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第193 通常国会 2017/1/20~2017/6/18
日付:2017-04-13
【議院運営委員会・公文書館小委員会】新公文書館建設は憲政記念館敷地に
政府が計画する新しい国立公文書館の建設場所について、衆院が所有する国会東側の憲政記念館敷地とすることを決めました。わたしは計画には多くの問題点があり、「本来、行政府の施設の用地は行政府が確保すべきだ」として反対を表明しました。
同館敷地は景観や地下鉄など建築上の制約があるため費用が高く工期も長くなる。計画には、既存の東京・北の丸本館や敷地面積に余裕のあるつくば分館の活用法について記載がなく、妥当性を欠いていると批判しました。
また、計画は、立法府の公文書を国立公文書館に移管することを計画の前提にしているが、そのような方針はどこでも決めていない。立法府の公文書の管理と公開のあり方を決めることが求められている。東京電力福島第1原発事故での国会事故調査委員会の資料公開をただちに行うべきだと述べました。
さらに、憲政記念館は、憲政資料を収集し、公開する常設の展示館であり、憲法の学びの場として重要だ。憲政記念館を壊して公文書館と合築して建て替えることについても、国会として議論がなされていないと批判しました。
小委員会での発言は以下の通りです。
私は、憲政記念館敷地を新たな国立公文書館の建設候補地として決定することに関して発言します。そもそも新たな国立公文書館の建設は政府の責任で行うものであり、用地が必要であれば、政府が確保すべきものであります。
今回の計画については、以下のような問題点、課題があります。
内閣府・調査検討会議がまとめた「新たな国立公文書館の施設等に関する調査検討報告書」及び「憲政記念館敷地調査報告」によると、新たな国立公文書館の施設計画は、公文書館に必要とされる機能やスペースを最大限に確保するというものです(地上3階、地下6~7階。工事費790~850億円。工期は9年半)。しかし同敷地は、景観や地下鉄など建築上の制約があるため、当然コストが高く工期も長くなります。一方で、既存の国立公文書館本館(北の丸)、敷地面積に余裕のあるつくば分館の活用方法については、記載がありません。このような施設計画は、妥当性を欠いています。
また、報告書には“立法府の公文書を国立公文書館に移管することを積極的に検討すべき”とあります。立法府の公文書を国立公文書館に移管するということを既定方針にようにしていますが、立法府の公文書の公開をどうするのかについて、一定の方針を決めたことはありません。一方的に国立公文書館への移管を前提とすることは許されません。
諸外国では、議会として公文書館を持つ例もあります。立法府の公文書館をどうするか、必要な検討を行うべきです。そもそも立法府の公文書の在り方、公開のルールを議論すべきです。議員立法制定過程、法案修正過程の文書や衆議院事務局・法制局の公文書の作成・管理・公開などのルールが必要です。特に、東京電力福島原発事故調査委員会(国会事故調)の調査資料の管理、開示に関する法整備は、喫緊の課題です。
さらに、報告書による施設計画は、憲政記念館を壊して公文書館と合築して建て替えるというものです。しかし憲政記念館をどのようにするのかについては、国会として議論を行っていません。憲政記念館は、国民の浄財によって建設された尾崎記念会館を吸収して、議会制民主主義についての国民の理解を深めるため、憲政資料を収集、公開する常設の展示館として1972年に発足しました。国会見学をはじめ、憲政についての学びの場として重要な役割を果たしています。
一方、憲政資料の収集経費や資料保管場所の不十分さ、憲政記念館として資料収集方針を持っていなかったことなど、充実させるべき課題は多々あります。憲政記念館については、このような歴史的な資料の収集、保管、展示を行う議会博物館として位置付けるなど、その役割をどのように発展させるのかという立場で検討を行うべきです。
以上のような課題を残したまま、憲政記念館敷地を新たな国立公文書館の建設候補地として決定することには同意できません。
最後に、国立公文書館は、行政府の公文書管理の一環であります。いま安倍政権の公文書管理の在り方が問われています。南スーダンPKO部隊の日報隠ぺい問題、森友学園への国有地売却に係る公文書廃棄問題など放置することはできません。行政府の公文書の適切な作成、管理の在り方について、真摯な議論を行うことを求めて意見表明を終わります。
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