【内閣委員会】ハローワーク体制/相談員常勤化はかれ

 ハローワークを支える相談員が不安定な非常勤職員となっている問題を追及しました。

 相談員は雇用保険手続き、就職支援、求人開拓などを担い、専門知識や心の悩みなどへのカウンセリング技術など高い専門性が求められます。膨大な求職ニーズに対応するため、この10年間で非常勤相談員が1万5千人を下回ったことはありません。

 私は、専門的恒常的な仕事である相談員の仕事は、常勤職員を充てるのが当然ではないか、と質問。

 厚生労働省の担当者は、重要な仕事と認めつつ、「仕事量は行政ニーズによって変化する。その対応のため非常勤職員を配置する」と答えました。

 1万5千人以上の規模で恒常的に存在する業務を臨時的な仕事と扱うことが問題だ。非常勤を常勤化すべきだ。

 この10年でハローワークの常勤職員も14%減となり、恒常的な仕事に見合う定員が措置されていないことが根本問題だ。定員削減を押し付ける定員合理化計画は撤回せよと迫りました。

 河野太郎公務員制度担当相は「定員合理化に取り組み、必要に応じて再配分する」と答えました。クリックで拡大し、拡大した画像右クリックで、保存できます

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「議事録」

<第203臨時国会 2020年11月13日 内閣委員会 3号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、ハローワークの非常勤職員の問題についてお尋ねをいたします。
 資料を配らせていただきました。ハローワークの常勤の職員の数、それから、非常勤の職員、内訳として、一般相談員、求人者支援員、求職者専門相談員とありますけれども、平成二十三年度以降、十年間の数字であります。
 常勤職員の方は、継続的に削減をされて、十年間で一四%減少しています。その一方で、非常勤職員の相談員の方は、リーマン・ショックとか、東日本大震災とか、今回のコロナ禍などへの対応で増員となることはありますが、一万五千人以上が恒常的に業務に当たっているという状況を見ていただけると思います。
 全労連公務部会が作成しました非正規公務員酷書を拝見しますと、非正規のハローワーク相談員の仕事を紹介しておられます。
 障害を持った方などの就業を助けるため、民間事業者や医療機関、支援センター、御家族の方などと幅広く連携して、チームで専門的な援助を行っています、求職者の障害の状況、これまでの経験や職業能力などを的確に把握して、求職者に求人情報を提供するだけでなく、求人企業に対して配慮を必要とする内容を直接説明し、就職後も継続的に電話や訪問で職場に適応できるよう支援を行っています、高度な知識、スキル、人脈などを必要とする専門的、恒常的な仕事で、毎日誇りを持って働いています、こういった方が非常勤に置かれている。
 人事院総裁にお尋ねします。
 このような専門的、恒常的な仕事であれば、これは常勤職員を充てるというのが当然ではないでしょうか。
○一宮政府特別補佐人 期間業務職員を始めとする非常勤職員は、臨時的又は短時間の業務に弾力的に対応するために任用されるものでございます。
 業務遂行に必要な人材確保をするに当たって、どのような勤務形態で職員を任用するかについては、業務の性質に応じて、業務遂行に責任を有する各府省において適切に判断されるべきものであると考えます。
○塩川委員 短時間でもなく臨時的でもないというのが、今のこのハローワークにおける非常勤職員の実態であります。このことを踏まえた対応こそ求められているところであります。
 コロナ禍で景気の悪化の影響もあり、窓口業務がふえております。ハローワークの窓口業務の方の現場のお話を聞きました。
 相談業務は時間がかかるもの、新しく来た人に対する求職登録だけでも二十分はかかる。それに、就職支援の相談で四十分、雇用保険申請で更に時間がかかる。少しでも早く雇用保険を受け取りたいということで窓口に来る人は多い。また、窓口ならば、雇用保険の申請だけでなく、就職支援など、さまざまなことが相談できる。経済的にも精神的にも大変な状況の相談者が多いので、窓口業務は欠かせない。窓口の一般相談員の方も、このように、相談者の立場に立って、専門的な知見などを踏まえた丁寧な対応をされておられます。
 厚労省にお聞きします。
 このような非常勤職員が担っている専門的、恒常的業務であるハローワークの相談員の仕事というのは、まさに必要不可欠な仕事ではないでしょうか。
○志村政府参考人 お尋ねの職業相談、職業紹介や求人開拓の仕事は、いずれもハローワークの重要な仕事と考えております。その仕事量は、景気動向や雇用情勢の変化による行政ニーズの変化等に左右されるものでございます。そうした仕事量の変動に機動的かつ的確に対応できるよう、常勤職員と非常勤職員との適切な役割分担のもと、適材適所に職員を配置することにより、必要な業務を遂行できる体制づくりをしているところでございます。
 非常勤職員に関しましては、その職務内容や人数は年度によって変わってくるものでございますが、引き続き必要な執行体制の確保に努めることとしております。
○塩川委員 このような、景気動向など、行政需要に対応してというので、年度ごとに対応ということですけれども、この表を見てもらってわかるように、もちろん、景気動向に応じて、先ほど説明したように、リーマン・ショックのときとか、あるいは東日本大震災、こういうときには確かにふえている。また、今、コロナ禍で、雇用調整助成金等々、休業支援金等の支援でも、まさにハローワークの方々が本当に苦労しておられる。しかし、そういう時期でなくても、一万五千人という人数が常時、恒常的に専門的な仕事に当たっているわけであります。
 こういった専門的、恒常的な業務が一万五千人以上の規模で存在しているにもかかわらず、常勤職員を継続的に削減するというのはそもそもおかしい。常勤職員の削減をやめて、必要不可欠な仕事をしている非常勤の職員の常勤化こそ図るべきではありませんか。
○志村政府参考人 国民の勤労権保障のため、雇用のセーフティーネットを提供し、労働行政の多様な課題に的確に対応できるよう、第一線であるハローワークの執行体制の確保が必要と認識しているところでございます。
 このため、雇用情勢の変化による行政ニーズ等に的確に対応できるよう、常勤職員と非常勤職員との適切な役割分担のもと、効率的かつ専門的な執行体制の確保に努めてきたところでございます。
 今後とも、求められる行政課題に対応できるよう、行財政改革の趣旨も踏まえつつ、必要な執行体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
○塩川委員 答えていないんですよ。
 そもそも、一万五千人の人が恒常的に存在しているわけです。専門的、恒常的な業務に当たっているんだから、そういう方々の仕事を確保するためにも、常勤職員の削減をやめて、非常勤の常勤化こそ図るべきじゃないのか。そこをもう一回。
○志村政府参考人 必要な執行体制の確保に努めるということで、いろいろ工夫してまいらなくちゃいけないということで、まさに常勤職員ですと、処分に係る業務とか失業認定とか、実質的な仕事であり、ただ、非常勤職員の方々でも、一般的な職業相談というのはやはりそれなりに業務量があるわけでございますので、そういったようなことの中で、各ハローワークにおいて、適切なミックスというか、人材の適切な配分に基づいて、しっかり執行体制の確保に努めているという状況でございます。
○塩川委員 ハローワークにおける必要不可欠な仕事なんですよ。そういうのを、非常勤という身分のままで臨時的な扱いであるかのようにやっていること自身が問題だと。
 河野大臣にお尋ねいたします。
 常勤職員が継続的に減らされているというのは、この間の定員合理化計画があります。恒常的な仕事に見合う定員がそもそも措置をされていないということであって、こういった定員を削減する定員合理化計画そのものを撤回すべきではありませんか。
○河野国務大臣 国家公務員の業務は非常に多岐な分野にわたっているわけでございますが、社会経済情勢の変化に伴い、それぞれの行政に対するニーズやその業務量も当然変化いたします。
 このため、いずれの分野であっても、一旦定員合理化に取り組んでいただいた上で、それを原資として、その時々の行政需要に対応できるよう、定員を再配分する必要があるわけでございます。
 全体の定員配置については、業務の効率化も進めながら、必要なところにしっかりと定員が配置されるよう、現場の実情や政策課題を的確に捉えて審査を行ってまいりたいと思います。
○塩川委員 業務量が変化するというんですけれども、そもそも、一万五千人の規模で足りないわけですよ。そういうところにこそ、しっかりと手当てをすべきだ。
 こういった、恒常的な業務に見合った定員を措置すべきという点で、それを妨げるような定員合理化計画はやめるべきですし、今、非常勤の方々が一番訴えておられるのが、不本意な雇いどめが起きている三年ごとの一律公募制度、これはもうきっぱりとやめて、経験と能力で更新の判断を行う、こういう対応を直ちに行うことを求めて、質問を終わります。