【内閣委員会】仕事量増加に逆行/公務員「合理化」撤回を

 国家公務員の給与2法案を採決がおこなわれ、賛成多数で可決しました。日本共産党は、一般職のボーナス引き下げに反対し、閣僚などの特別職給与の引き下げに賛成しました。

 質疑で、政府の定員合理化計画で公務の現場に深刻なゆがみが生じていると追及しました。

 国土交通省は大規模な自然災害の際に、地方整備局の職員を被災自治体への支援に派遣しています(通称テックフォース)。

 私は、派遣される職員は、自らの業務を担いつつ、テックフォースの業務も行っている。負担が大きい、と追及しました。

 国交省側は「合理化が進み、定員が厳しい。災害激甚化でニーズは高まり、近年テックフォースの活動規模が大きくなっている」と答弁。

 私が、活動規模の拡大に合わせた要員の確保が必要だ、と強調したのに対し、国交省側は「決められた定員削減の中で努力している」と答えました。

 私は、先に定員合理化がある。現場の仕事量が増えているのに逆行する措置だ。今すぐ撤回せよ、と要求しました。

 河野太郎公務員制度担当相は「社会経済情勢の変化に伴い業務量は変化する。再配置の原資を出すために合理化は必要だ」と繰り返しました。

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「議事録」(質疑)

<第203臨時国会 2020年11月18日 内閣委員会 4号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 国家公務員の業務についてお尋ねをいたします。
 最初に厚生労働省にお聞きいたします。
 資料を配付をさせていただきました。ハローワークの主な取組と実績という、厚労省の作成資料であります。これを見ますと、主要国の職業紹介機関の体制を載せております。冒頭、頭書きがありますが、職業安定機関の職員一人当たり労働力人口及び失業者数を比べると、ハローワークの職員数は欧州主要国の三分の一から十分の一程度とあります。
 お尋ねしますが、日本は余りにも少な過ぎるのではないでしょうか。
○志村政府参考人 これまで、ハローワークにつきましては、雇用情勢の変化による行政ニーズ等に的確に対応できるよう、効率的かつ専門的な執行体制の確保に努めてきたところでございます。
 この資料に関しましては、行財政改革を踏まえつつも、ハローワークが国際的に見て必要なサービスを効率的に提供しているということを国民の皆様に広く御理解いただくため作成、掲載しているものでございます。
○塩川委員 大きくほかの国に比べて少ない。効率的といっても、三倍、十倍も一人が仕事をするのかと。つまり、ここにあるのは、受け持っている形になる職員一人当たりの労働力人口とか職員一人当たりの失業者数が余りにも日本が多過ぎるというところがポイントであるわけです。これで、実際の働く皆さん、失業者の皆さんにきちんとした対応ができるのかということが問われているところです。
 雇用情勢の変化に伴うニーズに基づいての人員配置の話がありましたけれども、前回もやりとりしましたように、もともと非常勤の方が一万五千人もいて、その上に、まさに雇用情勢でプラスアルファの人の確保、そういう実態があるということをやはり踏まえてのものでなければなりません。
 ハローワークは、憲法第二十七条の勤労の権利を保障する重要な機関であります。国は、国民に勤労の機会を与え、憲法第二十五条の生存権を保障する責務があります。また、職業選択の自由を確保するために、国として労働者の希望や能力、適性にふさわしい勤労の機会を保障することが求められております。
 各国でも必要な人員配置を行っているのは見ていただいたとおりです。日本は余りにも少な過ぎるわけなのに、この間、常勤職員を削減し続けている、下のグラフにあるとおりであります。これはおかしいんじゃないでしょうか。この点についてお答えください。
○志村政府参考人 お答えします。
 国民の勤労権保障のため、雇用のセーフティーネットを提供して労働行政の多様な課題に対応できるよう、第一線であるハローワークの執行体制の確保が必要だと認識しております。
 このため、雇用情勢の変化による行政ニーズに的確に対応できるよう、常勤職員と非常勤職員との適切な役割分担のもと、効率的かつ専門的な執行体制の確保に努めているところでございます。
○塩川委員 常勤職員と非常勤職員の適切な役割分担と言いますけれども、例えば、求人開拓の仕事につきましても、以前は常勤職員の方々が中心に担っておられました。今は非常勤の方が大変多い、置きかえられているという状況であります。ですから、求人開拓の仕事というのは、まさに事業所の方、経営者の方などにお話を伺いながら、その相手のニーズと同時に、こういった方にきちっと仕事を紹介をする、こういう取組についても、マッチングの上でのさまざまな知見や経験の積み重ねが極めて重要であります。専門的知見や経験を蓄積することが可能となる常勤職員を確保することが国民の労働権、基本権を保障することになるということをきちっと受けとめて、対策が求められているわけです。
 その際に、この資料の下の、ハローワークの職員数等の推移のグラフの、その更に下の部分に注記がありますけれども、ここを見ていただいたとおり、定員合理化計画によって、この間、機械的に毎年二%を削減する、こういうことが行われている。常勤職員を減らして、そういう中で非常勤職員をふやすことで対応する。これが必要な常勤職員の確保の妨げになっているんじゃありませんか。
○志村政府参考人 常勤職員、基本的にはこういった中においても、まさに処分に係る業務、雇用保険に係る受給認定、どうしてもこれは行政の職員でやらなくてはいけないものというようなものは常勤職員に重点化いたしますし、確かに、議員のおっしゃる職業紹介、職業紹介技法ですから、いわゆる個々の労働者がどのような職を求めているかということもありますし、あるいは、適性、仮にそこの職に入っていただいたとしてもうまくやっていけるかどうかとか、あるいは求人者のニーズとか、そういったようなところも見ていくという業務はございます。
 そういったようなところの部分、非常に重要な、いろいろ、就職困難者もいらっしゃいますから、そういったところはやはり常勤というようなところであります。
 ただ、また一方で、いろいろ、実際に若者、若者がそういうのが必要ないということはないんですけれども、いろいろ求職者の特性に応じて、また非常勤と分担させていただいて、業務をこなしてやっていっているというところが実情でございます。
○塩川委員 ですから、常勤職員で対応する必要があるということは当然お認めになっている、そういうところがあるということは認めているわけで、そういった常勤職員をどんどんどんどん減らしている、これじゃ対応できないんじゃないのかということが問われているんですが、その点。
○志村政府参考人 そういった中で、一方で、マッチングというところもありますけれども、求人情報とか、求職がいわゆる情報化されているという面もありますので、そういったようなところは、自主的な、検索の端末とかそういったようなことを求職者で、いわゆる自分で見てやっていただくという場面もあり、そして、かつまた、しっかりじっくり相談したいということであれば、そこはまたじっくり相談に応じていくというようなところで、確かに求職者は今、一層、結構多く訪れている状況でございますけれども、そういった中でも、求職者ニーズ等にも、そこをよく見て、実際の、ハローワークの一線の職場で差配してやっているという状況でございます。
○塩川委員 非常勤職員をどんどんふやしているわけですよ。だから、常勤職員を減らす必要がないと。
 そうなっているのは、定員合理化計画のもとで必要な常勤職員が減らされている、その確保の障害となっている、このことが問われているわけです。
 もう一つ、国交省に地方整備局の組織体制についてお尋ねします。
 二〇〇八年から始まったTEC―FORCEは、大規模な自然災害に際し、被災自治体が行う被災状況の把握や被害の拡大の防止、被災地の早期復旧に対する技術的な支援を円滑かつ迅速に実施するものとして、全国の地方整備局の職員の方が派遣をされています。担当の業務を脇に置いて、被災地に派遣をされ、作業に従事をしておられます。大規模自然災害が恒常化する中、地方整備局の現場の負担は大変大きなものになっているのではないのか、この点についてお答えください。
○塩見政府参考人 お答えを申し上げます。
 地方整備局における定員の合理化が進みまして、定員事情が大変厳しくなっている中で、近年の自然災害の激甚化、頻発化が進み、また、被災自治体からは支援に対するニーズが大変高まっております。
 これは、自治体における技術職員が非常に不足しているということが背景にあるかと思いますが、こういったことを背景にしまして、近年、TEC―FORCEの活動規模が大変大きくなってございます。
 このように、TEC―FORCEの活動規模が拡大する中におきましても、現地で活動いたします隊員の負担が過度になりませんようにすることが重要というふうに認識しております。
 このため、隊員として指名をいたしております職員をふやすというようなことをいたしまして、一週間程度でのローテーションによりまして、特定の者に派遣が偏らないようにしているところでございます。
 また、隊員が現地で効率的な活動、また充実した活動ができますように、例えば、短時間で被災の状況の調査ができますドローンを装備品として充実する、また、隊員の携行品や宿泊所の確保といった現地で活動しやすい環境づくりを行う専門の部署を設けるといったような対応もさせていただいております。
 また、派遣が終了した後には活動の振り返りを行いまして、隊員の意見も踏まえまして、改善に取り組んでいるところでございます。
 隊員からは、派遣先の自治体から感謝のお言葉をいただくことにやりがいを感じるというふうな声も聞いておりますし、また、大臣から激励とか表彰といったこともやっていることがモチベーションの向上にもつながっているものと考えてございます。
 こうした取組を通じまして、隊員の負担に十分考慮しながら、高い使命感を持ちまして、被災地の早期復旧に役立てますように、TEC―FORCE活動の充実に取り組んでまいります。
○塩川委員 大変誇りを持って活動しておられるということを受けとめることは大切だと思いますし、そういう点でも、現地で頑張ってもらう、偏らないようにする、これはこれで必要なんですけれども、戻ってきたらもとの仕事が残っているわけですよ。そっちの方はどうするのかということが問われているわけですよね。
 ですから、新たに通常業務の上にTEC―FORCEの業務が上乗せをされる、それが今お話しのように拡大をしてきている。そういうTEC―FORCEの活動規模が大きくなっているという状況ですから、それに見合った必要な要員の確保が求められている。
 そういったときに、定員合理化が進んでいるという答弁もありました。
 もう一つお聞きしますが、赤羽国交大臣は、地方整備局の二〇二〇年度の定員について、発足後初めて対前年度比百一人の純増となったと述べています。地方整備局の二〇二〇年度定員の査定数、また定員削減等数の内訳についてお示しいただけますか。
○長橋政府参考人 お答え申し上げます。
 地方整備局の令和二年度の定員でございますが、五百三人の定員削減数等に対しまして、六百四人の増員を認めていただきました。これで対前年度比百一人の純増というふうになったということでございます。
 定員削減数等の五百三人の内訳でございますが、合理化減としては四百七十一人、さらに、時限でセットした定員の時限到来減が三十二人となってございます。
 一方で、増員数六百四人の内訳でございますが、恒常定員として二百五十三人、時限定員として百六十一人、自律的再配置による定員増が百六十人というふうになってございます。
○塩川委員 定員削減の方で、いわゆる定員合理化の通常分と省内で行っている業務改革分、それを分けて示してもらえますか。
○長橋政府参考人 お答え申し上げます。
 定員削減の、業務改革によるものが百六十四人で、通常の定員削減が三百七名ということでございます。
○塩川委員 業務改革、自律的再配置、削って新たにつける、それは省内の中で独自に行っているものですけれども、定員合理化計画に基づいての一律の削減という点では三百七人減らして、その一方で、恒常を二百五十三人ふやし、時限は百六十一人ふやすということになっているわけです。
 赤羽大臣は、地方整備局の定員について、平成十三年の国交省発足以来、約二割純減しており、出先の事務所、出張所の組織体制もかなり細っている、昨年の台風十九号のように、災害発生時における機敏な初動対応について、本当にぎりぎりでやって、本当に危うくという、地元の皆さんに心配をかけてしまった例があると述べておられます。
 ですから、平成十三年の国交省発足以来、約二割純減しており、出先の事務所、出張所の組織体制もかなり細っているのだから、組織を細らせてきた定員合理化計画の見直しこそ必要だと国交省としては考えませんか。
○長橋政府参考人 定員事情につきましては、先ほど先生の方から御指摘があった、大臣が申し述べたとおりでございます。定員合理化を進めてきた結果、ずっと二割の純減ということになった結果、かなり広域な、今、災害が広い、広範にわたって起こる場合がかなりふえてございますので、そうしたときに、初動対応ですとかあるいは情報提供というところで十分に対応ができなかったような反省点もあったということも事実でございます。
 そういうことを背景として実情を御配慮いただいて、さっき申し上げたように、今年度、令和二年度につきましては純増を認めていただいたということでございまして、私どもとしては、決まった定員削減のもとで、さらに、要求としては、恒常定員とか、あるいは災害対応の部分というのはある程度時限的な作業になる部分がございますので、そういうところは更に時限的な要求という分も活用させていただきまして、要求官庁としてできる枠の中で最大限の努力をこれからしていきたいというふうには考えてございます。
○塩川委員 河野大臣にお尋ねします。
 ハローワークにおいて常勤職員が担当していたものが非常勤職員に置きかえられるような事態が生まれていますし、そういうときに、決まった定員削減というのはずっと行われてきました。地方整備局においても、TEC―FORCEの活躍のように、通常業務に加えて、大規模災害対応での新たな業務が上乗せをされている。そういった中でも、決まった定員削減で常勤職員が減らされる。そういう中で、それを上乗せするような措置を行うというやりくりになっているわけで、そう考えると、機械的に毎年二%削減しろという、この決まった定員削減である定員合理化計画というのが、必要な定員確保の妨げになっているんじゃないのかと。いかがでしょうか。
○河野国務大臣 いずれの行政分野においても定員合理化に取り組んでいただいて、それを原資として、その時々の行政需要に対応できるように定員を再配分する必要がある、そういうふうに考えております。
○塩川委員 それぞれの社会経済情勢など、それぞれの行政需要に応じてということですけれども、ハローワークの場合でも、また地方整備局の場合においても、まさにその業務量が恒常的にあって、その業務量が更にふえるような状況もある。そういった中で常勤職員を減らすということは、これはそもそも恒常的な仕事があるわけですから、一律の削減というのはおかしいんじゃないのか。
 ニーズや業務量も変化をするということなども河野大臣はおっしゃっておられましたけれども、実際に各省では、自律的な再配置や業務改革という形で、ニーズや業務量に応じて人員配置を変更しているわけです。
 ですから、ハローワークや地方整備局のように、ニーズや業務量が減るどころか増大している恒常的な仕事があるわけですから、そういう仕事を削るような定員合理化計画というのはおかしいんじゃないんですか。
○河野国務大臣 それぞれの部署で業務をしっかり効率化しながら、時々の需要に応じて要求をしていただいていると認識しております。
○塩川委員 いや、まさに先に定員合理化計画があるわけですよ。そのもとでやむなくこういった二%の定員合理化というのはかかっているわけで、それが現場における実際の仕事量に逆行するような削減の措置になっているわけですから、それを見直すということが本来必要な業務、国民に対して責任を負う、公務を担う仕事としては必要なことなんじゃないんですか。
○河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、行政は多岐な分野にわたるわけで、時々の行政の需要量というのは違ってまいります。その原資をどこかで出さなければなりませんので、しっかりと業務の効率化を常に進めていただくことは、これはどういう部署であっても必要なことだと思います。
○塩川委員 業務量がふえている、業務量が恒常的にある、そういう中でも定員合理化計画で人を削るというやり方自身が公務の仕事そのものを細らせるということにもなっているわけで、こういった定員合理化計画の一律の押しつけをやめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。


「議事録」(反対討論)

<第203臨時国会 2020年11月18日 内閣委員会 4号>

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員一般職給与法案に対し、反対の討論を行います。
 本案は、新型コロナウイルス感染症拡大による経済状況が悪化するもと、政府が行った自粛要請と不十分な補償によって引き下げられた民間労働者の賃金に合わせて、国家公務員の期末手当を引き下げるものです。
 この引下げは、厳しい人員体制のもとで、新型コロナウイルスや頻発する自然災害への対応など、市民の生命、暮らしを守るために奮闘する職員に冷や水を浴びせるものです。
 人事院は、政府の責任やコロナの影響を一切考慮せず、民間準拠だけを理由に期末手当を引き下げる勧告を行いました。これは、国家公務員の労働基本権制約に対する代償措置としての役割を無視したもので許せません。本案は、国家公務員の生活給を保障せず、一方的に年収減を押しつけるものであり、反対です。
 また、国家公務員の給与引下げにより、地方公務員、独立行政法人、国立大学法人、学校、病院等、約七百七十万人の労働者に大きな影響を与えます。さらには民間事業者にも波及して、コロナによって冷え込んでいる経済に対し、国民の消費を一層冷え込ませ、負のスパイラルを生み出すものです。
 内需拡大には全労働者の賃上げこそ必要であり、消費冷え込みに更に追い打ちをかける給与引下げには反対です。
 なお、特別職給与法案については、公務員の給与体系が内閣総理大臣、国務大臣、副大臣、政務官といった幹部職に厚いことから、今回の特別職の給与引下げは当然であり、賛成とします。
 最後に、政府が推し進める定員合理化計画の破綻は明らかです。今すぐ撤回し、定員管理の柔軟な運用で、国民の生命、暮らしを守るために必要な要員を確保する仕組みに改めることを求め、討論を終わります。