【予算委員会】パー券収入/形をかえた企業献金/財界による政策買収

 自民党派閥の裏金問題をめぐり、「政治資金パーティーが企業・団体献金の『抜け穴』として活用・拡大され、その下で裏金づくりが始まったのではないか」として、企業・団体献金の全面禁止を求めました。

 私は、自民党派閥の政治資金パーティー収入の推移(グラフ↓)を示し、1998~99年には3・6倍に急増したと指摘。99年の政治資金規正法の改正で派閥への企業・団体献金が禁止となり、その後、企業・団体からの献金が政治資金パーティー券の購入にシフトしたことを物語っていると述べ、「政治資金パーティー収入は形を変えた企業・団体献金だということが明らかだ」と迫りました。

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 「政治をゆがめる企業・団体献金にしがみついてきたのが自民党であり、財界・大企業だ」――。私は、93年当時、相次ぐ金権腐敗事件に対する国民の批判の前に、自民党への企業献金をあっせんしてきた経団連も「あっせんは行わない」と表明せざるを得なかったと指摘。ところが、2003年に経団連が「企業献金を含む民間の自発的な寄付の意義を再確認すべき」だと「献金の促進」を打ち出す中で、政党の「政策評価」(表→)を示し、会員の企業や業界団体の献金を呼びかける形で企業献金を復活させたとして、「“カネも出せば口も出す”として始まったのが、通信簿方式の企業献金の促進策だ。露骨な政策買収だ」と批判しました。

 さらに、財界・経団連が「政策評価」で一貫して要求してきたのが法人税減税と消費税増税、原発事故後は原発の再稼働だったと指摘。自民党がそうした財界要求を忠実に実施し、実際に、法人税は30%から23・2%へ引き下げ、消費税は5%から10%へ引き上げ、原発は12基を再稼働したと示しました。その上で、自民党がこの20年間で受け取った企業・団体献金は464億円にも上ると告発しました。

 岸田文雄首相は「自民党の政策判断は献金に左右されない」と強弁。

 私は「参政権を持たない企業が政治献金をすることは、国民の参政権を侵害するものだ」として、企業・団体献金全面禁止法案を今国会で実現すべきだと主張しました。

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←派閥の裏金問題/企業団体献金禁止されるとパーティー収入が3.6倍に(2024/2/14) #予算委集中審議 が終わって #塩川鉄也 衆院議員のコメント
←企業団体献金は、きっぱり禁止するしかない(2024/2/14) #予算委集中審議 が終わって #塩川鉄也 衆院議員のコメント


論戦ハイライト/衆院予算委集中審議で塩川議員/自民裏金/歴史と全体像暴く

「しんぶん赤旗」2月16日・3面より

 自民党の政治資金パーティー裏金事件をめぐり14日に行われた衆院予算委員会の集中審議。日本共産党の塩川鉄也議員の質問を通じ、自民党が裏金づくりを組織的に行っていたことが鮮明になりました。パーティー収入が形をかえた企業・団体献金となり、財界本位に政治をゆがめる役割を果たしてきた歴史と実態も明白に。裏金問題の全体像を暴き出した質問を振り返ります。

パー券/企業・団体献金の抜け穴

塩川 パーティー収入なぜ増
首相 頻繁に行われた等想像される…

 さらに塩川氏は、政治資金パーティー収入が形を変えた企業・団体献金であることを追及。企業・団体献金がいかに政治をゆがめてきたのか、腐敗の構造を明らかにしました。

■99年3.6倍
 自民党派閥の政治資金パーティー収入の推移(グラフ→)をみると、1998年の3億6500万円が99年には13億1600万円と3・6倍に急増しています。その背景に何があるのか。

 塩川 自民党派閥の政治資金パーティー収入がこんなに増えたのはなぜだ。

 首相 パーティーが頻繁に行われた等が想像される。

 「なぜ増えたのか」という核心部分を答えることができない岸田首相。99年には政治資金規正法の改正で、派閥への企業・団体献金が禁止となりました。パーティー収入の急増は、自民党の主な資金源が「企業・団体からの献金」から、「政治資金パーティー収入」にシフトしたことを物語っています。

 塩川氏は「派閥への企業・団体献金は禁止されたのに、その企業・団体献金の『抜け穴』として派閥の政治資金パーティーが活用、拡大されてきた。その下で裏金づくりが始まったのではないか」と強調しました。

■政策買収
 営利を目的とする企業や業界団体が政党や政治家に献金するのは「見返り」を求めるためです。企業・団体献金は政治買収であり、本質的には賄賂です。

 30年前には、リクルート事件、佐川急便事件など金権腐敗事件が相次ぎ、「カネの力で政治をゆがめるのは許されない」という国民の批判が巻き起こりました。当時は、自民党への企業献金をあっせんしてきた経団連も、「来年(94年)以降、あっせんは行わない」と表明せざるを得ませんでした。

 ところが、あっせん中止から10年たった2003年。経団連は「企業献金を含む民間の自発的な寄付の意義を再確認すべき」だと「献金の促進」を打ち出しました。経団連として、政党の“通信簿”ともいうべき「政策評価」を示して、会員の企業や業界団体に呼びかけて自民党へ献金をあっせんするという形で、企業献金を復活させました。露骨な政策買収です。

 塩川氏は、この腐敗構造の下で政治が実際にゆがめられてきた実態を告発。財界・経団連が「政策評価」で一貫して要求してきたのが「法人税は下げろ」、「消費税は上げろ」、「原発は再稼働」であり、「これを忠実に実施してきたのが自民党政治の20年間だった」と批判しました。その上で、自民党が20年間で受け取った企業・団体献金が464億円にも上ると指摘しました。(表↑)

 塩川 政治をゆがめる企業・団体献金は、きっぱりと禁止すべきだ。

 首相 自民党の政策判断は献金に左右されるものではない。

 岸田首相はこう居直り企業献金の温存の姿勢を示していますが、企業・団体献金の禁止に踏み込まなければ、政治腐敗の根は断てません。

 塩川氏は「投票権・参政権を持たない企業が政治献金をすることは、国民の参政権を侵害するものだ」と述べ、企業・団体献金全面禁止法案を実現するよう求めました。


「議事録」

第213回通常国会 令和6年2月14日(水曜日) 予算委員会 第9号

 

○塩川委員 次に、裏金は何に使われたかということであります。

 安倍派所属議員について、参議院選挙の年には、改選組の議員のパーティー代金上納が免除され、全額キックバック、還付されたという話がありますけれども、この点を確認されましたか。

○岸田内閣総理大臣 先ほど答弁させていただきました聞き取り調査については、今日までの経緯、それからお金の使途等について聞き取りを行っていると承知をしています。

 結果については、今取りまとめの最中でありますので、報告を待ちたいと思っています。

○塩川委員 パネルを御覧ください。

 参議院議員の収支報告書不記載額、いわゆる裏金額を見ますと、改選の年に一番裏金の金額が増えているということが見て取れるわけであります。

 二〇一九年改選組で見ますれば、橋本聖子、世耕弘成、堀井巌、丸川珠代、西田昌司、石井正弘、赤池誠章、太田房江、酒井庸行の九議員、二二年改選組の参議院議員では、末松信介、佐藤啓、江島潔、松川るいの四議員が、改選の年の裏金の金額が一番大きくなっていることが見て取れるわけであります。

 結局、パーティー収入の裏金は選挙のために使ったんじゃないのか、このことが問われるんですが、総理、いかがですか。

○岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げた聞き取りにおいて、今までの経緯について、それからお金の使い道について聞き取りを行っていると承知をしています。その中で、党としてどこまで実態を把握できるのか、いずれにせよ、第三者、弁護士による報告書を待った上で、党として判断をしたいと考えます。

○塩川委員 資料を御覧になって、改選時においての不記載額が大きくなっているということはお認めになりますね。

○岸田内閣総理大臣 御指摘の数字についてちょっと一々確認はしておりませんが、もしこのとおりの数字であったならば、確かに、選挙の年、ほかの年より多いという実態はあるかと存じます。

○塩川委員 まさにそこが問われているわけであります。何でこうなっているのかということを徹底解明する必要が当然あるわけであります。二か月以上前からこの話というのは当然議論をされてきたわけですから、そういったことについて、これからこれからの話ばかりでは、これは納得できるものではありません。

 自民党議員だった河井克行、案里議員の事件、また柿沢未途議員の事件など、選挙買収が問われたわけであります。金の力で選挙をゆがめるようなことがあってはなりません。議会制民主主義の根幹を脅かす問題について曖昧にすることはできません。徹底解明が必要だということを申し上げておきます。

 その上で、この安倍派の裏金づくりはいつから始まったのかということです。

 安倍派座長だった塩谷立議員は、長年、事務局から議員事務所に記載をしなくていいということが伝えられていた、還流の開始時期については明らかではない、不記載の状況も全く知らなかったと答えています。安倍派五人衆の一人である西村康稔議員は、歴代会長と事務局長の間で、長年、慣行的に行っていたと言います。

 長年と安倍派の幹部は言っておりますけれども、これはいつからということで総理は受け止めておられますか。

○岸田内閣総理大臣 今、関係者による政治資金収支報告書の訂正作業が順次行われているところであり、まずは事情を最もよく知る関係者において、本人において明確な説明責任を果たすことが重要であると考えています。

 長年というのはいつからかということでありますが、そういった経緯についても、聞き取り調査等を通じて、党として今日までの経緯を把握していきたいと考えておりますが、いずれにせよ、外部の第三者による取りまとめ、報告を待って、党として今御指摘の点等についても判断したいと考えます。

○塩川委員 萩生田光一議員は、二〇〇三年初当選後、派閥パーティー券代のノルマ超過分については活動費として戻すと派閥事務局から説明されたと述べています。事務所の担当者は、初参加の二〇〇四年の派閥パーティー開催前に、派閥事務局から、売上げは一度派閥に全額納めてもらい、ノルマ超過分については活動費としてお返しをする、個別の議員の収支報告書への収支の記載は不要ですという指示があったとのことであります。

 そうなりますと、二〇〇三年以前から派閥ぐるみで組織的に長期にわたって裏金づくりが行われていたのではないかということが当然疑われるわけですが、こういった萩生田議員の発言というのは総理も当然御承知ですね。

○岸田内閣総理大臣 関係者の様々な発言がある、このことは承知をしております。

 このことについては、まずは関係者本人が説明責任を尽くすことが第一であると考えておりますが、あわせて、党としても聞き取り調査等を通じて実態を把握していかなければならないと考え、聞き取りを進めてまいりました。その中で、今日までの経緯、そして使い道等についても、党として実態を把握したいと考えております。

○塩川委員 パネルを御覧ください。

 二〇〇〇年代の前半ですけれども、こういった裏金問題というのはずっと議論になってきたわけであります。安倍派の前身であります森派の収支報告書の不記載、裏金報道記事であります。

 二〇〇四年九月十日のしんぶん赤旗の記事で、見出しにありますように、森派、年一億円支出記載せず、餅代、氷代を五年間。左側の方の東京新聞二〇〇五年の三月十日付、パーティー収入裏金化か、ノルマ超過分若手議員に還元、森派、収支報告せず、共同通信調べ。

 こういうのを見ますと、今の報道かと見まがうような報道が二十年前に行われている。極めて深刻な事態ということを改めて浮き彫りとしたんじゃないでしょうか。

 萩生田氏の発言、また二〇〇四年の赤旗報道、二〇〇五年の共同の配信の記事などを見ると、総理、安倍派の裏金づくりというのは、二〇〇〇年代の初め、それより前、一九九〇年代から始まっているということになるんじゃないですか。そのようにお考えになりませんか。

○岸田内閣総理大臣 聞き取りの中で、これまでの経緯についても確認をしたいと考えて聞き取りを進めてきました。この取りまとめられる報告書の中でどこまで確認できるのか、党としてもそこで判断をしたいと思います。

○塩川委員 総理、この二〇〇四年、二〇〇五年のこういう森派をめぐるような報道というのは、御記憶ありませんか。

○岸田内閣総理大臣 済みません、二十年前の話、ちょっと具体的には記憶に残っておりません。

○塩川委員 一貫したこういった裏金づくりの問題が問われているときに、改めて、どこまで遡るのかということについてきちっと総理として目くばせするのは当たり前のことであります。

 このように、裏金づくりがいつから始まったか、徹底解明が必要であります。

 委員長、当時の清和研会長であります森喜朗氏を始めとした関係者の証人喚問を求めます。

○小野寺委員長 理事会にて協議をいたします。

○塩川委員 そこで、自民党派閥の政治資金パーティー収入の推移を見ると、一九九八年の三億六千五百万円が一九九九年には十三億一千六百万円と、三・六倍に急増しています。

 自民党派閥の政治資金パーティー収入がこんなに増えたというのはなぜだと思いますか、総理。

○岸田内閣総理大臣 政治資金の額がどうして増えたか、理由ということ……(塩川委員「パーティーの」と呼ぶ)パーティー収入がどれだけ増えたか。これは、パーティー券を買う側の事情もあったと思いますが、一方で、パーティー自体についても頻繁に行われた等が想像されるのではないかと思います。

○塩川委員 言っていることがよく分かりませんが。

 一九九九年の政治資金規正法の改正によって、派閥への企業・団体献金が禁止をされたんです。企業、団体からの献金が政治資金パーティーのパーティー券購入にシフトしたということを、このことははっきりと物語っているわけであります。政治資金パーティー収入は形を変えた企業・団体献金だということは明らかじゃないでしょうか。

 派閥への企業・団体献金は禁止をされたのに、その企業・団体献金の抜け穴として派閥の政治資金パーティーが活用、拡大されてきた、その下で裏金づくりが始まったんじゃありませんか。

○岸田内閣総理大臣 政治資金パーティーの金額が増えた背景について委員から御指摘がありました。それについてもいま一度確認していきたいと思いますが、いずれにせよ、民主主義のコストをどのように負担していくのか、そういった中で、企業・団体献金について、またパーティー収入について考えていかなければならないと思います。

 是非、社会全体でどのようにコストを賄うのか、そして日本の民主主義を維持していくためにはどうあるべきなのか、こういった議論を行っていきたいと思います。

○塩川委員 派閥のパーティーの裏金づくりの発端がこういった法改正にあったんじゃないのか、こういうことこそきちっと解明すべきじゃありませんか。政治資金パーティー収入は形を変えた企業・団体献金だ、裏金づくりの大本を断つのが企業・団体献金の禁止だということを強調します。

 最後に、このような政治をゆがめる企業・団体献金にしがみついてきたのが自民党であり、財界、大企業であります。三十年前にリクルート事件、佐川急便事件など金権腐敗事件が相次いで、金の力で政治をゆがめるのは許されないという国民の批判の前に、一九九三年には、自民党への企業献金をあっせんしてきた経団連も、企業献金については一定期間の後廃止を含めて見直すべきである、経団連は来年以降あっせんは行わないと表明せざるを得なくなりました。

 ところが、あっせん中止から十年たった二〇〇三年、日本経団連は、企業寄附を含む民間の自発的な寄附の意義を再認識すべきと、献金の促進を打ち出しました。経団連としての政策優先事項に基づく政党評価、経済界としての寄附総額の目標設定、企業ごとの寄附額の目安の設定を行うなど、企業献金を復活をしました。金も出せば口も出すとして始まったのが、通信簿方式の企業献金促進策だった。露骨な政策買収と言わなければなりません。

 献金を復活した二〇〇三年の政策評価でも、自民党の政権復帰後の二〇一三年の政策評価でも、一貫して財界、経団連が要求してきたのは、法人税は下げろ、消費税は上げろ、そして、原発事故後は原発の再稼働だった。これを忠実に実施してきたのが自民党政治の二十年間だった。この二十年で自民党が受け取った企業・団体献金は四百六十四億円にも上ります。

 こういった、政治をゆがめる企業・団体献金は、きっぱりと禁止をすべきではありませんか。

○小野寺委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、時間が来ております。端的にお願いいたします。

○岸田内閣総理大臣 経団連の政策評価については私から申し上げることは控えますが、自民党の政策判断、これは間違いなく、こうした献金に左右されるものではないと認識をしております。

 政策の積み上げ、有識者、そして全国の多くの国民の声、様々な声を吸い上げた上で政策を決定している、こういったことであります。自民党としての政策判断、政策の決定、これについては、引き続き多くの国民の声を聞きながら適切に判断をしてまいります。

○塩川委員 投票権、参政権を持たない企業が政治献金をすることは国民の参政権を侵害するものなんだ、このことが大いに問われるということを申し上げ、企業・団体献金の全面禁止法案こそ今国会実現することだと強く申し上げて、質問を終わります。