【内閣委員会】内閣法制局が答弁を訂正し、謝罪/任命拒否違法であることは変わらず

 日本学術会議会員の任命拒否をめぐる私の10月7日の同委員会での質問に対し、内閣法制局の木村陽一第1部長は「推薦に基づき全員を任命する」と記された文書があるとした自身の答弁について、「全員」は「会員」を読み間違えたものだと訂正し、謝罪しました。

 私は、答弁の誤りについて、同委員会で訂正もしないうちに加藤勝信官房長官が記者会見で誤りと釈明するなど、委員会の審議をあまりに軽んじるものだ、と批判しました。

 その上で、内閣法制局が「読み間違え」た1983年の学術会議法改定案に関する想定問答集には、「推薦に基づいて会員を任命することとなっており、形式的任命である」とあると指摘。これは「学会から推薦されたものは拒否しない」などの当時の政府答弁を裏書きするもので、菅首相による任命拒否が違法であることを重ねて示すものだ。

 さらに、「推薦通りに任命しなければならないわけではない」との法解釈を示す文書は、政府が任命拒否の根拠としている学術会議事務局作成とされる2018年の文書だけで、「推薦に基づき全員を任命すると読んだのは、実態としては正確だった」と指摘しました。


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「議事録」

<第203臨時国会 2020年11月20日 内閣委員会 5号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今説明がありましたけれども、学術会議の推薦、それから総理の任命、この関係がまさに焦点となっているときに、答弁間違いと言い出すというのはもう言語道断のことであります。あの閉会中審査の審議において、まさに全員という文言で質問はその後も進んでいるわけで、その点についても、あの質問は何だったんだ、こういうことが問われてくる大問題であります。
 しかも、本委員会で何の訂正も行われないうちに、官房長官が記者会見で、あれは間違いだった、資料の読み間違いだったと言った。さらには、翌日の参議院の内閣委員会の質疑の中で内閣法制局が資料を読み間違えたと答弁するなど、この委員会の審議を余りにも軽んじているのではありませんか。その点についての反省はどうか。
○木村政府参考人 御指摘の、答弁の誤りについての官房長官の御説明は、既に報道がなされております中で、記者の質問に対してなされたものでございます。また、参議院内閣委員会での説明は、同委員会における委員からの御質問に対しまして、当局としてその経緯を説明したものでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、塩川先生を始め本委員会の諸先生方に対しまして大変な御迷惑をおかけすることになったことにつきまして、改めて深くおわびを申し上げます。
 今後は、一層緊張感を持って答弁に当たりまして、このような御指摘をまた受けることのないよう、万全を期してまいりたいと存じます。
○塩川委員 まずはこの委員会できちんと釈明をするということこそ必要だったわけで、その点での政府側の対応を厳しく指摘をするものであります。こういったことはもう決してないということを強く求めておくものであります。
 この内閣法制局が作成をした一九八三年の日本学術会議法改正案に対する法律案審議録、その中に、推薦人の推薦に基づいて会員を任命することになっており、この任命は形式的任命であるとある。それはそのとおりであります。この想定問答は、一九八三年の法改正時の中曽根総理による、政府が行うのは形式的な任命にすぎません、また、政府委員の、実質的に総理大臣の任命で会員の任命を左右することは考えておりません、また、丹羽総務長官の、学会の方から推薦をしていただいた者は拒否しないという答弁を裏書きするものであり、六人の任命拒否が違法行為だということを示すものであります。
 政府の言う、任命権者たる内閣総理大臣が推薦のとおりに任命しなければならないというわけではない、この主張を裏づける過去の発言、資料はないことを政府も認めております。結果として、推薦に基づいて全員を任命すると読んだのは、まさに正確だったということも実態としては指摘をせざるを得ません。
 そこで、唯一政府が根拠としている、学術会議事務局作成の二〇一八年文書についてお尋ねをします。
 前回も紹介をしましたが、NHK報道によりますと、二〇一八年当時、山極会長は、定年によって会員の補充が必要となったときに、学術会議側が検討していた候補の名前を伝えたところ、官邸から難色が示された。山極前会長は、学術会議が議論をし直す場合は理由が必要なので、理由を教えてください、そのために官邸に出向きますと杉田官房副長官に事務局を通じて何度も申し上げたが、来る必要はない、理由も言うつもりはないと、それ一辺倒なので非常に困りましたと述べておりました。
 そこで、学術会議事務局にお尋ねします。
 福井事務局長は、先日の質疑で、この二〇一八年文書作成の経緯として、当時、補欠推薦の関係があって、考え方の整理をしておかなければならない状況だったと答弁をしています。二〇一八年の補欠推薦時に、どんなことがあったから考え方の整理が必要になったんですか。
○福井政府参考人 お答えさせていただきます。
 人事に関することでございますので、なかなか詳細についてはお答えできないところもございますが、平成二十九年の半数改選の後、平成三十年十月の総会までの間に、学術会議の方では、定年によりまして会員に三人の欠員が生じることとなりました。その後任となる会員を選考、任命することが必要な状態でございました。円滑な任命手続のため、当時の会長が私ども日本学術会議事務局を通じまして任命権者側と意見交換を行ったところ、考え方がすり合わせまでに至らず、結果として、一人の方の補欠候補者に関しまして、平成三十年十月の総会への承認提案を行わずに欠員となったという経緯があったと承知しております。
 このような状況のもとで、その後の推薦作業のため、推薦と任命の関係の法的整理を行っていた中でそういうことになったのかと理解しております。
○塩川委員 任命権者側と意見交換した、その中身を示してもらえますか。
○福井政府参考人 申しわけございません。人事に関することでございますので、詳細についてはお答えを差し控えさせていただきます。
○塩川委員 それでは誰も納得しません。
 福井事務局長は、山極会長が官邸に赴きたいという話をしたのは事実ですと答弁をしておりました。山極会長はなぜ官邸に行こうと思ったんですか。
○福井政府参考人 先ほどの繰り返しの部分もございますけれども、平成二十九年の半数改選の後、平成三十年十月の総会までの間に、定年により三人の欠員が生じることとなりました。その後任となる会員を選考、任命することが必要となったという状況で、円滑な任命手続のため、当時の会長が私ども事務局を通じて任命権者側と意見交換を行ったところ、考え方がすり合わせまでに至らなかった、そして、結果として、一人の方の補欠候補者に関しまして、三十年十月の総会への承認提案を行わず欠員となったという状況下で、任命権者側、関係者側と面会しようとお考えになったものと考えております。
○塩川委員 このすり合わせの中身は何ですか。
○福井政府参考人 人事に関することでございますので、詳細についてお答えをすることは差し控えさせていただきます。
○塩川委員 これでは話が進まないわけですが、この任命権者側と意見交換したという、任命権者側というのは、杉田官房副長官でよろしいですか。
○福井政府参考人 任命権者側ということでございます。
○塩川委員 ですから、誰ですか。
○福井政府参考人 詳細についてお答えをすることは差し控えさせていただきます。
○塩川委員 杉田官房副長官が補欠推薦の会員候補について難色を示したということなんじゃないですか。
○福井政府参考人 人事に関することでございますので、詳細についてお答えをすることは差し控えさせてください。
○塩川委員 個別の人事じゃなくて、ルールの話を聞いているんですよ。選考手順の話、任命の手順の話。それも答えられないですというのは、まともな議論ができないのは当たり前じゃないですか。こういうことを繰り返しているということでは、国民の信頼を得ることができない。この点でも、真相究明のために、ぜひ当委員会でもさらなる審議を求めたいと思いますし、杉田官房副長官の出席を求めるものです。
 この二〇一八年文書は……
○木原委員長 塩川委員に申し上げます。
 申合せの時間が来ておりますので、よろしくお願いいたします。
○塩川委員 官邸から補欠推薦の会員候補について難色を示されたのを受けて、官邸の要求に沿って、山極会長も知らないところで事務局が作成をした、まさに創作した文書そのものです。勝手な解釈変更は認められない。学術会議の独立性、学問の自由を侵害する任命拒否を撤回をし、六人を任命する、このことを強く求めて質問を終わります。