【内閣委員会】三芳スマートインターチェンジ/大型車導入やめよ/事故の懸念高まる

 埼玉県の関越自動車道三芳スマートインターチェンジにおいて大型車を通行可能にする計画について質問しました。

 国土交通省は三芳町に対して「主要なアクセス道路については、県や関係市町村と連携して安全対策を図ること」と異例の連結許可条件を出しています。

 塩川議員は、現行では三芳スマートICを通れるのは2tショートトラックまでなのに対し、大型車が通行可能になれば車長12mの10tトラックも通行可能になる(トラックの大きさの違いは下図)。「2012年から18年におけるアクセス道路上の死亡事故件数と重傷事故件数は何件か」と質問。

 警察庁は「死亡が5件。重傷が34件」と答え、深刻な実態が明らかになりました。

 私は、18年末に県道56号線で死亡事故が起きたばかり。こういったアクセス道路において、大型車の通行実施前に拡幅や歩道整備といった道路改良の計画はあるのか――と質問。

 国交省は「短期対策は交差点のカラー化などを行う」と答弁し、大型車通行実施前には道路改良計画がないことを認めました。

 私は、大型車両による事故の懸念がある、と追及。

 山本順三国家公安委員長は「管理者と地元自治体、警察で構成する調整会議で安全対策を検討している」と述べるに留まりました。

 調整会議には警察も入っている。危ないものは危ないと指摘するべきだ。事故を防ぐ安全対策もないままの大型車導入は認められない。

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「議事録」

<第198通常国会 2018年03月13日 内閣委員会 5号>

○塩川委員 残りの時間で、道路環境問題について質問をいたします。
 埼玉県の三芳町には関越自動車道が通っておりますけれども、三芳パーキングエリアに設置されているスマートインターチェンジを大型車両も通行できるようにする計画を立てて、国交省など関係機関との協議を重ねているのが三芳町であります。
 国交省に確認しますけれども、通行可能となるトラックが現状と比べてどう変わるのかということですが、資料の三枚目につけましたが、トラックの絵を描いているわけですけれども、上の方は、現在、三芳スマートインターチェンジにおいて通行可能な車両は車長が六メートル以下ということですから、トラックでいえば小型車限定で、二トンショートトラックまで。それが、三芳町がつくっている三芳スマートインターチェンジ変更実施計画書に基づき通行可能となる車両は、全車種に広げて、車長が十二メートル以下ということですから、十トントラックの通行も可能となるというふうに承知をしておりますが、それでよろしいでしょうか。

○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
 三芳スマートインターチェンジの状況でございますけれども、川越インターチェンジと所沢インターチェンジの間に設置されております新潟方面についてのみ出入り可能なハーフ構造のインターチェンジと現在なってございます。
 このスマートインターチェンジは、大型車が現在アクセス道路に出入りができないために、議員おっしゃいましたように、車長六メートル以下の車両に限って利用可能となってございまして、トラックでは二、三トン以下のもののみが利用できるようになっております。
 平成二十七年に東京方面の出入りも可能とする事業に着手をいたしました。これにあわせて、大型車が通行可能な構造でアクセス道路を新設することとしておりまして、工事完了後は車長十二メートル以下の車両、トラックでは十トン以下のものが利用できるようになります。

○塩川委員 図にあるように、二トンショートトラックのレベルが十トントラックというんですから、大型車両が通るようになるんです。では、そこは広い道路かというと、そうじゃないんですよ。
 このスマートインターは、国道、県道に面していないんですよ。三芳町の町道に面しているだけなんです。ですから、大型車両の通行が困難な場所であって、国交省は、高速道路との大型車両通行に関して、ほかに余り例がないような連結許可条件を付していると承知していますけれども、それはどういうものでしょうか。

○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
 三芳スマートインターチェンジの連結許可に当たりましては、三つの条件が付されております。
 一つ目は、高速自動車国道との連結部を通行可能な車両は、原則としてETC通行車のみとし、利用者に対してその旨が十分に周知されるよう、必要な措置を講じること。
 二つ目は、広域的な利用が想定されることを踏まえ、実施計画書に位置づけられたスマートインターチェンジへの主要なアクセス道路については、当該道路を管理する埼玉県及び関係市町と連携して安全対策等を検討し、具体化を図り、その結果を地区協議会に報告すること。
 そして、三つ目は、スマートインターチェンジ実施計画書に定めたインターチェンジの工事開始時期までに、連結のために必要な工事を施行する土地の全ての所有者を含む地域住民の理解を十分に得ることとし、当該状況が整ったと思われる段階で地区協議会に報告を行うこと。
 以上の三点でございます。

○塩川委員 ですから、二番目の、主要なアクセス道路について安全対策を検討し、具体化を図る、こういった条件をつけているのは、ほかに例というのはあるんでしょうか。

○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
 これまでに事業化したスマートインターチェンジの中には、連結許可条件として、インターチェンジの構造や運用方法等について、安全面に留意するよう条件を付した事例もございます。

○塩川委員 アクセス道路について条件を付したのは。

○牧原委員長 国土交通省榊道路局次長、アクセス道路についてお答えください。

○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
 ただいま申し上げましたものを、具体的には……(塩川委員「いや、具体的でなくていいんだ。アクセス道路について言っているのはあるかと聞いている」と呼ぶ)中央道府中スマートインターチェンジの連結許可に当たりまして、そのアクセスするインターチェンジから出ていく道路の構造、運用方法等について、地域住民、利用者の意見を踏まえつつ、環境面、安全面に留意して具体化を図ることとし、これらの状況が整った段階で国に報告を行うこと等の条件を付してございます。

○塩川委員 ですから、スマートインターに直結する部分の話なんですよ。
 今回問題となっているのはそうじゃないんです。主要なアクセス道路について安全対策を検討し、具体化を図るというもので、資料の四枚目に埼玉県警事故発生マップというのをつけてあります。県警がこういう形でホームページ上に過去の事故例をずっと落とし込んでいて、事故の発生現場がよくわかるという点では非常に貴重なものだと思っております。
 そういった中に、緑色で書いている部分がアクセス道路なんですよね。赤い帯になっているのが関越道で、ちょうど真ん中よりちょっと下ぐらいに三芳パーキングエリアとあるのがスマートインターの場所なんです。ここに入るために県道とか町道を通らなくちゃいけない。この緑色沿いのところに事故が起こっているということもこれで見てわかると思います。赤いのが死亡事故、青いのが重傷の事故ということで、かなりの事故が起こっているということをここに見ていただけると思います。
 警察庁にお尋ねをしますが、二〇一二年以降のアクセス道路上の死亡事故件数、重傷事故件数、これは何件になっているのかについてお答えください。

○北村政府参考人 お答えをいたします。
 本年二月二十一日に開催されました第四回三芳スマートインターチェンジ安全対策等調整会議の資料、ただいま委員お示しの資料と同じものだと存じておりますけれども、その中で主要アクセス道路として示されております道路で、平成二十四年から平成三十年までの七年間に発生した交通人身事故件数につきまして、昨日、埼玉県警察に確認いたしましたところ、死亡事故五件、重傷事故三十九件との報告を受けております。

○塩川委員 ですから、過去七年間で、死亡事故が五件、重傷事故が三十九件、このアクセス道路上だけでの話であります。
 そこについて、国の方、国交省は、安全対策を検討し、具体化を図ると言っているわけですけれども、実際には昨年の十二月にも死亡事故が起こっているんですね。ですから、非常に狭隘な道路、要するに歩道も確保されていないような道路などもあるというのが現状なんです。
 そういった点で、実際に推進をしている三芳町などが関係機関と協議して決めている対策を見ても、スマートインターチェンジ開通前に行う措置というのは、注意看板の設置とか路面標示の設置、補修などしかないんです。ですから、物理的に歩車分離を図るようなそういった措置ですとか道路改良というのは、開通前の措置というのはないということで承知をしていますが、国交省にお尋ねしますけれども、こういった道路改良を伴うような対策というのは中期的対策であって、開通後に措置をする、そういうことになっているんじゃありませんか。

○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
 三芳スマートインターチェンジ事業におきましては、連結許可条件を踏まえまして、平成二十七年に国や埼玉県、関係市町、警察で構成されます安全対策等調整会議が設置され、これまで安全対策の検討や地元住民等からの意見聴取が実施されてきてございます。
 本年二月に開催されました会議で安全対策の内容及び実施箇所等が取りまとめられましたが、そこで挙げられている箇所のほかにも、幾つかの地区での交差点改良などにも地元の自治体では取り組んでおられると承知しております。

○塩川委員 ですから、それは本当にスマートインターの直近の場所だけなんですよ。このように事故が起こっているようなアクセス道路沿いについて、県道の五十六号線ですとか、開通前に道路改良などを行うという予定はあるんですか。

○榊政府参考人 今、手元の資料で子細には確認ができませんけれども、例えば、先ほど申し上げました安全対策等調整会議において示された対策案、短期的な対策、それから中期的、長期的な対策として三つに区分されてさまざまな対策が示されておりますが、交差点のカラー化、標識や路面標示の高輝度化、街灯の増設など、安全対策として寄与するメニューが短期対策としても掲げられているところでございます。
 今後、地区協議会にも報告をされるものと認識しておりますけれども、スマートインターチェンジの工事と並行いたしまして、今回取りまとめられました対策がしっかりと実施されることが重要であるというふうに考えております。

○塩川委員 ですから、看板をつけるとか誘導板をつけるとか、そういう話だけなんですよ、開通前にやるというのは。現に事故が起こっていて、今までは二トンショートしか通れなかったようなところを、今度は十トントラックが入れるような、そういうインターの改良なんですよ。それなのに、こういう十トントラックが通るようなことを想定したアクセス道路の道路改良は開通前にやらないというんですよ。こんなので本当に地域住民の方の安全が守れるのかということが問われているんですよ。
 山本国家公安委員長、心配だと思いませんか。

○山本国務大臣 スマートインターをフルインターにするという、これは全国でもかなり要望がたくさん国交省に来ているんだろうと思うんですね。したがって、利便性と事故の危険性、これをどういうふうに勘案していくかというのは非常に悩ましい問題だというふうに思っています。
 我々警察におきましては、一般に、道路の新設等に際して、道路管理者としっかり協議をする、そして必要な交通安全対策を実施していくということが基本中の基本でございまして、先ほど来お話があるとおり、三芳スマートインターチェンジのフルインターチェンジ化に対しては、道路管理者と地元自治体、それから警察署から成る調整会議において、必要なアクセス道路の交通安全対策等を検討されていくというふうに認識をいたしております。
 なお、今ほどお話がありましたけれども、道路標識の高輝度化とか、あるいはまた道路標示の補修等々、これも非常に大事なことでございますので、そういった必要な交通安全対策については、道路管理者による対策とともに我々も検討していき、そして、必要な交通安全対策が講じられるように今後とも取り組んでまいりたいと思っております。

○塩川委員 道路標識を見やすくするとか、それはそれで大事だと思っています。しかし、二トンショートしか入れなかったようなところに十トントラックが入れるようにするんですよ。それなのに、道路改良もやらなくて何が安全対策なのか。こういう都合だけ優先するというのはおかしいということをしっかり受けとめていただきたいんです。だって、警察も関係者で入っているんですから、やはり危ないものは危ないと指摘をすればいいんですよ。
 三角交差点という、この県道五十六号で昨年十二月、事故があったところというのも、本当に関越道の下、高架下のところで、拡幅も難しいようなところで、歩道もとれないようなところなんです。そういったところも、事故が起こったのに、何ら安全対策、道路改良もなしに、では開通だけは進めましょうというのはもう通らない話だ。
 もう一度、一言いただいて。

○北村政府参考人 お答えいたします。
 警察におきましては、先ほどからお話のありました、地元の自治体、警察署から成りますところの三芳スマートインターチェンジ安全対策等調整会議に参画して、必要な安全対策の検討をしているところでございます。引き続きまして、地元の方々、また道路管理者等の関係者の御意見も賜りながら安全対策には努めてまいりたいというふうに存じます。
 なお、先ほど、私、答弁の中で、重傷事故三十九件と申し上げましたが、三十四件の誤りでございましたので、おわび申し上げて訂正させていただきたいと存じます。

○塩川委員 道路改良などの安全対策を置き去りにしたままの大型車種導入というのは認められないということを申し上げて、質問を終わります。