【内閣委員会】都心上空米軍ヘリ訓練/防衛省・自衛隊見て見ぬふり

 都心上空の米軍ヘリ低空飛行問題について、訓練実態を把握しながら対処しない防衛省を批判し、米側に訓練飛行をやめさせるよう求めました。

 米軍横田基地は、2013年4月に主催した「関東航空機空中衝突防止会議」の配布資料で、都心周辺の米軍施設(赤坂プレスセンター、横田基地、キャンプ座間、厚木基地、横須賀基地)を結ぶ広範囲を同基地所属のUH1ヘリコプターの訓練区域として設定していることを明らかにしています。

 同会議に自衛隊の参加者はいたのかの追及に対し、防衛省の町田一仁審議官は、同会議は、17年4月、19年7月にも開催され、それぞれ自衛官が参加していたことを認めました。19年の会議には横田基地の航空管制に連絡官として勤務する航空自衛隊航空保安管制群本部隊員が出席していたことを明らかにしました。

 私は、管制施設の連絡官である自衛隊員は米軍ヘリの訓練の実態を把握できる立場だと指摘。米軍の危険な訓練飛行を見て見ぬふりをしていたことになる、と批判しました。

 私は、民間機や自衛隊機が最低安全高度以下の飛行など航空法で禁止する飛行を行う場合、国土交通省の承認・許可を得なければならない一方で、米軍機は何も手続きがないと指摘。空と地上の安全確保のために、米軍機を航空法の適用除外とする米軍特権はなくすべきだと強調しました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年4月21日 内閣委員会 20号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 先週も取り上げました、米軍ヘリの首都上空における低空飛行問題について質問をいたします。
 お手元に資料を配らせていただきました。一枚目が、米軍横田基地が主催をする関東航空機空中衝突防止会議の資料であります。
 米軍横田基地に所在する第三七四空輸航空団が主催する関東航空機空中衝突防止会議は、日本の民間パイロット等と対話する機会として開催しているとのことでした。この会議は、二〇一三年四月以降、二〇一五年四月十一日、二〇一七年四月十五日、二〇一九年七月二十日にも開催されていますが、それぞれの会議に防衛省・自衛隊からの出席者がいたかどうか、また、出席者がいる場合に、その出席の理由、会議の内容、当日の配付資料について明らかにしていただきたいと思います。
○町田政府参考人 お答えいたします。
 ただいま御指摘のございました、在日米軍横田基地で開催されております関東航空機空中衝突防止会議につきまして、二十五年四月に行われた後のものにつきまして、防衛省では、平成二十七年四月十一日、そして平成二十九年四月十五日、それから令和元年七月二十日に行われたものについて開催を確認しております。
 これらのうち、平成二十七年四月の会議につきましては、防衛省・自衛隊からの出席は確認されませんでした。一方で、平成二十九年四月と令和元年七月の会議については、それぞれ、米軍からの開催案内を受け、出席したことを確認しております。
 出席の理由及び会議の内容につきましては、本会議が、航空機の空中衝突防止対策について、日本の民間機のパイロット等と対話、意見交換をする機会を設けるなどの趣旨で開催しているものであり、この内容を踏まえ、自衛隊からは、横田基地周辺で航空管制業務を行っている部隊の隊員が出席したものと承知しております。
 現在、資料でございますけれども、防衛省・自衛隊において、平成二十九年四月それから令和元年七月に開催された当該会議の配付資料の確認作業は実施しているところでございます。
 以上です。
○塩川委員 二〇一七年四月と二〇一九年の七月で、出席したのはどこの部隊の人か。
○町田政府参考人 お答えいたします。
 出席をいたしました所属でございますが、平成二十九年四月の会議につきましては、陸上自衛隊東部方面航空隊及び航空自衛隊入間管制隊の隊員が出席したものと承知しています。
 また、令和元年七月二十日の会議については、航空自衛隊航空保安管制群本部及び入間管制隊の隊員が出席していたものと承知しております。
○塩川委員 航空管制業務の部隊が出席をしているということで、今のように、空自又は陸自からの出席があったということです。
 米軍横田基地は首都の航空管制を行っています。横田ラプコンがありますけれども、この横田ラプコンには自衛官が配置をされていると承知をしています。この自衛官の所属と人数はどうなっているのか、併せて、その自衛官はこの会議に参加をしていたのか、この点についてお答えください。
○町田政府参考人 お答えいたします。
 米軍横田基地に勤務しております航空自衛隊の隊員でございますが、まず、この会議、令和元年七月の会議に米軍横田基地の航空管制施設に連絡官として勤務する航空保安管制群本部所属の隊員一名が出席したものと承知しております。
○塩川委員 横田基地にある航空管制、横田ラプコンにおいて航空保安管制群本部隊員一名が連絡官として勤務をし、その者が二〇一九年七月の会議に出席をしている、そういうことでよろしいですか。
○町田政府参考人 お答えします。
 そのとおりでございます。
○塩川委員 そうしますと、図にもあるように、UH1という米軍横田基地所属のヘリがこういった訓練飛行を行っているということになるわけです。そうしますと、当然のことながら、横田ラプコンに連絡官として配置をしている自衛隊の隊員が米軍ヘリの訓練飛行の実態も把握をしている。自衛隊は米軍ヘリの訓練飛行の実態を把握をしているということではありませんか。防衛省・自衛隊は、こんな勝手な米軍ヘリの訓練飛行を見て見ぬふりをしているということになるんじゃないですか。
○町田政府参考人 お答えいたします。
 米軍ヘリにつきましては、有視界飛行ということで、レーダーのコントロールを受けない飛行で一般的に飛行しているものと承知をしております。
 横田のラプコン、これは、ラプコンといいますのは、レーダー・アプローチ・コントロールと申しまして、離陸後の上昇飛行又は着陸のための下降飛行を行う航空機に対してレーダーを使用して行う管制施設のことでございます。
 ここに勤務しております航空自衛隊の連絡官は、行っている業務は、空域、飛行場における航空自衛隊機の運航状況の監視、それからこれに基づきます米軍管制官への助言、そして米軍管制官と航空自衛隊操縦者との無線通信の補完などを業務としておるところでございます。
○塩川委員 横田における航空機の離発着に関わって、当然、レーダーに関わると言いましたけれども、離発着そのものは有視界飛行のヘリも含めて行われているわけであります。そういうことも含めて、当然、手のひらに乗せての対応という点では、こういった米軍のヘリの訓練飛行についても知り得る立場にあるという点でも、この間、この訓練について承知していないということを政府がずっと説明してきたということは、こういう経緯を言っても、納得がいかないと言わざるを得ません。見て見ぬふりをしていたんじゃないのかという指摘というのは、まさにそのとおりではないのかということを申し上げておきたい。
 それで、米軍横田基地が示している米軍ヘリの訓練空域、配付資料の一枚目ですけれども、このUH1トレーニングエリアというのは何か、このことについて御説明いただきたい。
○町田政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の資料は、平成二十五年四月二十一日に開催された関東航空機空中衝突防止会議で配付された米軍資料の一部であると承知しております。
 自衛隊は、本件会議に一参加者として参加したのみであり、当該米軍資料の作成には関わっていないことから、この米軍資料について責任ある説明を行うことはできません。
○塩川委員 防衛省、自衛官も出席をしている会議での資料の話であります。当然、そういった説明も受けているわけで、そういった中身について明らかにしていただきたい。
 この地図の右下に注記がありますけれども、この破線の図に対応して、UH1コンフィグレーションとありますけれども、このUH1コンフィグレーションというのは何かというのは分かりますか。
○町田政府参考人 お答えいたします。
 繰り返しになって恐縮でございますが、この会議に自衛隊は一参加者として参加したのみであり、当該米軍資料の作成には関わっておりません。
 したがいまして、この米軍資料について責任ある説明を行うことはできません。
○塩川委員 地図で表記があるものを見ますと、この片仮名のコをひっくり返したような形になっていますけれども、ハーディー・バラックスというのがまさに首都上空のところで書いてありますけれども、このハーディー・バラックスというのは何か、あるいは、西の方、左手の方を見てもらいますとキャスナーというのが出てきますが、キャスナーというのは何か、この点について説明いただけますか。
○町田政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、この米軍資料についての責任ある説明を行うことはできませんが、私たち自衛隊が米軍と調整を行う中で、ハーディー・バラックスとは赤坂プレスセンターのヘリポート、キャスナーとはキャンプ座間のヘリポートを指すことがある、そのように承知しております。
○塩川委員 米軍基地であります赤坂プレスセンター、そのヘリポートにおいては、この間の毎日新聞の報道にありますように、米軍横田基地所属のUH1、キャンプ座間所属の米陸軍のヘリであるブラックホーク、また、米軍厚木基地の米海軍ヘリ・シーホークの離着陸が目撃をされております。ちなみに、アツギというのもありますけれども、これは米海軍の厚木飛行場、厚木基地ということになります。
 この破線の図の東南の角といいますか、三浦半島のところにも線が入っていますけれども、三浦半島にある米軍施設というのは何でしょうか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
 横須賀海軍、米軍の横須賀基地があるというふうに認識をしております。
○塩川委員 米海軍の横須賀基地、在日米海軍の司令部がありますし、当然、空母などの艦艇が置かれているところであります。ですから、空母の艦載機などがそこから飛び立っていくという場所にもなっています。
 つまり、この図というのは、首都上空の赤坂プレスセンター、ハーディー・バラックスから西に行くと横田基地があり、その南に行くとキャスナー飛行場、キャンプ座間があり、さらに米海軍厚木基地があり、そこから東南に行くと米海軍横須賀基地がある、第七艦隊の艦艇が置かれています。首都圏の米軍基地をつなぐように、米軍ヘリの訓練エリアが設定をされているということになります。
 防衛省にお尋ねしますが、首都上空に米軍ヘリの訓練空域が設定されている、米軍横田基地所属の米空軍ヘリのUH1の訓練空域とされていますが、実際には、米陸軍ヘリ・ブラックホークや米海軍ヘリのシーホークも使用しているということを当然見て取ることができると思いますが、防衛省はどのように受け止めていますか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
 米軍が、飛行訓練の目的の達成、飛行の安全確保、住民への影響抑制等の必要性を安定的に満たすとの観点から、一定の飛行経路を念頭において飛行することがあるということは承知しておりますが、一方で、米軍の運用の詳細については承知をしておりません。
 また、東京都の上空に米軍訓練のための我が国から提供されている空域はございません。
○塩川委員 加藤官房長官、お尋ねします。
 今のように、日本側が提供した訓練空域、米軍のはないという説明ですけれども、そうなると、要は、勝手に設定をしているという話になるわけです。つまり、これは米軍横田基地の部隊が日本の民間機のパイロットの皆さんへの説明会として提供している資料ですから、まさに、米軍が訓練空域として使っているということを明らかにしている、そのことをはっきりと認めて書かれている資料だということで、そこには自衛隊も出席をして、そういう説明も当然承知をしているわけであります。
 米軍機というのは、結局、こういう空域を設定したとしても、それに限定されず勝手に飛んでいるということにもなるわけで、好き勝手に首都上空を飛んで回るというのがやはり、主権国家でそもそも許されることではないということで、是非、首都上空での米軍機の訓練飛行はやめるように米側に要請する考えはありませんか。
○加藤国務大臣 米軍機の飛行訓練、これはパイロットの技能の維持向上を図る上で必要不可欠な要素であり、日米安保条約の目的達成のためにも極めて重要であると考えております。もっとも、訓練の際に、公共の安全に妥当な配慮を払い、安全性が最大限確保されることは言うまでもありません。
 訓練の実施による地域の方々の生活環境等への影響を最小限に図っていく、こうした認識は日米間でも共有を図ろうとしており、三月十六日に実施した2プラス2の機会に、ブリンケン国務長官及びオースティン米国国防長官に対し、茂木外務大臣、岸防衛大臣から、在日米軍の地元への影響に最大限配慮した安全な運用について要請し、引き続き緊密に連携することも確認をしているところであります。
 政府としては、飛行の安全確保が最優先の課題であるとの認識の下、米側に対し、安全面に最大限配慮し、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう、引き続き強く求めていきたいと考えております。
○塩川委員 米軍ヘリの危険な訓練飛行をやめさせるという観点での働きかけこそ必要だということを申し上げておきたい。
 国交省にお尋ねいたします。
 資料の二枚目に、航空機安全運航支援センターが発行しています首都圏における有視界飛行に関連する航空図を取り上げておきました。この地図の中で、右側に、オレンジ色で逆さになっている台形がありますけれども、これは民間航空機の訓練試験空域が設定されています。
 民間機の訓練空域の使用の仕組みについて説明してもらえますか。
○海谷政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねのございました民間訓練試験空域、これでございますけれども、航空法第九十五条の三に基づきまして、航空法が、専ら、同法の第九十一条に規定しております曲技飛行等、又は、操縦技能証明を受けていない者による操縦練習飛行その他の九十二条第一項各号に掲げる飛行を行う空域として、国土交通大臣が告示で指定しているところでございます。
 これは、安全確保のため、当該飛行等を行う航空機同士の空域利用の重複を避けるために設定するものでございまして、民間訓練試験空域において当該飛行等を行う民間航空機は、国土交通大臣に訓練試験等計画を通報して承認を受ける必要がございます。
 具体的には、運航者は前日の十二時までに福岡航空交通管制部航空交通管理センターに対しまして計画を提出いたしまして、同センターは、同一時間帯の空域利用がないかを確認し、その上で、必要に応じて運航者と訓練時間等の調整を行った上で当該空域の使用を承認するという手続を取っております。
 また、この承認を受けた民間航空機の運航者は、無線での通信により定められた期間に当該飛行等の開始及び終了について通報することになっております。
 以上、お答え申し上げました。
○塩川委員 曲技飛行のような特別な、航空法に違反するような飛行を行う場合には、安全確保のために大臣に申請し承認を受けるという手続、国交相の承認を受けるという手続になっております。
 もう一つ、資料の三枚目、陸上自衛隊東部方面隊が各空港事務所に申請しました最低安全高度以下の飛行許可の飛行経路を地図にしたものであります。
 こういったのが私たちの住んでいる上で設定されているということもけしからぬということを言わなければなりませんが、自衛隊におけるこういった最低安全高度以下の飛行許可の手続というのはどうなっていますか。
○町田政府参考人 お答えいたします。
 航空法第八十一条により、航空機は、原則として、離発着を行う場合を除いて、最低安全高度以下の高度で飛行してはならないこととされております。この飛行を行う場合には、同条ただし書の規定により、国土交通大臣の許可を得る必要がございます。
 本規定に基づきまして、陸上自衛隊の航空機が最低安全高度以下の飛行を行う場合には、陸上幕僚長又は陸上自衛隊の部隊等の長から、国土交通省地方航空局長又は国土交通省空港事務所長に対し、最低安全高度以下の飛行に係る申請を行っているところでございます。
○塩川委員 今説明がありましたように、最低安全高度以下の飛行許可を、国土交通大臣の許可を得るという手続になっているわけです。
 つまり、民間機であれ自衛隊機であれ、こういった航空法に反するようなものを行う飛行のときには、国交相の承認、許可が必要です。しかし、米軍の場合は何もない。そもそも訓練空域さえ日本政府は承知していない。これでは、空の安全や地上の安全を確保できないんじゃないのか。
 こういう航空法の適用除外、米軍特権をきっぱりとやめる、こういうことこそ求められているんではないですか。官房長官に。
○木原委員長 加藤官房長官、時間が来ておりますので、手短にお願いいたします。
○加藤国務大臣 米側の飛行については、これまでも様々なやり取りを米軍と行っておりますが、米側からは、飛行に当たっての安全確保は最優先であり、従来から、米軍の飛行は、ICAOルール、日本の航空法と整合的な米国の規則に従って行われていると説明を受けているところであります。各部隊には、米国の規則に従った飛行を徹底するよう改めて指示した旨の説明を受けております。ICAOルール、日本の航空法と整合的な米側の規則に従って行う米軍の飛行には例外があるとは承知をしていないところであります。
 いずれにしても、飛行訓練を含め、米軍の運用に際しては、安全性が最大限確保されることは極めて重要であり、米側に対して様々なレベルで累次にわたる申入れも行っており、飛行に当たっての安全確保、これは最優先の課題として、引き続き日米でも協力して取り組んでいきたいと考えております。
○塩川委員 米軍特権をなくすことこそ行うべきだということを申し上げて、質問を終わります。