【本会議】デジタル法案衆院通過/共産党反対/個人情報を成長戦略に利用

 デジタル関連5法案が衆院本会議で、それぞれ自民、公明両党などの賛成多数で可決し、衆院を通過しました。日本共産党は全てに反対しました。

 私は反対討論で、行政が特定の目的のために集めた個人情報を『もうけのタネ』として利用し、成長戦略や企業の利益につなげようとするものだ、と批判しました。

 同法案は行政が個人情報を集積し、企業等に開放して「利活用」しやすい仕組みにするものです。

 今後、参院での審議となります。

 反対討論の要旨は、以下のとおりです。


 本案は、行政が個人情報を集積し、企業等に開放して「利活用」しやすい仕組みにしようというものです。行政が特定の目的のために集めた個人情報を「儲けのタネ」として利用し、成長戦略・企業の利益につなげようとするものです。

 反対理由の第一は、プライバシー侵害の問題です。

 本案は、個人情報保護法制の一元化で、自治体の個人情報保護条例に縛りをかけ、都道府県・政令市にオープンデータ化(匿名加工制度)を義務化し、オンライン結合(情報連携)の禁止は認めないとしています。保護の仕組みを切り捨て、個人情報保護を求める住民に応えた自治体の独自策を掘り崩すものです。

 また、政府の「マイナポータル」を入り口に、さらに個人情報を集積しようとしており、情報連携に歯止めがないことが浮き彫りとなりました。

 本案は、マイナポータル利用に必要なマイナンバーカードを、スマホに搭載可能とするなど「利便性」を強調していますが、健康保険証のマイナンバーカード利用を半年先送りしたことをみても、個人情報漏えいの懸念はぬぐえません。

 デジタル庁が整備し、統括・監理する全国的なクラウドの仕組み(ガバメントクラウド)も、システムの巨大化がさらなる下請けを生みだします。集積した情報は攻撃されやすく、一度漏れた情報は、取り返しがつきません。

 ガバメントクラウドへのデジタル庁からのアクセスについても、法的な根拠を示さず、設計は検討中だとして、まったく不透明なものです。

 この間、個人情報保護法をデータ利活用法に改悪してきたがゆえに生じた問題が、LINE社の問題としてあらわになっています。個人情報は個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきであり、プライバシー権は憲法が保障する基本的人権です。今求められているのは、情報の自己コントロール権を保障する仕組みです。

 第二に、地方自治の侵害の問題です。

 現行の「自治体クラウド」でも、カスタマイズ(仕様変更)を認めないことが問題となっています。本案の「情報システムの共同化・集約の推進」によって、自治体は国がつくる鋳型に収まる範囲の施策しか行えないことになりかねません。

 また、強力な権限をもつデジタル庁は、国の省庁にとどまらず、自治体、準公共部門に対しても、重点計画、整備方針の策定、予算配分や勧告権を使って、口を挟むことができるようになります。監督権限を強化する個人情報保護委員会も、自治体の条例づくりに口を挟めるようになっています。

 第三に、国民生活への影響についてです。

 本案では、個人の預貯金口座のマイナンバー紐づけなどを盛り込んでいます。もともと、経団連などの要望のままに導入されたマイナンバー制度は、消費税増税を前提にしたもので、国民の所得・資産・社会保障給付を把握し、国民への徴収強化と社会保障費の削減を進めるためのものです。マイナンバー制度は廃止すべきです。

 行政のデジタル化を口実に、窓口の減少、紙の手続の廃止といった、対面サービスを後退させる事例が、相次いでいます。迅速簡便なデジタル手続きを生かすとともに、住民の多面的な行政ニーズに応える対面サービス・相談業務を拡充し、住民の選択肢を増やしてこそ利便性の向上につながります。

 最後に、官民癒着の問題です。

 デジタル庁は、約500人のうち100人以上を民間出身の非常勤職員としています。企業に籍を置いたまま、給与補てんを受けて働くことになり、特定企業に都合のよい政策の推進やルール作り、予算執行など、官民癒着がさらに拡大する恐れがあります。官邸と財界などの意向をスピーディーにストレートに反映させる組織であるデジタル庁は、必要ありません。


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