【議院運営委員会】緊急事態宣言拡大/政治の姿勢問われる/臨時医療施設の設置とパラリンピック中止を

 緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の期間延長と対象地域を拡大するにあたって、政府から報告を受け、質疑を行いました。

 私は、政府が人流抑制を求めても国民の協力を得られないのはなぜかと質問。

 西村康稔経済再生担当相が「自粛疲れ」を挙げたのに対し、私は、政治の姿勢とメッセージが問われていると強調。菅首相がワクチン接種で重症者の増加が抑制されているとの楽観的な発言を繰り返したことや五輪の強行によって、国民に危機感が伝わっていないと批判。人流抑制を求める方針と矛盾する東京パラリンピック中止の決断を要求しました。

 西村担当相は「最終的な判断権限はIPC(国際パラリンピック委員会)にある」と応じませんでした。

 私は、パラリンピックは無観客と言いながら、児童生徒には観戦を認める学校連携観戦は矛盾していると指摘し、学校連携観戦の中止を求めました。

 また、深刻な医療ひっ迫への対応として、医療機能を強化した宿泊療養施設の増設や、臨時医療施設の設置が必要だと主張。

 西村担当相は「必要があれば、特措法の規定を活用して早期に整備可能。都道府県と連携して進めていきたい」と答えました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年8月17日 議院運営委員会 第52号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 政府は人流の抑制を求めてきましたが、国民の協力が十分に得られているとは言えません。なぜでしょうか。
○西村国務大臣 様々な理由があると思いますし、専門家の皆様にもいろいろな御意見があると思いますけれども、私が感じるところの大きな理由の一つが、一年半を超えて、まあ一年半ですね、及ぶこの自粛の中で、やはり多くの方が自粛疲れ、家にいることを含めて、様々なそうした、活動したいといういろいろな気持ち、その表れで、特に、若い方を中心に活動が活発になってきていること、そうしたことが大きな背景にあるというふうに思います。
 私も、日々発信をしてお願いしているところでありますけれども、引き続き、本当に厳しい状況になってきているということを多くの国民の皆さんに理解いただけるように、丁寧に、お願い、協力要請、そして発信を行っていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 私は、政府の姿勢、政府のメッセージが問われていると思います。
 菅総理は、この間、ワクチン接種によって高齢者の新規感染者が僅かとなり、重症者数の増加も抑制されるなど、ワクチン接種の効果が顕著に表れている、一番重症化しやすいところをしっかりと対策を取っていると強調しました。
 もちろん、ワクチンの発症予防や重症化予防の効果は重要であります。しかし、今や、感染爆発で、高齢者の感染者数も急増し、重症者数も過去最多であります。
 ワクチンの効果を強調する総理の発言がデルタ株の感染拡大の深刻さを曖昧にし、国民に危機感を伝えられていないのではないでしょうか。
○西村国務大臣 総理が発信されるとき、総理が会見などで発言されるときには、ワクチンの効果や抗体カクテル治療薬の効果、こういったものと併せて、常に、感染対策を徹底していかなきゃいけない、人と人との接触を減らしていく、そういった趣旨も含めて発言をなされているところであります。
 まさに、三つの対策。ワクチン接種を進めること、これによって重症化が防げるという、これは大きな効果がありますし、発信することによってワクチン接種がこれだけ進んできているという効果もあるわけであります。そして、医療体制をしっかり確保することと同時に、御指摘のように、感染防止策を徹底していかなきゃいけない、感染者の数を減らしていかなきゃいけない、この取組も併せて対応していかなきゃいけないわけであります。総理は併せて常に発信をされていると思いますし、私ども、しっかりとこの三つの対策を進めていければというふうに考えております。
○塩川委員 もう一つ。
 共同通信の世論調査で、オリンピック開催が感染拡大の一因となったと思うが六割に上りました。
 オリンピック開催が人流抑制の要請とは逆のメッセージとなったことは明らかではないでしょうか。
○西村国務大臣 オリンピックにつきましては、私も、テレビで見たりニュースで見たりしておりましたけれども、多くの方に感動を与えたものというふうに思います。
 以前の答弁でも申し上げましたけれども、その感動のまま、高揚感のまま、外でみんなで一杯やろうとか食事をみんなでしようとかとなると感染が広がるということを申し上げてきたわけでありますが、尾身会長は、八月四日の国会で、オリンピックの開催が人々の意識に与えた影響はあるとおっしゃっておられますが、他方で、急激な感染拡大に直接関係しているとは全く思わないとも発言されているところであります。
 この意識あるいは心理的な影響、どういったものがあったか、これはなかなか分析が難しいわけでありますけれども、いずれにしましても、これからパラリンピックがあるわけでありますが、テレビで、自宅で家族と、あるいはいつもいる仲間と少人数で感動を分かち合っていただいて、それはそれでそこにとどめておいていただいて、その後、みんなで食事に行くとかどこかに行くとかということ、大勢で行くというふうなことは是非控えていただきたい、感動を御自宅で仲間とあるいは家族と分かち合っていただければというふうに思います。
○塩川委員 四年に一回の特別な行事、ビッグイベントは行いながら、毎日毎日の日常生活、日常の行事は我慢してくれというのでは、国民には響かないと思います。総理がこういう問題をしっかりと国会で説明をしていただきたい。
 今回の基本的対処方針案では、混雑した場所への外出の半減を住民に強力に呼びかけるとありますが、このような人流抑制を求める方針と矛盾するパラリンピックの開催については、中止の決断が必要ではないでしょうか。
○西村国務大臣 パラリンピックに関する最終的な判断権限はIPCにあるものというふうに理解をしております。
 その上で、この開催に当たりましては、昨日開催された四者協議におきまして、全ての競技で無観客実施すること、それから、路上の競技についても沿道での観戦の自粛を求めることなどの合意がなされておりまして、感染リスクを徹底的に管理、下げていく、そうした対応がなされていくものというふうに承知をしております。
○塩川委員 パラリンピックは無観客といいながら、児童生徒には観戦を認めるという学校連携観戦は矛盾しているのではないでしょうか。
○西村国務大臣 保護者等の意向も踏まえて、自治体、学校設置者が希望する場合には、安全対策を講じた上で実施できるようにするというふうにされていると承知をしております。
 これは、実は、六月十八日に専門家の皆さんの提言の中でもこういった提言がなされておりまして、地元の自治体や保護者の同意を得た上で小学生を招くことも一つの選択肢として考えられるということで、小学生ということで、管理をされた形で、終わった後、どこかに行って食事したりなんかということはないということでありますので、その範囲でやれれば、専門家もこれは一つの選択肢として考えられるという指摘をいただいているところであります。
 いずれにしても、感染防止策を徹底した上で、感染が広がらないような、そうした取組は必要だというふうに思います。
○塩川委員 感染力の強いデルタ株は、家族一人が感染するとほとんど全員が感染すると思った方がいいとの指摘があります。大臣はどのように受け止めておられますか。
○西村国務大臣 御指摘のように、毎日のようにいろいろな専門家と、尾身先生始め多くの専門家といろいろな意見交換をしておりますけれども、現場の保健所の方々あるいは医師から聞くお話は、やはりデルタ株は非常に感染力が強いということで、多くの家庭において家族全員が感染した例が見られる、以前の従来株やアルファ株ではそこまではなかったという報告も多数いただいているところであります。
○塩川委員 であれば、自宅療養を基本とする方針は撤回をすべきであります。そして、宿泊療養施設、臨時医療施設の活用。パラリンピックの会場や選手村、医療スタッフを使うことを含めて、臨時医療施設、宿泊療養施設を増設する、このことこそ行うときじゃないでしょうか。
○西村国務大臣 御指摘のように、宿泊療養施設、例えば、大阪でも、たしか六千床だったと思いますが、確保を進めておりますし、東京でも、既に四千床だったと思いますが、ちょっと今手元にないんですけれども、確保されている中で、それを運用していくには、必要な人材、特に看護師さんの手当て、確保が必要でありますので、そうした取組を、東京都あるいは厚労省、連携しながら、看護協会の協力も得て進めているものと承知をしております。
 さらには、臨時の医療施設、御指摘のように、各都道府県で、必要となれば、特措法上の規定を活用して、医療法や建築基準法の特例という形で早期に確保、整備ができますので、こういったことも、各都道府県と連携して、必要があれば迅速に進めていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 菅総理が国会できちんと説明すべきであります。
 直ちに臨時国会を召集する、このことを強く求めて、質問を終わります。