【議院運営委員会】憲法違反の臨時国会召集拒否/コロナ対策軽視のあらわれ

 緊急事態宣言の解除にあたって政府から報告を受け、質疑を行いました。

 私は、菅総理に対し、野党が7月16日にコロナ対策のために行った憲法53条に基づく臨時国会召集要求をなぜ拒否したのかと迫りました。

 菅総理は「与党と相談しながら対応を検討してきた」と責任逃れの答弁。

 私は、憲法53条には『内閣は召集を決定しなければならない』とはっきりと書いてあると強調し、政府の責任だと追及しました。

 菅総理は「10月4日に臨時国会を召集する旨を閣議決定した」と答弁。

 私は、10月4日の臨時国会召集は、首相指名のためであって、野党が求めたコロナ対策を議論する臨時国会召集とはまったく違う。憲法違反そのものであり、菅総理がコロナ対策を軽視していたことの表れだ、と批判。コロナ禍で医療崩壊と保健所機能の麻痺を招いたのは自公政権の社会保障削減の政治の結果だ。総選挙で政権交代、命を守る新しい政権を作り、コロナ対策の抜本的な転換をはかると強調しました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年9月28日 議院運営委員会 第55号>

○高木委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 菅総理にお尋ねします。
 野党は、七月の十六日に、コロナ対策への国民の英知を結集する場として、菅総理に対して臨時国会の召集を要求しました。それなのに、菅総理は、憲法五十三条に基づく野党の臨時国会召集要求を拒否しました。
 なぜ拒否したんですか。
○菅内閣総理大臣 新型コロナ対策を始め、現在も与野党で国会において閉会中審査、議論を行っています。そういう中で、臨時国会の召集については、国会のことでもありますので、与党と相談しながら対応してきたところであります。
○塩川委員 何を言っているんですか。
 憲法五十三条というのは、四分の一の議員の要求で政府に対して決定を求める、臨時国会を開くということを求める中身であります。政府自身が決める話じゃないですか。憲法五十三条に、議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、召集を決定しなければならないとはっきり書いてあります。
 なぜ開かなかったんですか。なぜ憲法を無視するんですか。
○高木委員長 塩川君に申し上げます。
 ここは政府のコロナ対応についての発言をする場所でございますので、少しお考えいただきたいというふうに思います。
○菅内閣総理大臣 野党から要求のあった臨時国会の召集については、国会のことでもありますので、これまで与党と相談しながら対応を検討してきたところであります。
 先日、十月四日に臨時国会を召集する旨を閣議決定したところであり、政府としては、憲法に規定された義務を踏まえたものと思います。
○塩川委員 何を言っているんですか。
 政府が決定した十月四日の臨時国会召集は、菅総理が政権を投げ出した後の新しい総理大臣を選出する場ですよ。官房長官が説明していたじゃないですか。野党が要求をした、コロナ対策を議論する臨時国会の召集では全くない。こういうところに、今の菅政権がコロナ対策を本当に重視していない重大な事態というのが表れている。
 大体、菅総理は、コロナ対策に専念すると述べていたじゃないですか。専念するというなら、まさに臨時国会を開いてコロナ対策をしっかりやるべきだったんじゃありませんか。
○菅内閣総理大臣 憲法上、内閣の権能は臨時国会を召集することであり、召集をされた臨時国会において何をどのように議論するかという議事については国会でお決めになることであるというふうに考えます。
○塩川委員 菅総理の下でのコロナ対策の審議を求めたのが、野党の臨時国会召集要求なんですよ。菅総理の後の人の話なんかしていませんよ。
 今この国会においてしっかりとした議論を行えというのを七月の十六日に我々は求めたわけで、それを二か月以上も放置した。まさに、菅総理自身がコロナ対策を本当に軽視していた、このことが臨時国会召集要求を拒否したということにはっきりと表れているんじゃありませんか。
 もう一回お答えください。
○菅内閣総理大臣 憲法五十三条後段には、召集時期については何ら触れられておりません。その決定は内閣に委ねられておりますが、臨時国会で審議すべき事項等をも勘案し、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を行うことを決定しなければならないと考えています。
 このために、野党から要求のあった臨時国会の召集については、国会のことでもありますので、これまでも与党と相談をしながら対応を検討してきたところであります。
 先日、十月四日に臨時国会を召集する旨を閣議決定したところであり、政府としては、憲法に規定された義務を踏まえたものであると考えます。
○塩川委員 それは首班指名のための臨時国会の召集なんですよ。コロナ対策をしっかりと議論しよう、国民に説明もし、しっかりとした対策を行うという臨時国会と全く違うじゃありませんか。まさに、憲法五十三条に基づく臨時国会召集要求を拒否したというのが菅総理の対応だったということは、憲法違反そのものだと指摘せざるを得ません。
 コロナ対策の臨時国会こそしっかり開いて、大規模検査の実施や持続化給付金、家賃支援給付金の再支給を具体化し、原則自宅療養の方針を撤回して、医療提供体制の拡充のための対策こそ、臨時国会で取り組むべきだったのではありませんか。
○菅内閣総理大臣 先ほど来私が申し上げたとおりです。
 また、コロナ対策については、閉中審査も野党の要求に基づいて国会の中でやってきているんじゃないでしょうか。
○塩川委員 臨時国会の召集要求に全く応えなかった。
 この間、政府による原則自宅療養という方針の下で、都内では、病院に入れず自宅等で亡くなった方が八月以降で四十五人にも上りました。原則自宅療養というのは、患者の自宅放置であり、医療放棄そのものであります。
 こんな深刻な事態は、歴代の自民・公明政権がつくり出したものであります。この間、保健所は半分に減らされ、病床は削減をされ、医師数は抑制をされ、医療提供体制、公衆衛生体制が脆弱となりました。コロナ禍で医療崩壊と保健所機能麻痺を招いたのが、自公政権の社会保障削減の政治の結果そのものであります。
 国民に自己責任を押しつけてきた自民・公明政権の中でのたらい回しでは何も変わりません。総選挙で政権交代、命を守る新しい政権をつくり、コロナ対策の抜本的な転換を図る、このことを申し上げて、質問を終わります。