除染土再利用実証事業は撤回を/反対集会に参加/埼玉・所沢

 所沢の環境調査研修所での除染土再利用実証事業反対集会に参加。

 過去の除染土再利用実証事業は福島県内の2ヵ所。所沢市のように、近隣に住宅が立ち並ぶ場所での実施例はない。市民の理解を得られない事業は認められない。

 二本松市でも、南相馬市でも、住民の運動で計画を撤回させた。所沢でも!


除染土再利用の実証事業/近隣だけ説明会/市民ら抗議の声/埼玉・所沢

「しんぶん赤旗」12月21日・首都圏版より

 環境省が福島県内の除染で出た土を再利用する実証事業を埼玉県所沢市で行おうとしている問題で16日夜、同市にある同省の環境調査研修所で住民説明会が開かれました。

 環境省は東京電力福島第1原発事故後の除染土について、放射能濃度が1キログラムあたり8000ベクレル以下の土を公共事業などに使うとして、福島県外での実証事業を計画。所沢市の環境調査研修所を含む3ヵ所の同省関連施設があげられています。

 説明会は近隣住民56人が参加し、3時間以上に及びました。同研修所の前では、「さよなら原発・in所沢連絡会有志」「福島原発裁判を支える会・所沢」「原発再稼働に反対する埼玉連絡会」「さようなら原発川越の会」の4団体が呼びかけた抗議行動が取り組まれました。

 集まった市民らは、「説明会はこの周辺の住民だけが対象で、周知方法も掲示板で知らせただけ。多くの所沢市民が何も知らないなか、説明会をやったから『市民は受け入れた』なんて言わないでほしい」「所沢だけの問題じゃない。どこであろうと『汚染土』を広けるのはだめ」と抗議の声をあげました。

 日本共産党の塩川鉄也衆院議員は「この事業は原発推進にもつながる。福島県内でも署名を集めて計画を徹回させた。所沢でも実証事業のストップへ、みなさんと頑張ります」と表明。城下のり子市議(県議候補)は、同日の市議会一般質問でこの問題を取り上げたことを紹介し「福島のみなさんから『所沢市民頑張れ』と背中を押されたことに、奮い立たされた」と訴えました。

基準もなし

 説明会後、環境省の担当者が開いた会見によると、説明会では20人以上から、説明会の周知が不十分なことや、もっと広く公開すべきとの意見、なぜ所沢で事業を行うのか、事業の安全性などについて質問があったといいます。

 同省の担当者が、参加者からの「どういう状態になったら住民の同意を得られたとなるのか」との質問に対し、「明確な基準は持っておらず、同意をとって進める事業ではない」と答えたと話す場面も。この発言に対し、記者から質問が相次ぎ、担当者は「同意を得るつもりがないのではなく、(同意を得るための)決まった手続きがないということ。みなさんが反対しているのに、環境省がごり押し的に進めることは考えていない」と釈明しました。

「賛成」0人

 担当者によると、事業に対し明確に「賛成」と話した参加者はおらず、明確に「反対」と話した参加者は何人かいたといいます。

 説明会に参加した50代の男性は「実際に多くの『汚染土』があり、いまだに福島に戻れない人がいるのは大変なことだと思うが、そもそも原発を推進してきた国に責任があるのでは」と話します。

 50代の女性は「参加者の中に『この事業に賛成の人は手を挙げて』と言った人がいましたが、手を挙げた人は誰もいなかった。質間したほとんどの人が事業に不安や疑問を感じていたと思うし、事業が安全かのように語る環境省は無責任です。この問題を広く市民に知らせて意見を聞き、尊重してほしい」と語りました。