日付:2016-09-09 |
関東地方の主な米軍・自衛隊施設に関する2017年度概算要求の内容が明らかになりました。
主な特徴は以下の通り。
1)空自入間基地の拡大強化が鮮明になってきた。防衛省は来年度概算要求について、入間基地立地自治体(入間市・狭山市等)に以下のような説明を行っている。
1.C-2輸送機の入間基地配備を初めて明らかにする(来年度3機導入予定のC-2のうち2機は美保基地、1機は入間に)。2020年度に配備する。
2.次期電波情報収集機(C-2試作機の活用)の入間基地配備を明らかにする。来年度から試験飛行し、2019年度に配備する。
3.C-2と次期電波情報収集機(C-2試作機の活用)配備に関連する経費を計上(約1.6億円)。誘導路の耐圧調査設計、チャフ・フレアの組み立て作業を行う弾薬作業所の新設調査設計、航空燃料貯蔵施設の増設のための調査設計など。
4.入間基地所属部隊の再編。来年度、航空保安管制群飛行管理隊(約60名)を府中基地に移動するとともに、電波情報収集機の試験のための要員として約40名が増員される。また2020年度以降、航空医学実験隊(1・2部 約30名)と航空安全管理隊(約60名)が立川から移転してくることを明らかにした。
5.隣接する米軍基地跡地が入間基地に組み込まれ、敷地造成のための経費約9.6億円が計上されいる。
この間、滑走路の舗装、管制塔の新設、通信局舎の新設、燃料施設の新設、電波情報収集部隊の局舎新設、次期電波情報収集機用の格納庫・整備場の新設などが相次いだ。また隣接する米軍基地跡地の取得によって、自衛隊病院と人員・物資の集積・展開拠点が建設される。航空医学実験隊の移設など空自の医療関連部門も入間基地に集中するようになってきた。
そこに大型輸送機C-2配備を正式に明らかにした。入間基地が自衛隊の海外展開にあたっての兵站拠点となり、軍事医療の拠点となることが見えてきた。
2)第1ヘリ団(木更津)の装備品として、オスプレイ(4機、773億円)とCH-47JA(6機、610億円)が計上されている。木更津駐屯地では「約70機の保有台数に対しエプロンが小さいので整備する」と言って、エプロンの新設(12億円)を行う。
3)中央即応集団傘下部隊の海外派兵部隊化が、予算上も浮き彫りになっている。中央即応連隊(宇都宮)に無線式IED妨害装置(1億円)、国際活動教育隊(駒門)に南スーダンPKO宿営地警備のための監視システム等。
4)朝霞駐屯地に陸上総隊司令部庁舎等を新設する経費の計上。今年度の91億6千万円に加え、来年度は約80億円を計上。
詳細は以下の通りです。
1.米軍施設(横田飛行場、所沢通信施設、大和田通信所、厚木海軍飛行場)に係る概算要求額とその内容 | ||
横田飛行場提供施設整備 | 歳出ベース11億2800万円 | 契約ベース8億2800万円 |
管理棟、倉庫、整備用格納庫、ユーティリティ(給電・給水)。いずれも継続事業。 | ||
厚木海軍飛行場提供施設整備 | 歳出ベース13億400万円 | 契約ベース4億2800万円 |
汚水排水施設、雨水排水施設、工場(車両)改築、ユーティリティ(給水)、環境負荷低減対策(ソーラーシステム設置)。いずれも継続事業。 | ||
所沢通信施設提供施設移設整備 | 歳出ベース3億6800万円 | 契約ベース18億5300万円 |
所沢通信基地内に東西連絡道路を建設するための通信局舎、アンテナの移設工事経費。 | ||
大和田通信所に関係する経費は計上していない |
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2.陸自駐屯地(朝霞・大宮・相馬原・宇都宮・北宇都宮・勝田・土浦・霞ヶ浦・古河・習志野・木更津)及び空自基地(百里・熊谷・立川・横田・府中・入間)における「施設整備費」に関する概算要求額とその内容 | |
朝霞駐屯地 | 約27億1千万円 |
25mと10mの射程を持つ射場の建設(8億円)、プールの新設(18億円)、庁舎(通信関係の部隊)の改修(1億円)、調査工事(駐屯地内の汚水処理を公共下水に接続できないかを調査 3千万円)。 | |
陸上総隊(仮称) | 約80億円 |
朝霞駐屯地内に庁舎等の新設。今年度は地上部分(91億6千万円)、来年度は地下部分になる。 | |
習志野駐屯地 | 約2億円 |
公共下水の接続整備。船橋市の公共下水への接続を行うため、駐屯地内の汚水管を整備する。 | |
木更津駐屯地 | 約12億1千万円 |
エプロンの新設(12億円)、「約70機の保有台数に対しエプロンが小さいので整備する」という。教場の整備(3千万円)、訓練で使用する物品の置き場。 | |
百里基地 | 約38億5千万円 |
騒音防止施設(新たに配備されるF2用のエンジンテストセル1基)の新設等(28億円)、既設建物(パラシュート乾燥施設)の撤去(8千万円)、基地周囲の法面整備(未然防止のため)(8億円)、受配電施設の老朽更新(8億円)、調査工事(航空機燃料をJP-4からJetA-1に代えるための燃料施設改修関連)600万円 | |
横田基地 | 約5千万円 |
庁舎の改修(F35三沢配備に当たり、航空総隊司令部内の秘匿情報を扱うための建屋の改修)。 | |
府中基地 | 約7千万円 |
空調設備の老朽更新(2か所、6300万円)。調査工事(空自中央音楽隊の立川から府中移転に伴う建物の改修調査、700万円)。 | |
入間基地 |
約23億1千万円 |
管制塔の新設(Ⅱ期、3億円)、通信局舎の新設(Ⅱ期、9千万円)、格納庫の新設(電波情報収集機の格納庫Ⅱ期、3.5億円)、通信局舎の改修(システム改修に伴う、2億円)、災害対処拠点地区等の整備(造成工事、9.6億円)、プール濾過機の改修(2億円)、調査工事(航空保安管制隊と航空医学実験隊1部・2部の立川から入間への移転に伴う調査、航空保安管制隊分0.15億円と航空医学実験隊分1.2億円)。 |
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大宮駐屯地、相馬原駐屯地、宇都宮駐屯地、北宇都宮駐屯地、勝田駐屯地、土浦駐屯地、霞ケ浦駐屯地、古河駐屯地、熊谷基地、立川基地はなし | ― |
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3.中央即応集団隷下の部隊(司令部および司令部付隊、第一空てい団、第一ヘリ団、中央即応連隊、特殊作戦群、中央特殊武器防護隊、対特殊武器衛生隊、国際活動教育隊)及びその他の主な部隊に係る概算要求額(装備品等)とその内容 | |
中央即応集団司令部及び司令部付隊(座間) | 約13億円 |
車両無線機の老朽更新 |
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第一空てい団(習志野) | 約2億円 |
空挺傘(460式、3億円)、自由降下傘(30式、6億円)、重量物投下器材(10個、3億円)。公共下水接続工事(2億円)。 | |
第一ヘリ団(木更津) | 約1404億円 |
オスプレイ(4機、773億円)、CH-47JA(6機、610億円)等。 | |
中央即応連隊(宇都宮) | 約2.2億円 |
無線式IED妨害装置(1億円)。中型セミトレーラー(8両、3千万円)。 | |
特殊作戦群(習志野) | 約11億円 |
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中央特殊武器防護隊(大宮) | 約0.9億円 |
化学器材改修 | |
対特殊武器衛生隊(朝霞) | 約0.4億円 |
生物剤対処用衛生ユニット維持。 | |
国際活動教育隊(駒門) | 約1.5億円 |
南スーダンPKO宿営地警備のための監視システム。 | |
大井通信所(ふじみ野市) | 約0.8億円 |
警備員に係る役務(0.3億円)、古い局舎の取り壊し(0.5億円)。 | |
防衛医科大学校(所沢) | 約141億円 |
患者医療費41億円、機器維持費44億円、インフラ整備費37億円、医療備品19億円、防衛医学研究センター機材購入3900万円。 | |
航空医学実験隊(立川、入間) | 約2億円 |
航空用医療器材、消耗品。 | |
航空機動衛生隊(小牧) | 約1400万円 |
機動衛生ユニット維持費。 |
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陸自化学学校(大宮) | 約1億円 |
学校教育に必要な消耗品、教材等の経費。 |