【内閣委員会】信号機撤去は見直せ/設置に予算措置を

 信号機撤去計画の見直しと、信号機設置に必要な予算措置を求めました。

 警察庁は信号機設置指針と信号機合理化等計画(2019~23年度)を策定し、老朽信号機の更新費用を抑制しています。これに基づき都道府県警察が撤去が妥当と判断した信号機が2883機あります。(19年末時点)

 広島市や滋賀県高島市では小学校通学路の信号機が撤去対象となり、保護者や党市議らの住民運動で撤去を見直させた。歩行者優先の原則が順守されず、信号機なしでは安全に横断できない現状がある。通学路の信号撤去はやめるべきだ。

 武田良太国家公安委員長は、地域住民の理解を得ることが重要だと述べ「十分に周知が図られるべき」と答えました。

 また私は、撤去計画そのものが住民に知らされていないと批判。

 警察庁の北村博文交通局長は周知不足の指摘に反省しなければならないと述べ、自治会や学校を通じて住民や保護者らに説明するなどの手だてを尽くすと答えました。

 私は、信号機設置指針が撤去を進め、新設を抑制する障害ともなっていると批判。指針の見直しと予算確保が必要だと強調しました。

↑ 質問で使用した配布資料(クリックで拡大します) ↑

 警察庁は「信号機合理化等計画」(2019年度~23年度)を都道府県警察に対して出し、老朽信号機の更新費用抑制のために、信号機を削減するよう求めています。警察庁は設置の必要性を重点的に点検する信号機を少なくとも3割程度選定(全国で約6万機)するとし、都道府県警察は2019年末時点で16,841機の点検を行い、その内2,883機の信号機の撤去が妥当としています。

 質問で使用した配付資料は、都道府県警察が警察庁に報告した「信号機合理化等計画」を基に塩川事務所で作成しました。

 質問では、広島市や滋賀県高島市では小学校の通学路の信号機が撤去対象となり保護者や党市議らの住民運動で撤去の見直しをさせたことを指摘し、「通学路の信号撤去はやめるべきだ」と迫りました。また、信号機撤去計画の見直しと、信号機の設置に必要な予算をつけることを求めました。


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「議事録」

<第201通常国会 2020年5月29日 内閣委員会 15号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今回の道路交通法改正案には賛成であります。
 きょうは、警察庁が進める信号機合理化等計画についてお尋ねをいたします。
 警察庁は、政府インフラ長寿命化計画に基づき、二〇一五年三月に警察庁インフラ長寿命化計画を策定しました。その中で信号機の適切な管理を位置づけ、二〇一五年十二月に信号機設置指針を策定しました。これらを踏まえ、警察庁は二〇一九年三月に、信号機合理化等計画、一九年度から二三年度までの五年間を期間とする計画策定を求める通達を出して、全国の都道府県で信号機の撤去計画が策定されています。
 そこで、警察庁にお尋ねします。
 信号機の今の総数、それから信号機設置指針の基準に基づき、二〇一九年十二月末時点の点検箇所数、そのうち撤去が妥当と考えられる信号機数はそれぞれ幾つか、お答えください。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
 平成三十年度末時点で、全国において二十万八千二百五十一基の信号機が整備されております。
 警察庁におきましては、信号機の計画的な更新が行われるよう、都道府県警察に対して、設置当時から交通実態が大きく変化するなど、信号機設置の指針に照らしてその設置の合理性について重点的に点検を行う必要性の高い信号機の選定を求めました。先ほどお話もありました、昨年三月でございます。その結果でございますが、令和元年末時点におきまして、全国で六万六百十八基が選定されており、そのうち一万六千八百四十一基について点検が行われてございます。
 その点検結果でございますが、撤去や移設をすることが妥当であると報告を受けております信号機が二千八百八十三基ございます。そのうち、令和元年度中に撤去や移設が計画されていた信号機は六百四十六基となってございます。
 なお、過去の信号機の撤去数は、平成二十八年度が五百三十八基、平成二十九年度が六百九十八基、平成三十年度が六百七十五基となってございます。
○塩川委員 今答弁にありましたように、多数の信号機の撤去計画が立てられています。
 資料をお配りしました。
 全国の二十万八千二百五十一に対して、実際に点検をしている箇所数が一万六千八百四十一。その一万六千八百四十一に対して、撤去、一部移設とかというのはありますけれども、撤去が妥当とされる信号機が二千八百八十三もあるということなんです。都道府県ごとで見ていただくと、皆さんの御地元にもこういうところがあるかもしれません、ぜひお聞きいただければと思いますが。
 こういった撤去計画が立てられている場所では、その中には、小学生の通学路となっている横断歩道の信号機も撤去対象となっています。この通学路となっている横断歩道の信号機を撤去対象にするというのは、これは住民の理解が得られないんじゃないでしょうか。こういった通学路の信号機の撤去はやめるべきじゃないのかと思いますが、国家公安委員長、武田大臣、いかがですか。
○武田国務大臣 さまざまな声が届いているのは確かでありますけれども、信号機の設置も、これは交通規制の手段の一つであり、交通実態に的確に対応するとともに、地域住民の理解を得ることが重要だと考えております。
 そこで、各都道府県警察におきましては、それぞれの都道府県の将来を見据えた持続可能な交通安全施設等のあり方について、部外の有識者等を招いて検討を進めているところであります。このような検討の結果等も踏まえ、全体としての信号機の設置の合理化の必要性について各地域における理解を深めるとともに、個別の信号機の移設や撤去についてもそれぞれの地域において十分に周知が図られるべきもの、このように考えております。
○塩川委員 いや、そんな周知されていないんですよ。
 例えば、広島市中区白島地区では通学路の信号機の撤去計画があった、あるいは私がお聞きした滋賀県の高島市でも通学路の信号機の撤去計画が示されて、住民の皆さんにほとんど伝わっていなかったと。そういった際に、いや、それは困るという地域住民の方の運動と我が党の議員の働きかけで、そういう撤去計画を見直しをさせてきたという経緯があります。
 歩行者優先の原則や横断歩道の一時停止が遵守されていないもとで、信号機がなければ道路を安全に横断できない現状があります。こういったときに、やはり通学路の信号機は残してくれという当然の要求が地元からあれば、それをしっかりと受けとめて、その住民の声に応えるということが必要じゃないですか。それは約束してもらえますか。
○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 個別の案件におきまして住民への周知が足りないものがあるという御指摘につきましては、私どももしっかりと向き合っていかなければならないと反省いたしてございます。
 先ほど御説明にもありました昨年三月の通達におきましても、いたずらに必要性のある信号機の撤去、移設を求めるものではない、撤去等に当たっては、地域住民や道路管理者等の関係者と十分に調整を行うこと、特に地域住民に対しては、信号機の必要性が低下した状況や撤去後の安全性について説明を行うなどしてその理解を求めることと指示しているところでございまして、その趣旨、不徹底でありますれば更に徹底してまいるように努めてまいりたいと考えております。
○塩川委員 率直に言って、そういうのが徹底されていない現状というのがあるんです。
 というのも、撤去がどこで行われるのかという計画そのものが知らされていないんですよ。ですから、実際に信号機の撤去計画を各都道府県警でつくった場合に、どこが撤去の対象となるのか、こういうことが知らされなければ意見の上げようがないじゃないですか。その辺が極めて不徹底だという実態があるわけです。
 ですから、都道府県警の方で、各警察署でそういう計画をつくった場合では、それが住民に知らされていないことが一番の問題で、該当地域でチラシを配布をして、通学路であれば保護者の方のエリアに学区単位できちっとチラシを届けるとか、その場合の意見を聞く住民の説明会を行うとか、あるいは、当然やらなくちゃいけないのは、例えば警察のホームページ上に、こことここはこの合理化計画で撤去の対象としていますけれども御意見を下さいとか、こんなことは最低限やるべきことで、こういう説明責任を具体的に果たす必要があるんじゃないですか。
○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 一部繰り返しにはなりますけれども、撤去等に当たりましては、地域住民また道路管理者等の関係者と十分に調整を行うこと、特に地域住民に対しては、信号機の必要性が低下した状況でありますとか撤去後の安全性について説明を行うなどしてその理解を求めることとしておりますので、そういうことが十分に行われていないことのないように、我々も心していく必要があると考えてございます。
○塩川委員 その周知の方法はどうするんですかと聞いているんですよ。
○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 地域のそれぞれの状況に応じまして異なると存じますので一概に申し上げることはできませんけれども、先ほどお話のありましたような、通学路となっているところにおきまして信号機を撤去するということであれば、学校を通じまして保護者の方々にも御連絡を差し上げるということになると存じますし、特定の施設、例えば高齢者の方々が利用される福祉施設の前の信号機を撤去するということになれば、そこの利用者の方々にも御理解をいただけるように、そういう施設の関係者を通じてのお話をさせていただくということもあると存じます。また、地域の代表者としての自治会というようなものがあればそういうところを通じての周知を図る、あるいは御意見を承るということもあると存じますが、これもまた一概に誰に対してということはなかなか線引きは難しいものと存じますけれども、そういう理解を得るため、周知するための手だてを尽くしていかなければならないと考えてございます。
○塩川委員 この点でも、きちっと周知徹底を図るということは最低限の行うべきことだと思います。
 やはり、そもそも、こういった合理化計画が求められるというのは、もちろん老朽更新での費用の増大が当然あるわけですけれども、一律に減らすということを前提の計画の立て方はおかしい。そういう点では、この警察庁が示している信号機の設置指針というのがいわば撤去を優先するという仕組みになっていると同時に、信号機を新しくつくる、必要なところに信号機を新設するという点での障害ともなっているという点で、信号機設置指針の見直しを求めると同時に、武田国家公安委員長、信号機設置に係る事業費が全国的に減少傾向にある、必要な予算の確保が必要じゃないのか、この点について御答弁をお願いします。
○武田国務大臣 交通規制というものを適切に行い、交通の安全と円滑を確保するためには、信号機、道路標識、道路標示等の交通安全施設を適切に設置、管理することが重要だと考えております。
 国において半額を補助しています特定交通安全施設等整備事業につきましては、令和二年度当初予算として二百二十一億円、これは対前年度比八・一%、十六億円ふえました、を計上しているところでありますけれども、今後も、交通の安全と円滑を図るために、必要な予算が確保されるよう努めてまいりたいと考えております。
○塩川委員 必要な予算の確保と同時に、この信号機設置指針の見直しを強く求めるものです。