【内閣委員会】大軍拡の財源確保で、くらし・文教費にしわ寄せ

 大臣所信質疑で、大軍拡予算を確保するための「歳出改革」について質問し、文教費や公共事業費を削減させる仕組みになっていることを明らかにしました。

↑資料1(クリックで拡大)

 政府は「歳出改革」として23年度からの5年間で非社会保障分野から3兆円を捻出し防衛費に回す計画です(配布資料1)。

 私は、「23年度は二千億円、24年度は4千億円、25年度は6千億円、26年度は8千億円、27年度以降は1兆円削減するということか」と質問。財務省はその通りだと認めました。

 私は、非社会保障費の大部分を占めるのは文教費や公共事業費であることを示し(配布資料4、5)、「大軍拡によって、文教費が大幅に減らされるのではないか」と質問。

↑資料4(クリックで拡大)
↑資料5(クリックで拡大)

 財務省は「23年度予算で、文教費は129億円増やした」と答えたのに対し、私は「物価高騰の中で実質マイナスだ」と指摘し、「この仕組みでは文教費を増やすことはできない」と強調。「首相が言う子ども予算倍増に文教費は入っていないということか」と追及しました。

 松野官房長官は「必要な施策を実施していく」と正面から答えませんでした。

 私は、教育など暮らしの予算を削る大軍拡を撤回せよと主張しました。

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「議事録」

<第211回通常国会 2023年2月10日 内閣委員会 第2号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 新たな防衛力整備計画に関する財源確保についてお尋ねをいたします。
 我が党は、五年間で四十三兆円という大軍拡と、その財源確保には反対であります。この立場で質問いたします。
 防衛力整備計画期間中の二〇二三年度から二七年度までの財源確保は、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入、いわゆる防衛力強化資金、税制措置、国債発行などで行うとしております。
 そこで、今日は歳出改革についてお尋ねをいたします。
 この歳出改革というのはどのような改革を行うのかについて、説明をいただけますか。
○前田政府参考人 お答え申し上げます。
 今、防衛力整備計画に関する財源確保のうち、歳出改革について具体的にどのように取り組むのかというお尋ねでございました。
 今般の防衛力強化の財源確保に当たりましては、国民の皆様の御負担をできる限り抑制するといった観点から、徹底した歳出改革は必要であろうと考えてございます。
 具体的には、従来の歳出改革の取組を継続をするということといたしまして、防衛費の増額に当たりましても、非社会保障関係費全体を見直すことで財源を確保してまいりたいという方針の下、令和五年度予算におきましては、非社会保障関係費の増加額を千五百億円程度とする中で、二千百億円の防衛関係費の増額を確保したということでございます。
 令和六年度以降におきましても、同様の考え方の下、毎年度の予算編成過程において検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○塩川委員 その説明だけだとさっぱり分からないんですよ。配付資料の二枚目の一番下の歳出改革、これを読み上げているわけですけれども、その解説をちゃんとしてほしいんです。この千五百億円と二千百億円の関係もよく分からないんですけれども、その点。
○前田政府参考人 それでは、お答え申し上げます。
 この千五百億円と二千百億円の関係ということでございました。
 今回、令和五年度予算におきましては、骨太の方針等に基づきまして、経済、物価動向等を踏まえて柔軟な対応を行いつつ、これまでの歳出改革の取組を実質的に継続することとされてございます。
 したがいまして、社会保障関係費以外、非社会保障関係費の増加額につきましては、従来、プラス三百三十億円程度に抑えてまいりました。これに対しまして、令和五年度につきましては、消費者物価上昇率が、平成二十五年度から令和三年度まででございますが、過去平均の約四・五倍になると見込まれておりますことから、全体で三百三十億円掛ける四・五の千五百億円程度の増加にするという方針がございまして、その中で、防衛関係費以外の非社会保障関係経費につきまして一層の効率化、これが六百億円程度のマイナスでございます、を図ることで、防衛関係費の増額のうち、二千百億円程度に対する財源を確保した、こういうことでございます。
○塩川委員 来年度の軍事費以外の非社会保障経費について、この一年間の歳出削減実績の、今言った、一層の効率化と言っていた六百億円と、それから物価上昇見込みに相当する千五百億円、これについては合わせて二千百億円ということで、防衛費、軍事費に回すということであって。ですから、来年度の軍事費以外の非社会保障経費について、この一年間の歳出削減実績六百億円を継続するとともに、物価上昇見込みの千五百億円分はそれ以外のところに回さずに、合わせて二千百億円の財源をつくり、これを軍事費に充てるということでよろしいですか。
○前田政府参考人 来年度の物価上昇見込み等、物価、経済上昇の見込みというのは、また別途、それぞれの予算編成過程で検討することになりますけれども、基本的な考え方は先生のおっしゃるとおりでございます。
○塩川委員 ですから、この一枚目でいうと、令和五年度の歳出改革のところが二千百億円、〇・二兆円になるんですけれども、更に各年度積み上げて、合計で三兆円になりますよね。これはどういう理屈でなるのか。
 つまり、来年度、二千百億円、物価上昇分を抑えるということと、この一年間で減らした六百億円、それを足し上げて二千百億円になりますから、そういう努力を今後も毎年度毎年度重ねていくということで、ですから、令和六年度でいえばそれが四千億円になり、令和七年度が六千億、令和八年度が八千億、そして令和九年度に一兆円になる、そういうことで、合計で三兆円でよろしいでしょうか。
○前田政府参考人 今先生にお示しいただきましたこの図にございます三兆円強という数字でございますけれども、まさに先生のおっしゃるとおり、令和五年度では二千百億円、令和六年度は四千億円、令和七年度は六千、令和八年が八千、そして令和九年が一兆ということで、その二、四、六、八、十というのを全て足し上げれば三兆円になる、そういうことでございます。
○塩川委員 それで、配付資料の四枚目、令和四年度の一般会計予算、歳出歳入の構成のところで、歳出の方ですけれども、非社会保障関係経費の中心というのは、ここにあるように、公共事業の六兆五百七十五億、それから文教科振費の五兆三千九百一億、そして防衛が五兆三千六百八十七億、その他が九兆円余りということになっています。
 来年度、五枚目ですけれども、令和五年度におきますと、防衛関係費がトップになりまして六兆七千八百八十億、そして、防衛力強化資金への繰入れ三兆三千八百六億円があるので、軍事費関連が十兆一千六百八十六億円になります。次いで、公共事業が六兆六百億円、文教科振費が五兆四千百五十八億円ということで、軍事費以外の非社会保障経費の多くを占めるのが公共事業費と文教費ということになりますけれども、ここまで軍事予算が拡大をしていく、先ほどのように、毎年度毎年度二千百億円を軍事費に差し出すために、それ以外の非社会保障関係費について、伸びは抑え込む、今までどおり削る分は更に継続的に削り込むということになれば、当然のことながら、非社会保障関係費の主要な経費である公共事業や文教費、これが増えるどころか削られるということですよね。
○前田政府参考人 先生今御指摘ございましたように、この歳出改革によって、確かに非社会保障関係費の中で大きな割合を占めております文教費でありますとか公共事業費がどうなるのかということでございますけれども、歳出改革の対象につきましては、当たり前のことながら、何か特定の分野を念頭に置いているというものではございません。非社会保障関係費全体について見直すということでございます。
 今回の令和五年度予算案について、非社会保障関係費の内訳を見ますと、恩給関係費で三角二百五十二億円の減、エネルギー対策費で三角二百十七億円の減となる一方、科学技術振興費ではプラス百五十四億円の増となるなど、様々な増減がございまして、何か特定の分野を削減して防衛関係費の増額に充てるということではございません。
 その上で申し上げますと、今御指摘のございました文教関係費、令和五年度予算案におきましては、対前年度比でプラス百二十九億円の増額を実現いたしております。公共事業関係費につきましても、これまでに引き続き、安定的な確保を行うことといたしておりまして、前年度比でプラス二十六億円増の六兆六百億円を計上しているという次第でございます。
 今後とも、無駄を排除するなど、歳出改革を徹底してまいりたいと考えてございますけれども、同時に、現下の政策課題に対応いたしまして、国民生活を支えるために必要な予算というものはしっかり措置してまいりたいというふうに考えてございます。
○塩川委員 資料の三枚目を見てほしいんですけれども、財務省の資料ですけれども、防衛関係費と他の非社会保障関係費の対前年度増減額の累積額ということで、説明があった骨太の歳出改革について、三百三十億円抑えるという、その積み上げというのが上から二本目の折れ線グラフの骨太の歳出改革目安で、この七年間で二千三百億円程度ということが抑える目安になっているわけですけれども、それを上回って、防衛費が四千億円程度増えている。一方で、公共は一千億円程度しか増えない、文教科振費は六百四十億円程度しか増えない、その他が大幅に減っているということが、これが今後、もっと一層、防衛費はウナギ登りに増えて、その結果、公共や文教が抑え込まれるということが当然出てくるわけであります。
 先ほど、文教費について、来年度増えていると言いますけれども、物価高騰の中では実質マイナスじゃないですか。まさに今、この仕組みにあるように、物価上昇分はもう見ませんよ、そういう理屈の中で抑え込まれているというのは、もう来年度に既に表れているんです。それをその次も、その次も、その次も重ねていけば、一層のこと、しわ寄せを受けるというのは当然のことじゃないでしょうか。
 政府は、子育て予算倍増などと言いますけれども、最も国民からの要望が高い教育費の負担軽減などが放置をされています。この大軍拡によって、文教費が増えるどころか大幅に減らされるんじゃないですか。
○前田政府参考人 繰り返しの御答弁で恐縮でございますけれども、我々といたしましては、無駄を排除するという歳出改革は徹底して取り組む必要があると考えてございますが、現下の政策課題に対応して、国民生活を支えるために必要な予算というものはしっかりと措置してまいりたいというふうに考えてございます。
○塩川委員 だから、このフレームでは増えないでしょう、しっかり確保できないでしょうということを言っているわけです。
 官房長官、お尋ねします。文科大臣もされておられますから、中身についてもよく御存じだと思いますけれども。
 でも、このフレームだと、どうやったって増やしようがないじゃないですか。ですから、この仕組みでは文教費は増やせないんじゃないのか。それとも、子育て倍増のお金というのは、文教費に入っていない、そもそも枠外だということを示しているということなんですか。お答えください。
○松野国務大臣 塩川先生にお答えをさせていただきます。
 防衛費の規模等についての御議論もいただきました。戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるのか、極めて現実的なシミュレーション等を行い、必要となる防衛力の内容を積み上げ、導き出したものであると考えております。
 これらは、憲法及び国際法の範囲内で、専守防衛の考え方を堅持した上で、あくまで国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要となるものであります。同時に、本予算において、一般歳出の約六割を社会保障や教育などに充てており、国民生活の向上に直結する経費など、必要な施策を盛り込んでいるところであります。
 今後とも、無駄を排除するなど歳出改革を徹底していきますが、同時に、現下の政策課題に対応し、国民生活を支えるために、必要な予算額はしっかりと措置をしていく考えであります。
 こうした内閣の方針について国民の皆様に御理解を深めていただけるよう、国会での議論も含め、引き続き丁寧な説明を行っていく考えであります。
○塩川委員 説明になっていないんですよ。
 ではお聞きしますけれども、先ほども聞きましたけれども、このフレームだと教育予算を大幅に増やすという仕組みにならないわけですよね。ですから、政府が言っている子育て予算倍増というのは、こういうスキームだと、教育予算は入っていないということなんですか。子育て予算倍増には教育費は入っていないということなんでしょうか。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
 子供、子育て政策は、最も有効な未来への投資であると考えております。これを着実に実行していくため、まずは、こども政策担当大臣の下、子供、子育て政策として充実する内容を具体化します。そして、その内容に応じて、各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方など、様々な工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくかを考えていくということでございます。
○塩川委員 答えていません。
 ですから、子育て予算倍増に教育予算は入っているんですかということについてお答えがないということは、教育予算に対してまともな手当てはしませんと言っているのと同じじゃないですか。このスキームだと、どうやったって増やしようがないわけですから。
 財務省の方が、この間、削減、効率化の取組をやってきましたというので、恩給費の話なんかも言いましたけれども、でも、この間の非社会保障経費の歳出改革というのも、大半が恩給費の減少ですよね。過去七年間で見た場合に、その他が大体三千億円ちょっと減っていますけれども、このうち恩給費が二千七百十一億円ですよ。つまり、下がっているといっても、恩給費が下がっているだけなんです。それは、やはりまともに削ることなんかできないからですよ。
 その際に、じゃ、恩給費、これからも減らし続けるのかといったら、今後の金額でいうと、来年度の恩給費というのは僅か九百七十億円なんです。これも傾向的には減っていくんでしょうけれども、そこから何千億も出てくるはずないじゃないですか。そうしたら、ほかのところを大幅に削り込むしかないんですよ。文教費を大幅に削るということにならざるを得ないというのが、この大軍拡なんじゃないのかと。このことについてまともに説明をしない。これでは国民の理解は得られないというのは当然であります。
 官房長官にお尋ねしますけれども、この歳出改革の仕組みでは、文教費を増やすどころか削るだけになると。こんな軍事費を減らして、教育など暮らしの予算を削る、こういう大軍拡そのものを撤回すべきではありませんか。
○松野国務大臣 先ほど答弁させていただいた内容の繰り返しとなって恐縮でございますけれども、防衛費の規模については、現在の日本を取り巻く安全保障環境に対峙していく中で、必要となる防衛力の内容を積み上げて導き出したものであります。
 同時に、本予算においては、これも先ほど申し上げましたが、一般歳出の約六割を社会保障や教育などに充てており、国民生活の向上に直結する経費など、必要な施策を盛り込んでいるところであります。
○塩川委員 この大軍拡は撤回をすべきだということを申し上げて、この問題は一区切りします。
 官房長官、ありがとうございました。