【議院運営委員会・国葬検証各党協議会】いま必要なのは、安倍政治の検証

 安倍国葬について意見表明しました。発言の内容は以下の通りです。


 安倍国葬は、安倍元総理に対する「敬意と弔意を国全体としてあらわす儀式」として行われました。

 安倍氏の国葬について世論が二分し、6割が反対の声を上げていたように、安倍氏の政治的評価が分かれているのに、その安倍氏に対して敬意と弔意を国全体としてあらわす儀式を行うことは、弔意の強制となり、思想・良心の自由を侵害するものとなります。

 実際、国家公務員に対する黙とうの要請や山口県教委の半旗要請など、事実上黙とうや弔意が強制され、思想・良心の自由を侵害するものとなったことは重大です。

 有識者ヒアリングでも「(弔意の表明については)要請にとどめても憲法上疑義がある」「教育現場への要請は望ましくない」(南野森氏)と指摘されている通りです。

 戦前の国葬令は、日本国憲法制定時に廃止されました。それは、国民主権、法の下の平等、思想・良心の自由、政教分離の原則など、現行憲法の精神とは相いれないものだったからです。

 岸田総理も、戦前の国葬令について、日本国憲法の精神に反するものがあるから全体として廃止したと答弁しています。有識者ヒアリングで「(戦前の国葬は)民衆の意思、言論を抑圧し、国民を一つに統合しようという機能を持っていた」(宮間純一氏)との指摘がありました。現行憲法の下で、国葬を行うことは許されません。

 しかし、政府は「国葬については、その時の内閣の判断で行う」としています。その時の内閣の一存で、恣意的に行うことは免れません。

 安倍元総理の「功績」を強調し、国葬という特別扱いをすることで、その後継者としての岸田総理の政治的立場を強化、正統化するものとなります。

 有識者ヒアリングでも「恣意的な判断がなされるリスクは確かに含まれている」(長谷部恭男氏)、「そのような効果を狙っている」「死者の政治利用」「政治家の国葬は不要」(南野森氏)といった意見が述べられました。

 政治家の国葬は、党派的な政治利用になります。政治家の国葬の実施は認められません。

 いま必要なのは、安倍政治の検証です。

 安倍国葬で岸田総理が安倍氏の事績として取り上げたのは、防衛庁の「省」昇格、改憲手続法の制定、教育基本法の改定、安保法制・秘密保護法の制定、日米同盟強化など、憲法と立憲主義破壊、米国言いなりの政治の推進であり、2度にわたる消費税の増税など財界奉仕の政治の推進でした。

 一方で全く触れなかったのは、モリ・カケ・桜といった国政私物化であり、反社会的反国民的団体である統一協会との安倍家三代にわたる癒着の問題でした。

 いま行うべきは、これらの政治の闇の徹底解明であり、安倍政治の総括であります。

 以上、安倍国葬の検証に関する意見表明を終わります。


安倍政治の検証こそ/「国葬」検証協議会/塩川氏が主張

「しんぶん赤旗」12月3日・2面より

 安倍晋三元首相の「国葬」を検証する衆院各派代表者による協議会は2日、会合を開き、各党による意見表明が行われました。

 日本共産党の塩川鉄也議員は、安倍「国葬」は安倍元首相に対する「敬意と弔意を国全体としてあらわす儀式」として行われ、実際に公務員に対する黙とうや山口県教育委員会の半旗要請などが行われたことをあげ、「事実上の黙とうや弔意が強制されたのは重大だ」と批判しました。

 戦前の国葬令は、日本国憲法の制定時、国民主権、法の下の平等、思想・良心の自由、政教分離などと相いれないと廃止されたと強調し、「現行憲法下で国葬を行うことは許されない」と主張。

 しかし、政府は国葬について「その時の内閣の判断で行う」としており、内閣の一存で「安倍氏の『功績』を強調し、国葬という特別扱いをすることで、後継者としての岸田文雄首相の政治的立場を強化、正統化するものになる」と指摘。有識者ヒアリングでも「恣意(しい)的な判断がなされるリスクは含まれる」(長谷部恭男氏)、「死者の政治利用だ」(南野森氏)などの意見が述べられたことをあげ、「政治家の国葬は党派的な政治利用になる。政治家の国葬実施は認められない」と主張しました。

 その上で、「いま必要なのは安倍政治の検証だ」と主張。安倍「国葬」で岸田首相が“事績”として取り上げたのは、「憲法と立憲主義の破壊」「米国いいなりの政治」「財界奉仕の政治」の推進だったと指摘。一方、国政私物化、統一協会と安倍3代にわたる癒着などの問題に全く触れておらず、「いま行うべきは、これらの政治の闇の徹底解明であり、安倍政治の総括だ」と重ねて主張しました。