【議院運営員会】オミクロンに対応した基本的対処方針に見直しを

 まんえん防止等重点措置の対象に和歌山県を追加するにあたって、政府から報告を受け、質疑を行いました。

 私は、現在の緊急事態宣言発出の判断基準は、昨年11月のコロナ対策分科会提言を踏まえたものだ。オミクロン株の特徴に対応した宣言の発出基準や、それ基づく基本的対処方針の改定が必要だと指摘。

 山際大志郎担当大臣は、4日に同分科会を開き、感染する場所が飲食店から子どもや高齢者のいる場所に変わってきていることを含めて議論し「成案を得たものは対処方針に反映させたい」と答えました。

 私は、学校や幼稚園、保育所などの感染拡大について、保健所が直ちに対応できない場合でも、行政検査で全員のPCR検査ができるようにすべきだと追及。

 山際大臣が、まん延防止措置が出された地域では、事業者が自ら濃厚接触者等のリストを保健所に提示し、保健所が認定すれば行政検査として実施できると答えました。

 私は「現場ではそうなっていない」と指摘し、対応を求めました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年2月3日 議院運営委員会 第6号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 オミクロン株の感染拡大、医療逼迫状況が進む中で、緊急事態宣言発出の議論が行われております。ただ、現在の緊急事態宣言発出の判断基準は、昨年十一月のコロナ対策分科会提言を踏まえたものであります。その後、オミクロン株が急拡大をしております。オミクロン株の特徴に対応した緊急事態宣言の発出基準を示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○山際国務大臣 これも繰り返しの御答弁になるんですけれども、私たちは、昨年十一月に全体像をお示しする中で、医療の逼迫度合いというものに力点を置いて物事を考える、そういう、ある意味、定性的な哲学でこれまでやらせていただいております。それが、デルタ株からオミクロン株に優位な株というのが変わってきたとしても、我々としては、その基準そのもの、その哲学そのものを変える必要はないと思っております。
 すなわち、何を私たちは目指すかというと、コロナウイルス感染症に限りませんが、感染症そのものをゼロにするということはどだい無理ですから、感染症と共存しながら、いかに私たちの正常な経済社会活動というものを維持、継続していくかということに力点を置いて進んでいかなくてはいけないわけでございます。そのときの一番大切な点は医療が逼迫しないことだということを昨年の全体像でお示ししたわけなんです。
 その状況は何も変わっておりませんので、オミクロン株が今はやっている状況にありますけれども、その哲学に基づいて様々運用をさせていただいているということでございます。
○塩川委員 医療の逼迫状況という場合においても、やはりオミクロン株ならではの特徴も当然反映されているわけですから、オミクロン株の特徴に対応した医療の逼迫状況を念頭に置いたような緊急事態宣言発出の要件ですとか、それに基づく基本的対処方針の改定は必要ではないかと思いますが、いかがですか。
○山際国務大臣 それは、先生おっしゃるとおりだと思います。
 先ほども少し御説明申し上げましたが、重症化率は低いんですが、しかし、元々持っていらっしゃる原疾患を増幅させるということがオミクロン株の場合は大分見られています。ですから、心臓病をお持ちの方はその症状が重くなられたり、あるいは糖尿病の方は糖尿病の症状が重くなられたりということで、それが医療に負荷をかけているということは間違いないんです。ですから、これはデルタ株までのときとは大分状況が違いますから、そのことも私たちは念頭に置いて、これから蔓延防止等重点措置でいろいろなことを運用する中で見ておかなくてはいけないものとして、注意深く見ております。
 実際に、感染力が強いということも分かっております。ですから、倍加時間と言われるような、次の方にうつしていく時間も非常に短いということで、逆に、それが隔離をするときの期間を短くしてもいいという根拠になっていて、十四日から七日にするということで、できるだけ柔軟に対応しようということでやっておりますけれども、その哲学そのものは、先生がおっしゃったとおり、柔軟にオミクロン株に合わせて、経済活動ができるだけ維持できるようにということも念頭に置きながら、やらせていただいているということでございます。
○塩川委員 昨日、今日、答弁の中で、コロナ分科会を開催するというのがあるんですが、それを踏まえて緊急事態宣言の発出基準やあるいは対処方針の見直し、そういうことは考えているということですか。
○山際国務大臣 緊急事態までどのような形になるかということは予断を持って申し上げられませんが、二月四日、あしたですね、コロナ対策分科会は開きます。
 その場において、オミクロン株の特性というものがどういうものかということは当然専門家の皆様方の中で議論されて、先ほども申し上げましたが、感染する場所が飲食店から子供たちがいる場所あるいは高齢者のいらっしゃる場所にどんどん変わってきているというようなことも踏まえて、それらを総合的にあしたの分科会では御議論いただくということになります。
 そうなりますと、そこで何らか、当然、正論を得る形になると思うんです。正論を得たものに関しては、速やかに基本的対処方針に反映させたいと思います。
○塩川委員 学校、保育園の話もありました。
 学校、幼稚園、保育所等で感染が拡大しております。学校、幼稚園、保育所などで感染者が発生した場合に、保健所が直ちに対応できないような場合でも行政検査で全員のPCR検査ができるように措置する必要があると思います。知恵を出していただきたいと思うんですが。
○山際国務大臣 実は、これはもう既にやれるような仕組みになってございます。
 少し御説明申し上げますが、保健所業務の逼迫等により積極的疫学調査を行うことが困難である場合に、必要な行政検査が迅速に行われるよう、保健所自らが聞き取りにより濃厚接触者の範囲の特定を行わずとも、陽性者が確認された学校、幼稚園、保育所等を含む事業所が、自ら濃厚接触者等の候補範囲を特定し、そのリストを保健所に提示することによって、保健所が適切と認定した範囲において、行政検査として必要な検査を実施することも可能というふうに今も既になってございます。
 これは厚労省からお示ししているんですが、先生から御指摘いただいたことも踏まえて、より利活用していただけるように、周知を徹底させたいと思っております。
○塩川委員 現場ではなかなかそうなっていないというのが実態でありますので、本当にそれが可能なのかというところも含めて、しっかりとした対応方を求めたいと思います。
 発熱外来の補助金を是非とも復活して、地域の医療機関が積極的に参加できるように支援すべきではないでしょうか。
○山際国務大臣 これは、発熱外来を増やしていくための工夫として、補助金というものをこれまで使ってまいりました。御案内のように、三・五万か所、今発熱外来があるわけですね。増えたわけです。今度は、そこに対して、確実に発熱患者に対して診療が実施されるように、感染対策に係る費用への補助を行ってまいりました。そして、今度は、新型コロナの疑い患者に対して、必要な感染予防策を講じた上で、外来診療を行った場合の診療報酬上の特例的な対応、これを拡充しております。
 何を言いたいかと申し上げますと、まさに柔軟に対応してきて、発熱外来の数が少ないときは、それを増やすようにするための施策として補助金を用意し、数がそろってきたならば、それがきちんと本当に運用できるかどうかというところに対して補助を出し、そして、今なお、実際に疑いの患者さんを診たときに、その方々に対しての上乗せといいましょうか、診療報酬上の特例的な措置を行うという形で、そのときそのときに必要なものに対して適切に手当てをしてきたということでございます。これからも、その視点で必要なものを手当てしてまいりたいと思っております。
○塩川委員 現場の実態は違っていまして、検査の診療報酬引下げで、積極的に検査を行っている医療機関が赤字になる、押しとどめるような状況になっているというのをしっかりと見た改善策こそ必要であります。
 あと、米軍関係者について、基地外居住者の感染情報は日本側に提供されているのか、この点について御説明ください。
○山際国務大臣 米軍関係者の新型コロナ感染事案につきましても、これは在日米軍と緊密に連携しておりまして、日米合同委員会合意に基づいて、米側から適切に連絡は受けてございます。
 この中で、例えば、二〇一三年の日米合同委員会合意に基づいて、在日米軍の各病院の責任者とその地域を所管する日本の保健所長との間で、特定の感染症につき相互に通報すること、又は、広範な防疫措置が必要になった場合には、相互に緊密に協力し、必要な措置を取ることとされておりまして、感染症が発見された場合には、直ちに日本の保健所に対し通報が行われ、日米の衛生当局間で対応を協議しております。
 この中には、基地の外に住んでいらっしゃる方々というのも含まれてございます。
 引き続き、在日米軍が感染防止のために厳格な措置を徹底するとともに、緊密な情報共有を確保すべく、その時々の状況を踏まえ、在日米軍と連携して、適切に対応してまいります。
○塩川委員 現場はそうなっていないということを改めてお伝えし、しっかりとした改善策を求めるとともに、大本にある日米地位協定こそ改定をすべきだということを申し上げて、質問を終わります。