日付:2012-11-05 |
「女性のひろば」2012年12月号掲載より
対談/
山田富美子(群馬県渋川市在住・主婦)
塩川鉄也(日本共産党衆議院議員)
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低空飛行の現場を調査する 塩川議員(右)と山田夫妻(渋川市北橘町) |
赤旗カレンダーに
爆音記録
【山田】群馬県は90年代から米軍機の低空飛行による騒音を受けていたのですが、私が看護師を退職して自宅にいるようになった08年ごろから、神奈川県横須賀港に寄港している米空母ジョージ・ワシントン(GW)の空母艦載機・FA18が前橋、高崎、渋川の3市の上空を低空旋回するようになりました。「飛行調査をしましょう」という平和委員会の呼びかけがあり、気づいたときにカレンダーに書きこむことにしました。
【塩川】先日、低空飛行訓練ルートの実態調査で山田さんのお宅にうかがいました。防衛省の資料でも、02年から今年5月までの米軍機への苦情は全回で1538件。このうち群馬県は1020件ととびぬけています。群馬県のみなさんとともに毎年防衛省に資料を添えて申し入れをしているのですが、事実を記録した山田さんのカレンダーは最も説得力のある資料となっています。
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山田さんが赤旗カレンダーに記録した爆音被害。2分おきに飛ぶ日も多く、余白もまっ黒に |
【山田】6月に米軍報告書(『環境レビュー』)で、オスプレイが沖縄はじめ全国の低空飛行訓練ルートで低空飛行訓練を想定していることが明らかになり、衝撃をうけました。私の住む群馬県上空も低空飛行の「ブルールート」にあたっています。そもそもオスプレイはなぜ危険なのでしょうか。
【塩川】オスプレイは構造的な欠陥機です。左右に2つの回転翼があることで、従来のヘリや航空機では考えられない空気の流れが発生するため、操縦がきわめて難しいうえ、飛行中のエンジン停止の際の緊急着陸に必要な安全機能であるオートローテーション(自動回転)機能がありません。
オスプレイは開発段階から墜落事故があまりに多発することから、「ウィドー(夫を亡くした妻)メーカー」の異名をとってきました。今年に入っても、4月にモロッコで、6月にはフロリダ州で墜落し、これまでに少なくとも36人の死者を出しています。
全国を飛ぶ!?オスプレイ
【山田】いま沖縄の空をオスプレイが低空飛行訓練をしていますね。沖縄のみなさんの苦しみは決して他人事ではありません。屋根に突っ込んでくるのではないかと思うような勢いでジェット機が飛んできます。日本から基地をなくさない限りこの苦しみはなくなりません。その上、墜落を繰り返す危険なオスプレイが飛ぶなんて。私たちの命は鳥の羽よりも軽いのでしょうか。
【塩川】沖縄県議会、沖縄の全41市町村議会がオスプレイ配備反対の決議をあげました。まさしく島ぐるみの反対のなか、沖縄に配備されたのです。しかも日米間の「合意」のルールさえ無視して人口密集地上空を危険なヘリモードや転換モードで飛びまわっており、県民の怒りは頂点に達しています。
オスプレイ配備・訓練中止を求める意見書を可決した自治体は123(沖縄含む、10月11日現在)、全国知事会も「安全性が確認できていない現状では受け入れられない」と決議をあげました。しかし野田首相は「オスプレイの本土への訓練移転を具体的にすすめる」と発言したのです。
【山田】オスプレイは日本中で危険な訓練飛行を実施するというのですね。