【倫理選挙特別委員会】小選挙区の区割り改定案可決/小選挙区制を見直せ

 衆院小選挙区を「10増10減」し、140選挙区の区割りを変更する公職選挙法改正案が、自民、公明、立憲、維新、国民の賛成多数で可決。日本共産党は反対しました。

 私は法案質疑で、今回の区割り改定案が、過去最多で全体の半数の選挙区に及ぶため、「多くの有権者に影響を及ぼす」と指摘。この区割り案でも、最大格差は1.999倍で、2025年国勢調査の結果により、また区割り改定が行われる可能性にも言及。

 「このような、有権者に混乱を招くのは、小選挙区制をとり続けているからだ。小選挙区制の導入以降、区割り改定が行われても格差の問題は続いてきた。そもそも、小選挙区制が投票権の平等という憲法の原則とは矛盾する制度だということを、明らかにしている」と指摘しました。

 私は、これまでの総選挙結果を確認。小選挙区での第1党の得票率は4割台にもかかわらず、6~8割の議席を占めていること。小選挙区で落選した候補者の得票(死票)の割合が半分に及ぶこと。死票率が50%を超える選挙区は17年総選挙で4割、21年総選挙で3割あったことが、明らかとなりました。

 私は、「民意と議席の乖離という小選挙区制の根本的な結果を見直さなければならない」と強調しました。


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「議事録」<質疑>

<第210臨時国会 2022年11月8日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第6号>

○塩川委員 そこで、区割り法案についてお尋ねをいたします。
 今回の区割り改定案は、二十五都道府県百四十選挙区の区割りが変更となります。現行の小選挙区比例代表並立制が導入されて以降、二〇〇一年の改定時は二十都道府県六十八選挙区、二〇一三年の〇増五減による区割り改定は十七都府県四十二選挙区、二〇一七年の〇増六減による区割り改定は十九都道府県九十七選挙区、そして今回、十増十減の区割り改定案は二十五都道府県百四十選挙区、四回の区割り見直しが行われてきております。
 この間行われてきた小選挙区の、〇増五減、〇増六減で区割り変更が行われてきたが、本案により、三たび、三度区割り変更が行われた選挙区というのはどれだけあるんでしょうか。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十五年、平成二十九年に続き、今回の区割り改定で三回続けて区割り改定が行われることとなる選挙区は、二百八十九選挙区のうち十五選挙区であり、具体的には、宮城県の三選挙区、千葉県の二選挙区、東京都の四選挙区、神奈川県の二選挙区、愛媛県の二選挙区、長崎県の二選挙区であると承知をしております。
○塩川委員 十五選挙区もあるということです。かなり多くの選挙区だと思います。
 今回は、格差二倍未満とする、分割市区を減らすという基本方針の下で行われたものですが、今回の区割り改定は過去最多であり、全体の半数の選挙区に及びます。多くの有権者に影響を及ぼすことになります。ある報道では、まさか自分のエリアで区割りが起きるとは思わなかった、応援していた候補者に投票できなくなることには戸惑いを感じると答える声も取り上げられていました。
 大臣にお尋ねしますが、有権者が選挙のたびに不自然な選挙区変更を強いられていることについては、どのように受け止めておられますか。
○寺田国務大臣 先ほども選挙部長の説明がありましたが、平成二十八年の衆議院選挙制度改革関連法などにより、これまで最小限の区割りの改定にとどめたことから、例えば平成二十九年の区割り改定においては、都市部においては選挙区の格差を二倍未満とする、また、地方部においては、各選挙区の人口を基準選挙区以上とするために、市区の分割が多数に上ったものというふうに承知をいたしております。
 一方、今回の区割り改定に当たりましては、令和二年の大規模国勢調査に基づきましてアダムズ方式による配分を行った上で、各選挙区の人口格差を二倍未満とするほか、地域のまとまりなども配慮して、非常に要望が強かった市区町村の分割の解消などが、一部まだ残っておりますが、行われたものと承知をいたしております。
 次回の令和七年予定の国勢調査の結果によりまして格差二倍以上となった選挙区が生じた場合に限って、またこの区割り審において格差が二倍未満となるような改定案を作成する旨が規定をされているわけでございます。
 いずれにしても、今回、そうしたアダムズ法による調整を行ったということで御理解いただきたいと思います。
○塩川委員 有権者への周知を図ることは極めて重要であります。
 さらに、この区割り改定案は最大格差が一・九九九倍。二〇二五年国勢調査の結果では、更に区割り変更が行われる可能性があります。こういった混乱を招くのが、小選挙区制を取り続けているからであります。小選挙区制導入以降、区割り変更が行われても格差の問題は続き、投票価値の平等を保障する抜本的格差是正はできませんでした。
 日本共産党は、一九九三年に政治改革と称して現行の小選挙区比例代表並立制が提案されたときから、小選挙区制導入そのものに反対するとともに、小選挙区制が、少なくない有権者が、市町村の行政単位や地域社会を分断する異常な線引きを押しつけられ、選挙のたびに不自然な選挙区変更を強いられることになると指摘をしてきました。まさに今そのとおりの事態が起こっている。投票権の平等という憲法の原則とは矛盾する制度だと言わざるを得ません。
 選挙制度は民主主義の根幹であり、主権者である国民の参政権の問題であって、その基本原則は、国民の多様な民意を鏡に映すようにできる限り正確に反映することでなければなりません。有権者が投票した票が反映されているのかどうか、この点で、現行の小選挙区比例代表並立制の選挙結果について確認をしたい。
 現行制度が導入されて以降の各総選挙における第一党の得票率と獲得当選人率、比率のみ答えていただけますか。
○森政府参考人 お答えいたします。
 令和三年衆議院総選挙の小選挙区選出議員選挙、第一党、自由民主党、得票率四八・一%、当選人数に占める当選人数の割合は六四・七%となっております。
 同様に、平成二十九年衆議院議員総選挙、第一党は自由民主党、得票率は四七・八%、当選人数の割合は七四・四%となっております。
 平成二十六年衆議院議員総選挙、第一党は自由民主党、得票率は四八・一%、当選人数の割合は七五・三%となっております。
○塩川委員 そのさきにも遡っても七割台。得票率について、第一党の得票率が四割台にもかかわらず、六割から八割もの議席を占めております。得票と獲得議席に著しい乖離が生じています。
 小選挙区は、民意をゆがめて、比較第一党の虚構の多数をつくり出す一方で、少数政党は得票率に見合った議席配分を得られず、獲得議席を大幅に切り縮められる。各選挙区で最大得票の候補者一人しか当選しないために、それ以外の候補者の得票は死票となります。
 二〇一七年、二〇二一年総選挙における落選人の得票、いわゆる死票の合計数が総得票数に占める死票率、比率のみお答えいただきたい。
 また、一七年、二一年総選挙で、死票率五〇%以上、六〇%以上の小選挙区数はどれだけになりますか。
○森政府参考人 お答えいたします。
 平成二十九年衆議院議員総選挙の小選挙区選出議員の選挙結果における死票率の方だけということでございましたので、四八%となっております。
 また、全体二百八十九小選挙区のうち、小選挙区ごとの総得票数に占める落選者の得票数の合計の割合が、五〇%以上の小選挙区の占める割合が四一・二%、六〇%以上の小選挙区が占める割合は四・五%でございます。
 また、次に、令和三年衆議院議員総選挙において、落選者の得票数が、総得票数に占める落選者の得票数の合計の割合、四六・五%となっております。
 また、全体二百八十九小選挙区のうち、小選挙区ごとの総得票数に占める落選者の得票数の合計の割合が、五〇%以上の小選挙区の割合は三一・一%、六〇%以上の割合は三・八%でございます。
○塩川委員 自民党について見れば、結党直後の一九五八年総選挙で、有権者全体に占める得票割合、絶対得票率は四四・二%でしたが、昨年総選挙の比例代表での自民党の絶対得票率は一八・九%でした。
 自民党政権は、有権者全体の二割に満たない支持で獲得した多数議席の下で、国民の反対を押し切って、これまで、安保法制の立憲主義のじゅうりんを始め、秘密保護法や共謀罪法など、憲法破壊の政治を強行させてきた。まさに小選挙区制の害悪を明白に示すものです。
 民意を集約した虚構の多数政権による強引な政治、多数のおごり、国民の民意を反映しない政治をつくり出してきたこの小選挙区制の根本的な欠陥を見直すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

「議事録」<反対討論>

<第210臨時国会 2022年11月8日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第6号>

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、区割り改定法案に反対の討論を行います。
 本案は、アダムズ方式を導入して定数配分し、政府の衆議院議員選挙区画定審議会勧告に沿って衆院小選挙区十増十減の区割りを改定するとともに、衆院比例代表のブロック定数三増三減を確定するものです。
 今回の区割り改定案は、二十五都道府県百四十選挙区の区割りが変更されます。過去最多であり、全体の半数の選挙区に及び、多くの有権者に影響を及ぼすこととなります。
 度重なる区割り改定に、都道府県からは、有権者に混乱を招く、選挙管理委員会の事務負担が大きいとの声が上がっています。
 さらに、この区割り改定案では、最大格差一・九九九倍です。二〇二五年国勢調査の結果により、また区割り変更が行われる可能性があるのです。
 日本共産党は、現行小選挙区制について、少なくない有権者が、市町村の行政単位や地域社会を分断する異常な線引きを押しつけられ、選挙のたびに不自然な選挙区変更を強いられることになると指摘してきました。まさにそのとおりの事態が引き起こされています。
 これほど大きな区割り変更を行っても、格差の問題は続きます。これは、小選挙区制が元々、投票権の平等という憲法の原則とは矛盾する制度であるということを示すものです。
 二〇一六年の衆院選挙制度関連法で、国勢調査のたびにアダムズ方式の定数配分と区割りを見直す仕組みを盛り込み、長期にわたり小選挙区制を温存したことが間違いであったことは明らかです。
 憲法が求める投票価値の平等は、選挙区間の人口格差是正にとどまりません。
 そもそも、選挙制度は民主主義の根幹であり、その根本は、国民の多様な民意を正確に議席に反映することです。
 現行制度の最大の問題は、第一党が四割の得票で六割から八割の議席を獲得し、半数に上るいわゆる死に票を生み出すことです。我が党は、制度の提案当初から、小選挙区制が民意の公正な議席への反映をゆがめ、比較第一党が虚構の多数を得ることで強権政治を推し進めようとするものだと批判してきました。
 民意と議席に著しい乖離を生み出す小選挙区制は廃止し、民意を反映する選挙制度へ抜本的に改正、改革すべきです。
 この際言っておかなければならないのは、議員定数の問題です。
 衆院定数十削減を行った一六年関連法の議論では、議員定数削減の理由も根拠も見出せず、これ以上の削減は難しいというのが結論でした。この結論を無視し、国民の声を代弁する定数を削減することは断じて許されません。
 このことを改めて強く主張し、反対討論を終わります。