【内閣委員会】デジタル庁/多数の民間企業在籍の非常勤を登用/官民癒着の疑念

 デジタル庁に多数の民間企業在籍者が非常勤職員として勤務するのは官民癒着を生むと追及しました。

 私は、デジタル庁の母体である内閣官房IT総合戦略室に、民間企業に在籍したまま非常勤職員として勤務している職員数を質問。

 政府は、「LINE」社、ヤフー、ソフトバンク、NEC、富士通、日立、NTTデータなど、大手IT企業社員を含め100人程度在籍していると明らかにし、さらに非常勤職員は「兼業」も「出身企業からの給与補てん」も受けられることを認めました。

 菅義偉総理大臣が「疑念が生じないよう入札のルールを作っている」と答弁したのに対し私は、IT室は政府のデジタル政策を作る司令塔だと指摘、入札の問題ではない。企業に都合のよいルールが作られるのではないかと批判しました。

 菅総理は答弁に立てず、平井卓也デジタル改革担当相は、ベンダーとして大型案件に関わった経験は重要だと答え、政府方針の作成に一人の職員が関わることで方針が変わることは基本的にはないと正当化しました。

 私は、官民人事交流法では民間企業の職員が国の機関で働く時は「公務の公正性確保」のため企業からの給与補てんを禁じていることや、カジノ管理委員会事務局で「国民の疑念を払しょく」するためカジノ関係事業者出身の非常勤職員を常勤化したと指摘。デジタル庁では勧告権や予算の一括計上と予算配分などIT室より一層権限が強化されるのに、100人以上の民間企業出身者を非常勤職員として登用しようとしている。官民癒着の批判は免れないと強調しました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年3月31日 内閣委員会 13号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 デジタル関連法案について菅総理に質問いたします。
 午前中でも質疑をしてきたところですけれども、デジタル庁の創設に当たって、その母体の一つとなるのがIT総合戦略室であります。このIT室には百人以上の民間企業出身者がおり、その多くが、民間企業に在籍をしたまま、非常勤国家公務員として勤務をしております。
 人事院所管の官民人事交流法では、民間企業に籍を置いたまま国の機関で働くときは、出身元企業で働くことや給与の補填を禁じております。その理由は、公務の公正性を確保するためであります。
 しかし、このIT室の民間企業から出向している非常勤職員は、在籍企業からの給与の補填を禁じられておりません。これでは、データの利活用でもうける企業に都合のよいルールや予算執行が行われるのではないかといった、公務の公正性の確保に疑念が生ずるのではありませんか。
○菅内閣総理大臣 民間人材の活用に当たっては、公務の公正性に疑念を抱かれることがないよう十分注意することが必要だというふうに思っています。
 このため、IT総合戦略室では、非常勤職員が過去二年間属していた事業者について、当該非常勤職員が関係する調達案件には入札できない、こうしたルールを設けることで、公務の公正性が損なわれることがないよう運用している、そのように承知をしています。
○塩川委員 入札制限のお話がありましたけれども、しかし、このIT室というのは、まさに政府全体のIT政策、デジタル政策についての司令塔として企画立案、総合調整を行います。つまり、様々なデジタルについてのルールをつくるところなんです。だから、入札の話ももちろんあるんだけれども、それをおいておいても、そもそも、デジタル政策に関わるIT室に、民間企業出身者の人が民間企業に在籍をしたまま仕事をしていたら、これは公務の公正性に疑念が生ずるんじゃありませんか。
○菅内閣総理大臣 今申し上げましたように、疑念が生じないように、入札できないルールをつくって対応しているということです。
○塩川委員 入札の話をしているわけではありません。まさに、デジタル政策をつくるという、企画立案、総合調整、それに関わるこのIT室に民間企業出身者がいるとなれば、まさにそのルールにおいて、民間企業に都合のいいルールをつくることになるんじゃないのか、その点の歯止めは何かあるんですかとお聞きしているんです。
○平井国務大臣 優れた専門性を持っている人材が、常勤、非常勤、兼業、副業といった多様な働き方を通じて様々な形で社会全体のデジタル化の推進に関わっていくような環境を用意することが非常に重要だと思っています。
 このため、常勤、非常勤といった雇用形態や働き方については、募集職種の職務内容や個人の働き方のニーズ等も踏まえて、多様な選択肢を柔軟に提供していきたいと考えています。
 そして、先ほど総理から説明がありましたとおり、入札には大変厳しいルールを適用しておりますし、これは、兼業した場合、まだ兼業を認めていない企業というのも多数あって、実は働きたいけれども働けないというケースもあります。そういう中で、兼業も認める企業との間で我々がうまく条件が折り合った場合には、そういうことで来ていただけるということになります。
 いずれにしましても、疑念を抱かれないようにするということは当然ですし、やはり国家公務員としての義務がいろいろかかってまいりますので、ある意味、これからそういう有為な能力を持っている方々に働いていただいて、疑念が生じないように更に我々は努力をしていきたい、そのように思います。
○塩川委員 今、平井大臣、もう午前中のやり取りもしたわけですけれども、兼業も認めるという話になるんですよね。
 そうしますと、官民人事交流法では、民間企業に在籍をしたまま官の方に来たときには、その出身元企業では働きません、出身元企業からは給与はもらいませんというルールなんです。それは、公務の公正性の確保のために行うわけなんですね。
 だけれども、非常勤の国家公務員だと民間企業からお金をもらっているわけですよ。そうなれば、非常勤の国家公務員、年収でいえば二百万とか三百万。それ以上に、圧倒的多数の部分が民間企業から給与をもらったら、これは、企画立案、総合調整というIT室において、出身元の企業に都合のいいルールに関わるといった疑念は晴れないんじゃないんですかと聞いているんです。そこのところを、総理、お答えいただけませんか。
○木原委員長 平井大臣。(塩川委員「総理、総理に」と呼ぶ)平井大臣の答弁に対する追加ですので。
○平井国務大臣 民間の非常勤職員を受け入れることで公務の公正性に疑念が抱かれることがないように十分留意することは当然必要です。
 民間から採用された職員についても、その採用方法にかかわらず、公正な職務の遂行、維持、職務専念義務の確保、公務の信用保持の観点から、守秘義務、信用失墜行為の禁止など、国家公務員法の服務に関する規定が適用されます。これはもう先ほどもお話しさせていただきました。
 総理からあったように、こうした規定に加えて、在籍又は過去二年間に属していた事業者については、当該非常勤職員が妥当性評価及び助言を行う調達案件には入札できない、政府情報システムの受注実績のある企業の出身者はその担当としないといったルールを設けて運用しているということであります。
 ですから、デジタル庁は、民間の人材を確保するにも、そういうことに配慮しているがために、実は簡単ではないということでございます。
○塩川委員 企画立案の問題なんですよね。
 ですから、総理、伺いますけれども、新たに発足するデジタル庁というのは、多くの非常勤の国家公務員が勤務することを前提にしております。民間企業の身分のままデジタル庁で働くということで、この企画立案、総合調整を担うデジタル関連予算を執行するデジタル庁に民間企業在籍者が多数勤務することになれば、官民癒着が問われることになりませんか。
○菅内閣総理大臣 デジタル庁には民間から百名規模の高度な専門人材を迎えて、国、地方、民間の人材が新しい発想でマネジメントを行い、成果を出してまいりたいと思っています。
 デジタル庁における民間人材の確保に当たっては、原則公募による採用を進めるとともに、公務の公平性に疑念を抱かれることがないように十分留意することが必要だというふうに認識しています。
 具体的には、委託などの手続に係るルールづくりについて透明性を確保する、民間企業と利害関係者が相反する際には職員を当該業務から隔離する、こうしたことを行った民間人材の活用により、公務の公正性が損なわれないようにしっかりと進めていきたい、こう思います。
○木原委員長 塩川君、申合せの時間が来ております。
○塩川委員 やはり、出向元の企業から給与を受け取っているということになれば、行政がゆがめられるという指摘は免れないということを申し上げて、質問を終わります。