【内閣委員会】子どもの権利を保障する政治への転換を/子ども関連法案

 政府提出のこども家庭庁設置2法案と与党提出のこども基本法案の採決が行われ、両案は自民、公明両党などの賛成多数で可決されました。

 日本共産党とれいわ新選組は、両案に反対しました。

採決への討論は、以下の通り


 私は、日本共産党を代表して、子ども関連法案の討論を行います。

 国連子どもの権利条約を批准してから約30年。貧困、虐待、いじめ、不登校、自殺など、子どもの権利侵害は深刻です。

 このような中、子どもたち自らが意見表明権の重要性を述べ、子どもの権利擁護などの支援を行う方々の運動が広がっています。今回の法制定がこの期待に沿うものでなければなりません。

 今、必要なのは、子どもを権利の主体として明確に位置付け、憲法の基本的人権と、権利条約の4原則を保障する政治への転換です。その具体化のために、子どもが自由に意見を表明し、反映される権利を保障する仕組みとして、独立した立場で政府を監視・評価すると共に、子どもの意見表明を代弁し、個別の事案の相談・救済に対応する子どもコミッショナーは必要不可欠です。また、子どもを支える活動をしている方々の一番の願いである予算と人の確保が求められています。

 しかし、政府には、国の政策によって、子どもの権利を侵害してきたことへの反省がありません。だから、こども家庭庁設置2法案は、「子どもの権利条約」の文言すらなく、子どもコミッショナーもなく、予算と人の担保もありません。

 根本問題に手を付けず、理念も目的もなく組織をいじるだけでは、子どもの権利侵害を解決することにはつながらず、反対です。

 また、「閣法と相まって、子どもに関する取り組みの共通基盤」として提出された与党案についてです。基本理念に条約の4原則を盛り込んだとしていますが、不十分なだけでなく以下の問題があります。

 「養育は家庭が基本」との文言はこれまでの法令にはない規定で、家庭の責任を強調するものです。児童扶養手当や生活保護の改悪など子育て支援の後退を合理化する理由として家庭の養育責任が強調されてきました。この規定は、子どもと保護者にさらなる自助努力を強いるものです。そして、虐待や貧困、ヤングケアラーなど、家庭の中で苦しむ子どもたちが少なくない中で、苦しむ子どもや保護者をさらに追い詰め、一層孤立させることになり、看過できません。

 「教育基本法の精神にのっとり、教育を」とあえて書き込み、教育内容に権利条約の4原則が及ばない建付けにしています。過度な競争・管理教育、いじめ、不登校、理不尽な校則など、教育における深刻な子どもの権利侵害を脇に置くことは容認できません。

 さらに、与党案に盛り込まれた子どものデータ連携を推進する規定は、政府が、個人情報を民間企業の儲けの種として利活用する政策を推進している下で、子どもの個人情報集積を進め、プライバシー権の侵害やスコアリングなどによる権利侵害が生じる恐れを高めるものです。

 以上の理由により、与党案には反対です。

 また、維新提出の子ども育成基本法案には、閣法と同様の理由で反対です。立憲提出の子ども総合基本法案は、子どもコミッショナーを盛り込むと共に、子ども施策の予算の目標を明記しており、賛成とします。

 以上、申し述べ討論を終わります。


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