【内閣委員会】デジタル庁・多数の民間出身者/給与補てん把握せず/官民癒着の懸念

 国の行政手続きにおいて各府省庁の判断でインターネットバンキングやクレジットカードなどによる納付を認めるキャッシュレス納付法案について採決を行い、賛成多数で可決しました。日本共産党は、納付方法の選択肢を増やすものとして賛成しました。

 私は、採決に先立つ質疑で、法案を提出したデジタル庁は、平井卓也前デジタル担当相や幹部職員らがNTTから接待を受けていた問題などをあげ、国民の疑念を招く官民癒着が懸念される事態だと指摘し、デジタル庁の体制について確認。

 デジタル庁は、職員数は576人、うち民間出身者は194人、うち非常勤は184人と答えました。

 私は、出向元企業から給与補てんを受けている非常勤職員は何人いるのか、と質問。

 デジタル庁は「把握してない」と認めました。

 私は、デジタル庁で働いている給与よりも給与補てんとして民間から受け取る給与が多いこともありうると指摘し、出向元企業から給与を得ているのでは、公務の公正性に疑念が生じるのではないかと追及。

 牧島かれんデジタル担当相は「調達に関与する職員の兼業先の企業等は、原則として調達案件への参加を禁止している」と答弁。

 私は、出身企業と情報のやり取りをしないと誓約すれば適用除外となる抜け穴があると指摘し、そもそもデジタル庁におけるデジタル政策立案への関与に関する規制のルールがない。しっかりルールを作る必要があると主張しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年3月16日 内閣委員会 第6号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 キャッシュレス法案について質問をいたします。
 本法案は、国の行政手続での納付において、当該手続に関する法令の規定にかかわらず、各府省庁の判断でインターネットバンキングやクレジットカード、電子マネー、コンビニ決済などによる支払いを可能とするものであります。
 大臣にまず確認ですけれども、この法案は、従来の現金や印紙による支払いを廃止するものではなく、支払いに係る国民の選択肢を増やすもの、そういうことでよろしいでしょうか。
○牧島国務大臣 本法案は、従来の現金や印紙による納付方法を廃止するものではなく、納付方法の選択肢を増やすことで利用者の利便性の向上を図るものであります。
○塩川委員 国民、利用者の選択肢を増やすということであります。
 同時に、このようなキャッシュレスにおきまして、システム障害の影響の問題が懸念をされます。
 一昨日、国税電子申告・納税システム、e―Taxに接続障害が起きて、昨日も障害が継続をしているということもありました。確定申告書が送信しにくい状況となっているということでした。
 このように、システム障害が起きたときに、今回の法改正による納付に伴い納付者が不利益を被ることがないようにどのように対応するのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
○牧島国務大臣 システム障害が生じて指定納付受託者が納付することができない場合において、これがやむを得ない理由に該当すると認められる場合には、今回のe―Taxの事案もそうでございますが、制度所管官庁において納付期限を延長するなどの必要な措置が取られるものと考えております。
 また、指定納付受託者が主務省令で定める指定日までにシステム障害等により納付することができなかった場合においても、主務省令で必要な対応が取られるよう、デジタル庁として主務省令のモデル例を作成して、各府省庁において必要な対応を取っていただけるように働きかけてまいりたいと存じます。
○塩川委員 納付者にとって不利益がないような、そういう措置に万全を期していただきたいと思います。
 今回の法案は、デジタル庁が発足して初めての法案ということでもあります。改めて、デジタル庁の組織の在り方について質問をいたします。
 昨年、赤石デジタル審議官や向井IT総合戦略室室長代理、そして平井デジタル担当大臣らがIT大手のNTTから接待を受けていたことが問題となりました。赤石デジタル審議官らは処分を受けました。
 また、デジタル庁の前身であるIT総合戦略室が関与したオリパラアプリをめぐって、IT室の幹部職員らが他社の見積り内容を別の会社に漏らしていたことや、このシステム発注によって、システム開発に関与した幹部職員自らが利益を得ようとしていたことなどが問題となりました。国民の疑念を招く官民癒着が懸念される事態があります。
 そこで、デジタル庁の組織構成について質問をいたします。
 デジタル庁の実員は何人か、総数及びグループ別の人数を示していただきたい。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 令和四年一月一日における、デジタル庁におけるグループ別の職員の数をお答え申し上げます。
 四つのグループを設けておりまして、戦略・組織グループが二百二十六名、デジタル社会共通機能グループが百七十七名、国民向けサービスグループが七十五名、省庁業務サービスグループが八十八名となってございます。
○塩川委員 四つのグループの上にも組織があるわけですけれども、総数で何人かを教えてもらえますか。
○山本政府参考人 合計いたしますと五百六十六名ということになるものでございます。
○塩川委員 四つのグループで五百六十六、四つのグループの合計。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 今申し上げた四つのグループの数字を足し合わせたものが五百六十六名でございます。
○塩川委員 デジタル監やデジタル審議官やCDO、CPOとか、そういった人を含めると総数で何人かを確認したいんですけれども。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 デジタル監始め幹部を加えますと五百七十六名になるものと存じます。失礼いたしました。
○塩川委員 何か八月末の時点で五百九十人ほどと聞いているんですけれども、まあ六百人ぐらいの人数ということで。ちょっと、グループ別で聞くとごちゃごちゃしますので、もう一回、トータルの数字で教えてほしいんですが、その六百人近くのうち民間出身者の人数が何人か、それは総数でいいので、常勤と非常勤の別で教えてもらえますか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 事前の御質問がグループ別だったので、まずグループ別でお答えを申し上げたいと思います。
 まず、戦略・組織グループにおきましては、民間出身者の数として、常勤職員の数が三名、非常勤職員の数が四十八名。デジタル社会共通機能グループでは、常勤職員が一名、非常勤職員が九十二名。国民向けサービスグループでは、常勤職員が五名、非常勤職員が三十三名。省庁業務グループは、常勤職員の数が一名、非常勤職員の数が十一名。
 常勤職員については合計が十名、非常勤については百八十四名、足し合わせて百九十四名と承知しております。
○塩川委員 六百人中、民間の方が二百人ということで、その民間の方の大半が非常勤職員ということであります。
 この職員のうち、兼業している方というのは何人ぐらいなんでしょうか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 国家公務員や常勤の民間出身職員も含めたデジタル庁の職員のうち、民間企業と兼業していたり、また、これに加えて、官民人事交流制度に基づき民間企業から交流採用されていたり、また、無償で団体役員の地位に就いている方など、これらの方々がおられまして、これらを含めて、民間企業と一定の関係を有する職員の人数として、私どもとしては約百七十名というふうに承知しております。
○塩川委員 その方々は、兼業が可能な非常勤の職員、民間出身の非常勤職員の方がその大半ということでよろしいでしょうかね。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 委員からの御質問は、民間企業から給与を得ている方がどの程度かという数かと思いますけれども、今申し上げました約百七十名につきましては、先ほど申し上げましたように、民間団体で無償で役員となっている方、またフリーランスで自ら事業を営んでいる方、こういった方を全て含んでいる数となっておりますので、その内訳については把握をしてございません。
○塩川委員 そうすると、兼業している民間の非常勤職員のうち出向元企業から給与をもらっている人はどのぐらいか、そういうのは把握していませんか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 今委員御質問の形では把握をしてございません。
 繰り返しになりますけれども、民間から来られている職員で、民間企業との関係については様々な形がございますので、今委員御指摘の形を含めて幅広く把握をしているものが、先ほど申し上げました約百七十名ということになってございます。
○塩川委員 昨年、オリパラアプリをめぐる騒動の中で、デジタル庁の調達ガバナンスについて報告書もまとめ、対策も取ったわけであります。
 こういったデジタル庁の調達ガバナンスの一環として、民間人材の採用時に兼業先の情報などを登録させることになっているわけですよね。ですから、出向元企業から給与を得ているかどうかというのは、これは把握しているんじゃないですか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、私ども、入札制限等のルールをデジタル庁で設けておりまして、それに関連する形で、民間の職員をデジタル庁に採用する際に、今委員御指摘のとおり、兼業先については登録を求めております。
 先ほど、登録を求めている内容については、非常勤の職員として民間企業と兼業している場合もあれば、フリーランスの方もあれば、例えば団体で無償で役員になっている方、これらを幅広く登録していただくこととしておりますので、この間の区別、内訳については今現在把握をしておりませんで、全体として把握をしているという状況でございます。
○塩川委員 大臣にお尋ねしますけれども、デジタル庁の調達において、利益相反を防ぐ観点から、採用時に利益相反行為に関与しないという誓約を提出をし、出身企業には入札制限を行うとされているわけですよね。
 そういった際に、その出向元企業からどの程度の給与を得ているのか。つまり、デジタル庁で働いているお給料よりも民間からもらっているお給料が多いということだって当然想定をされるわけで、そういったときに、出向元企業から給与を得ているということでは公務の公正性に疑念が生じるのではないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○牧島国務大臣 民間企業では大変幅広い知見をお持ちの方もおられますので、こうした人材の知見を積極的に活用することは必要であると考えておりますが、一方で、今御指摘あったとおり、公務の公正性に疑念を抱かれることがないよう十分留意をするということも必要だと考えております。
 民間から採用された職員についても、公正な職務の遂行の維持、職務専念義務の確保、公務の信用保持の観点から、守秘義務、信用失墜行為の禁止など、国家公務員法の服務に関する規定が適用されております。
 また、公正な予算執行を確保していくことは当然でありますので、調達の公平性を確保するため、調達に関与する職員の兼業先等企業及びその親会社、子会社は原則として当該調達案件への参加を禁止するとする独自のルールを設けております。
 こうした取組を行いつつ、公務の公正性に疑念が生じる事案の発生防止に努めてまいりたいと存じます。
○塩川委員 今、出身企業については入札制限を行うという話もありましたけれども、出身企業と情報のやり取りをしないと誓約すれば適用除外として応札を認めるという抜け穴もあります。
 昨年九月のデジタル庁のコンプライアンス委員会では、入札制限制度の適用除外について、委員の方から、企業が本当に落札したいという案件であれば、誰が誰とどのような接触したかは隠蔽するであろうし、容易にできてしまう、不公正性を疑われる状況を避けるため、入札に参加する可能性が高い企業の兼業職員は最初から携わらないなど、調達業務に関する問題点を指摘する意見があったということを真摯に受け止めるべきだと思います。
 時間が参りましたので。調達に関するルール、極めて抜け穴がある、不十分ではありますけれども、そもそもデジタル庁におけるデジタル政策立案への関与に関する規制のルールがないんです。だから、企画立案についていろいろ民間ベースで要望なりがあるような場合について、それを規制するルールがない、そういうところこそしっかりとルールをつくる必要があるということを申し上げて、質問を終わります。