【内閣委員会】政府に反証責任ある/愛媛新文書/加計疑惑を追及

 加計学園の獣医学部設置をめぐり愛媛県が提出した新文書についてただしました。

 新文書には加計孝太郎理事長と安倍首相が2月25日に面談し、獣医学部構想に首相が「いいね」とコメントしたという記録がある。首相は入邸記録を確認したがなかったと説明しましたが、入邸記録は「遅滞なく廃棄」する扱いになっています。

 そこで、2015年2月25日の入邸記録が残っているのか――と質問。

 内閣官房の原邦彰審議官は「廃棄しているので確認できなかった」と答えました。

 愛媛県側は文書で記録を明らかにしているのに、官邸は記録がない。これは説得力がない。菅義偉官房長官に新文書の確認を求めると――。

 菅氏は「愛媛県の文書に政府としてコメントしない」と従来の答弁を繰り返しました。

 わたしは、国政調査権に基づいて出された公文書だと重みを持って受け止めよ。物証を含め反証を示すべきだ――と重ねて求めました。

 記録がないのなら、関係者に証言してもらうしかない。新文書には3月24日にも柳瀬氏と加計学園が面会した記録があり、参考人質疑での柳瀬氏の証言と食い違いがある。柳瀬氏、加計理事長の証人喚問を求めました。

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「議事録」
<第196通常国会 2018年05月25日 内閣委員会 21号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。おはようございます。
 それでは、きょう、官房長官にお越しいただきまして、加計学園関連の愛媛県新文書にかかわり、お尋ねをいたします。
 今週の月曜日、参議院予算委員会の国政調査権に基づき、愛媛県が提出をしました新文書についてであります。
 この中では、やりとりにつきまして、関連する個人メモというのが添えられておりますけれども、その一枚の中に、「加計学園からの報告等は、次のとおり。」、二〇一五年ですが、「二月二十五日に理事長が首相と面談(十五分程度)。理事長から、獣医師養成系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは「そういう新しい獣医大学の考えはいいね。」とのコメントあり。また、柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示があったので、早急に資料を調整し、提出する予定。」このように記述がされております。
 官房長官、お尋ねをいたします。
 安倍総理は、今週の国会におきましても、その日、加計理事長と面会していないと答弁をされておられます。愛媛県のこの新文書と総理の認識に違いがあるということであります。その点でも、政府として、愛媛県側に事実関係の確認を行うことが必要ではないかと思いますが、官房長官、お答えください。

○菅国務大臣 まず、御指摘の総理面会についてですけれども、総理御自身がさきの委員会で、平成二十七年二月二十五日に加計理事長とお会いしておらず、念のため入邸記録も調査しましたが、加計理事長が官邸を訪問した記録は確認できませんでしたと説明をされて、また、加計理事長とは、これまで繰り返し答弁してきたとおり、医学部の新設について話をしたことはない、このように総理が説明をしています。これが全てであります。
 その上で、愛媛県の作成した文書についてでありますけれども、政府の立場でそれはコメントすることは控えたいと思います。

○塩川委員 入邸記録については確認できなかったという話ですけれども、ちょっと聞きますけれども、この入邸記録というのは、そもそも、この二〇一五年二月二十五日というのは、何か残っているものがあるんですか。残っているものがある上で、確認したけれどもできなかったのか、そもそもないのか、その点、はっきりさせてください。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘のありました入邸記録でございます。この入邸記録とは、外部からの官邸への入邸に際しての訪問予定者に、訪問先への事前届出を必ず求めている訪問予約届というものでございます。これは、従来から国会で御答弁させていただいておりますが、使用目的終了後、遅滞なく廃棄という扱いになってございます。
 総理の御答弁は、そういう遅滞なく廃棄する取扱いとなっているが、念のため確認したが、やはり確認ができなかった、こういうことでございます。

○塩川委員 ですから、この訪問予約届について、二〇一五年二月二十五日のは残っているんですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 遅滞なく廃棄してございまして、確認できなかったということでございます。

○塩川委員 廃棄しているから、ないから確認できないと言っているだけで、その日についての記録があったらどうかという問題も出てきますし、当然、この訪問予約届だけではなく、官邸においてさまざまな来訪者があった際に、関係者がきちっと記録をする、面談の記録などをとるということも当然あるわけで、これについては、中川委員を始めとして、今委員会でも繰り返し要求をしているところであります。
 そういう点について、愛媛県側は文書においてきちっとした記録を明らかにしているのに、官邸の方というのは、この問題についての記録というのは何ら、文書で示すものも一つもない。こういう点で、総理が言っているからというだけの話であって、これは説得力がない。政府としてコメントする立場にないという言葉でかわすような話じゃないと思うんですよ。
 官房長官、改めてお尋ねしますけれども、政府の信頼性が揺らいでいるという問題なんですから、コメントする立場にないとかというので愛媛県の新文書について脇に置くような態度というのは、一層政府への疑念を拡大するだけであって、これはしっかりと愛媛県側に確認をする、こういうことこそ必要なのではありませんか。

○菅国務大臣 今日までも、官邸の入邸記録については何回となく質問があり、そのたびにそのシステムについてお答えをし、しかし、念のために調べるべきだということも何回かありました。そういう中で、今回調べさせていただいて、なかったということであります。
 また、これは愛媛県の文書でありますから、政府としてここはコメントするものではないと思います。

○塩川委員 いや、それぞれ、認識、事実関係について違いが出ているわけですから、まさに参議院の予算委員会が国政調査権で、提出された、責任ある、いわば公文書であるのがこの愛媛県の新文書であるわけで、そういう重みを持って政府が受けとめているかどうかというのが問われているんじゃないですか。
 国政調査権に基づいて出されたこういう新文書で、総理の言っていることと違うことが書かれている。その記録として出されている問題についての、事実として認められる、このことをやはり問われているわけですから、疑いがかけられているのはやはり総理の側であって、これはしっかりと反証を示す必要がある。一言、会っていないと言うだけではこれは納得し得ないわけで、何らかの物証を含めて反証を示してもらいたいんですけれども。そういうことを示すということこそ政府に求められているんじゃないですか。

○菅国務大臣 ですから、総理御自身が答弁されたことがこれは全てだと思います。

○塩川委員 ですから、それが疑念を更に深めているということになっているわけですから、そういう点での政府の姿勢そのものが問われているわけであります。
 何らか記録なり文書なり証言なりで改めて事実関係をはっきりさせる、反証するというのは、政府がまさに求められている責任ですから、そういうものをしっかりと示すということこそ必要じゃないですか。

○菅国務大臣 御本人は、会っていないということ、そして、念のために入邸記録も調査をした、そういうことを答弁しているわけですから、それが全てじゃないでしょうか。

○塩川委員 いや、全然全てじゃないですよ。入邸の記録だけで何らかの物証になるわけではありませんし、そもそも何もないわけですから。
 そういう点でも、具体的に文書等で、記録等で出せないというのであれば、これはやはり関係者にしっかりと証言をしてもらうということこそ必要であるわけです。
 そういう点でも、柳瀬さん自身のあの参考人での答弁というのが、まさに会っている日付そのものについても、二〇一五年の三月の二十四日に加計関係者と柳瀬さんが会っていたなんという記載もあるわけですからね。そういうのが実際に参考人で答えたのと食い違うわけで、こういった問題についてしっかり明らかにしてもらう上でも、柳瀬さんの証人喚問も必要ですし、一番の当事者である加計孝太郎さん、しっかりと国会に来てもらって証人喚問に応じてもらう。また、この愛媛県の新文書を提出した中村時広愛媛県知事の参考人招致、こういうことは当然のことであるわけです。
 そういう点でも、これは官房長官として、柳瀬さんにもう一回国会に出てもらって証人喚問に応じてもらう、こういうことについて、しっかりと働きかけるということは、やはり政府として行う必要があるんじゃないですか。

○菅国務大臣 従来までも国会のことは国会でお決めいただいておりますので、そのように国会でお決めいただくことだと思います。

○塩川委員 委員長、この柳瀬唯夫元総理秘書官と加計孝太郎理事長の証人喚問、中村時広愛媛県知事の参考人招致をぜひ求めたいと思います。

○山際委員長 後ほど理事会で協議いたします。

○塩川委員 この愛媛県の新文書では、柳瀬氏が二〇一五年三月二十四日に加計関係者と面会していることが記載をされています。また、加計理事長と安倍総理が面談したと記載されている二月二十五日にも、先ほど冒頭で紹介をしたように、柳瀬氏が同席していたと思われる記述があります。
 この二つの日付について、これは内閣官房の総理秘書官を務めていたときの話ですから、内閣官房として、柳瀬氏にしっかり確認してもらう必要があるんですが、この二つの日付について、実際どうだったのか、それについて答えてもらえますか。

○村上政府参考人 特区制度の運用に関する話ということで、内閣府の方で確認をとらせていただきましたけれども、まず、さきの参考人質疑において、柳瀬元秘書官は、後藤先生の御質問に対して、平成二十七年二月から三月ごろだったと思いますけれども、加計学園の事務局の方から、上京する際にお伺いしたいという申入れがあって、官邸でお会いをしましたと。
 蓮舫議員からの、加計学園関係者と会ったと言いますが、これ三月二十四日ではないですかとのお尋ねに対しては、日付がどの辺だったかはちょっと私わかりませんというふうに答弁をしております。
 また、五月二十二日に、記者からのお尋ねに対して柳瀬元秘書官は、御指摘の安倍総理と加計理事長の面会についてでありますけれども、私はもちろん同席をした覚えもございませんし、その話を伺った覚えもございません、また、総理から本件について指示を受けた覚えもありません、したがいまして、その文書に記載のありました、私が安倍総理と加計理事長の面談を踏まえて資料の提示をお願いした覚えもございませんと述べたと承知をしてございます。
 今回、委員のお求めもありましたので、改めて柳瀬元秘書官に確認もいたしましたけれども、やはり、さきの参考人質疑や記者からのお尋ねに対してお答えしたとおりであるということでございまして、そのように内閣府としても本人に確認をしてございます。

○塩川委員 済みません、もう一回確認しますけれども、二月の二十五日については、記者の問合せとの関係で、そういう、記憶がないという言い方なんですかね。三月の二十四日についてはどういうふうに答えているんですか。その点、内閣府としてどういうふうに確認をしているんですか。

○村上政府参考人 それぞれについてお答えを申し上げます。
 三月二十四日の関連ということでありますが、そもそもの発端となりました四月二日の面会に先立ち、二月から三月ごろにかけて加計学園の事務局の方とお会いをした記憶があるが、日付ははっきりしないと。これに対して蓮舫議員から、三月二十四日ではないですかと問われて、その日付については、どの辺だったか、ちょっと私わかりません、このようにお答えをされているというふうに認識をしてございます。
 他方で、二月の二十五日の方につきましては、これは御指摘いただいたとおり、記者からのお尋ねに対してお答えをしているというのが柳瀬元秘書官の認識でございまして、こちらにつきましては、そもそも、総理が二月二十五日にお会いされている事実自体を否定されるコメントを出しておられるというふうに認識しておりますけれども、当然でございますが、そういった総理との面会については、もとより日付のいかんにかかわらず同席をしておりませんし、したがいまして、その内容についても指示を受けた覚えもないというふうに本人が説明をしているというふうに内閣府として認識してございます。

○塩川委員 いや、本人がそういうふうに説明していると内閣府が承知していると言うんだけれども、もう一回確認したのかという話なんですよ。
 二月の二十五日に会いましたか、三月の二十四日に会いましたか、単純な話なんです。内閣府として、これを柳瀬さんに聞いたんですか。

○村上政府参考人 お答え申し上げます。
 御通告を頂戴しておりますので、改めて、記者に対してそうしゃべったというだけではなく、その後、本人に確認をしてございますが、二月二十五日の総理面会の絡みに関しては、そもそもそういった会議自体も承知をしていないし、自分はそうした場にも同席していないし、それに伴う指示も受けていないということを、内閣府として直接本人に確認をしてございます。
 三月二十四日につきましても確認をしてございますけれども、これにつきましては、後藤茂之先生や蓮舫先生からのお尋ねに対してお答えしたとおりでございまして、四月二日の前に、二月から三月ごろだったか、加計学園の方と柳瀬秘書官本人がお会いをしたことはあるだろう、ただし、その日付については正確にはわからないということで、それが三月二十四日であるかどうかについては自分自身は確認する手段を持ち合わせていないという趣旨で、日付がわからない、このように認識をしているというふうに内閣府としても理解しております。

○塩川委員 ですから、もともと柳瀬さんの参考人での答えがあやふやだったんですよ。官邸で三回会いました、四月二日もありますけれども、二月か三月ごろという話と、六月という話でね。
 二月か三月ごろというのは、そもそも幅がある言い方でおかしいなと思っていたんですが、今回の場合に当てはめてどうなのかということになってくるんですよ。じゃ、三月の二十四日というのがそれなのか、いや、そうではなくてまた別途あるのか、二月の二十五となるのか。
 そもそも、官邸外で総理と加計さんが会っている可能性も当然あるわけですけれども、そういうことを含めて、伝言ゲームみたいなやりとりでは全く納得がいかないわけで、内閣官房として、首相秘書官を務めているようなときに内閣官房が責任を持って調べる、内閣府に頼んで、内閣府が経産省の柳瀬さんに聞く、こんな伝言ゲームみたいなやり方じゃなくて、直接、事実関係を明らかにするということがやはり必要だ。
 そういったことを政府が責任を持って行うということが必要なわけで、改めて柳瀬氏の証人喚問が求められているということを申し上げて、質問を終わります。