、そのために官邸に出向きますと杉田官房副長官に事務局を通じて何度も申し上げたが、来る必要はない、理由も言うつもりはないと、それ一辺倒なので非常に困りましたと述べておられますが、これはそういうことだったということですね。
○福井政府参考人 当時、山極当時の会長が官邸に赴きたいという話をしたということと、それからもう一方で、山極会長が官邸に行って杉田副長官と面会した事実はない、この二つは事実でございます。
○塩川委員 いや、官邸から難色が示された、そこはどうですか。
○福井政府参考人 当時の実務について、詳細は承知しておりません。
○塩川委員 二年前の話なんですけれども。
 それについての資料を確認して出してもらえませんか。
○福井政府参考人 二〇一八年の補欠推薦時の資料ということでございますか。(塩川委員「難色を示したというところです」と呼ぶ)
 そのこと自体は、事実として確認できるかどうかはちょっと私にはわかりませんけれども、私自身は、そのことはちょっとまだ承知しておりません。
○塩川委員 確認をして、今言ったように、難色を示したという部分も含めて、補充の人事について、補充に至らなかったという経緯の文書を出してもらえますか。
○福井政府参考人 それは確認させていただきます。
○塩川委員 事実関係を明らかにする上で、関係者であります杉田官房副長官そして山極前会長の当委員会への出席を要請したいと思いますが。
○木原委員長 理事会にて協議をいたします。
○塩川委員 こういった重大な内容を持つ二〇一八年の文書について、当時の学術会議トップの山極会長にそもそも相談していなかったのか。その点、確認します。
○福井政府参考人 内容については、口頭で御報告しているものと承知しております。
○塩川委員 御本人は、これまで説明を受けておらず、文書の存在すら知らされていなかったと述べているんですけれども、その点についてはどう受けとめているんですか。
○福井政府参考人 特に文書をお見せして説明したわけではないということではございますが、この文書自身は事務局の文書でございますので、会長にお見せしていなかったということだと思います。
○塩川委員 いや、こういったあり方で推薦をするんだという話は、過去、どこでも文書になっていないわけですよね。そういった、まさに今までの推薦のあり方を変えようという文書なんですよ。それについて、何でトップである会長に示さないんですか。
○福井政府参考人 この文書自体は、法令解釈を確認するための文書でございますので、この文書自体で御説明する必要がなかったということかと思っております。
○塩川委員 違うでしょう。だって、そもそも、今までやったことがないことをやるという話なんでしょう。そうですよね。
○福井政府参考人 これまでの解釈を確認しただけのものだと認識しております。
○塩川委員 じゃ、そういうこれまでの解釈ということを山極前会長は御承知だったんですか。
○福井政府参考人 解釈自体は事務局の方で行っているものでございます。
 山極会長が、山極会長御自身がこの推薦権と任命権についてはよく御承知だったと認識しております。
○塩川委員 学術会議法に基づく、学術会議の推薦に基づき総理が任命する、それは当然承知なわけで、その場合の選考基準についても承知をされて、まさに研究、業績に基づいてということで行うし、さらには、選考基準に加えて選考方針などというのも議論する中で、この間、推薦を行ってきているわけであります。
 そういったことについて、そうじゃないということをこの文書で言っているわけですから、そういったことが学術会議の会長がわかるようなものを何にも示さなかったんですか。文書で示すということはなぜしなかったんですか。
○福井政府参考人 繰り返しになりますけれども、文書は事務局の文書だからでございます。
○塩川委員 いや、だから、事務局の文書だと仮にしたとしても、その場合に、選ぶのは学術会議なんですから、学術会議の会長を始めとした、まさにそれぞれの選考委員会などを通じて議論を積み上げて行っているわけで、そういった考え方について会長が知らなかったらまずいでしょうが。そう思いませんか。
○福井政府参考人 事務局が法的な整理を確認したものでございますから、作成した文書そのものを会長に見せる必要はないと考えたものと承知しております。
○塩川委員 だって、会長は知らないんですから。そういった新しい、今まで過去の文書にもないようなことを二〇一八年の文書で確認したわけですから。それを、まさに学術会議である、会長を始めとしたメンバーが、具体的に推薦の基準として諮らなければいけないのに、そういったことについて何ら示されないまま議論して、事務局だけは持っていました、事務局だけは承知していましたという話にはならないんじゃないですか。
○福井政府参考人 もともと、事務局の方が会長や会員の方々からの問合せに対して回答するための備忘だったと思いますので、学術会議の方では、この考え方について説明をする必要はなかったということかと思っております。
○塩川委員 にわかに納得できないような話であります。学術会議トップの山極会長が知らされないまま、推薦と任命に関する文書を勝手に事務局が作成していたということですから、こんなことは看過できる話ではありません。
 こういった二〇一八年の文書の作成に当たって、内閣府の事務局や官邸と相談、打合せ、説明に行った、そういうことはありますか。
○福井政府参考人 作成過程に当たって、他の部局とこの内容について打合せを行った事実はないと承知しております。
○塩川委員 作成の前に、そういったことについて官邸や内閣府の事務局と相談したということもありませんか。
○福井政府参考人 ないと承知しております。
○塩川委員 二〇一七年の定例の半数改選の前ですとか、二〇一八年の補充の人事の前とか、そういった際に、その推薦のあり方について、選考の手続について、定員を上回る人を推薦する、そういったことについて、官邸の側あるいは内閣府の本府の方とやりとりということをしたということはないと言えるんですか。
○福井政府参考人 この文書の作成過程において特に御相談したことはございませんということを申し上げました。
○塩川委員 いや、この文書のときはなかったかもしれません。それ以前にはあったんじゃないのと聞いているんですけれども。
○福井政府参考人 その事実関係は承知しておりません。
○塩川委員 報道ですけれども、官邸の方から、定員、それを上回るリストを出してくれという話があるということが出ているんですから、そういうことについて、相談、事前に指示、指摘がなかった、承知していないという事実関係について確認してもらいたいんですが、後で関連する資料などを出してもらえますか。
○福井政府参考人 それは確認させていただきます。
○塩川委員 ですから、この二〇一八年の文書を作成するに当たって、それ以前に官邸の方からその指示があったということを否定しなかった話でありますので、そういう事実関係についてしっかりとただしていきたいと思います。
 やはり学術会議法ではっきりとうたわれていること、また、八三年の法改正時にも、繰り返し、形式的な任命、推薦いただいた方は拒否しないと述べられているわけですから、まさにそういった選考基準、選考過程についてのルールそのものを乱暴に変更するといったやり方というのは断じて許されないということを申し上げておきたいと思います。
 それで、改めて確認ですけれども、この二〇一八年文書の以前に、このような、学術会議の推薦のとおりに総理大臣が任命しなければならないというわけではないといったことを記した文書というのはないということでよろしいですね。
○福井政府参考人 このこと自体を明確に記した文書はないと思っておりますけれども、一応、変更のない、従来からの解釈だと認識しております。
○塩川委員 文書はないということです。
 そういう意味では、学術会議法を見ても、八三年の法改正時の国会答弁を見ても、学術会議の推薦どおり総理大臣が任命するということはまさに自明のものであったわけであります。
 加えて、政府が作成した文書でも同様のことが記されているわけです。その点を確認したいと思いますが。
 一九八三年の法改正時に学術会議が作成をした想定問答集があります。また、同様に、総理府が作成をした想定問答集があります。
 まず、この学術会議事務局作成の想定問答集、その問いの四十七には何と書いてあるでしょうか。
○福井政府参考人 昭和五十八年九月のものかと思いますが、問いから読み上げた方がよろしいでしょうか。(塩川委員「はい」と呼ぶ)
 問いとして、内閣総理大臣による任命は、実質任命であるのか。これに対する答えとして整理しておりますのが、内閣総理大臣は、法律上、研究連絡委員会を同じくする登録学協会から指名された推薦人の推薦に基づいて会員を任命することとなっており、この任命は、形式的任命であると記述しております。
○塩川委員 形式的任命とはっきり書かれています。
 次に、一九八三年の法改正時の総理府作成の想定問答集の問い十には何と書いてありますか。
○福井政府参考人 昭和五十八年十月の想定問十というやつだと思いますが、総理の任命制は学術会議の独立性を損なうこととならないかという問いでございます。
 学術会議会員の選出方法を選挙制から推薦制に改めることに伴い、推薦された者を会員とするために内閣総理大臣による任命行為が必要となるわけであるが、この任命は、科学者による自主的な選出結果を尊重し、推薦された者をそのまま会員として任命するという形式的なものであって、国が学術会議の独立性を侵すようなものでは決してないと記述しております。
○塩川委員 推薦された者をそのまま会員として任命するという形式的なものというふうにはっきりと記されています。
 それから、学術会議法は二〇〇四年にも改正が行われております。そのときの総務省作成の日本学術会議法法案説明資料、その二十九ページに会員の推薦関係がありますが、事前にお示しをしています。該当箇所を読み上げていただきたい。
○福井政府参考人 先生に御指摘いただいた部分を読ませていただきます。
 具体的には、日本学術会議が、規則で定めるところにより、すぐれた研究又は業績がある科学者のうちから、会員の候補者を決定し、内閣総理大臣に推薦し、内閣総理大臣が、その推薦に基づき、会員を任命することになる。この際、日本学術会議から推薦された会員の候補者につき、内閣総理大臣が任命を拒否することは想定されていないと記述しております。
○塩川委員 内閣総理大臣が任命を拒否することは想定されていないということで、いずれも、学術会議の推薦に基づき総理大臣が行う任命は、そのまま会員として任命するという形式的なものであって、総理大臣が任命を拒否することは想定されておりません。
 二〇〇四年について、学術会議事務局に、学術会議事務局が作成をした想定問答があると話を聞いております。先週から資料提出を要求しておりますが、なぜ出せないんですか。
○福井政府参考人 済みません、現在確認中でございます。
○塩川委員 いや、確認中も何も、この行政文書ファイル管理簿の中に、日本学術会議の文書として、日本学術会議の一部を改正する法律案逐条解説、想定問答等とあるんですよ。ですから、文書があるということは当然認めておられるわけで、それをそのまま出してもらえばいいんですけれども、出してもらえますか。
○福井政府参考人 済みません、確認の上、対応させていただきます。
○塩川委員 いや、だって、もう先週から要求しているんですよ。だって、文書としてあるんだから。
 まさに今焦点となっている議論にかかわる重要な文書であって、一九八三年の想定問答集はもう出しているわけですよ。二〇〇四年の想定問答集だって、何で出さない理由があるんですか。確認中というか、文書はもう確認しているというか、文書はあると認めているんですから、直ちに出してもらいたいんですが、改めていかがですか。
○木原委員長 内閣府大塚大臣官房長。(塩川委員「関係ないでしょう」と呼ぶ)
 まず、大塚官房長から答弁させます。
○大塚政府参考人 官房の窓口としてお答えいたしますが、委員からのお求めは、先週の木曜日、金曜日にあったものと承知しておりますが、今お話にあった件以外にも多数いろいろな資料のお求めなりがあったと伺っておりまして、全体も含めて、今、我々は、できるだけ丁寧に、もちろん、できるだけ速やかにというふうに考えておりますが、鋭意確認中、作業中のものもございまして、したがいまして、先ほど福井事務局長のようなお答えになった次第でございます。
 また、いずれにいたしましても、確認ができ次第、提出をさせていただきたいと考えております。
○塩川委員 提出するというふうに今答弁がありました。
 であれば、想定問答集だけでも先に出してくださいよ。だって、別に墨を塗るような話じゃないじゃないですか。ほかの文書はいろいろあるのかもしれないけれども、想定問答集、八三年のをそれぞれ出しているのと同じように、想定問答集はすぐ出せますね。
○大塚政府参考人 必要な確認をいたしまして、確認ができ次第、対応させていただきたいと考えております。
○塩川委員 直ちに出していただきたい。
 官房長官に伺います。
 このように、学術会議の推薦のとおりに総理大臣が任命しなければならないということを示す文書ばかりが明らかになっているわけであります。政府の説明を示す過去の文書というのは出てこない。重大な解釈変更をこっそり行ったということは断じて許すことはできません。
 任命拒否を撤回をし、直ちに六人を任命すべきではありませんか。
○加藤国務大臣 まず、今回の、必ずしも推薦された方々を必ずそのまま任命しなければならないわけではないというこうした解釈、これは、政府から、政府が一貫した考え方であることを申し上げ、今御指摘の資料等々も踏まえて、法制局とも御相談をした中でこうした考え方を確認をしているところでありますし、また、先日の予算委員会だったと思いますけれども、法制局長官から、もともと、基づくというこの言葉を踏まえた説明があったと承知をしております。
 今、推薦に基づいて任命すべきではないかというお話がありましたけれども、今回の任命そのものについては、既に一連の手続は終了したというふうに私どもは考えております。
○塩川委員 その手続そのものを改めて、推薦どおり認めなさいということを求めたい。学問の自由や表現、言論の自由を侵害をする重大な問題であり、こういった違法行為は許されない。撤回をする、六人の任命を行う、このことを強く求めておきます。