第181 臨時国会 2012/10/29~2012/11/30 日付:2012-11-07 |
軍事や安全保障の秘密情報の漏えいを口実に、取材活動や国民の知る権利を侵害する「秘密保全法制」の有識者報告書が自公政権時代の報告書をもとに作成されていたことを明らかにした。民主党政権として検討を始めたとしていたことが、でたらめであったことを示すものだ。
民主党政権の有識者会議の配布資料「秘密保全法制の意義について」と自公政権時代の報告書「秘密保全法制の在り方に関する基本的な考え方(2009年)」を対比すると、基本的に同じ内容(下表)。能化正樹内閣官房審議官は「指摘の通り、かつての検討チームと共通した目的はある」と答え、自公政権時代の「考え方」をもとにしていることを認めた。
民主党政権の秘密保全法制の検討の開始について、2010年の尖閣沖漁船衝突事件のビデオ流出を理由にしているが、自公政権時代の提案がもとになっている。情報開示請求で示された自公政権時代の報告書が「はじめに」と見出し以外が墨塗りだった。国民に説明するために公開すべきではないかと要求。
藤村修官房長官は「未成熟な検討内容だったため、不開示が適当と判断した」と正当化。
報告書では特別秘密についてマスコミ取材が「社会通念上是認できない行為」だとされれば処罰の対象としている。国民の知る権利の重大な侵害となりかねない。秘密保全法制の策動は撤回すべきだ。
自公政権時代と、うり二つの報告書 |
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自公政権時代(2009・4・22) |
民主党政権(2011・1・5) |
秘密保全法制の在り方に関する基本的な考え方について(案) |
秘密保全法制の意義について |
外国情報機関等による情報収集活動に対し、実効力のある秘密保全制度を確立する |
外国情報機関等の情報収集活動による漏えいやネットワーク上への流失を防止する |
政府部内における情報共有の促進を図るため、秘密保全に関する法的基盤を整備する |
秘密保全に関する行政機関相互の信頼を高め、政府部内における情報の共有を促進する |
安全保障・危機管理に係る国際協調を推進し、外国からの円滑な情報提供の促進を図る |
我が国の秘密保全に対する外国の信頼を高め、外国からの円滑な情報提供を促進する |
公害防止計画が30→21地域に後退
「地域主権改革」の名で環境相による公害防止計画の策定指示が廃止されたことにより、30地域で策定されていた公害防止計画が2011年度からは21地域へと大幅に後退したことも取り上げた。
策定指示の廃止は、2011年8月26日に成立した「地域主権改革」第2次一括法に盛り込まれたもの。都道府県の公害防止計画について、環境相の指示を廃止し、各知事が任意で「作成することができる」としました。
環境省の白石順一総合環境政策局長は「改定前は国として都道府県への調査依頼や現地調査を行ってきた。改定後は調査は行っていない」と答弁。
公害防止に対する国の役割の大きな後退だ。
三重県が1972年から策定してきた「四日市地域公害防止計画」が10年で終了した際、公害認定患者や環境審議会、県議会、四日市市議会にも報告がなかった。大気汚染が今なお深刻なもとで公害防止計画の必要性は失われていない。国が地域開発政策や広域連携を進める際に、国が公害防止計画策定の指示を行う権限は必要だ。地域主権改革の名による公害行政の規制緩和はやめるべきだ。