【内閣委員会】土地利用規制法案/与党が採決強行/反対討論

 自民、公明両党は、全国の基地周辺や国境離島などの住民を監視する土地利用規制法案の採決を強行し、維新、国民民主両党を含む各党の賛成多数で可決されました。

 日本共産党は違憲立法として反対し、立憲民主党は質疑の継続を求め採決することに反対しました。

 法案は、自衛隊・米軍基地、原発などの周囲約1キロや国境離島を「注視区域」に指定し、「機能阻害行為」には中止を勧告・命令します。特に重要な基地周辺などは「特別注視区域」に指定し、土地売買に事前届け出を義務付け、応じなければ刑事罰が科せられます。

 私は反対討論で、基地被害に日常的に苦しめられている住民、特に米軍占領下の土地強奪で基地周辺での生活を余儀なくされた沖縄県民を、監視と処罰の対象にするのは断じて容認できないと厳しく批判しました。

 そのうえで、法案の核心部分を政府に白紙委任していることを批判し、思想・信条の自由を侵害する危険は重大だと指摘。政府が法案の根拠に挙げる北海道千歳市と長崎県対馬市の自衛隊基地周辺での外国資本による土地購入や自治体からの意見書提出についても、意見書は16件にとどまり、両市は含まれていないことが明らかになったと強調しました。

 さらに、政府が土地・建物の取引価格の下落を招く可能性を認めながら、法案の規制とは、まったく無縁の国民が経済的不利益を被ることは認められないと主張しました。

 政府・与党は、6月1日の衆院本会議で可決、4日の参院本会議で審議入りを狙っています。通常国会の会期が残りわずかとなる中、法案への懸念の声が急速に広がっており、会期末(16日)まで緊迫した情勢が続きます。


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衆院内閣委員会で行った土地利用規制法案に対する反対討論は次の通りです。

 初めに、憲法と国民の権利に関わる重大法案を、参考人質疑や連合審査も行わず、わずか12時間で質疑を打ち切り、採決を強行するなど断じて認められません。強く抗議するものです。

 反対理由の第一は、基地周辺住民の権利と尊厳をふみにじることです。

 本法案は、全国の米軍・自衛隊基地周辺や国境離島でくらす住民を監視の対象にし、土地・建物の利用を規制し、応じなければ処罰するというものです。

 基地あるが故の被害に日常的に苦しめられている住民、とりわけ米軍占領下の土地強奪で基地周辺での生活を余儀なくされた沖縄県民を、政府による監視と処罰の対象にするなど断じて容認できません。

 政府は基地被害の根絶にこそ取り組むべきであり、住民を監視の対象にする法案を押し通すなどもってのほかと言わなければなりません。

 重大なことは、法案の核心部分をすべて政府に白紙委任していることです。

 どこでどのような調査をするのか、いかなる行為を「機能阻害行為」とするかは政府の判断次第であり、憲法が保障する思想・信条の自由を侵害する危険は重大です。

 第二に、法案の必要性、すなわち立法事実自体が存在しないことです。

 政府は、法整備の根拠として、北海道千歳市や長崎県対馬市の自衛隊基地周辺の土地を外国資本が購入し、全国の自治体から意見書が上がっていることを挙げてきました。しかし、意見書は16件にとどまり、そこに両市は含まれていないことが明らかになりました。

 2013年度以降、2度にわたり全国約650の米軍・自衛隊基地の隣接地を調査し、運用に支障が生じるような事態は確認されていないと答弁してきたのは政府自身です。まるで立法事実を探すためのような法案を押し通せば、国会の見識が問われます。

 第三は、民間の経済活動に与える影響です。

 政府は、区域内の土地・建物が敬遠され、土地取引価格の下落を招く可能性があることを認めました。ところが、その一方で、「政府として補償は予定していない」と答弁したのであります。「機能阻害行為」とは全く無縁の国民が経済的不利益を被ることなど到底認められません。

 戦前、要塞地帯法や治安維持法、軍機保護法など一連の治安立法を制定し、国民の自由を奪い、戦争へと駆り立てていった歴史の教訓を思い起こし、本法案は廃案にすべきです。

 修正案についても以上の問題点を解消するものではなく反対であることを申し述べ、討論を終わります。