第183 通常国会 2013/1/28~2013/6/26 日付:2013-05-21 |
消防救急無線デジタル化に国支援を要求
電波法改正案で、地方自治体が整備を進める消防・救急無線のデジタル化について、政府が思い切った支援をするよう求めた。
消防・救急無線は、消防本部と各消防署や救急隊を結ぶ通信網のこと。アナログ周波数の使用期限は2016年5月末までとされ、デジタル方式への移行が進められている。しかし、今年3月末時点のデジタル移行の進行状況は、全国の消防本部のうち整備済みが15・3%、着手済みを合わせても4割程度。財政負担の重さなどから対策が遅れている。
遅れの背景に自治体の財政事情がある。国や、デジタル化で空いた周波数を使う事業者の費用負担によって、財政力の弱い自治体に対しての財政支援など、より踏み込んだ対策が必要だ。合わせて、アナログ周波数の使用期限を延長するよう提起した。
新藤義孝総務相は、「技術的な相談など、きめ細かな対応をしていきたい」と答弁した。
また、東日本大震災で大きな役割を果たした被災地のコミュニティーFMに対する支援を要請。FM放送用の周波数が窮迫している大都市部でも開局の要望に応えるよう求めた。
スカイツリー移転 万全の対策を要求
さらに、スカイツリー移転問題を取り上げ、視聴者に混乱を与えない、負担も強いることのない万全の対策を放送事業者に徹底するよう、新藤義孝総務相に要望した。
コミュニティFM支援を要求/全国で増加する開局希望/防災に役割
東日本大震災のときに、被災住民への情報提供で大きな役割を果たしたコミュニティーFM放送(コミエフ)。防災の観点からも国が積極的に支援するよう求めた。
大震災後の被災地では、地域のコミュニティーFMが臨時災害FM局に移行したり、新たに市民や有志が開局するなど、28自治体で臨時災害FM局が開設された。臨時局のなかから、恒久的なコミエフに移行する動きもあるが、実際に移行できたのは2局にとどまっている。
コミュニティーFMへの転換をしようとしても、実際に復興なしに資金の確保が困難なところがある。新藤義孝総務相に、何らかの支援・対策が求められているときではないのかと要望。
新藤総務相もコミエフの役割について「まちづくりやコミュニティーの形成、非常時の防災面で非常に有効」と認め、「自治体から要請があれば、いろいろな相談に乗っていきたい」と答えた。
問題は被災地だけではない。これから大地震が想定されている首都圏や近畿・東海圏ではFM放送用の電波不足が深刻となっている。各地の電気通信監理局では、1997年に東京23区とその周辺、翌年は大阪市とその周辺について「周波数逼迫(ひっぱく)宣言」を出している。
コミエフへの周波数の割り当てが困難になる一方で、開局の希望は増え続けている。総務省によると、過去5年間の開局相談件数は、関東・近畿地方を中心に138件に。日本コミュニティ放送協会(荻野喜美雄代表理事)は先月、「都市部では開設したくともできない状況にある」として、周波数の割り当てを求める要望書を総務相に提出した。
荻野氏と懇談して要望を聞き、アナログ放送時代にテレビが使っていた周波数帯をコミエフに活用するよう提案。地上デジタル移行で「空き地」になった周波数帯。「跡地」利用の具体案は固まっていない。跡地を使えば、コミエフの活用が可能となる周波数帯の確保はできる。
跡地の活用について新藤総務相は「現在、検討会のなかで議論を進めている。早急に結論を得たい」と答弁。
地域のニーズに応えた取り組みに一歩踏み込む決意で前に進めてほしい
【コミュニティーFM放送】1992年に制度化されたFM放送で、範囲は市区町村単位。最高出力は20W。地域の活性化や防災・災害放送の機能も注目されている。13年4月現在、全国で273局。
【臨時災害FM局】震災など災害時に地方自治体が臨時に開設するFM局。自治体が総務省に申請すれば、即座に免許と周波数が割り当てられる。(放送期間の制限あり)