【内閣委員会】国立女性教育会館の存続を/独法ではなく国直轄の機関として位置付けを

 埼玉県嵐山町にある国立女性教育会館の存続を求めました。

 国立女性教育会館は、広大な敷地に、宿泊棟や女性・家族に関する専門図書館などを備え、「男女共同参画社会」形成を推進する役割を担ってきました。しかし、国は、施設の機能強化には「ハードからソフトへ」移行することが重要だとの理由で、昨年11月、町に対して現行施設を撤去移転する旨の説明を行いました。

 私は、懇談した嵐山町の佐久間町長の「女性教育会館はナショナルセンターとして機能強化されると認識していた。閉鎖されれば町の魂が奪われてしまうような事態だ」との声を紹介、埼玉県と埼玉県議会も撤去反対の声をあげているとして、移転・撤去計画は撤回すべきだと主張しました。

 加藤鮎子担当大臣は、施設の在り方については検討中だとして「埼玉県、嵐山町と丁寧に相談しているところ」だと答弁。

 私は、男女共同参画のナショナルセンターとして、ソフトを強化することは大いに図るべきだが、同時に、ハードとしての宿泊施設や専門図書館などを持っていることに大きな意味があると強調。嵐山町において機能強化を図るべきだと主張しました。

 そのうえで私は、国立女性教育会館は、独立行政法人という組織形態のために過去何度も廃止や統廃合の対象にされてきたと指摘。かつて独法化した消防研究所を国の機関の消防庁に統合して国の機関にもどした例をあげて、「ジェンダー平等の遅れが深刻な日本だからこそ、国立女性教育会館は独立行政法人ではなく国直轄の機関として位置付けるべきだ」と主張しました。

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「議事録」

213回通常国会 令和6年2月16日(金曜日) 内閣委員会 第2号

 ○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、まず最初に、国立女性教育会館について、加藤大臣にお尋ねをいたします。

 埼玉県嵐山町にあります国立女性教育会館の撤去、移転問題についてであります。

 国立女性教育会館は、男女共同参画社会形成を推進する役割を担い、広大な敷地に宿泊棟や女性、家族に関する専門図書館などを備えております。町民の方々も様々に関わっており、嵐山町民の誇りとなっております。しかし、昨年の十一月に、国は町に対して、現行施設を撤去、移転する旨の説明を行いました。

 昨年末に嵐山町の佐久間町長とお話をいたしましたけれども、佐久間町長は、女性教育会館はナショナルセンターとして機能強化されると認識していた、閉鎖をされれば町の魂が奪われてしまうような事態だ、それだけは避けたいと述べておられました。埼玉県や埼玉県議会も、撤去反対、存続の要望を上げております。

 嵐山町の国立女性教育会館は、機能と施設の拡充を図るべきであり、地元の声を受け止め、撤去、移転計画は是非撤回をしていただきたいと思いますが、お答えください。

○加藤国務大臣 独立行政法人国立女性教育会館につきましては、現在、その機能を抜本的に見直し、強化し、内閣府が主導する男女共同参画社会の形成の促進に寄与するための新たな中核的組織として整備することとしております。

 機能強化の在り方につきましては、男女共同参画会議の下に開催したワーキンググループの報告書において、「現在の研修棟や宿泊棟といった施設の在り方についても、今後検討していくことが必要である。」とされており、検討に当たりましては、同会館が所在する埼玉県及び嵐山町と丁寧に相談を進めているところでございます。

    〔委員長退席、鳩山委員長代理着席〕

○塩川委員 国立女性教育会館について、ハードからソフトへなどということで、検討会などで言われているんですけれども、大いに、ソフト面の拡大というのは非常に重要で、特に、法案、検討中のものが出されていますように、やはりナショナルセンターとしての役割もある。センター・オブ・センターズとしての役割も是非持ってもらおう、そういった形での機能強化を図るというのは重要な方向だと考えております。

 その際に、様々なソフト機能を強化すると同時に、やはりハードとして研修、宿泊施設を持っていること自身に大きな意味もあるんだ、そういった際に、嵐山町においてその機能強化を図るんだ、この点は是非ともはっきりさせて取り組んでいただきたいと思うんですが、改めて、いかがでしょうか。

○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 現在の施設につきましては、啓発や研修等について、今後対象とする層の拡充を図っていくに当たりまして、オンラインを活用した実施のニーズの増加が見込まれることや、ハードの施設がソフトの施設を圧迫しているという現状があり得るということに鑑み、施設の見直しの必要性について検討をしているところでございます。

○塩川委員 ですから、オンラインなんかは是非大いにやってもらって、そういう研修もあるわけですけれども、実地の研修、宿泊研修なども当然有効に活用してきたわけですから、そういう点での取組を是非とも進めてほしい。今、宿泊施設なども、少人数な場合にはそもそもお断りするような実態というのが現場にあるんですよ。これじゃ利用促進すら進まないんじゃないのか、こういう問題なんかも、声も上がっているわけですから、是非、ソフトとともにハードもということでの、嵐山町における拡充強化を求めたいと思っています。

 国立女性教育会館の取組、例えば、災害とジェンダーの問題などにつきましても、非常にこの間も研修などにも取り組んでおられて、そういう意味では、まさに能登半島地震でジェンダーの視点での取組が強調されているときに、本当に力を発揮をしている、そういった機関になっております。今の場所でそういう役割を是非とも果たしてもらいたいと思っております。

 オンラインとかアウトリーチを大きく進めたいとおっしゃっているのは当然で、そういったことをこの嵐山町で、宿泊、研究施設を伴う形で行ってもらうことこそ求められていると思います。その上で、是非、地元の声を受け止めた、撤去、移転計画は撤回をして、現地での存続、機能強化を求めたいと思います。

 この国立女性教育会館について、政府は法案も準備しております。その際に、今は独立行政法人なんですよね。それを、ジェンダー平等の遅れが顕著なこの日本だからこそ、この国立女性教育会館は、独立行政法人ではなくて国直轄の機関として運営を行っていくべきではないのか、位置づけるべきではないのか、このように考えますが、いかがでしょうか。

○加藤国務大臣 国立女性教育会館は、昭和五十二年に文部省の附属機関として設置をされ、平成十三年四月に独立行政法人化をされております。

 機能強化後の法人におきましても、国が自ら主体となり直接に実施する必要がない業務を持たせることに変わりはないため、国の機関とすることは、現在のところ検討をしておりません。

 機能強化後は、男女共同参画に関する施策を総合的に進めるナショナルセンター、全国各地の男女共同参画センターを支援するセンター・オブ・センターズの機能を担わせることを目指してまいります。

○塩川委員 国立女性教育会館は、非常に大きな役割を果たしていたにもかかわらず、独立行政法人という形態にあるがゆえに、何度も廃止や統廃合、この議論の憂き目に遭ってきた、対象にされてきたところであります。その点では、かつて独法化をした消防研究所については、やはりその役割が極めて重要だということで、消防庁に統合して国の機関に戻した、こういう例もあるわけであります。是非、国立女性教育会館は国の機関として位置づけるべきだ、このことを改めて求めておくものであります。

 加藤大臣については、ここまでで結構でございます。