【議院運営委員会】入院制限方針撤回を/宿泊療養施設の抜本的増加求める

 まん延防止等重点措置の対象地域を拡大(福島、栃木、群馬、茨城、静岡、愛知、滋賀、熊本)するにあたって、政府から報告を受け、質疑を行いました。

 私は、新型コロナウイルス感染急増地域で入院を制限し、自宅療養を原則とする政府方針の転換について質しました。菅義偉首相は今回の質疑にも出席しませんでした。

 私は、菅総理が7月30日の記者会見で「重症者数の増加に一定の抑制がみられる」と楽観的な見通しを述べていたと批判。政府方針について、呼吸困難や肺炎症状のある『中等症Ⅰ』の患者の入院を取りやめになれば、命にかかわる重大な事態になるとして、撤回を迫りました。

 西村康稔担当大臣は「重症化リスクがある方が、入院できる体制を整えるための対応だ」と開き直りました。

 私は、政府分科会の尾身茂会長が方針転換について「相談、議論したことはない」と述べたことを指摘し、なぜ専門家の意見を聞かなかったのかと追及。

 西村大臣は「厚労省がどう対応したか承知してない」と無責任に答えました。

 私は、療養は宿泊療養が原則であり、日本医師会の中川俊男会長や尾身氏が宿泊療養施設の強化を強調しているとして、なぜ宿泊療法施設をなぜ抜本的に増やさないのかとただしました。

 西村大臣は「宿泊療養施設の確保は重要だ」としつつ、自治体任せの姿勢を示しました。

 私は、東京都は1日当たり7万件以上のPCR検査能力があるのに1割程しか使われていないと指摘、大規模検査の実施を求めると共に、国民、医療機関の協力を求めるために、補償と財政措置を行えと主張しました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年8月5日 議院運営委員会 第51号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 コロナ感染急増地域で、入院を制限し、自宅療養を原則とする政府方針について、菅総理は、今回の措置は必要な医療を受けられるようにするためで、理解してもらいたいと述べましたが、菅総理は、先週の会見で、重症者数の増加に一定の抑制が見られるなどと楽観的な見通しを述べておりました。このことへの反省というのはないんでしょうか。
○西村国務大臣 そのときの菅総理の発言、今、手元に全部はないんですけれども、総理は、私の記憶では、私ども、しっかりと病床の状況なども説明しておりますので、菅総理は医療の厳しい状況については理解をされているというふうに私自身は思っております。ですので、そのときの発言も、四十代、五十代の方の入院が増えている、この危機感については発言があったものというふうに理解をしております。
○塩川委員 国民にはそういうふうに受け止められておりません。
 呼吸困難や肺炎症状のある中等症1の患者について入院措置を取りやめることになれば、命に関わる事態となります。撤回していただきたい。
○西村国務大臣 御指摘のような呼吸困難や肺炎症状がある中等症の方が入院できないというようなことは何としても避けなきゃいけませんし、そういった方を入院しなくていいようにするための措置ではございません。むしろ、中等症でも酸素投与が必要な方、あるいは投与が必要なくとも重症化リスクのある方について確実に入院していただけるよう病床を確保し、体制を整えていく、そのための対応だというふうに私自身は理解をしております。
 いずれにしましても、総理が発言されておりますように、必要な方が必要な医療を受けられるようにするためのものであるということを丁寧に説明し、御理解をいただけるように、今日も、今日だと思いますが、厚労省は自治体にしっかりと説明をし、連携していくというふうに承知をしておりますので、そうした対応を私の立場からもサポートしていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 これまで入院としてきた中等症1を外すようなやり方、こういうことについてはきっぱりと撤回をしていただきたい。
 このような重大なコロナ対策の変更について、尾身分科会会長は、相談、議論したことはないと述べました。なぜ専門家の意見を聞かなかったのか。科学的知見を軽視しているのではありませんか。
○西村国務大臣 尾身会長とは、私自身は毎日のように一時間、二時間と、いろいろ情報を共有し、議論をさせていただいております。
 そうした中で、私から、病床が非常に厳しくなっていること、これは当然専門家の皆さんも理解をされておりますし、むしろ専門家の皆さんからも各県の対応などいろいろな御指摘があるところでありますが、そうした中で、自宅療養が増えていることとか、あるいは四十代、五十代の酸素吸入が必要とされる方が増えていること、こういったことの状況を共有してきているところでありますし、また、事務的にも、様々な病床の状況については尾身会長には説明をしてきているものというふうに理解をしております。
 厚労省がどのような形で対応されたかということは私自身は承知しておりませんので、尾身会長がそのような発言をされたということは承知をしておりますが、私の立場で申し上げれば、病床の状況など厳しい状況を共有しながらその対応を議論してきているということでございます。
○塩川委員 尾身会長は、オリンピックをやるということが人々の意識に与えた影響というのはあるのではないかというのが我々専門家の考えだと述べております。
 国民に都道府県間の移動の自粛を求めながらオリンピックを行っていることは、矛盾したメッセージとなっています。今からでもオリンピック・パラリンピックは中止の決断をすべきだ、そのことを進言すべきではありませんか。
○西村国務大臣 IOCによれば、選手の約八五%がワクチン接種をしてきているということでありますし、入国後も十四日間毎日検査をしてきております。そして、いわゆる行動管理を厳しくする、バブルの中でしか行動ができないということで、尾身会長自身も、確かに、昨日、厚労委員会で、五輪の開催が人々の意識に与えた影響はあるとおっしゃっていますけれども、そのバブルの中での感染が急激な感染拡大に直接関係しているとは全く思わないという発言もされております。
 国民の皆様の御協力、テレワークやあるいは自宅でオリンピックを観戦していただくように様々呼びかけを行う中で御協力をいただき、人流は減少してきている面もございます。他方で、オリンピックで日本人選手の活躍が人々の高揚感を高めて、その結果、活動が活発になる、広場や路上あるいは居酒屋などでみんなでそれを分かち合う、こういったことへの懸念はございます。
 是非、オリンピック、まだしばらくありますけれども、自宅で家族と、あるいはいつもいる仲間と少人数で応援をしていただいて、その仲間で感動を分かち合っていただければというふうに考えております。
○塩川委員 行動抑制を求めているのに、その国民の意識に逆行するようなオリンピックの開催というのが大きな影響を与えている、この認識こそ必要であります。
 病床を増やす努力を求めるとともに、療養については宿泊療養が原則だったはずであります。東京都の宿泊療養者数は増えておりません。なぜ宿泊療養を活用していないのか。
○西村国務大臣 宿泊療養については、最近の、三十代以下の若い方の感染者が多い中で、お独り暮らしの方が多いということで、重症化リスクがないあるいは非常に軽症である方は自宅で療養していただくという方針で対応されているものというふうに理解をしております。
 ただ、家族がいる場合、特に、高齢者が一緒であるとか、まさに四十代、五十代の両親が一緒であるとか、こういう方については宿泊療養をしていただくということであります。
 そういった入院調整の中で自宅療養の方が増えているものと理解をしておりますが、宿泊療養施設の確保につきましても、その地域の地元住民の理解を得るとか、あるいは、宿泊療養施設を確保しても、それを運営していくためのまさに看護師さんや医師やそうした人材の確保も必要になってくるということの課題はございます。
 いずれにしましても、それぞれの状況に応じて、症状に応じて、そして家族構成や基礎疾患の有無などに応じて適切な医療を適切に受けられるように、厚労省が中心でありますけれども、都道府県と連携して対応していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 医師会の中川会長は、自宅療養より宿泊施設を拡大強化する方が効率的で、看護師の二十四時間対応も可能になると述べ、尾身会長も、病院と自宅だけという二者択一ではなくて、宿泊療養施設の強化を強調しております。なぜ宿泊療養施設を抜本的に増やそうとしないのか。
○西村国務大臣 私の立場でも、宿泊療養施設をしっかり確保することは重要だと考えておりますので、例えば、ホテル業界を所管しております国交省、観光庁とも連携をして、必要なホテルの、療養施設の確保、あるいは、これまでも、国の持っている施設の提供、こういったことについて各省間の調整などを行ってきたところであります。
 ただ、今申し上げましたように、保健所で適切に健康観察を行って、症状が変化した場合にすぐに強化をする体制、こういったことは整備をされてきておりますが、宿泊療養施設の増加については、各自治体におきまして、地元の理解を得られること、人材の確保であること、こういったことの課題がございますので、こういった課題も踏まえながら、引き続き、必要な宿泊療養施設の数については確保していきたいと考えております。
 いずれにしましても、家族構成や基礎疾患の有無や症状に応じて必要な医療を適切に受けられる、その体制をしっかりとつくっていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 東京都は、七万以上の一日当たりのPCR検査の能力がありながら、一割程度しか使われておりません。
 大規模検査の実施を強く求めるとともに、国民、事業者、医療機関へのしっかりとした補償、財政措置を行うことを求めて、質問を終わります。