【内閣委員会】東京五輪汚職/国の責任で検証を

 東京五輪・パラリンピックの汚職事件に対し、同大会に多額の税金を投入し、国の職員を派遣して推進した国の責任で検証を行えと主張しました。

 スポーツ庁は「清算法人である東京五輪組織委員会が責任をもって対応すべきだ」と国の責任を否定。

 私は「清算法人でできるのか。国として検証するのが当たり前だ」と追及しました。

 スポーツ庁は「スポーツ庁とJOCが中心となって競技大会の組織委員会のガバナンス体制や情報公開の在り方を検討するため、プロジェクトチームを設置した」と答えたのに対し、私は「それはあくまで今後の大会の運営の検討であって、今回の事件の検証ではない」と批判しました。

 また、私は、オリパラ特措法第28条で組織委員会の役員及び職員を「みなし公務員」と規定する理由を質問。

 スポーツ庁は「東京五輪が極めて高い公共性・公益性を有し、組織委員会の業務遂行は高い公平性・適正性が求められるため」と答えました。

 その一方で、高い公平性が求められる「みなし公務員」の出向元となった400の民間企業の内訳と電通からの出向人数については「組織委員会は公表していない」と明らかにしませんでした。

 私は、「みなし公務員としての公的な資格をもっているのだから、民間企業から何人出向しているのか明らかにするのは当然だ。ここをあいまいにしている国の責任が問われる」と批判。NHK報道では、組織委マーケティング局306人中、電通からの出向者が110人を占めていたとされることを指摘し、高橋元理事が組織委員会理事となった経緯や、組織委における高橋元理事と電通との関係について、国の責任で真相解明を行えと強調しました。

 松野官房長官は「組織委員会が責任をもって対応すべきだ」と繰り返しました。


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「議事録」

<第210臨時国会 2022年11月16日 内閣委員会 第8号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、東京五輪・パラリンピック贈収賄事件について質問をいたします。
 この汚職事件は、五ルートに拡大し、東京大会組織委員会元理事で電通元専務の高橋容疑者は、受託収賄罪で四回起訴され、収賄額は約二億円となったということであります。KADOKAWA、AOKIトップらを含む計十五人が起訴されました。
 商業五輪が生み出した利権の構造を徹底的に明らかにするとともに、なぜこのような不祥事を防ぐことができなかったかの検証は欠かすことができません。
 この汚職事件の検証については、多額の国民の税金を投入をし、オリパラ支援のための特措法を制定をし、オリパラ大会組織委員会に多数の国の職員を派遣してきた国自身が責任を持ってこの検証を行うべきではありませんか。
    〔委員長退席、神田(憲)委員長代理着席〕
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の組織委員会の元理事等が逮捕、起訴された件につきましては、組織委員会が個別企業と結んだスポンサー契約に関連するものであることから、現在は清算法人である組織委員会が責任を持って対応すべきものと認識しており、政府としては、今後の刑事手続を注視していきたいと考えております。
 他方、今回の事案がスポーツ界全体に及ぼす影響の重大性に鑑み、スポーツ庁及びJOCが中心となり、今後の国際競技大会等の運営の透明化、公正化に向けて、ガバナンスの在り方あるいは情報公開等について検討を開始することとしております。
 一方、今回の検討は、あくまで、今後の国際競技大会等の運営の透明化、公正化に向けての検討であり、今後の刑事手続に支障を来さず、かつ守秘義務に違反しない範囲で、組織委員会からの情報提供や元職員の方々から一般的な組織体制あるいは制度等についてのヒアリングを通じて、中立的な立場である弁護士や会計士の専門家が分析を行い、改善点を明確にし、今後の再発防止につなげる検討を作成するものでございます。
○塩川委員 清算法人である組織委員会が第一義的に責任を持って対応するって、清算法人でできるんですか、それが。
○星野政府参考人 基本的には、刑事手続に委ねるということになるかと思います。
○塩川委員 刑事は刑事ではっきりさせるというのは当然ですけれども、まさにこういった大規模なイベントを行った際に、国が深く関与して行っているわけですから、国として検証を行うのが当たり前で、今述べたような、スポーツ庁、JOCの検討プロジェクトチームの話もありましたけれども、あくまでも今後の大規模の国際競技大会の運営についての検討であって、今回の事件についての検証を行うものになっていない。そこはやはり、改めて、国としてしっかりと、この汚職事件についての検証を行うべきじゃありませんか。
○星野政府参考人 繰り返しになりますけれども、今回の元理事等が起訴された件につきましては、組織委員会が個別企業と結んだスポンサー契約に関連するものであることから、組織委員会が責任を持って対応すべきものと認識しており、政府としては、刑事手続を注視していきたいと考えております。
○塩川委員 組織委員会に責任を押しつける話じゃないんですよ。そういった仕組みそのものをつくったのは、オリパラ特措法もあるわけで、それを閣法としても提出をしているわけで、これについてどうだったのかということは、国が責任を持ってこの検証を行うのは当然のことであります。
 オリパラ特措法の第二十八条には、「組織委員会の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」という、みなし公務員の規定が設けられております。このみなし公務員とは何か、なぜ民間人をみなし公務員とするのかについて説明を求めます。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
 みなし公務員の規定は、組織委員会の役職員が、刑法その他の罰則の適用に関し、法令により公務に従事する職員とみなすものでございます。
 東京大会は、極めて高い公共性、公益性を有するものであり、大会の組織委員会の業務遂行につきましては、高い公正性、適正性が求められることになることから、過去のオリンピック競技大会あるいはワールドカップサッカー大会の例に倣いまして、刑法等の罰則規定の役員及び職員への適用に関する、みなし公務員規定を置くこととしたものでございます。
○塩川委員 公共性、公益性を有する事業であり、公正性、適正性が求められる、まさに国費も投入されて行われる、そういう公的な事業であるからこそ、国が特措法も作って、そういう中で、みなし公務員の仕組みも設けているわけであります。
 そういう点でも、組織委員会において、みなし公務員となっている役員及び職員というのは何人なんでしょうか。この出向元はどこなのか、国、自治体、民間の人数を明らかにされたい。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会公式報告書によりますと、令和三年七月時点で、同組織委員会の職員数は約七千名だったとのことでございました。同組織委員会によれば、全ての役職員がみなし公務員の規定の対象であると整理していたとのことでございます。
 また、職員の出向元等につきましては、組織委員会によれば、公式報告書では、都職員に関し約一千名まで段階的に拡大、各省庁からは約百名、地方自治体からは約五百名、民間企業からは約一千名の派遣又は出向を受けていた、約四百の企業や団体からの協力の下、多種多様な人材で構成された組織となったとの記載がありますとのことでございました。
○塩川委員 公共性、公益性を持つ事業、まさに公正性、適正性が求められる、こういった事業におきまして、民間における様々な契約もあった際に、みなし公務員として刑事罰の対象となるという点でも、まさにその公共性が求められるオリパラ事業だったわけですが、そういった際に、民間企業、四百の企業という話がありましたけれども、この出向している民間企業の内訳を是非明らかにしていただきたい。そのうち電通は何人入っているのか、この点について説明してもらえますか。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
 清算法人であります組織委員会によりますと、各企業からの出向者数を始めとした情報は、各企業の内部情報に関することであり、公表していないとの回答でございました。
○塩川委員 いや、みなし公務員として、まさに公的な資格を持っているわけです。別に一人一人の名前を求めているわけではないわけで、民間企業から何人が出向をしてそこで仕事を行っていたのか、これは最低限明らかにする、当然の情報じゃないでしょうか。
 そういったことについて、なぜ要求しないんですか。
○星野政府参考人 報告書によりますと、民間企業からは約一千名の派遣又は出向を受けていたとの記載がございますが、個々の企業に関しましては、各企業からの出向者数を始めとした情報は、内部情報に関することであり、公表していないとの回答でございました。
○塩川委員 何で内部情報なんですか。だって、みなし公務員として、公的な性格を持って仕事に当たっているわけでしょう。少なくとも、出向元の企業、どこで何人かというのは、最低限明らかにできるんじゃないですか。
○星野政府参考人 組織委員会の回答は、公表していないということでございました。
○塩川委員 こういうところを曖昧にしているという点で、まさに国の責任が問われるわけであります。
 役員についてはどうか。役員の出向元の内訳を是非明らかにしていただきたい。うち電通が何人か、答えていただけますか。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
 清算法人でございます組織委員会によりますと、定款の定めによれば、役員は理事及び監事であるが、組織委員会の理事及び監事は、電通を含め、出向者はおりませんでしたとのことでございました。
○塩川委員 例えば、高橋元理事につきましては電通のOB。そういった、各企業の、元々の出身、関係について確認するということはできますか。
○星野政府参考人 公式報告書におきまして、役員のその時点での出自は公表されていると承知しております。
○塩川委員 是非、そういう点、明らかにしていただきたい。
 みなし公務員は、職務に関して金品を受領することを禁じられております。高橋元理事は、自らがみなし公務員となることについて十分に確認していなかったという報道もあります。
 国は、特措法に基づくみなし公務員の規定について、文書等で周知徹底を図ったんでしょうか。
○星野政府参考人 オリパラ特措法には、みなし公務員の規定のみならず、国有財産の無償使用や、組織委員会への国の職員の派遣の規定等、直接的に組織委員会に関する規定が多々あることから、同法の内容につきましては、立案段階から、国から組織委員会に対して、累次にわたり情報共有しており、組織委員会は十分に認識していたと考えております。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会公式報告書には、「組織委員会は、高い公益性を持つと同時に、役職員は、刑法その他の罰則の適用について、法令により公務に従事する職員とみなす、いわゆる「みなし公務員」となるため、法規等を遵守し、及び尊重し、社会的信頼を確保することは非常に重要であった。」との記載があり、組織委員会としての規定の重要性の認識を示していると考えております。
○塩川委員 いや、ですから、それが本当に徹底されていたのかという話なんですよ。七千人からの職員ということになるわけですけれども。
 要するに、特措法の重要な中身について、特にみなし公務員の規定について、国として組織委員会にどう周知徹底を図るのかといった点で、国が、みなし公務員の周知徹底のために、文書等でこういう中身ということを伝えるようなことはしなかったんですか。
    〔神田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕
○星野政府参考人 繰り返しになりますが、同法の内容につきましては、立案段階から、国から組織委員会に対して、累次にわたり情報共有しておりました。
 なお、今回の特措法の関係者は組織委員会に限定されることから、一般に大学や地方公共団体に幅広く発出する施行通知等は発出しておりませんでした。
○塩川委員 いや、だから、国として何にも周知徹底を図っていないんですよ、情報共有していたというだけの話であって。ですから、現場では、みなし公務員という認識すらないような、そういうスタッフが仕事に従事をしていた。ここに大きな問題の背景があるわけであります。みなし公務員について国がまともな説明を行っていない、その責任は極めて重大であります。
 官房長官にお尋ねします。
 組織委員会は、二〇一四年の一月に発足をしました。森喜朗元首相が会長になりました。発足時の組織委員会の定款では、理事の上限は三十五人で、三十四人は三月に決まりました。同じ三月に電通が専任代理店に内定をし、六月に高橋容疑者が三十五人目の理事として承認をされました。
 電通OBと電通が、お互いに稼ぐために共存共栄を図ったのではないのかといった報道もあります。電通丸抱えだったことが事件の根底にあるわけです。
 NHK報道によれば、組織委員会のマーケティング局三百六人中、電通からの出向者が百十人を占めていたといいます。局長や部長などのほとんどが電通からの出向だった。組織委員会、電通丸抱えというのが、ここに端的に表れております。そこに元電通役員の高橋容疑者が理事として加わったことで、今回の汚職事件につながったのではないのか。こういった全容を明らかにする必要があります。
 高橋理事選任の経緯や、組織委員会における高橋元理事と電通の関係などを明らかにすべきだ。この点、国が責任を持ってこの解明を行う、検証を行うことが必要だと思いますが、官房長官、お答えください。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
 先ほど政府参考人からも答弁をしたとおりでございますけれども、東京大会の組織委員会の元理事等が逮捕、起訴された件につきましては、組織委員会が個別企業と結んだスポンサー契約に関連するものであることから、原因の究明であったり、組織としての責任はどこにあったのかという点について、当事者である組織委員会が責任を持って対応するべきものと考えています。
 その上で、今後の国際競技大会等の運営の透明化、公正化に向けて、昨日、スポーツ庁も参画するスポーツ政策の推進に関する円卓会議の下に検討プロジェクトチームを設置したところであります。
 今後、このプロジェクトチームにおいて、スポーツ庁及びJOCが中心となり、大会組織委員会等のガバナンスの在り方や情報公開等について検討を進めていくものと承知をしております。
○塩川委員 この検討プロジェクトチームは今後の話なんですよね。ですから、今回のこの汚職事件についての真相解明をしっかり行う必要があるわけで、そういう点でも、組織委員会の理事会の在り方の問題については、これはこれとして、しっかりとやれることがあるわけであります。
 こういったことこそ、しっかりと行うべきではありませんか。改めて一言いかがでしょうか。
○星野政府参考人 繰り返しになりますけれども、今回の元理事等が逮捕、起訴された件につきましては、組織委員会が個別企業と結んだスポンサー契約に関連するものであることから、原因の究明であったり、あるいは組織としての責任が那辺にあったのかという部分については、当事者である組織委員会が責任を持って対応すべきものと考えており、政府としては、刑事手続を見守りたいと思っております。
○塩川委員 国として、しっかりとした真相解明、検証を行うべきだ。特に、必要な資料について、議事録などを保管、開示をする、こういうことこそ改めて求められている。
 必要な対策を取ることを求めて、質問を終わります。