日付:2016-08-13 |
埼玉県立歴史と民俗の博物館で開催中の特別展「渡来人の軌跡をたどる 高麗郡1300年」を見学。
史書『続日本紀』には、霊亀2年(716年)、関東一円から「高麗人1799人を武蔵国に移し、高麗郡を置いた」と記されています。高麗人とは古代朝鮮の高句麗出身の渡来人のこと。唐により国を滅ぼされた高句麗の避難者が日本に移り住んでいました。
この高麗郡は、いまの埼玉県日高市や飯能市及びその周辺を含む地域に当たります。私は日高市で生まれ育ち、日高市教育委員会に勤務していたときは郷土史編纂係だったので、この特別展はとても楽しみでした。
日高市周辺は、弥生時代や古墳時代の遺跡は見当たりません。それが高麗郡建郡の8世紀以降、多数の遺跡が生まれます。未開墾の地域を開発するために渡来人の先進的な技術や技能、文化が活用されたのだと思います。
決して広いとは言えない郡域に三つも古代寺院が建設されたのも、きわめてまれなことであり、高麗郡建郡に由来するものでしょう。多様な人々によって日本社会がつくられてきたことを実感します。