【議院運営委員会】“総理・官邸奉仕”の人事一元化を正当化/立花人事官に質問

 政府が提示した国会同意人事のうち、立花宏人事官(再任)から所信を聴取しました。

 「国家・国益に奉仕する公務員」を掲げる安倍政権が2014年の国家公務員法改定で幹部人事を内閣人事局で一元管理し、首相官邸が各府省の幹部人事に関与する仕組みがつくられた弊害が、「森友・加計」疑惑などに表れている。前文部科学事務次官の前川喜平氏が、在任当時、官邸から課長級人事にまで「差し替えろ」「処遇しろ」と指示されたと語ったことを示して、経団連時代から幹部人事一元管理を主張してきた立花氏に見解をただし。

 立花氏は「マジョリティー(多数議席)を取った政党が内閣を組織し、内閣が掲げる政策を実現すべく政策チームを動員する。その結果については、次の選挙で国民が判断を下すという対応だ」と、“総理・官邸奉仕”の公務員を生んでいる現状を正当化しました。

 わたしは、政府の重要政策を企画立案・調整する内閣官房で特に大企業出身の非常勤国家公務員が増加していることを指摘。官民人事交流法は、民間企業所属のまま正規職員として公務に従事する場合、出身元企業の業務従事や給与補填(ほてん)を禁止しているが、非正規職員の場合は抜け穴となって、公務の公正中立が損なわれていると、見解をただしました。

 立花氏は、指摘された問題を是正する姿勢は示しませんでした。

 立花氏は経団連専務理事、内閣府参与(国家公務員制度改革推進本部事務局長)を経て、14年から人事官。


「議事録」
<第196通常国会 2018年02月22日 議院運営委員会 7号>

―――参考人の所信に対する質疑―――

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 立花参考人が人事官となりました二〇一四年、人事院勧告においては給与制度の総合的見直しが打ち出されました。職務給の原則や地域経済への影響を考慮せず、地域の民間賃金の水準に公務員賃金を合わせて地域間格差を拡大するものであり、また五十歳代後半層の給与を引き下げるものであります。
二〇一五年四月から三年かけて見直してきた給与制度の総合的見直しは、職務給原則を損ない、勤務地と年齢による賃金格差をつくるものであり、人事院の労働基本権制約の代償機能としての役割を否定するものではなかったか、このように思いますが、御意見を聞かせてください。

○立花参考人 平成二十六年人事院勧告で、給与をめぐる状況の変化ということで、総合的見直しに三年がかりで着手して、二十七、二十八、二十九と三年度で完了するということで進めてきたわけですが、基本は、全国一律の職務給ともいうべき号俸を平均二%下げて、その二%のファンドをもって、いろいろ勤務実態の変化に応じて地域、世代、手当等々に再配分したということで、基本はあくまで、全国一本の職務給ともいうべき号俸をベースに置いているわけでございます。給与法上も、国公法上も、給与について、必要な場合には手当を出す、あるいは地域に応じて手当を出すということも認められているというふうに承知しております。

○塩川委員 この間、大企業などの民間企業出身者が、非常勤の国家公務員として内閣官房で勤務する事例が増加しています。二〇〇七年五十九人が、二〇一六年では百六十人とふえているわけです。
 例えば、医療分野の研究開発を政府一体で推進する健康・医療戦略の事務局である健康・医療戦略室では、スタッフ四十九人中二十三人が日立製作所やアステラス製薬、大塚製薬など医薬品、医療機器メーカーの出身であります。出身企業に籍を置いたまま、非常勤で働いています。役職は課長補佐、係長クラスだが、非常勤なので、年収換算では二百六十五万円とか二百三十万円程度です。
このような実態を御存じでしょうか。

○立花参考人 詳細は私は存じ上げませんけれども、先生が国会の方で、こういった官と民の関係についていかにあるべきかということで質問されたのは承知しております。

○塩川委員 それに関連してお尋ねしますが、確認ですけれども、人事院も関与している官民人事交流法におきましては、公務の公正性を担保するため、民間企業に所属したまま公務で仕事をするときには、出身元企業における業務の従事や給与の補填を禁止していると承知をしておりますが、それでよろしいでしょうか。

○立花参考人 詳細な法的な根拠というのは、ちょっと私も今、にわかにあれですけれども、少なくとも、基本的な狙いは、官の人材が民に行って、いろいろ民間のいい点を学んで、それを官に戻ってまた生かす。それから、民間にすれば、民間のすぐれた人材を、官が三年なり五年なりで来てもらって、民間のすぐれた経験、ノウハウを吸収するということで、プラス効果ということで狙ったんでしょうけれども、基本は、官民人事交流法に基づいて、国民から、ある意味、基本的には後ろ指を指されないといいましょうか、よこしまな心でないということをきちっとやはり確認しながら進めるということが基本であろうと存じます。

○塩川委員 後ろ指を指されないようにという話で、政府は、内閣官房の非常勤職員が出身企業の仕事に従事をしていることや、給与の補填を受けていることを否定しておりません。
先ほども申し上げましたように、これは人事院が答弁しているとおりですけれども、官民人事交流法は、公務の公正性を担保するため、出身元企業における業務の従事や給与の補填を禁止しているわけですが、今回の事例のように、非常勤職員として雇用することが抜け穴となって、公務の公正性が損なわれることになっているのではないのかという懸念がありますが、この点についてのお考えをお聞かせください。

○立花参考人 あくまで、塩川先生の御質問に対して、ちょっと一般論で、必ずしも十分先生の御期待に沿えないかもしれませんけれども、基本は、やはり国民から見て信頼される行政をいかにして築いていくか、それが公務員にとっても非常に大事なわけで、また政府にとっても大事なわけで、したがって、それに対して、法律をきちっと守って取り組んでいくということが大原則だろうというふうに思っております。
 以上でございます。

○塩川委員 終わります。

―――自由質疑―――

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 第二次安倍政権は、国家、国益に奉仕する国家公務員を掲げ、政権の方向性を常に念頭に置いて取り組むよう求め、政権に奉仕する公務員への改革を推進してきました。
 二〇一四年の国公法改定では、幹部職員人事の一元管理と称して、内閣官房に内閣人事局を設け、官邸が各府省の幹部人事に関与する仕組みをつくりました。その弊害が、森友、加計疑惑などにあらわれています。安倍総理夫妻へのそんたくが問われる森友学園疑惑の大もとには、政権に奉仕する公務員をつくる内閣人事局の存在があります。
 前川喜平氏は、文部科学次官時代に、官邸から幹部人事を差しかえろというのは間々あった、官邸の了解が必要ない課長クラスでも、あの人物を処遇しろとか外せと指示されたと述べております。
 立花参考人は、経団連在籍当時から幹部職員人事の一元管理を主張してこられましたが、安倍政権による内閣人事局の設置は、国民に奉仕する公務員から総理、官邸に奉仕する公務員へと公務員制度の変質を推し進めたのではないか。この点をお聞かせください。