第183 通常国会 2013/1/28~2013/6/26 日付:2013-05-24 |
海外需要開拓支援機構(クール・ジャパン推進機構)法案が投資ファンドまで支援の対象としている問題。失敗した場合のツケを国民に回すことになる。
同法案の「我が国の生活文化の特色を生かした魅力ある商品又は役務」という文言では支援対象が限定されない。投資ファンドなどは詳細な情報も公表していない。国民への説明責任に照らして、こういうことでいいのかと質問。
茂木敏充経産相は、事業の採算性などを公開することは「競合上不利」「企業も個々の事業まですべて開示していない」などと述べ、情報公開に後ろ向きの姿勢を示した。
巨額の損失を出した過去の政府系出資法人の無責任経営や、エルピーダメモリー社への血税による損失穴埋めなど。まともな検証や総括がないまま本機構を設立することは容認できない。
また、「文化の産業化」を急げば日本文化の「薄利多売」につながる。現状でもアニメーターの年収は他の産業に比べても著しく低く、20代で110・4万円、30代でも213・9万円(日本アニメーター・演出協会の実態調査)に過ぎない。個人請負、下請けへの適正利益の保障や労働条件の改善、他国に比べて少ない文化予算の拡充などで政府の責任を果たすべきだ。
クール・ジャパン法案/投資ファンドに税金/反対討論
日本の文化や芸術、食品などの地域産品や観光サービスが海外で評価を受けて発展することは重要だ。
その上で法案の問題点として、支援対象に明確な定義がない。投資先の決定は「海外需要開拓委員会」に全面白紙委任され、外国籍の投資ファンドにまで税金を投入する仕組みであり、そもそも情報開示ができない投資ファンドへの公的資金投入は許されない。
「官民ファンド」乱立の一つになる。すでに11本、6839億円ものリスクマネーを供給する官民ファンドがあり、コンテンツの海外展開ではすでに産業革新機構が存在しており、屋上屋を架すことになりかねない。機構への最終的出資金500億円が無駄な税金投入につながる可能性がある。
さらに、文化産業の海外展開を急ぐあまり「薄利多売」を招く。海外への流出や空洞化などアニメ産業の実態は深刻だ。足元の実態把握とその抜本的改善、文化予算等の拡充にこそ尽力すべきだ。
同法案は自民、民主、公明の賛成で可決。日本共産党と維新、みんな両党は反対した。