【「しんぶん赤旗」掲載】臨時国会/結束と追及(4)/閣僚辞任/徹頭徹尾/疑惑まみれ

しんぶん赤旗」12月14日付・1面より

 冒頭から2人の閣僚が公職選挙法違反疑惑で辞任。税金を使った公的行事で安倍晋三首相自身の有権者買収疑惑―。臨時国会は始めから終わりまで自民党・安倍政権の「政治とカネ」をめぐる疑惑で紛糾しました。日本共産党など野党の追及で2閣僚を辞任に追い込み、自民・安倍政権のモラルハザード(倫理観の喪失)の深刻化があらわになりました。

幕引き図る与党

 10月25日、公選法違反疑惑で経済産業相を辞任した自民党の菅原一秀衆院議員。同月11日の衆院予算委員会では、立憲民主党の本多平直議員、国民民主党の後藤祐一議員から、過去に選挙区内の有権者に贈答品を配ったとされる疑惑を追及され、「調べて報告する」と答弁していました。ところが、野党の追及に対して「確認作業をしている」(10月15日、参院予算委)などとはぐらかす中、週刊誌が新たに、公設秘書が17日に選挙区内の支援者の通夜で香典袋を手渡したことを報道。経産相就任後、さまざまな疑惑が指摘される下での公選法違反の行為は、国民の監視や野党の批判を軽視するものでした。

 菅原氏は「あした国会で説明する」(24日)と述べた会見の翌朝、安倍首相に辞表を提出して辞任。野党は、公選法違反を事実上認めた菅原氏は「議員辞職に相当」として、説明責任を果たすよう同氏出席の衆院経産委理事会開催を申し入れましたが、与党はこれを拒否し幕引きを図りました。

 さらに、それからわずか6日後の10月31日、河井克行法相が、妻・河井案里参院議員の公設秘書が運動員買収に関与した公選法違反の疑惑で辞任しました。案里氏は今年7月の参院選で初当選した際、選挙カーのアナウンサー13人に法定金額の2倍の報酬を支払ったとされています。

公の場に出ない

 菅原・河井両氏とも「国会の停滞」を理由に辞任する一方で公選法違反を否定。以後、公の場に出ていません。

 野党は、9月の内閣改造から2カ月足らずに1週間で2人の閣僚が辞任したことについて、「内閣総辞職に値する異常事態」との認識で一致。衆参両院の予算委員会で、安倍首相、菅原・河井両氏の説明を求めました。

 衆参両院の予算委員会では、野党は安倍首相の任命責任を厳しくただしました。

 11月6日の衆院予算委員会で日本共産党の塩川鉄也議員は、公選法違反が事実なら議員の資格が問われるとして、辞任に際し理由を不問にした安倍首相に対し「きちんと説明を求めるのが最低限の任命責任だ。事実解明に背を向けるのでは国民の不信は拡大するだけだ」と追及しました。

 しかし、安倍首相は「任命責任」を口にするものの、その後も真相を明らかにしようとしません。首相や閣僚のスキャンダルについて国民に一切説明しようとしない、安倍政権のモラルハザードは深刻です。