【議院運営委員会】法案誤り/相次いだ原因を指摘

 今国会への政府提出法案のうち、23法案1条約で計134カ所の条文・関係資料の誤りがあった前代未聞の事態。何が問題だったのか、原因は何か、政府の姿勢を追求しました。

 私は、今回の誤りが政府提出法案の4割、法案提出した府省庁の8割になるとして、特定省庁の問題ではなく政府全体の問題だと指摘。

 国民に権利義務を課す法律で誤りは許されない。ましてや罰則にかかる条文の誤りは決してあってはならないと述べ、感染症法の条文誤りが罰則の部分であったことを強調。

 誤りを直ちに国会・国民に報告しなかったとして、「国民の権利保障の点からも、議会制民主主義の観点からも、深刻な事態だ」と指摘しました。

 その上で、誤りが相次いだ原因について
1)効率化重視の民間手法が持ち込まれた
2)実務を担ってきた公務員が減り、公務員削減の負の影響が出てきた
3)菅政権が拙速に政策を推進した
4)大本に、公文書の改ざん・隠ぺい・虚偽答弁など、安倍政権以来の驕りがあり、官僚にも浸透した
―――と4点を指摘。

 加藤官房長官は、この指摘にまともに答えず「ミスが再び起こらない対策を講じたい」と述べました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年4月2日 議院運営委員会 22号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今回、二十三法案、一条約に誤りがありました。政府提出法案の四割に誤りがあり、法案提出府省庁中八割で誤りがあったことになります。特定省庁の問題ではなく、政府全体の問題であります。
 国民に権利義務を課す法律案に誤りは許されません。ましてや、罰則に係る条文の誤りは決してあってはならない。感染症法の条文誤りは罰則に係る部分であり、断じて許されません。その認識を伺います。
 また、国民に権利義務を課す法律だからこそ、制定に当たって国民の代表の機関である国会での慎重な審議、議決が求められます。法案、参考資料の誤りについては、直ちに国会、国民に報告することが必要であります。しかし、その報告を放置し、法案審議中の国会にも報告しなかったことは、国民の権利保障という点でも、議会制民主主義の観点からも、極めて深刻な事態だと言わざるを得ません。
 官房長官の認識を伺います。
○加藤国務大臣 今国会で御審議いただいた新型インフルエンザ特措法等改正法案のうち、感染症法の改正部分について、条文及び参考資料に誤りがあったところであります。特に、御指摘のあるように、国民の皆さんの権利義務に関わる罰則に係る条文に誤りがあったこと、そして、その誤りが担当者に認識された段階で速やかに国会及び国民の皆さんに報告がなされていなかったこと、これは大変重く受け止めているところであります。
 感染症法の誤りについては、三月の全省庁における今国会提出法案の総点検の中で、厚労省において、成立済みの新型インフル特措法の感染症法改正部分の法案提出時の条文に誤りを発見し、報告がなされたところであります。
 これを受け、一連の過程の確認を厚生労働省で行ったところ、条文の誤りについて、一月の法案の修正作業の土壇場のタイミングで、衆議院法制局の指摘で担当者の一部が認識をしていた、しかしながら、局内幹部に共有されるに至っていなかったということが明らかになりました。当該担当者は法案審議に向けた対応あるいは衆議院修正案への対応等行う中で局内幹部への報告に至らなかったと聞いておりますが、担当者の認識も甘く、報告するという意識が希薄だったのではないかという指摘、これは免れないと受け止めております。
 いずれにせよ、結果的に修正されているとはいえ、提出法案の条文に誤りがあったこと、そして、その誤りが担当者に認識された段階で、省内に認識の共有がなされず、速やかに報告等適切な対応がなされなかったこと、これはあってはならないというふうに考えており、こうした点も含めて、このプロジェクトチームにおいてしっかりと検討していき、万が一、誤り等が起きた場合にも、組織内で速やかに共有され、適切な対応が取れるなど、体制の整備も図っていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 なぜこのような誤りが相次いだのか。
 第一点、効率化重視の民間手法が行政に持ち込まれ、国民の権利義務に係る業務だという意識が公務員に希薄になったのではないか。行政のデジタル化も、間違ったら直せばいいといった、間違いを容認する安易な風潮を生じさせたのではないか。
 また、規範意識を保持し実務を担ってきた公務員が減ってきているのではないか。公務員削減の負の影響が出ているのではないか。
 また、デジタル関連法案やコロナ対策の特別措置法等、菅政権が拙速に政策を推進したことがこのような誤りの要因となっているのではないか。
 そして、大本には、公文書の改ざん、隠蔽、虚偽答弁といった安倍政権以来の政権のおごりがあり、それが官僚にも浸透した結果ではないのか。
 以上、この点についてお答えいただきたい。
○加藤国務大臣 行政におけるデジタル化等による業務の効率化でありますけれども、こうした効率化を図ることは、職員がその持てる力を十二分に発揮し、行政サービスの質の向上につなげ、国民生活の利便性を向上させるためにも重要であると考えているところであります。
 また、今回、誤りの原因として、先ほど申し上げた、人員体制、システムに関連する誤り、認識の問題等が指摘をされているところでありますが、職員間に規範意識の低下、おごりが生じているといったことによってこうしたミスが生じているということは承知をしておらず、担当職員においては真摯に職務に当たっているものと考えております。
 また、公務員削減の負の影響との御指摘でありますが、政府においても、一律に定員を削減しているものではなく、必要な部局には必要な体制整備を行っているところであります。
 御指摘のデジタル改革関連法案については、政府としても、喫緊の課題であるデジタル化についてもスピード感を持って対応するなど、いずれも社会的なニーズに的確に応えるべく、必要な法案を今国会に提出する準備を進めたものであり、拙速という認識は私どもは持っていないところであります。
 しかし、いずれにしても、今回こうした誤りがあったということ、これは真摯に受け止め、原因を究明し、そして、今後の、こうしたミスが再び起こらない、こうした対策をしっかりと講じていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 誤りが決して繰り返されないということを強く求めて、質問を終わります。