日付:2014-08-23 |
(1)佐賀空港へのオスプレイ配備問題現地調査の概要
8月20日、党国会議員団オスプレイ配備反対闘争本部の一員として、標記の調査に参加した。佐賀県庁、有明海漁協、佐賀市、佐賀空港において、関係者と懇談、佐賀県党メンバーとの意見交換や調査内容に関する記者会見を行った。
(2)防衛省による佐賀空港へのオスプレイ配備、訓練に関する「要請」の概要
自衛隊導入のオスプレイ17機を佐賀空港に配備。陸自目達原(めたばる)駐屯地(佐賀県吉野ヶ里町)のヘリ約50機も移駐。最大70機の航空機を運用する。空港西側に20~30haの用地を確保して、駐屯地を新設する。
米海兵隊オスプレイの訓練移転とともに、仲井真沖縄県知事の「5年以内の普天間基地閉鎖」という要望を受けて、海兵隊の佐賀空港への暫定移転も要請。
(3)佐賀空港へのオスプレイ配備、訓練の問題点
1)オスプレイ配備、訓練による危険性の増大で、住民の暮らしと安全が脅かされる
オスプレイのもたらす墜落の危険性、低周波騒音、下降気流による被害などへの不安の声が上がっている。有明海漁協の組合員は「海や漁業、ノリ養殖に影響が出ないか」と危惧。周辺住民には騒音や健康への影響の懸念がある。佐賀市に寄せられた市民の声の8割以上が「反対」だった。
2)佐賀空港周辺における民間の空域使用が大幅に制約される懸念
佐賀市の風物詩となっている「バルーン」。その空域使用範囲が狭くなるのではないかという不安の声がある。佐賀市の副市長は「バルーンの街として世界に売り出していることへの影響を危惧している」と述べた。
またこの間、着実に搭乗者数が伸びている旅客便増加の制約にならないか、佐賀空港での民間小型機の訓練飛行が制限されることにならないか、懸念される。
(4)今回の防衛省の「要請」の意味するものは何か
1)県営の民間空港を軍事基地に変質させるもの
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記者会見にて |
2)九州全域がオスプレイの訓練場になる
自衛隊のオスプレイ導入によって、佐賀空港での発着訓練だけでなく、背振山をはじめとして九州各地の陸自低空飛行(最低安全高度以下)訓練エリアでの訓練が繰り返される。陸自相浦駐屯地(長崎県佐世保市)や高遊原(たかゆばら)駐屯地(熊本県)、目達原駐屯地での訓練もありうる。また米海兵隊のオスプレイ訓練移転となれば、「イエロールート」や日出生台演習場(大分県)、大矢野原演習場(熊本県山都町)などでの訓練の可能性もある。九州全域に訓練被害が拡大する。
3)「沖縄の負担軽減」を口実にした米海兵隊オスプレイの訓練移転、暫定移転の「要請」は、日本政府にとっては沖縄県知事選に向けたパフォーマンスであり、米軍にとっては沖縄だけでなく、本土でのいっそうの訓練拡大をはかるものとなる。米軍基地被害を固定化、拡大することは認められない。
(5)佐賀空港利用に関する協定書(合意書)、議会決議の重み
1)佐賀空港建設時に佐賀県は、関係団体との間で多くの協定書、合意を交わしている。漁協、農協、佐賀市(旧川副町)との「公害防止協定書」や福岡県柳川市との「合意書」である。いずれも空港の用途変更があれば事前協議を行うということが規定されている。さらに漁協の協定書の覚書付属資料には「県は佐賀空港を自衛隊と共用するような考えは持っていない」と記載されている。この言葉は重い。民間空港を軍事基地へと変質させる、今回の国の要請をそのまま県が受け入れることは、この一連の合意を踏み破るものとならざるを得ない。
2)2010年民主党政権下で、普天間基地の移設先として佐賀空港が取りざたされたときに、佐賀県議会、佐賀市議会は、佐賀空港への普天間基地の移設反対の議会決議を行っている。佐賀市長は「(反対決議の)言葉の重みは続いている。今は賛成できる状況にない」と述べた。「政権が変わった」「暫定移転は決議の対象外」などと決議を棚上げしようという動きは、オスプレイへの危惧を訴える県民をないがしろにするものと言わざるを得ない。
(6)今後の取り組みについて
上記の協定書(合意書)、議会決議を踏まえ、県民総意でオスプレイの配備、訓練を許さない運動に連帯してがんばりたい。沖縄のたたかいと団結し、佐賀県民とともに、福岡県柳川市など影響を受ける九州各地の自治体、住民との共同の取り組みをすすめていきたい。また今回の調査を生かして臨時国会での論戦に臨んでいきたい。