【内閣委員会】デジタル関連5法案/反対討論/委員会で可決

 デジタル関連5法案が採決され、それぞれ自民・公明などの賛成多数で可決となりました。

 衆院本会議の採決は、来週6日が予定されています。

 反対討論の要旨は以下の通りです


 本案は、行政が個人情報を集積し、企業等に開放して利活用しやすい仕組みにしようというものです。行政が特定の目的のために集めた個人情報を「儲けのタネ」として利用し、成長戦略や企業の利益につなげようとするものです。

 反対理由の第一は、プライバシー侵害の問題です。

 個人情報保護法制の一元化で、自治体の個人情報保護条例に縛りをかけ、都道府県・政令市にオープンデータ化を義務化し、オンライン結合の禁止は認めないとしています。保護の仕組みを切り捨て、個人情報保護を求める住民に応えた自治体の独自策を掘り崩すものです。

 また、政府の「マイナポータル」を入り口に、さらに個人情報を集積しようとしており、情報連携に歯止めがないことが浮き彫りとなりました。

 デジタル庁がつくるガバメントクラウドは、システムの巨大化がさらなる下請けを生みだします。集積した情報は攻撃されやすく、一度漏れた情報は、取り返しがつきません。

 ガバメントクラウドへのデジタル庁からのアクセスについても、法的な根拠を示さず、設計は検討中だとして、まったく不透明なものです。

 今求められているのは、情報の自己コントロール権を保障する仕組みです。

 第二に、地方自治の侵害の問題です。

 現行の「自治体クラウド」でも、カスタマイズを認めないことが問題となっています。本案の「情報システムの共同化・集約の推進」によって、自治体は国がつくる鋳型に収まる範囲の施策しか行えないことになりかねません。

 また、強力な権限をもつデジタル庁は、国の省庁にとどまらず、自治体、準公共部門に対しても、予算配分やシステムの運用について口を挟むことができるようになります。監督権限を強化する個人情報保護委員会も、自治体の条例づくりにも口を挟めるようになっています。

 第三に、国民生活への影響についてです。

 本案では、個人の預貯金口座のマイナンバー紐づけなどを盛り込んでいます。もともと、経団連などの要望のままに導入されたマイナンバー制度は、消費税増税を前提にしたもので、国民の所得・資産・社会保障給付を把握し、国民への徴収強化と社会保障費の削減を進めるためのものです。マイナンバー制度は廃止すべきです。

 行政のデジタル化を口実に、窓口の減少、紙の手続きの廃止といった事例が、実際に起こっています。今必要なのは、住民の多面的な行政ニーズに応える対面サービスを拡充し、住民の選択肢を増やしていくことです。

 最後に、デジタル庁は、約500人のうち100人以上を民間出身の非常勤職員としています。企業に籍を置いたまま、給与補てんを受けて働くことになり、特定企業の利益を優先するような政策の推進や特定企業に都合のよいルール作り・予算執行など、さらに官民癒着が広がる恐れがあります。このようなデジタル庁は、必要ありません。


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