除染土再生利用実証/所沢でも市民の声を集めて撤回を

 環境省は、所沢市にある環境調査研修所で、原発事故によって汚染された土壌である除染土の再生利用実証事業を計画している。

 過去の除染土再生利用実証事業は、福島県内の2か所で実施。南相馬市の事業場所は、住宅から1キロ近く離れた田んぼの中。飯館村の場合は、山あいの場所で帰還困難区域内。所沢市のように、近隣に民家が立ち並ぶ住宅地の近傍での実証事業は例がない。

 所沢ではかつて、産廃焼却によるダイオキシン汚染が大問題となった。最近では米軍所沢通信基地に、県の残土規制条例の適用を受けない米軍横田基地の残土が搬入された。土壌汚染の調査も行われていない残土搬入に反対の声が上がった。市民の理解を得られない除染土再生利用実証事業は認められない。

 環境省は、放射能濃度が低いから安全だというが、再生利用する除染土の放射能濃度の基準8000ベクレルは、原発事故の際に放射性廃棄物を少なく見せようとしてつくった基準。一方、原発の廃炉で発生する汚染物質を再利用する際の基準は100ベクレル。これ自体も高いが、8000ベクレルは、その80倍。高すぎる。

 政府は今、原発再稼働・運転期間延長とともに、原発新設を計画している。その時の立地場所は廃炉原発の跡地。廃炉原発の汚染ごみを片付けないと原発が新設できない。放射性廃棄物の再利用という点で、除染土の再生利用が進めば、廃炉原発の汚染ごみの再生利用も進めやすくなる。原発事故がなかったかのように、原発の推進は許されない。

 二本松市では、市民が5千の署名を集めて、実証事業を撤回させた。南相馬市でも、地元区長や市民が反対を表明し、3千人の署名を集めて、計画を中止させた。所沢でも、市民の声を集めて撤回させよう。