【倫理選挙特別委員会】故人名で収支報告提出問題/寺田総務相、規定違反認める/担当大臣の任に値せず

 寺田稔総務大臣の後援会が、亡くなっている会計責任者の名前で政治資金収支報告書を提出していた問題などをただし、「所管する法の趣旨や目的を理解しておらず、大臣の任に値しない」と迫りました。

 寺田大臣の関係政治団体「寺田稔竹原後援会」は、2019年と20年の政治収支報告書を、故人を会計責任者として提出しました。

 私は、政治団体の実態を正確に公開する仕組みとして、届出事項に異動があれば7日以内に届出なければならないと、政治資金規正法に明記されていると指摘。会計責任者が亡くなってから「3年間も訂正しなかった。規定に反することは明らかだ」と追及しました。

 寺田大臣は「7日間以内という規定には反している」と違反を認めたものの、「罰則はない」「すでに是正した」と開き直りました。

 私は、この後援会が寺田大臣自身の名前を冠した後援会であり、寺田氏の公式HPにも事務所として掲載されていることをあげ「関係の深い団体だ」と強調。さらに、竹原後援会は、寺田大臣が代表と務める自民党広島県第5選挙区支部と事務担当者が同じであり、「収入の8割以上が第5選挙区支部からの寄付。一体不可分の関係だ」と指摘しました。

 さらに、寺田大臣個人の確定申告を行う税理士が、竹原後援会を含む5つすべての関係政治団体の政治資金監査を行っている問題をただされると、寺田大臣は「別であることが望ましい」とようやく認めました。

 私は、国会議員の複数の政治団体のカネの流れの透明性を高めるために、政治資金規正法で制度が設けられており、「法も趣旨、目的を理解していない寺田大臣は、担当大臣の任に値しない」と強調しました。


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<時事ドットコム>▶ 寺田総務相、期限までに交代届け出ず 「故人が会計責任者」問題


「議事録」

<第210臨時国会 2022年10月31日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第4号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 この倫選特で議論が行われてまいりましたけれども、寺田大臣の政治資金問題は、所管大臣として看過できない重大問題であります。
 政治資金規正法の目的、基本理念においては、政治資金の収支を国民の不断の監視と批判の下に置くことで、民主主義の健全な発展につながるということ、政治資金の公開が重要だということを強調しております。当然、公開された情報に虚偽があっては、判断を委ねられている国民は判断できないのであって、正確に収支の状況を明らかにすることは基本中の基本であります。政治資金規正法は、その公開についても規定しております。
 寺田大臣は五つの国会議員関係政治団体を持っておりますが、これらの政治団体に関わり、幾つも問題が発覚しています。
 寺田稔竹原後援会の収支報告書に、亡くなった方が会計責任者として、二〇一九年、二〇二〇年と記載されている問題についてですが、先週二十六日の当委員会では、この会計責任者の方が二〇一九年に亡くなっていることを翌年春に認識したこと、二十五日に初めてこの収支報告書を見て、事務処理の詳細を確認中とのことでした。
 二十七日の総務委員会では、事務的なミスであった、会計責任者の職務代行者が存在している、職務代行者が適正に行ったとの答弁がありました。
 大臣にお尋ねいたしますが、この竹原後援会の会計責任者の職務代行者というのはどのような方でしょうか、寺田大臣とはどのような関係にあるのか、御説明ください。
○寺田国務大臣 御指摘の竹原後援会でありますが、私が直接管理すべき団体ではありませんので、直接私がその収支報告書を見るべき、あるいはチェックすべき立場にはございません。
 職務代行者はおりますが、非公開事項でございます。
○塩川委員 先日の答弁の中で、この職務代行者の人とは雇用関係にないとの答弁がありましたけれども、例えば、役務の提供などを求めるような請負関係ですとか、あるいは金銭のやり取り、こういうものはある方なんでしょうか。
○寺田国務大臣 当該職務代行者については、そうした雇用関係、あるいはその他の金銭等は発生しておりません。
○塩川委員 実際に、その会計責任者が亡くなっている中では、職務代行者が収支報告書の提出をされておられると。
 その件については、御本人にお聞きになりましたか。
○寺田国務大臣 私の秘書を通じ、その職務代行者、先ほどもお答えいたしましたが、現実のこの収支報告の事務を行う者も別途存在しております。秘書がこの関係者に聞き取ったところ、会計責任者はお亡くなりになった、この会計責任者の職務を代行する者が職務代行者として代行していたわけでございます。現実的な収支報告の提出、今提出と言われましたが、提出の事務等は、事務を行う者が処理をしていたということでございます。
○塩川委員 提出の事務を取り扱う者が別途いるというお話でしたけれども、この事務担当者というのは、収支報告にもありますけれども、二名の方が書かれております。このお二人ということでよろしいんでしょうか。
 そのお二人は、それぞれ、大臣との関係について、どういう関係にあるのかについて御説明ください。
○寺田国務大臣 収支報告書表面に記載の二名、これは事務担当者として、御承知のとおり記載しております。
 雇用関係については、先ほどもお答えしましたが、一名については、雇用関係はございません。もう一名については、雇用関係のある者です。それは、何か必要が生ずればお手伝いをするという立場で参加をしていたと聞いておりまして、一切後援会から人件費あるいは報酬等は受け取っていないことも確認しております。
 私が申し上げているのは、その二名とは全く別の、別途の、事務を行う者が存在していて、その者が提出を行ったことを確認いたしております。
○塩川委員 その事務担当者の二名とは別に事務を行った者がいた、その者が提出の事務を行ったと。
 その方はどういう方でしょうか。大臣とのつながりはどういう方になるんでしょうか。
○寺田国務大臣 個人名等は伏せますが、雇用関係のない者でございます。
○塩川委員 実際に、でも、提出をしたのは職務代行者ということでよろしいですね。
○寺田国務大臣 現実に提出をしたのは、コロナ禍で郵送だったようでございます。郵送だったようでございますが、その手続を取ったのは、職務代行者でなく、事務を行う者が提出をしたということであります。
○塩川委員 この実際に事務を行った方について、会計責任者の方が亡くなっていたという件についてはどのような確認をされたんでしょうか。
○寺田国務大臣 収支報告書の作成の事務を行っていた者については、会計責任者の死亡情報について、事務的連絡ミスにより事務を行う者に伝わっておりませんでした。
 したがって、当該事務を行う者が、これまでどおり従前の会計責任者の名前で出したという意味で、事務処理を誤ったという報告を受けております。
○塩川委員 国会議員関係政治団体でありますから、大臣がそもそもサインもしているようなそういった関係の団体について、知らないという話では済まされない、適正な処理が行われたと言えるのか、このことが問われているわけであります。
 そこで、寺田大臣はこの問題についてもきちんとした説明責任を求められておりますし、寺田大臣は、会計責任者などの修正は異動届出ができる仕組みがあると答弁をしております。
 この点について、修正のために異動届出の仕組みがあるわけではなくて、政治団体の実態を正確に公開をするためにこの届出の仕組みがあるわけであります。
 大臣にお尋ねしますが、政治資金規正法の第七条には何と書いてあるかは御承知でしょうか。
○寺田国務大臣 第七条ですね。「政治団体は、第六条第一項」、括弧書きはちょっと割愛してよろしいでしょうか、「の規定により届け出た事項に異動があつたときは、第六条第五項に規定する場合に該当する場合を除き、その異動の日」、また括弧書きがございますので割愛をいたしますが、「から七日以内に、その異動に係る事項を第六条第一項の規定の例により届け出なければならない。同条第二項」、また括弧は割愛いたします、「の規定により政治団体が提出した綱領等の内容に異動があつたときも、同様とする。」でございます。
○塩川委員 政治団体は、届け出た事項に異動があったときは、その異動の日から七日以内に届け出なければならないということであります。はっきり書いてあるわけですが。
 大臣、この竹原後援会の会計責任者の件について、この異動届はどうなっているんでしょうか。
○寺田国務大臣 地元秘書を通して確認をさせていただきました。御指摘のように、政治資金規正法上、政治団体の届出事項に異動が生じたときには、その異動に係る事項を届け出なければならないこととされておりまして、御指摘の竹原後援会については、政治団体の異動に係る事項の届出を既に行ったというふうに報告を受けております。
○塩川委員 この問題が発覚する前の時点、その間は届出がされていなかったということでよろしいですね。
○寺田国務大臣 おっしゃるとおり、七日間という規定がございますが、この七日間については過ぎていた、徒過していたことは確認をいたしております。
○塩川委員 ですから、会計責任者が二〇一九年十月に亡くなってから、三年間も届出事項を訂正しないままでいたと。このことは、政治資金規正法の規定に反するということは明らかですよね。
○寺田国務大臣 罰則規定はないものの、七日以内の届出という、先ほど読み上げさせていただいた規定には反していると思います。
○塩川委員 罰則がなければ法に反していても問題ないというふうにお考えでしょうか。
○寺田国務大臣 先ほども申したとおり、既に是正をさせていただいております。
 当該事務を行った者も、誠に申し訳なかったということを言っておりますが、罰則がなければ反してもいいということでありませんで、やはり政治資金については、政治資金規正法にのっとり適切に処理する必要があろうかと思います。
 私自身が直接指揮監督すべき団体ではないので、その点について目が行き届かなかったことは御指摘のとおりでございます。
○塩川委員 七条の異動届出違反であることはお認めになったわけであります。
 ただ、指揮監督の関係にないというお話ありますけれども、国会議員関係政治団体ですから、関係ないとそもそも言えるのかという問題であります。
 大臣自身の名前を冠した大臣を支える後援会のことですから、その後援会の皆さんにとってみたらどんな思いかということが当然浮かぶわけですし、余りにも身勝手な言い方ではないでしょうか。
 この国会議員関係政治団体は、国会議員が後援会などに通知を行います。このことについては、大臣も認識をお持ちであります。しかし、関係がない団体と言い張ることにはそもそも無理があるわけであります。
 寺田大臣のホームページを拝見しますと、事務所として、国会事務所、呉後援会事務所、そして竹原後援会事務所が寺田稔事務所として掲載をされております。まさに、大臣御自身の関係の深い団体だということも、ホームページ上にもはっきりと示されているわけであります。竹原後援会事務所を寺田稔事務所としてホームページに掲載をし、事務担当者は第五選挙区支部や呉後援会と同じ方、寺田大臣と雇用関係のある者であります。
 こういった竹原後援会は、寺田大臣自身と一体のものじゃありませんか。
○寺田国務大臣 私がこれまでも申し上げているのは、指揮監督すべきものではないと言っているわけで、一切関係ないとはこれまでも申し上げておりませんで、この竹原後援会については、おっしゃるとおり、私の国会議員関係政治団体でございます。したがって、今回のこの事務処理等についても、これはもちろん、独立した政治団体でありますので、その政治活動の自由の観点から、もちろん敬意を持って接しておりますし、事務処理を直していただくようにお願いベースでお願いしているところであります。
 もちろん、実体がある団体でございます。この事務所も所在しておりますが、そこにおりますこの事務スタッフについては、雇用関係はございません。
○塩川委員 元々この竹原後援会の政治資金を見れば、その収入の八割以上が大臣が代表の第五選挙区支部から入っているわけであります。そういう点でも、いわば一体ということであるわけで、大臣を支えようという皆さんのそういう後援会活動について、大臣自身が全く別団体とか繰り返し繰り返し国会の中で発言されておられる、それは余りにも無責任でしょうというのは、はたから見ていても、私も思うところであります。
 そこで、事務方にお尋ねしますが、この国会議員関係政治団体、この制度ができた経緯、またその目的は何か御説明ください。
○森政府参考人 お答えいたします。
 平成十九年十二月に、与野党協議の結果、政治資金規正法が議員立法により改正され、この国会議員関係政治団体の制度が創設をされております。
 本改正の背景としては、資金管理団体以外の政治団体による多額の経費計上を受け、資金管理団体に限定した改正では不十分との指摘がなされたこと等を受けてのものでございまして、本改正の趣旨は、国会議員関係政治団体の支出に係る収支報告の適正の確保及び透明性の向上のためであるというふうに承知をしております。
○塩川委員 答弁にもありましたように、この国会議員関係政治団体が導入されたきっかけというのは、いわゆる事務所費問題が大きな議論になったときであります。何とか還元水とか、ああいう議論があったときですけれども、幾つもの政治団体を財布にして使い分けて金の流れが分からないことから、これは、国会議員が関係政治団体であると通知をし、その団体名を公表することになったわけであります。
 さらに、国会議員関係政治団体は、他の政治団体より公開度合いを高めるため、二〇〇九年分の収支報告書から記載金額が低く設定され、少額の領収書も開示することになったわけであります。
 大臣にお尋ねしますが、自ら関係政治団体であると通知した団体を、あくまで別団体と切り離すことは、法の趣旨から見ても間違っているんじゃないでしょうか。
○寺田国務大臣 私自身が代表でもありませんし、役員等も一切兼ねていないわけで、やはり、独立した政治団体として政治活動の自由を有している、実体のある団体でございます。
 もちろん、後援会のお一人お一人の皆様には、大変、私の活動を支援している方々でございますから、お世話になっているわけでございますが、その収支報告について私がチェックをしたり、あるいは、それについて是正をする立場にはないわけでございますが、先ほども申し上げたとおりでございまして、今、お願いベースでお願いをし、是正を図ったところでございます。
○塩川委員 実際、でも、この竹原後援会の収入の八割以上が第五選挙区支部から行っているわけですよね。それは、支出が想定されているから、それに見合うような収入という形での寄附が行われているわけであります。その点では、まさに一体不可分の関係であって、実際の活動にも深く関わっていることなしには、こういったお金の出入りというのはあり得ないわけであります。
 そういう点でも、複数の政治団体の金の流れの公開度合いを高めるために導入をされたという国会議員政治関係団体に関する法の趣旨が、率直に言って、理解されないまま発言をしているのではないのかと思わざるを得ませんが、いかがですか。
○寺田国務大臣 法的には、委員、通知という言葉を言われました。関係政治団体の設立については、当該国会議員自らの同意が必要でございます。
 御承知のとおり、この後援会の収支報告書には、関係政治団体の欄にチェックがつき、記載をされるわけでありますが、実際の個別の運営について細かな関与はいたしておりませんで、もちろん、実態のある活動、私もよく竹原の事務所に行き活動しているわけでございますので、実態のある収支があるのはおっしゃるとおりでございます。そして、第五選挙区支部からも足らざるお金を入れております。もちろん、竹原後援会としての、自らの収入も計上しているところでございます。そうして運営している団体でございますので、法の趣旨に沿った取扱いになっていると思います。
○塩川委員 財布がたくさんあってお金の流れが不透明だから、その公開度合いを高めるという趣旨で出されているわけで、そういう団体と別な団体であるかのように言い募るようなことというのは、これは、率直に言って、政治資金の制度を所管をする担当大臣としてふさわしくないということを言わざるを得ません。
 国会議員関係政治団体の導入に併せて持ち込まれたのが政治資金監査の制度であります。我が党は、登録監査人のチェックを受けたというお墨つきを得ようとするものにほかならないと、この制度導入の議論には反対をしてきたという経緯があります。
 大臣にお尋ねしますが、寺田大臣個人の確定申告をしている税理士が大臣の五つの国会議員関係政治団体の政治資金監査をしているということは、事実ということでよろしいでしょうか。
○寺田国務大臣 政治資金監査人についてのお尋ねでございますが、委員御承知のとおり、一定の研修を修了し資格を得た者しかできない。私が初当選したときには、私の確定申告をしている人、一名しかその資格のある政治資金監査人がおりませんでしたので、当該税理士がこの五つの関係政治団体の政治資金監査を行ってきたところでございます。
○塩川委員 政治資金適正化委員会の政治資金監査に関するQアンドAにおいて、確定申告を受託をしている税理士による政治資金監査は望ましくありませんとあります。寺田大臣の場合、個人の確定申告を行っているのも大上税理士ですし、また、五つ全ての関係政治団体の政治資金監査を行っているのも大上税理士ということで、望ましくない状態にあるわけであります。
 自分が代表を務めていない後援会などは自分は関与していないと言い張っておりますけれども、この東京にある政治団体も含めて五つ全て、自らの顧問税理士が監査を行っていて、どこが関係ない団体なのかと、この点からも指摘をせざるを得ません。
 しかも、これについて、好ましいかどうかはケース・バイ・ケースの判断だろうかと思う、こんな答弁をされていた。十月二十一日の記者会見の説明でも、全く法令上問題がない、こんなことを述べている。
 このQアンドAは、政治資金の担当大臣の立場でありながら、守らなくてもよいということをおっしゃっておられるんですか。
○寺田国務大臣 まず、政治資金規正法上は、これは同一人物であっても全く違反ではないというのは、まず申し上げたいと思います。
 先ほども申し上げたとおり、私が政治活動を開始したときには、当該一名しか存在していなかった。もちろん、第三者性を確保する観点から、確定申告を行う人と政治資金監査人が別であることは望ましいと思います。ただ、私がケース・バイ・ケースというふうに申し上げたのは、別の資格を取った方が、私の地元、今現在、多少増えて三名おります。やっていただけないですかとお願いしたところ、忙しくてできないとか、あるいは、立憲民主党さんの方の監査をしているからできないとか、お断りになられた事実もございます。
 選挙区外の方にもお願いいたしました。そのときも、やはり選挙区内でお願いしてくださいというふうにお断りをされたわけでございまして、なかなか、今、御指摘の大上税理士以外、政治資金監査を行っていただける方が見つかっていないのが現状でございますが、これは、やはり第三者性の観点から、何とか別の政治監査人を見つけて、望ましい状態にしていきたいと思います。努力をしたいと思います。
○塩川委員 事務方にお尋ねしますけれども、この政治資金監査制度は何を目的としているのかについて、説明をしてください。
○森政府参考人 お答えをいたします。
 政治資金監査制度は、外部性を有する第三者が国会議員関係政治団体の全ての支出をチェックすることで、政治団体内部のみで処理されることによって生じ得る誤りを防ぐとともに、職業的専門家が、その知識と経験を生かして公正かつ誠実に政治資金監査を行うことにより、国会議員関係政治団体の収支報告の適正の確保を図ることを目的として導入されたものと承知をしております。
○塩川委員 このQアンドAのこの項というのは、政治資金監査に対する国民の高い信頼を保つ観点から、経済的な利害関係を有している者の政治資金監査は望ましくないと書いております。政治資金監査マニュアルには、政治資金監査においては、外部性の確保が重要と明確にあります。政治資金監査マニュアルもQアンドAも、政治資金適正化委員会の所掌事務として政治資金規正法に明記をされているものです。それを、所管大臣である総務大臣がケース・バイ・ケースと言う。この政治資金監査制度が収支報告の適正の確保には意味を持っていないということを認めるような発言を、答弁をされてこられたという点も、極めて重大だと言わざるを得ません。
 今、答弁が大臣からありましたように、選挙区内で以前は一名しかいなかった、今は三名で、断られた、また、選挙区外の人にも聞いてみたというお話なんかもありましたが、最初の時点では全然そういうお話も何ら言及もされなかったということがありました。
 政治資金適正化委員会で、この間、取りまとめを行っておりますけれども、登録政治資金監査人の登録状況がどうなっているのかについて御説明をください。
○志田政府参考人 お答えいたします。
 政治資金適正化委員会が令和二年三月に公表した「政治資金適正化委員会における取組及び検討状況についての取りまとめ(第四期)」におきましては、以下のような記載がございます。
 登録政治資金監査人の登録者数は順調に推移し、令和二年二月末現在で五千三十人となっている。
  これに対し、平成三十年分の収支報告書の提出義務がある国会議員関係政治団体数(解散団体を含む。)は二千八百八十一団体であり、登録者数がこれを上回っている状況にある。
  都道府県別の登録状況を見ても、全都道府県において登録がなされており、都道府県によっては、登録政治資金監査人一人当たりの国会議員関係政治団体数が一以上となっている地域もあるが、多くの地域では一未満であり、全国平均も〇・五七団体となっている。
と記載されております。
○塩川委員 この適正化委員会は、監査人の登録は順調に推移をしており、国会議員関係政治団体数に対して登録政治資金監査人は足りていると報告をしております。
 こういう立場で、担当大臣の寺田大臣自身が率先して対応することこそ求められていたんじゃないですか。ケース・バイ・ケースなんという答弁をしている場合じゃなかったんじゃないですか。
○寺田国務大臣 先ほども申し上げたとおり、かなり前の段階から、第三者性を確保し、政治資金監査のより望ましい状態に持っていくべく努力をいたしております。
 現状、まだやっていただける方が見つかっておりませんが、私の選挙区内でいうと、なかなか数が増えないし、数が少ないがゆえに皆さんお忙しくて、なかなか現状受けていただけない。今、選挙区外も含めて、何とかこの第三者性を確保する努力をさせていただこうと思います。
○塩川委員 担当大臣さえ守ることができないのが政治資金監査制度ということであるわけで、我が党は、この政治資金監査制度がそもそも監査と言えるものなのかといったことを厳しく指摘をしてまいりました。
 収支報告書の記載内容と会計帳簿、領収書などを突き合わせて、形式的な適正を確認するだけであります。収入や繰越残高については監査の対象外で、領収書に改ざんの形跡があっても、監査人に調査権限はありません。違法な支出があっても、使途の妥当性を評価するものではありません。制度導入後も、政治資金監査を受けていた河井元法務大臣夫妻が有罪となった巨額の選挙買収事件などなど、この監査制度のチェックが意味を成さないということを露呈をしております。
 さらには、この監査制度が導入された際に、収支報告書の公開期限を遅らせたことで、前年の報告書は十一月末にならなければ公開されなくなってしまいました。今、この時点で、去年の二〇二一年分の収支を確認しようとしても、確認できないという状態であります。
 収支報告書はそのまま速やかに公開すればいいのであって、政治資金監査制度は必要がない。この政治資金監査制度は失敗をしているということが、まさに大臣の自らの実践が証明しているんじゃないでしょうか。
○寺田国務大臣 この仕組み、各党各会派の御議論でこの監査制度、平成二十一年でしたか、導入をされたというふうなことでございますので、また、この仕組みが、先ほども事務局長の御報告があったとおり、登録者数も増えてきているのも事実でございますが、非常に、私の選挙区の場合、有権者数も少なく、かつ、税理士さん、弁護士さん等、政治資金監査を行うそのような母数、すなわち、研修を受け、登録をする前の母数もかなり少ないという実情がございます、典型的な田舎、郡部の選挙区でございますので。何とかそこは、全国平均の数字も示されましたが、しっかりと政治資金監査制度の実効を上げるべく努力をしてまいりたいと思います。
○塩川委員 大臣は、政治資金規正法第七条の届出違反、国会議員関係政治団体の趣旨の歪曲、政治資金監査QアンドAを守らない、こういった点で、所管する法の趣旨や目的を理解していない寺田大臣は大臣の任に値しないということを申し上げて、質問を終わります。