【内閣委員会】政府障害者雇用の定着率把握せず/実態把握と雇用安定化を

 国家公務員の給与2法案について質疑と採決を行い、賛成多数で可決しました。私は、ボーナスなどを引き上げる一般職給与法案に賛成、閣僚などの特別職の給与を引き上げる特別職給与法案に反対しました。

 質疑では、国の機関の障害者雇用の定着率などを調査し、雇用の安定を図るべきだと政府に迫りました。

 公務部門での障害者雇用の水増し問題は、2018年に大問題となりました。質疑で厚労省は、障害者の定着率について「現時点では調査は実施していない」と述べ、把握していないことが明らかになりました。

 私は、「定着率を調べることは、雇用の安定や職場における合理的配慮が行われているか確認するうえでも重要だ」と強調。さらに、雇用形態について、常勤・非常勤を区分して把握しているのは4省庁しかないと指摘し、「現時点での定着率の調査とともに、障害者の雇用形態の実態を把握すべきだ」と迫りました。

 河野太郎国家公務員制度担当大臣は、「障害者雇用で定着率、常勤・非常勤の人数を国が把握し、対応することは大事だ。厚労省に定期的な調査をするように依頼したい」と答えました。

 私は、障害者枠で採用されたある職員から「配置転換を希望しているが、障害者であることを理由に却下されている」「各局の業務についての説明会が毎年行われているが、障害者職員には開催連絡がなく、参加すらさせてもらえない」という声が寄せられていることを紹介。障害者を差別する実態がないか総点検が必要だと強調しました。


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「議事録」

<第210臨時国会 2022年11月2日 内閣委員会 第4号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 先ほど、国の機関における障害者雇用について質問いたしました。その定着率について御答弁いただいたんですが、それに続けて、厚労省に確認なんですけれども、先ほど御答弁いただけなかった、二〇一八年十月以降に採用した職員の方の定着率について、二〇二〇年六月一日までに採用された場合の定着率、手前の方で、八三・四%、お答えもいただいたんですが、現時点の定着率はどうなっているのか、その点をお聞きしたいのですが。
○堀井政府参考人 お答えをいたします。
 先ほど塩川委員からお尋ねをいただきまして御答弁をさせていただいた定着率に関する調査でございますが、これは私ども、国の行政機関の障害者の採用・定着状況等の特別調査ということで、採用計画の期間、これは平成三十一年一月一日から十二月三十一日まででございますけれども、この進捗状況でございますとか、採用者の定着状況等を把握をするために、関係府省の協力の下、先ほど委員からも御指摘のあった期間、つまり平成三十年十月二十三日以降に雇い入れられた障害者に対して、臨時的かつ特別に調査をして公表したものでございます。
 したがいまして、先ほど御紹介をさせていただいた調査時点のものに関しては、お尋ねのような調査結果を御紹介することができたのですが、現時点では、この調査については厚生労働省としては実施をしていない、そういう状況でございます。
○塩川委員 障害者雇用の水増し問題が発覚をして、その是正ということで、二〇一八年のときに、独自の採用方針を持って、霞が関における障害者雇用の推進も図ったわけですけれども、そのときに入った方々が引き続き仕事を続けていられるようなことをきちっと確認することが、雇用の安定の面でも、職場における合理的配慮がちゃんと行われているかという点を確認する点でも極めて重要だと思っております。
 改めて、二〇一八年で採用された方以降の障害者雇用について、現在の定着率をきちっと明らかにする、そういう調査を行うことは考えませんか。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
 今御指摘のように、令和二年の調査以降、国の機関を対象とした調査は実施していないところでありますが、一方で、障害のある方もない方もやりがいを持って働き続けることができる職場をつくるということで、各省庁においてしっかりと取り組むべきということで、政府全体として、いろいろな講習の実施などを行っているところでございます。
 今後の各省庁の状況を踏まえて、更なる実態把握が必要か否かについては、障害者の雇用状況を毎年把握しております厚生労働省と適宜相談してまいりたいと考えております。
○塩川委員 厚生労働省としては、調査を考えませんか。
○堀井政府参考人 厚生労働省といたしましては、内閣人事局等から御相談がありましたら、適宜その御相談等に乗ってまいりたいと思います。
○塩川委員 定着率の現時点の調査もしっかり行って、合理的配慮がどうなっているのか、雇用の安定につながっているのか、こういったことをしっかりと検証して、改善策を取ることが必要です。
 その点でも、障害者の雇用の雇用形態がどうかということも改めてきちっと確認しておく必要があると思います。常勤なのか非常勤なのか、常勤の場合でも任期付職員のように期限が定められたような雇用なのか。こういった点で、もちろん障害者の方の雇用の在り方についてのニーズも当然あるわけですけれども、実際に常勤、非常勤の区分、任期付職員の人数、こういったことについての人数を、是非、国の府省庁について明らかにしてもらいたいんですけれども、分かりますか。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
 これにつきましても、先ほどから紹介させていただきます、厚生労働省が令和二年に行った調査において、平成三十年十月二十三日から令和二年六月一日までに採用された法定雇用率上の障害者の方の人数は、常勤が千五百五十五人、非常勤が四千二百三十一人余りとなっております。
 なお、常勤のうちの任期付職員の人数につきましては調査がなされてございません。
○塩川委員 国の機関全体ということで、常勤が千五百五十人、非常勤は四千二百三十一人。そういう意味でも、非常勤の方が非常に多いということもここに見て取れるわけであります。
 これは、それぞれの府省庁ごとの数字を厚労省なり内閣官房が把握していないかというふうに聞きましたら、把握していないという話で、それぞれの府省庁に問合せをいたしました。その際に、三十一の府省庁において、常勤と非常勤を区分して集計をされていたというのが僅か四省庁で、そういう点で、各府省庁においても、しっかりと雇用の形態についても明らかにしていただきたいと思っています。
 明らかにしたのは警察庁と金融庁と人事院と会計検査院、この機関の皆さんの御努力は多とするものでありますけれども、非常勤の割合が非常に高いんじゃないのか、常勤の場合でも任期付職員など期限の定めのある雇用形態になっていないのか、こういった実態の把握が必要だと思います。
 そこで、常勤、非常勤の区分を明らかにされておられる警察庁さんに、常勤職員中の任期付職員の人数や、また、二〇一八年十月以降に、この四年間で採用された障害者の方がこのうち何人か、お答えいただけないでしょうか。
○渡邊政府参考人 お答えいたします。
 警察庁に勤務する職員のうち、障害者として把握している常勤職員は、令和四年六月一日現在で五十名でございます。なお、非常勤は五名でございます。五十名の常勤職員のうち、任期つきの職員は八名となっております。
 この四年間で採用した障害者である職員につきましては、二十名ということになっております。
○塩川委員 こういった数字を各府省庁でも是非明らかにしていただきたいと思っています。現状、ほとんどの役所で常勤、非常勤の区分が明らかになっておりません。全体としても非常勤の方が多いということもありますので、障害者の雇用の安定、職場への定着が図られているかが疑問であります。
 大臣にお尋ねしますけれども、障害者の雇用形態の実態把握、定着率の把握、また、それを踏まえた課題整理、これを行う必要があるのではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 障害者の雇用につきましては、やはり国がきちんと先頭を走るというのは大事なことなんだろうと思います。
 定着率、あるいは常勤、非常勤の数といったことだけでなく、それぞれの業務の質ですとか、あるいはそれに対する満足度、あるいは働く環境の中での問題点、こういったものを国がやはりしっかりと把握をして、それに対応していくということが大事だと思いますし、国が先頭を走るからこそ民間も様々御努力をいただくんだろうと思います。
 現時点では、国より民間の方が様々な御努力をいただいているというところは多分にございますので、国もやはり負けないような努力をする必要があると思っておりまして、内閣人事局といたしましては、厚労省に対しまして、定期的に調査をするよう依頼をしていきたいと思っております。
○塩川委員 是非、障害者の雇用の現場での実態を把握をいただいて改善策を図るという点について、是非大臣の方からも、厚労省、関係機関への働きかけを改めて求めたいと思っています。
 そういう点で、是非、内閣人事局としても、職場において合理的配慮が行われているかどうか、これはやはり四年前の検証という意味でも、障害者の職員の方に対するアンケート調査を実施をする、こういうことなどもお考えになったらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 内閣人事局でやるか厚労省でやるか、そうしたことも含めながら、相談をしながらやってまいりたいと思います。
○塩川委員 採用の応募資格の点についても、障害者団体の方から改善を求められてまいりました。
 二〇一八年の財務省の応募資格に、自力により通勤でき、かつ介助なしで業務の遂行が可能であることとありました。ヘルパー等を利用すれば通勤ができ、職場介助者の活用等で業務が遂行できる障害者を一律に排除する欠格条項であり、明らかに障害者差別だという障害者団体の指摘を受けて、財務省はこの要件を削除するということがありました。
 ほかにも、活字印刷文に対応できることとか口頭面接に対応できることといった、障害者を排除する差別的な規定や合理的配慮の非提供に該当する要件などがないか、是非とも総点検を行ってもらいたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 合理的な配慮を求めるマニュアルというのが作成をされておりますので、各府省に、このマニュアルが徹底されているように、しっかり周知をしていきたいと思います。
○塩川委員 それと、障害者枠で採用されたある職員の方は、配置転換を希望しているが、障害者であることを理由に却下をされている、各局の業務についての説明会が毎年行われているが、障害者職員には開催連絡がなく、参加すらさせてもらえないという声もあるとお聞きしました。
 こういったことについての改善策も是非図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 きちんと合理的な配慮が行われているように、そこは徹底していきたいと思います。
○塩川委員 是非、実態把握を踏まえた、障害者雇用の拡大と雇用の安定を図るための取組を強めていただきたいと思います。
 残りの時間で、ケア労働者の賃上げの問題です。
 岸田総理が昨年強調しました三%、九千円のケア労働者の賃上げがどうなったのか。この点について、保育士、幼稚園教諭の賃上げについて、申請があった市町村数及び実際の賃上げ額について明らかにしていただきたいと思います。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
 今般の保育士等の処遇改善に係る補助金について、申請があった市町村数は千四百五十五市町村であり、そのうち、公立保育所について申請があった市町村数は五百十市町村となっております。
 実際の賃上げ額となる職員一人当たりの処遇改善の状況については把握しておりませんが、今般の補助金による処遇改善の実施に当たっては、補助額以上の賃金改善を実施すること、賃金改善計画書や賃金改善実績報告書を提出することなどを要件としており、補助額が賃金改善に確実に充てられるようにしております。
○塩川委員 お配りしている資料にもありますように、申請した市町村は民間保育園を中心に全体の八割で、公立施設の申請では三割に届きません。賃上げ実績は把握もしていない。この点では、やる気が問われる問題であります。
 同様に、学童保育の実施状況はどうでしょうか。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
 今般の放課後児童支援員等の処遇改善に係る補助金について、申請があった市町村数は千百四十五市町村であり、そのうち、公設公営の放課後児童クラブについて申請があった市町村数は三百四十五市町村となっておりますが、そもそも放課後児童クラブがない場合などもあることに留意する必要があると考えております。
 実際の賃上げ額となる職員一人当たりの処遇改善の状況については把握しておりませんが、今般の補助金による処遇改善の実施に当たっては、補助額以上の賃金改善を実施すること、賃金改善計画書や賃金改善実績報告書を提出することなどを要件としており、補助額が賃金改善に確実に充てられるようにしております。
○塩川委員 資料の二枚目にありますように、申請した市町村は民間学童保育中心に全体の三分の二で、公立施設の申請では二割にも届いていません。賃上げ実績についても実額での把握が行われていない。
 これでは、岸田首相の鳴り物入りのそういった事業についてのやる気のなさというのを率直に指摘せざるを得ません。公立で何でこんなに実施が少ないのかとか、実際の賃金額がどうなのか、こういったことは最低限把握をすべきことであります。
 元々、子ども・子育て本部のお知らせには、「施設・事業所での実際の職員配置状況などにより、一人当たりの引上げ額が月額九千円を下回る場合があります」とあります。公定価格上の配置基準に基づいて補助額を算定しているために、こんなことをわざわざアナウンスをするような状況になっているわけです。
 この保育士の配置基準の低さ、これこそ見直すべきだ。それが保育士の賃上げにもつながる。四、五歳児の配置基準は七十四年前から変わっていません。三歳児は五十五年前から変わっていません。配置基準の抜本的な見直しをし、保育士を始めとしたケア労働者の抜本的な賃上げを図ることを求めて、質問を終わります。