▼2019年通常国会の取組み▼【8】選挙制度 (1)国政選挙の不正・ミスをなくせ (2)学生の投票権保障を (3)参院選挙制度「比例特定枠」関連歳費法案の質疑

【8】選挙制度

(1)国政選挙の不正・ミスをなくせ
【倫理選挙特別委員会】国政選挙の管理・執行/不正・ミス排除のため、経費と予算の確保を(2019/04/10)
 夏の参院選にかかわり、公正な管理・執行が行われるようただした。

 国政選挙において選挙管理委員会の開票不正が3回(13年参院選、14年総選挙、17年総選挙)おこり、不在者投票の運用誤りなど管理・執行上のミスがほぼ全都道府県であり、この10年余りで約3倍に増加している。

 石田真敏総務大臣は「不正は選挙への信頼を大きく揺るがしかねず、由々しき問題。各選管は、選挙の公正の確保という原点に立ち返り、厳正な管理・執行に万全を期してもらいたい」と述べた。

 私は、現憲法下でなかったことが立て続けに起こっており、危機感が足りないと批判。不正やミスの背景に、開票時間短縮のプレッシャーがあった、と強調した。

 総務省は、執行経費の基準となる開票時間4.5時間以内に開票作業を終了したのは46%(前回参院選)だったことを認め、今回、開票事務に活用する機器の整備費を規定したと答弁。

 ミスが増大し、不正事件まで起こっている反省に立てば、開票時間基準の短縮を見直し、見合った経費基準にすることが必要だ。また、直近で3分の1の投票所で投票時間の繰り上げが行われており、有権者の投票の機会を奪っている。

 総務省は、繰り上げを行った場合は経費を減額する措置を拡大したと答弁した。

 さらに、私は、18選挙権導入、参院選の合区、小選挙区区割の複雑化など、選管の業務は膨大で役割は大きく、人員確保のため、全選管の実態調査を要望した。

 石田大臣は「必要性があれば検討したい」と答えた。

(2)学生の投票権保障を
【倫理選挙特別委員会】学生ら投票権保障を/事態の解消を求める(2019/04/02)
 住民票を異動せずに1人暮らしをしている大学生らが投票できない問題について取り上げた。

 総務省が2016年に行った調査で、約6割の大学生らが住民票を「移していない」と回答していると指摘、住民票を異動せずに遠方に進学した学生の人数を質問。総務省は全国の市区町村を対象に初めて調査を行い、17年の総選挙で3462人だったと明らかにした。

 私は、18歳以上の日本国民は選挙権を有している。住民票を異動しないことで選挙権が奪われることがあってはならない――と指摘し、対策についてただした。

 石田真敏総務相は、選挙管理委員会と住民基本台帳担当部局との連携が図られるよう「18年に通知を出している」と述べ、「投票機会が得られるよう、通知の趣旨を周知したい」と表明した。

 住民票の異動の周知徹底は当然だ。国政選挙で選挙権を有していても、住民票を異動していないことで権利行使できない事態を解消する必要がある。

 また、自由な立候補を制約している国際的にも高額の供託金について、石田氏は「立候補しやすくすることは重要な観点」「改めて議論するのは意味がある」と答弁した。

(3)参院選挙制度「比例特定枠」関連歳費法案の質疑
1)【議院運営委員会】参院特定枠関連歳費法案が可決/徹頭徹尾、党利党略の法案/日本共産党は反対(6月17日)
 参院比例の特定枠導入に関連し、参院議員が歳費を自主返納できる歳費法案(自民・公明・無所属クラブ提出)が、自民・公明・国民民主などの各党の賛成で可決しました。日本共産党、立憲民主などは反対した。

 私は、採決に先立つ質疑で、2009年の最高裁判決を発端として行われてきた参院選挙制度改革について、自民党が2012年に「4増4減」、2015年に「2合区10増10減」で抜本改革を先送りし続けたうえ、2015年改定の附則に「抜本的な見直し」が盛り込まれていたにも関わらず、昨年は比例代表に「特定枠」を導入したと指摘。

 提案者の岡田直樹参院議員(自民)は、地方の声を届けるための改定で抜本改革であったと強弁する一方で、自民党としての抜本改革は合区解消の憲法改正であると答弁した。

 抜本改革を棚上げするだけでなく、改憲の口実に使うとは、まさに自民党の党利党略。また、自民党の特定枠利用について質問すると、岡田氏は「合区の候補者とならなかった者が特定枠の候補となる」と答えた。

 合区で自民党の議員・候補者を救済するため、自民党が党内で解決すべき候補者調整を、選挙制度改定で解消する党利党略で、国民の理解は得られない。

 さらに、今回の法案は、このような国民の批判をかわすために持ち出してきたものであり、徹頭徹尾、二重三重の党利党略の法案は、断じて認められない。

2)【本会議】参院特定枠関連歳費法が成立/二重三重の党利党略と反対討論(6月18日)
 参院比例代表選挙の特定枠導入に関連し、参院議員が歳費を自主返納できるとする歳費法案が、衆院本会議で、自民・公明・国民民主など各党の賛成で可決・成立した。日本共産党、立憲民主党などは反対した。

 私は、反対討論で、この間の参院選挙制度改革で、自民党が2012年に「4増4減」で2015年に「2合区10増10減」で抜本改革を先送りし、15年改定の附則には「抜本的見直しについて、必ず結論を得る」としていたにも関わらず、昨年の改定で、自民党が「憲法改正こそが抜本的な改正だ」と開き直ったことを指摘。抜本改革を棚上げするだけでなく、改憲の口実に使おうとするなど、自民党の党利党略そのものだ、と批判した。

 また、昨年の改定で、非拘束名簿式の参院比例代表に「優先的に当選となる特定枠」制度を持ち込んだ理由を「国政上有為な人材」を当選しやすくするとしていたが、今回の審議で自民党提案者が「合区で、選挙区の候補者とならなかった者を特定枠にする」と答えた。まさに、党利党略で、選挙制度をかえたことは明白だ。

 こうしたやり方に対する国民の批判をかわそうとして、自民・公明両党が持ち出した参院議員歳費削減がとん挫すると、今度は歳費を自主返納できるとする今回の法案を出すやり方も党利党略だ。徹頭徹尾、二重三重の党利党略の本法案は断じて認められない。