【「しんぶん赤旗」掲載】スーパーシティー構想/「サービス享受」というが/大企業もうけに個人情報提供/住民の声きかず特区申請/前橋

「しんぶん赤旗」9月20日・11面より

 前橋市は、「最先端デジタル技術を利用して住みやすい都市をつくる」という山本龍巾長の方針のもと、行政のデジタル化と、「スーパーシティ構想」を市政の最先端施策に位置付け推進していますか、さまざまな問題点が指摘されています。

 スーパーシティ構想とは、国家戦略特区による規制緩和と、AI(人工知能)などの先端技術を使い、個人情報などあらゆる情報を集積・利活用することで、企業が制約なく活動し利益を追求できるまちづくりです。

 前橋市は「マイナンバーカード×スマホ×生体認証による“まえばしID”を構築することで、市民が手ぶらでさまざまな行政サービスや民間サービスを享受できる」と説明しています。

 市は規制緩和のため4月、医療・交通・教育など12分野の先端サービスを国へ特区申請しました。

 市が申請した先端サービスを見ると、さまざまな問題が浮かび上がります。

▽小中高大一貫型学校における未来型人材育成=財界が望む超エリート人材の育成
▽どんな時でもつながる安全・安心の確保=路上で倒れた急病人を顔認証し、病歴の把握などをする――個人情報の丸ごと提供が心要
∇24時間オンラインによる行政手続き・顔認証決済=紙の手続き廃止、窓口サービスの形骸化、市民要望の把握か困難、銀行口座とマイナンバーのひもづけ。

 推進方法にも問題があります。

 産学官で構成された「前橋市スーパーシティ準備検討会」の議事は非公開で、市長は議会に十分な説明をせず、意見も聞かないまま内閣府に特区申請しました。

 申請前に18会場で住民説明会か開かれましたが.1会場10人程度の参加にとどまり、市民から「理解できない」との声が上がりました。また、最終説明会には市長自ら出席し、「反対する人は説明を聞く必要がない」などと発言。住民の声を聞こうとしません。

 日本共産党群馬県委員会は8月、塩川鉄也衆院議員を講師に招き、行政のデジタル化とスーパーシティ構想問題の勉強会を開催。塩川氏は「今求められるのは、アナログもデジタルも活用した行政手続きの多様化による住民サービス向上だ」と強調しました。

 共産党前橋市議団は、
▽個人情報の漏えい
▽行政職員削減による雇用不安▽デジタル化に弱い市民の行政サービスからの排除
▽住民参画軽視による住民自治の弱体化
▽街中に設置されたカメラのデータをAIが分析する超監視社会の危険
▽情報技術を利用できる人とできない人の格差
 ――などの問題点を指摘。「生活利便性向上よりも、企業利益を拡大したいという財界の思惑に沿って進められており、拙速な推進に反対する」としています。