【内閣委員会】サイバーセキュリティ基本法改正案/安全保障と密接/民間分野まで

 サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案の質疑。質疑後採決が行われ、賛成多数で可決されました。共産党は反対しました。

 法案は内閣官房のもとに官民が参加する協議会を設置し、構成員にサイバーセキュリティに関する情報の提供義務を課すものです。協議会の事務局は内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が担います。

 協議会で構成員に情報提供義務を課す主体は、NISCである。提供義務がかかる情報の定義はどうやって定めるのか――と質問。

 内閣官房は「規約で定める。原案はNISCが作る」と答えました。

 政府は官民で情報共有するための協議会だと言うが、NISCが構成員に情報提供義務を課して提出させる組織だ。NISCのトップである内閣サイバーセキュリティセンター長に、国家安全保障局次長でもある内閣副長官補(事態対処・危機管理担当)が着いている理由を追及。

 櫻田義孝大臣(サイバーセキュリティ戦略本部担当)は「サイバーセキュリティは安全保障と密接な関係があるため」と答えました。

 日本の国家安全保障戦略が「米国とのサイバー防衛協力の推進」を掲げているもとで、日本のサイバーセキュリティ分野が米国のサイバー軍事戦略に組み込まれる懸念がある。

 櫻田大臣は「安全保障は私の分野ではない」と答弁を避けました。

 また、NISCの実員数191人のうち民間出身の非常勤の職員が53人いる。非常勤職員の給与額について質問。

 内閣官房は「日当で1万円程度」と答えました

 出身元企業から給与補てんを受けつつ非常勤職員として働くことは可能かと質問。

 内閣官房は「可能だ」と認めました。

 非常勤職員が企画立案など専門性の高い業務を行っているにもかかわらず日給1万円ほどで働いている。低い賃金を民間企業が補てんしていることがうかがわれる。官民人事交流法では出身元企業からの給与補てんが禁止されているにも関わらず、非常勤であればそれが許される。抜け道だ。官民癒着の疑念は払しょくできない。

 櫻田大臣は「制度として認められていることだ」と答えました。

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「議事録」
【質疑】

<第197通常国会 2018年11月22日 内閣委員会 6号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 サイバーセキュリティ基本法改正案について質問をいたします。
 幾つか事務方の方にお伺いしますけれども、サイバーセキュリティ協議会を創設するというのが今回の法案なんですが、このサイバーセキュリティ協議会を組織するのは誰か、この点について教えてください。

○山内政府参考人 お答えいたします。
 協議会は、サイバーセキュリティ本部長及び本部長が委嘱する国務大臣が組織するものとしております。

○塩川委員 本部長等が組織するということですが、このサイバーセキュリティ戦略本部長は官房長官です。
 協議会の庶務は誰が担うのか。事務局はどこか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 協議会の事務局は、私ども内閣サイバーセキュリティセンター、そして、法文の中で、技術的な内容を今回この情報共有の中で求めますので、これを委託する法人というものを考えてございます。この二つが事務局を担うことになります。

○塩川委員 委託の法人がありますけれども、事務局は内閣サイバーセキュリティセンターということで、センター長は内閣官房副長官補の事態対処・危機管理担当ということです。
 協議会の構成員について、想定される対象機関を例示してください。この第十七条第二項の各号に対応してポイントの説明をお願いします。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、国の関係行政機関でございますので、これはいわゆる中央の政府機関。地方公共団体でございますので、都道府県及び市町村。それから重要インフラ事業者、これはサイバーセキュリティ戦略本部で指定をしております十四分野、例えば電気通信、金融、電力といった、こういうサービスを担う事業者。それからサイバー関連事業者、これはいわゆる情報通信それからセキュリティーのサービスを担当している会社、例えば電機メーカー、それからセキュリティーのサービスを行っている会社。教育研究機関、例えば大学でございます。

○塩川委員 広い機関が構成員になる。そこに、国の行政機関等もありますけれども、自治体やまた民間事業者、大学等の研究教育機関も入っているということです。
 情報提供義務を課す機微な情報というのはどういうものでしょうか。情報提供義務を課すその主体というのはどこになるんでしょうか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、守秘義務に関しましては、構成員の中にかかる形でございますが、恐らくこの後の実際の規定の中で決めることになりますが、秘密を持っている、例えば企業の中のまだ公表に至らない情報を持っている、こういう会社、構成員の中のその方々ということになろうかと思います。

○塩川委員 情報提供義務を課す機微な情報というのはどういうものか。

○山内政府参考人 大変失礼いたしました。
 お答え申し上げます。
 情報提供義務、すなわち、対策に資する情報、それから攻撃に関する情報といったものを提供される方々ということになりますので、この構成員の中でそのような情報をお持ちの方ということになります。

○塩川委員 こういった情報提供義務を課すのは誰なのか。情報提供義務を課すのは誰。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 情報提供義務、今回、法律によって課す形でございます、法律が課すという形でございますので、当然、協議会が構成員に対して課すという形になります。

○塩川委員 協議会が情報提供義務を課していると。
 その協議会の事務局はNISCということでよろしいですね。

○山内政府参考人 そのとおりでございます。

○塩川委員 広範囲の官民の機関が構成員となるわけですが、この協議会というのは会議とかを開くんですか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 今後、実際に規定をある程度決めていくことになろうかと思います。協議会の中の会合はございますが、実際に目的とする情報共有に関しましては、恐らく情報のシステムの中で、迅速に共有をする必要がございますので、このシステムの中で共有をする形というのを考えてございます。
 したがいまして、実際の構成員が集まる会合というものを頻度高く行うという形にはならないかというふうに思ってございます。

○塩川委員 構成員が集まるような会合ということにはならない、バーチャルな格好で、この情報共有はシステムの中で行うという説明であったわけです。ですから、協議会といっても、何かこう一堂に会するような、そういう場ではないということになります。
 ですから、サイバーセキュリティ協議会は会議体ではありません。事務局である内閣サイバーセキュリティセンター、NISCが、構成員の官民の機関に対して、サイバーセキュリティーに関する施策の推進に関し必要な資料について情報提供義務を課して提出させる、そういう組織になるわけです。
 その場合の情報提供について、例えば大学などの研究教育機関の研究や技術というのも情報提供義務を課す対象とはなり得るんでしょうか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の法文上ですと、提供義務というのを課してございますが、特段の定めがない場合ということになってございます。例えば、今先生御指摘の大学の場合ですと、大学の自治等、ほかの法律に基づくもの等がございますので、これに抵触をしない範囲ということになろうかと存じます。

○塩川委員 抵触をしない範囲というのがどこで線を引かれるのかわからない。構成員として協議会の中に入ればこの情報提供義務は課されるわけですから、その場合に、法文上にも「正当な理由がある場合を除き、」という、その辺の仕切りは誰がどういうふうに決めるんですか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 今後、規定の中で具体的にどのような形になるかということは整理をさせていただきたいと存じますが、特に今の大学のお話に関しましては、先生が御指摘の大学の自治等がございますので、一定の配慮が必要かというふうに思ってございます。

○塩川委員 まあ、一定の配慮という言い方はしますけれども、規定で決める。その規定は誰がつくるんでしょうか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 協議会の事務局を務めます私ども内閣サイバーセキュリティセンターが原案をつくりまして、この協議会の構成員に諮る形になろうかと思います。

○塩川委員 NISCがたたき台をつくる、事務方で行っていくということになります。
 同じように、民間に対しても必要な資料の提供を求めるということになるわけですね。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 協議会の構成員になる方に関しましては、ひとしくこの情報の提供義務を課すという形になろうかと思います。

○塩川委員 この情報提供を求めることに対して応じなければならないという規定になっているわけです。主要国と比べても、情報提供を求める対象が広いというのが特徴だと思います。
 大臣にお尋ねいたします。
 内閣サイバーセキュリティセンター長は、内閣官房副長官補、事態対処・危機管理担当であります。この事態対処・危機管理担当の内閣官房副長官補は、国家安全保障局次長を務めております。内閣官房副長官補、事態対処・危機管理担当が内閣サイバーセキュリティセンター長と国家安全保障局次長を兼ねている、その理由は何ですか。

○櫻田国務大臣 お答えさせていただきます。
 政令に基づいて、内閣サイバーセキュリティセンター長は内閣官房副長官補の中から指名されることになっております。また、サイバーセキュリティーに関する業務は事態対処担当や国家安全保障局の業務ともそれぞれ関連があることが、センター長が兼ねている理由であると認識しております。

○塩川委員 国家安全保障と危機管理、サイバーセキュリティーと危機管理、これが密接にかかわるものだということでよろしいですか。

○櫻田国務大臣 そのとおりでございます。

○塩川委員 内閣サイバーセキュリティセンターと国家安全保障局が同一のトップのもとで、緊密に連携して業務を行っているということであります。
 NISCの常勤スタッフは府省庁の出身者で構成されておりますけれども、一番多いのが防衛省であり、副長官補、この事態対処・危機管理担当の方も防衛省出身の方であります。
 国家安全保障局が事務局となっている国家安全保障会議で策定した国家安全保障戦略には、アメリカとのサイバー防衛協力の推進がうたわれております。二〇一五年四月の新日米ガイドラインには、サイバー空間に関する協力という項目が初めて設けられました。
 このアメリカの軍事戦略に組み込まれることになるのではないのかと考えますが、大臣、いかがですか。

○櫻田国務大臣 安全保障の問題は、別の所管で伺っていただければありがたいと思います。

○塩川委員 国家安全保障、サイバーセキュリティーと危機管理は密接にかかわるということをお認めになったわけですから、そういう、アメリカとの関係がどうなるのかというのは不可分な話であって、人任せの話じゃないと思うんですが、改めて。

○櫻田国務大臣 そういう意味では、そのとおりでございます。

○塩川委員 だから、答えてもらえればと思うんですけれども。
 アメリカの軍事戦略に組み込まれることになりはしないのか。サイバーセキュリティーの話で聞いているわけですから、大臣。

○櫻田国務大臣 軍事情勢と無関係だとは言えないと思いますし、多少かかわり合いが、多少ではなく、かかわり合いは持っていると思います。

○塩川委員 ですから、アメリカの場合は、サイバー攻撃による大規模な被害が差し迫っている場合にはサイバー空間で先制攻撃を行う、そういう可能性についても言及をしているわけです。
 協議会を通じて、日本の官民の機関がアメリカのサイバー戦略に組み込まれる懸念もあるわけですけれども、それはどうですか。

○櫻田国務大臣 この辺の分野になると、私の分野ではないと考えております。

○塩川委員 サイバーセキュリティーについてお聞きしているので、別に安全保障そのものの話をしているわけではない。サイバーセキュリティーのこの問題が、こういうアメリカの軍事戦略に組み込まれることになりはしないのかということをお聞きしているんですから、もう一回。

○櫻田国務大臣 やはり質問の内容からいって、安全保障にかかわるものだと私は思っておりますので、発言は控えさせていただきます。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 大臣の発言のちょっと補足をさせていただきたいと思います。
 サイバーセキュリティ基本法の中で、まず、サイバーセキュリティーに関して、安全保障と密接に関連をしているというのは、先生の御指摘のとおりでございます。
 他方、協議会の中で扱う、共有される情報につきましては、これも先生の御指摘のとおりでございますが、情報の提供義務があるのは確かでございます。特段の差しさわりがある場合を除いてということは当然ございますし、安全保障があるからといって、その企業にそういう情報の提供を義務づけるというものではございません。ここは当然、一定の仕切り、整理を設けて、協議会の中で民間の企業の方々にも安心をして出していただくという構造にしたいというふうに思ってございます。そのような規定も設けたいというふうに思ってございます。

○塩川委員 情報提供義務を課すというところがあるんですから、その規定の中身というのも事務局の方でつくるわけで、その主導をするNISCのトップの事務方というのが、国家安全保障局の次長という形で両方のトップを兼ねているわけですから、これは不可分、リンクをしているでしょうというときに、このサイバーセキュリティーが国家安全保障戦略と不可分で、その先にあるのが日米の軍事協力の話ですから、その点で聞いているんですけれども、お答えがありませんでした。
 こういった日本の官民の機関が、アメリカのサイバー戦略、先制攻撃を含むようなそういうものに組み込まれる懸念というのは拭えないということを申し上げなければなりません。
 もう一つ、NISCの構成についてお尋ねをいたします。
 NISCにおける実員数、常勤、非常勤の区分、それから、そのうちの民間出身者の数、常勤と非常勤を分けて、何人かお答えください。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども内閣サイバーセキュリティセンター、実員数、まず、全員で百九十一名でございます。公務員の出身者が、現役で公務員の者が九十三名、それから、民間企業からの出身の者が六十四名でございます。

○塩川委員 ちょっとお答えになっていないんですが、実員数百九十一人で、内訳でいうと、常勤が百九人で、非常勤は八十二人です。非常勤の方も非常に多いということと、民間出身者の方の数、六十四人と言いました。この六十四人の内訳は、常勤、非常勤の区分でわかりますか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げました六十四人の中の内訳、常勤が十一名、非常勤が差し引きました五十三名でございます。

○塩川委員 ですから、民間の方のほとんどが非常勤の方であります。
 それで、民間出身者の役職別の内訳と人数を、常勤、非常勤というのも加えて説明してもらえますか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 六十四人のうちの五十三名の非常勤。政策調査員という方々がまず四十九名、それから、サイバーセキュリティ補佐官が一名、行政実務研修員が三名、これが五十三名の内訳になります。
 サイバーセキュリティ監査官六名、上席サイバーセキュリティ分析官三名、主査二名、計十一名が常勤の職員でございます。

○塩川委員 非常勤の方が非常に多い。その中でも、政策調査員という方が四十九人を占める。ですから、NISC全体の四分の一以上の人が非常勤の民間の政策調査員という方であります。
 民間出身者の大半が非常勤職員の政策調査員ですが、この政策調査員の方の勤務条件というのはどうなっているんでしょうか。応募要領などがあるわけですけれども、勤務時間、任期、給与等について説明してもらえますか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 政策調査員の方々でございますが、任期は先方との取り交わしでございますが、基本的に二年でございます。
 それから、勤務時間に関しましては、いわゆる非常勤の職員でいらっしゃいますので、一日五時間四十五分を超えないものという形でございます。
 給与に関しましては、非常勤の職員についての定めがございますので、この給与について、実際に時間当たりのお金を掛けてお払いをするという形でございます。

○塩川委員 一日五時間四十五分、非常勤の方の線があるものですから、週五日、任期は二年間、給与は、一般職給与法に基づいて、常勤職員との権衡を考慮して支給するということになるわけですが、ちなみに、非常勤職員で主査クラスの人というのは幾らぐらいになるものなんですか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 主査クラスの方の日額の単価が九千七百円でございます。

○塩川委員 主査クラスは日額九千七百円。補佐級はどのぐらいですか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 補佐級の職員に関しましては、日額一万一千百十円でございます。

○塩川委員 ですから、非常勤職員、この政策調査員の方は、主査、係長クラス、課長補佐クラスとなると、日額、日当が九千七百円とか一万一千百十円なんですよ。それを、年間二百五十日ぐらいにしても、二百五十万ぐらいなんですよね。こういった、官製ワーキングプアと言われても仕方がないようなそういう水準なんですけれども、この政策調査員の募集要項を見ると、結構いろいろなことを書いているんですよね。
 応募資格がどういうものになるかというのは御存じですか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 実際に、私どもにお越しいただいて働くときの業務によって若干変わります。例えば監査を行っていただく方の場合でございますと、その監査の経験をお持ちであるか、それから、例えばシステムにもしかかわるのであれば、システムの御経験があるのかといったことを加味いたします。
 あと、それ以外に関しましては、いわゆる政府の非常勤職員としての要求条件と同じということでございます。

○塩川委員 例えば、政府機関総合対策グループの業務という政策調査員の方の募集要項にある応募資格を見ると、大学以上の学歴を有すること、サイバーセキュリティー及び情報システムに関する一定の知識、情報システムの開発、運用に関する実務経験を有すること、また、官民の多様な組織間の調整に必要な折衝能力、一定の事務処理能力及び説明能力を有すること。なお、情報処理安全確保支援士、情報セキュリティーに関連した資格を有している者が望ましいとあります。
 随分注文が多いわけですけれども、こんなにいろいろ応募資格で注文をつけているのに、年収二百五十万円じゃ、ちょっと安過ぎると思いませんか。

○櫻田国務大臣 それぞれ仕事に応じたお金だと思っておりますので、私からは、それ以上のことは。

○塩川委員 業務としてこれだけのことを求める、まさに、企画立案、総合調整という、NISCの中で、非常勤の方であれ、主査、係長や課長補佐クラスで働いているような方なんかもたくさんいらっしゃるわけですから、そういうときに、これは余りにも低過ぎるんじゃないかと率直に思いませんか。

○櫻田国務大臣 ちょっと立場上、答弁は控えさせていただきたいと思います。

○塩川委員 いや、大臣のもとで働いている専門家の皆さんなんですから、その実情、実態に心を寄せるというのは当然のことではないかと思いますが。
 ちょっと事務方に聞きますけれども、この政策調査員、非常勤の方というのは、民間の籍を持って、出身元企業の身分を持ったまま勤務するということは可能ですか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 国家公務員の一種でいらっしゃいますが、この非常勤職員につきまして、職員の兼業の許可に関する政令がございますが、これによりまして兼業を行うことが可能ということでございます。したがいまして、もとの職をお持ちのままで私どものところに御出向していただくことが可能という形でございます。

○塩川委員 これは、内閣人事局のホームページを見ると、民間出身者のリストがあります。ですから、出身企業のことが全部、NISCの場合でも出てくるわけですよね。それを見ると、名立たる大企業が出てくるわけです、システムベンダーのNECとか富士通とか日立とか。こういう企業を含めてたくさんの大企業等々があるわけで、そういった方々が実際には非常勤職員でNISCの中で働いているということになっているわけですよね。
 そうしますと、この政策調査員の人は、確かに二百五十万、非常勤で働いているかもしれないけれども、出身元企業、籍を置いている企業から給与の補填を受けているということは当然あるんじゃないですか。ないと言えますか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 兼業が認められている範囲での二つのところからの給与というのはあり得るかと存じます。

○塩川委員 ですから、そうなると、民間企業に籍を置きながら、こういうNISC、サイバーセキュリティーの企画立案を行うようなところで、そのまま社員の身分を持って働いている、二百五十万の給料じゃ当然足りないとなれば、民間企業から給与の補填をやって仕事をしているとなるんですよね。そうなると、これは、民間企業の利益をみずからの仕事として官の仕事をやるということになりはしないのかという問題なんです。
 これは、官民人事交流の制度を見たときにも、官民人事交流法というのがあります。そのもとでは、民間の身分を持ったまま官で働くような場合、これは今の制度上は雇用継続型という形で認められている、新しい枠もつくったわけであります。そのときに、それでも官民癒着の懸念がありますよ、公務の公正性が疑われないようにしなければなりませんねということで、この官民人事交流法の雇用継続型においては幾つか条件をつけているんですよ。それというのが、交流元企業の業務に従事することはできません、つまり出身企業で仕事はできませんということと、出身企業から給与の補填は禁止をする、こういう条件がついているんです。
 それは、やはり官民癒着の批判を免れないということになるわけじゃないですか。確かに、官民人事交流制度ではなく、非常勤職員だから兼職は可能だとなっているんだけれども、実態は抜け道じゃないですか。
 そういったときに、そもそもこんな二百五十万の給与でいいのかという問題と、そもそも民間の身分で民間企業から給与補填を受けて働いているということになれば、これはやはり官民癒着のそしりは免れないんじゃないかと思うんですが、こういった事態を放置していいのか。いかがですか。

○櫻田国務大臣 それはいろいろ御意見があるかもしれませんが、制度として認められたものだというふうに認識しております。

○塩川委員 いや、それは実質抜け穴なんですよ。だって、官民人事交流制度で官民交流を行う際に一定のやはり規制が必要だということになって、雇用継続型の場合であれば、もともとの出身企業では働かない、出身企業からの給与の補填を受けないと言っているわけですから。実際、でも、非常勤職員となれば、これの抜け穴でこの規制が取り払われるというのは、仕組み上おかしいんじゃないですか。
 だから、どんなにいい仕事をしていても、こういった実態ということになれば、これは官民癒着のそしりを免れない、公務の公正性が疑われる、こういう事態は無視できないと思うんですが、もう一回。

○櫻田国務大臣 これは公務員制度全体の問題というふうに認識しております。

○塩川委員 いや、足元のNISCについての話ですから、これについての見識というのは必要じゃないですか。

○櫻田国務大臣 NISCだけの問題というふうには捉えておりませんので、あくまでも公務員制度の中で一般論としてやられているものだと思います。

○塩川委員 この点で、公務の公正性が疑われる、官民癒着の疑念は払拭できないということを言わざるを得ません。
 私がこのことを強調するのも、やはり、大きなお金が動くようなこういった官の仕事で民間の人が働く際に、当然そういった点についてのさまざまな規制があってしかるべきだということがあるわけです。そういったときに、それを監督指揮する立場の大臣の姿勢も問われるわけです。
 ですから、最後に伺いますけれども、櫻田大臣が所管をする、関連する、そういう仕事において、関連する業界団体や企業から企業・団体献金やパーティー券の購入は行わない、オリパラもあるんですから、ゼネコンから金をもらうなんてとんでもない、こういうことというのははっきり約束してもらえますか。

○櫻田国務大臣 国務大臣は、倫理の保持に万全を期するため、大臣規範において、「関係業者との接触等」について、「国民の疑惑を招くような行為をしてはならない。」とされていると承知をしております。
 大臣規範を踏まえ、今後とも適切に国務大臣としての業務を遂行してまいります。

○塩川委員 きのうやりとりしましたように、大臣規範というのは実質もう機能していないような、そういう中身になっているという点も極めて重大であるわけで、国民からやはり後ろ指を指されないような、そういう姿勢こそ求められている。
 こういった企業・団体献金、パーティー券については、少なくとも関連する業界団体、企業からはもらわないということこそ大臣に求められていることを求めて、質問を終わります。

 

【反対討論】

<第197通常国会 2018年11月22日 内閣委員会 6号>

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 まず、与野党の合意なく、予備日に閣法の質疑を行い、採決まで行うような与党の運営に強く抗議をするものであります。
 我が党は、サイバーセキュリティ基本法について、日本と米国との軍事一体化が進むもとで、サイバーセキュリティーを安全保障の一環として位置づけている、サイバーセキュリティー分野が日米軍事強化の一翼を担うことになるとして反対してきました。
 本案は、内閣官房のもとに民間などが参加する協議会を設置し、その構成員に情報提供義務と守秘義務を課すことで、内閣サイバーセキュリティセンターが民間などが保有するサイバーセキュリティーに関する情報を広く素早く収集する仕組みづくりを行うものです。
 政府は、協議会は官民で情報を共有する仕組みだと説明していますが、提供された情報をどの構成員に提供するか決めるのはNISCであり、提供義務がかかる情報の定義も協議会の規則で定めるもので不確定です。協議会は、NISCによる情報収集管理システムという側面が強いと言わざるを得ません。
 NISCのトップであるセンター長には、国家安全保障局次長である内閣官房副長官補、事態対処・危機管理担当がつき、NISCが国家安全保障会議のもとで情報収集を行うことになります。協議会を通じてNISCによって収集される情報は安全保障政策のために活用され、加えて、収集された情報がサイバー攻撃や軍事に転用されるおそれも否定できません。
 また、二〇一八年七月に閣議決定された新サイバーセキュリティ戦略では、我が国の安全保障を脅かすようなサイバー空間における脅威について、同盟国、有志国とも連携し、とり得る全ての有効な手段と能力を活用し、断固たる対応をとると、より一層サイバー空間における米国との軍事一体化の姿勢を明確にしています。
 米国は、サイバー事案に対して武力行使をすること、場合によってはサイバー攻撃を先制的に行うことを表明しており、その米国と一体となった安全保障体制のもとで、官民一体の協議会を設置することは、米国のサイバー戦略に民間分野まで含めて協力する道を開くものであり、容認できません。
 以上、反対討論を終わります。