日付:2015-09-30 |
台風18号豪雨災害の被災者支援策について、茨城県、栃木県の現地調査を踏まえ、関係府省に申し入れました。
関係府省と、以下の点について確認するとともに、さらなる支援策の拡充、創設を要望しました。
(1)農地復旧、被災農家支援について
●農地の復旧については、激甚災害制度が適用される見込みです。そうなれば最大で9割の公費負担となりますが、残りは市町村・農家の負担となります。その場合、市町村の負担額を大きくすることで、被災農家の負担を軽減できます。
●農業用ハウスなどの施設や農機具が被災した場合、激甚災害制度が適用されるような大規模被害の時には、「経営体育成支援事業」の活用が可能となります。新たに農業用ハウスを建設したり、農機具を購入した時に、国が3割補助します(自治体による融資あるいは補助率かさ上げが同時に行われます)。「経営体育成支援事業」の適用を強く要望しました。
●収穫後のコメ被害については、共済制度の対象外と説明しますが、支援策を行うよう重ねて要求しました。被害額は相当なものになると想定されます。収穫後のコメについての被害総額を明らかにするよう、農水省に求めました。
(2)被災者・避難者の住まいの確保について
●茨城県土木部が避難者に対して「住まいの意向調査」を行っていますが、被災者支援策の説明としてきわめて不十分だと言わざるを得ません。それは「公営住宅等の無償提供」について、「全壊」世帯を対象にしていることです
そもそも公営住宅は、地方自治法に基づき、行政財産の「目的外使用」が規定され、自治体の判断で、被災者への提供が可能となっています。「全壊」世帯という要件を付けず、全ての避難者に無償で提供することも、自治体が実施しようと思えばできます。そのことは茨城県も認めています。
また、学校や公民館などの一次避難所の避難生活が長期になる場合、二次避難所としてホテルや旅館を利用することも可能です。これらの制度について周知を行うことこそ必要です。
●災害救助法に基づく「住宅応急修理」について。内閣府に対して、制度の利用を妨げる所得要件の撤廃を要求しました。
「住宅応急修理」は、被災住宅に対して、自治体が必要最小限度の修理を行う制度であり、自治体が施工業者と契約することになります。でも被災者が制度を知らないまま、自宅を改修しようとすることもあります。そのときには、被災者が業者と直接契約した場合でも、施工前なら自治体の契約に切り替えて、「住宅応急修理」を適用した事例があるということを確認しました。
●被災者生活再建支援法の拡充を求めました。最大300万円の支援金を500万円に増額することは被災者を激励することになります。また「半壊」世帯でも、生活基盤に著しい被害を受けた人もいます。茨城県も要望しているように、「半壊」世帯も、被災者生活再建支援法の支援対象とするよう求めました。
(3)自治体の被災者向け独自支援策の実施について
自宅から遠く離れた避難所に避難したが、乗用車が冠水して使用できず、移動手段を確保できない被災者がいます。避難所と自宅の間の移動手段として、バスを運行できないかという要望が出されています。
このように、自治体が独自に被災者支援策を行う場合、地方交付税措置が行われます。自治体の経費負担額の一定割合について特別交付税の増額などが行われます。自治体による被災者支援制度実施の背中を押すものとして重要です。